映画・音楽

2019年02月20日

オスカーの行方

 
ご覧の写真、何だかわかりますか? 世界的な映画の祭典「アカデミー賞」の授賞式が開催されるハリウッドのドルビー・シアターです。4年前に取材で訪ねたときに撮影しました。レッドカーペットを敷き詰めたこの階段を、ノミネート作品の関係者や俳優たちが踏んで優雅に入場していく。いよいよ今週末に迫った2019年(第91回)のオスカー像は、どの作品の頭上に輝くのでしょうか。

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ところでここ数年、アカデミー賞授賞式の視聴率が低迷しているといいます。一番の理由は、選ぶ側と一般視聴者のあいだに乖離が生じていること。たとえば昨年(2018年)の作品賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』の興業収入は約5,700万ドル(約63億円)だったのに対して、賞を逃したクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』はアメリカだけでその3倍にあたる1億8,000万ドル(約198億円)を稼ぎ出しました。芸術性に重きをおくか、興業成績やファンからの支持も選ぶ指標にするか。アカデミー賞はひとつの岐路に立たされているのかもしれません。

さて、今年(2019年)の最有力候補といえば、最多10部門にノミネートされているアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』でしょう。アメリカのニュース誌『TIME』やニューヨークの映画批評家協会からはも昨年のベストワンに選ばれました。1970年代のメキシコシティの高級住宅街「ローマ」を舞台に、ある中流家庭の波乱に満ちた1年を一家に仕える若い家政婦の眼を通して描いた作品です。

このキュアロン監督の自伝的映画『ROMA/ローマ』の放映権を獲得したのがネット配信の大手Netflixだったことでも、話題を集めました。そのためアメリカでは一部の映画館で上映されただけで、あとはネット配信のみ。日本でも昨年12月からネットのみで公開されています。ネット配信の映画がオスカーを手にすれば時代の大きな転換期を象徴する出来事となるだけに、注目です。

S.Akimoto at 00:02|Permalink

2017年08月09日

映画『アフターマス』

 
ドイツ南部ユーバーリンゲン付近の上空で2002年7月、ロシアのバシキール航空の2937便と国際貨物航空DHLの611便が空中衝突し、両機の乗客乗員合71名が死亡する事故が起きました。「ユーバーリンゲン空中衝突事故」として伝えられる悲劇です。

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飛行機のコクピットには「TCAS(ティーキャス)」という機器が装備されています。半径28キロ、高度差約2700メートルの範囲を飛ぶ飛行機の存在を知らせてくれる、いわば空中衝突防止装置。2機が近づいて危険だと判断すると「トラフィック、トラフィック」と危険信号を出し、一方の飛行機には「クライム(上昇せよ)」と音声で知らせ、もう一方には「ディセンド(降下せよ)」と指示を出します。これについては近著『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(河出書房新社・KAWADE夢文庫)でも書きました。

さて、ユーバーリンゲンの事故でも、衝突の数十秒前に2937便と611便の双方のTCASがそれぞれの機影をとらえていました。611便のTCASは乗員に降下を、2937便では上昇を指示します。ところが、両機が同高度で接近していることに気づいた管制官は、2937便に降下を指示。2937便のパイロットは管制官に従っての降下を開始してしまうのです。警報が鳴り止まない611便は「TCASの指示どおり緊急降下中」と管制に通報しようとするも、うまく伝わりません。本来は2名体制で行うはずの地上の管制業務が、1名が休憩で離席していて対応がおろそかになったというのが事故要因のひとつだったようです。

昨日の夕刻、今年9月16日より日本でも公開になる映画『アフターマス』の試写会に行ってきました〔上の写真〕。上記の「ユーバーリンゲン空中衝突事故」をモデルにした映画で、内容は事故で妻子を失ったアーノルド・シュワルツネッガー演じる男が、ミスを詫びようとしない管制官を追いつめていく復讐劇。賛否はあると思いますが、いろいろ考えさせられる作品でした。

S.Akimoto at 08:27|Permalink

2016年12月14日

北ドイツの新名所

 
首都ベルリンに次ぐドイツ第二の都市、ハンブルク。古い歴史をもつ港湾都市で、エアバスの機体製造拠点の取材などを目的に私もこれまで5回ほど訪れました。そのハンブルクに2017年1月、新しいランドマーク「エルプフィルハーモニー」が誕生します。

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エルプフィルハーモニーは、3つのコンサートホールを中心にホテルやレストラン、ハンブルクの街を一望できる展望プラットフォームなどからなる複合施設で、スイスの著名な建築家ユニットが設計しました。2017年1月11日と12日にいよいよグランドオープンを迎えます。ご覧の写真がその完成形で、エルベ川沿いにたたずむ姿は壮観そのもの。先ほど、青山の東京ドイツ文化センターでオープニングに関する説明会が開催され、私も出席してきました。

またオープニングを記念して今回、そのエルプフィルハーモニーを拠点とする世界的な室内管弦楽団「アンサンブル・レゾナンツ」が初来日。明日の12月15日(木)に上野の東京文化会館で公演が予定され、私もチケットを2枚ゲットしました。同伴者も「世界中からひっぱりだこのアンサンブル・レゾナンツを、まさか上野で観られるとは!」と感激しています。

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今日と明日は、いつもとは違うテーマの仕事で、私もワクワクしています。予定している執筆作業に明日午後まで全力で取り組み、少し早めに切り上げて、ちょっぴりオシャレして会場へ。超一流の演奏にどっぷり浸かり、2日間にわたって新しい音楽シーンを取材するプロジェクトを終了させたいと思います。

S.Akimoto at 15:53|Permalink

2016年05月01日

ジブリ映画

 
連休もずっと仕事を続けていますが、日曜日の今日は午後の早い時間に執筆を終えて映画(DVD)を2本楽しみました。宮崎駿アニメの代表作『紅の豚』と『魔女の宅急便』です。アニメファン、というわけではありません。連休明けからクロアチア第二の都市、ドゥブロヴニクへ取材で飛ぶため、そこを舞台にした作品を改めて観ておこうと思い立ちました。

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両作品とも、アドリア海の沿岸や世界遺産に登録された同都市の街並みがモデルになっていると言われています。作品に描かれた景色や街の美しさに目を奪われ、来週からの取材旅行がますます楽しみになりました。いまからテンションが高まっています。

上の写真は、映画とは直接関係ありませんが、『紅の豚』にはこんな感じの真っ赤な水上飛行機が登場します。実際に作品に出てくるのは飛行艇で、魔法にかけられて豚になってしまった主人公のポルコが大空を自在に操る姿がカッコいい。

1年半ほど前に、NHK FMラジオで「ヒコーキソング」をテーマにした10時間超のライブ番組を担当したときに、ポルコの声を演じた森山周一郎さんにゲストに来ていただきました。彼とのトークの中で「最近の若い人は水上飛行機の存在すら知らない」という話題が出たのを思い出します。海の近くで生活している人以外には、たしかに無縁の飛行機かもしれません。ビーチリゾートなどでは、いまでも乗れる場所があちこちにあるのですが。

S.Akimoto at 22:39|Permalink

2015年12月01日

聖夜の調べ

 
12月に入りました。東京の都心では、どこを歩いてもきらびやかなイルミネーションが目に飛び込んできます。そんななか、今日は夕方から、私の住む文京区にあるカトリック東京カテドラル関口教会へ。聖マリア大聖堂〔写真〕において、ロシア国立モスクワ・アカデミー合唱団によるクリスマスコンサートが開催されました。


東京カテドラルでのクリスマスコンサートは、今年で10回目を迎えます。海外の優れた合唱団を毎年、教会という特別な舞台に招いて開催してきました。その第1回目が、今回と同じロシア国立モスクワ・アカデミー合唱団。ロシアの合唱芸術は19世紀、ラフマニノフやチャイコフスキーなども作曲していたロシア聖歌の発展と結びつき、日本でも知られるアレクサンドル・スベシニコフにより設立され歩みを続けてきました。

恒例となったこの教会コンサートには、いつも「行きたい、行きたい」と思いながら、ここ数年は同じ時期に海外での仕事が重なってやむなく断念。運よく今年はスケジュールが合い、早い時期に席を確保できました。

ロシア国立モスクワ・アカデミー合唱団の来日は、2012年以来3年ぶりとか。クリスマスコンサートは11月26日の千葉を皮切りに28日の兵庫、29日の大阪と続き、今日の聖マリア聖堂が最終日です。19時過ぎに開演して、バラキエフの「天からの予言」やチャイコフスキーの「主を褒め讃えよ」のほか、ロシア民謡「トロイカ」やヴェルディ歌劇「椿姫」の「乾杯の歌」など全23曲。美しく重厚なハーモニーによる聖夜の調べに魅了された夜でした。

S.Akimoto at 22:46|Permalink
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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