航空機&メーカー

2013年01月11日

トラブル続発

 
年明け早々、目がまわっています。仕事始めの1週間は書き物に集中するつもりでしたが、ボーイング787のトラブルが相次ぎ、予定が狂いました。米国ボストンで7日、JALの787のAPU(補助動力装置)用バッテリーから発火し、翌8日にはやはりJAL機(機体は別)の燃料タンク配管部分の不具合で燃料漏れが発覚。それらのトラブルについて急きょラジオ番組に出演してコメントし、終わって執筆作業に戻ったら、飛び込んできたのがANAの787がブレーキ制御システムの故障で山口からの便が欠航になったというニュースです。この件でも、テレビ取材の対応に深夜まで追われました。


とても気になります。「新型機に初期不良はつきものだよ」という人もいますが、それで済む問題でしょうか。家電製品やPCなどの場合は「新製品が出てもすぐに飛びつかず、初期不良が出尽くしてきちんと改善された時期に買え」という意見があります。ですが、航空機の初期不良を容認することはできません。たくさんの乗客を乗せて飛行中に「初期不良が見つかったので止めますね」というわけにはいかないですから。

開発が3年遅れ、マスコミも「夢の旅客機は夢で終わる?」という論調で騒ぎはじめたとき、私は「787は従来の旅客機とはまったく違う、ある意味では未知へのチャレンジだ。だから予期せぬトラブルがあるのは当たり前。開発の遅れをとやかく言うべきではない」とボーイングを擁護してきました。その一方で、ボーイング側にはこう伝えてきたのです──「待つ代わりに、完成品は100%完璧な形で納入してほしい」と。

787にとって、これからが世界の空を飛び始める大事な時期です。トラブルが続いている事実は、事実としてしっかり受け止めなければなりません。「今後の運航にはまったく問題ない」などという根拠に乏しい発言は慎んで、メーカー(ボーイング)もユーザー(エアライン)も一致協力して原因究明に取り組み、その結果「何が理由でどの部分にどんな不具合が発生し、どういう形で対応したか」をすべてオープンにしていくことが必要でしょう。それなくして、利用者の信頼をつなぎ止めることはできないと思います。

今日──1月11日の夕方、ANAの787による成田/サンノゼ線が新規に就航します。その記念セレモニーなどを取材するため、私も午後から成田に向かいます。

S.Akimoto at 00:07|Permalink

2012年12月14日

787で長距離移動

 
3年前のちょうどいまごろでした。当時、開発が予定より2年以上遅れていたボーイング787。初飛行はいつ実現するのか? 世界中が注目する中、製造現場のアメリカ・シアトルから直前になって急きょ「12月15日に実施する」と発表されたのです。


初飛行を成功裏に終え、翌2010年からは実用化に向けて細部を検証する実地テストに移行しました。必要なチェック項目を一つひとつクリアし、ローンチカスタマーであるANAの1号機が羽田に到着したのは2011年9月28日〔写真〕。同年11月に国内線でデビューし、現在は国際線も含めて787ネットワークは各地に広がっています。787はライバルのJALも戦略機種と位置づけ、欧米やアジアへの路線で運航を始めました。

ファンの方たちからも「もう乗りました!」という報告がたくさん届いています。もっとも、その多くはまだ国内線の短距離フライトでの体験かも知れません。787の本当の意味での快適性は、ロングフライトで利用してみないと実感できないのではないか。そう私は思っています。ANAが787の羽田/岡山・広島線での運航をスタートする前に実施した香港へのチャーターフライトを、私は航空写真家のチャーリィ古庄氏をともなって取材しました。しかしそれ以上のロングフライトは、私もまだ体験していません。海外──とくに欧米への長距離路線が充実した頃に、改めてじっくり取材しよう。そう古庄氏とも話していたからです。

日系2社を含めたエアライン数社が、年が明けた2013年から787でのアメリカやヨーロッパへの新規路線を続々と開設します。それを受けて私と古庄氏も、いよいよ具体的な取材準備に入りました。できれば1月に、遅くとも2月中には取材を敢行する予定です。どのエアラインのど路線を取材するかはまだ発表できませんが、いずれこのBlogを含めて各メディアで報告したいと思います。

S.Akimoto at 00:36|Permalink

2012年11月15日

ロッキードL-1011

 
時刻は現在、23時45分。間もなく日付が変わります。いまから42年前のこの日──11月16日に、ある記念すべき出来事がありました。1970年代の空の大量輸送時代をリードしてきたロッキード社のL-1011トライスターがこの日、初飛行を遂げたのです。


初代ジェット旅客機の代表格である4発機ボーイング707やダグラスDC-8が飛び始めた1950年代、さらに個性的スタイルの727や双発ジェット機DC-9が日本の高度経済成長の牽引役となった1960年代を経て、1970年代は大型ワイドボディ機が主流になった時代です。ボーイング747をはじめマクドネル・ダグラスDC-10、欧州から新規参入したエアバスのA300などが相次いで誕生。それらの機種とともに一つの時代を引っ張ってきたのが、ロッキードL-1011でした。

ご存知の方も多いと思いますが、ANAがかつて東京/グアム線で国際線への参入を果たした機種が、ロッキードL‐1011トライスターです。1号機が羽田に到着したのは1974年2月。翌3月には、まず羽田/那覇線に就航します。当時の機体塗装は、例のモヒカンルックでした〔写真〕。最盛期には21機のトライスターが国内の空を飛び、そして1986年3月3日に同機種で悲願だった国際線デビューを実現します。当時の中村大造ANA社長は成田空港での東京/グアム線新規就航セレモニーで、満面の笑みを浮かべて「創業以来の夢をやっと手に入れた」と語りました。

このワイドボディ3発ジェットのファンだったという人は少なくありません。「機首をぐいっと持ち上げてタッチダウンする姿が好きだった」「エンジンを始動するときの独特の響きがよかったね」などなど。私自身も、L‐1011はバランスのいい、美しい旅客機だったなという印象を持っています。

──以上、初飛行から42年目の思い出の日に。

S.Akimoto at 23:45|Permalink

2012年10月25日

シンガポール経由

 
早朝のチャンギ空港第2ターミナルのゲートの先で、王者の風格をもつ“奴”は悠然と翼を休めていた。ランプエリアに駐機する他の機種が、なんと小さく、頼りなく見えることか。(中略)離陸滑走が始まると、全乗客の声がいっせい止み、機内は静まり返りる。加速パワーを背中に感じるだけで、振動はほとんど伝わってこない。やがて機は音もなくふわりと宙に舞い上がり、その瞬間、機内は大きな拍手と歓声に包まれた──。


2007年10月25日のあの記念すべき日、到着したシドニーの空港で私はそんなレポート書き、メディア各社に送信しました。エアバスのオール2階建て機A380の世界デビューの瞬間です。あれから丸5年。シンガポール航空はこれまで19機のA380を保有し、同社の主力機材として欧米やアジア・太平洋路線で運航を続けてきました〔写真=チャーリィ古庄氏撮影〕。

そのシンガポール航空が昨日、エアバスにA380をさらに5機追加でオーダーしたと発表しました。同社のA380は、これで計24機になります。A380という画期的な機種を開発当初から追い続け、就航後はその快適なフライトの取材に多くの時間を費やしてきた私にとって、シンガポール航空の“A380ネットワーク”の拡大はとても嬉しいことです。2年前の春に久々にフランス・パリのカルチェ・ラタンで休暇を過ごそうと思いついたときも、SQのA380を乗り継いでパリに向かおうと、わざわざ成田からシンガポール経由での二つのフライトのビジネスクラスを取りました。

ところで、シンガポール航空は5機のA380とともに開発中の最新鋭中型機A350XWBも20機追加で発注しました。A350の合計発注数もこれで40機に。2014年以降には、この新しい翼もシンガポールからの中長距離路線に続々と就航していくことになるでしょう。日本からA380でシンガポールに行き、そこからさらにA380で欧米などの主要都市にアプローチするもよし、新しいA350で他の旅先に向かうもよし。今後もしばらくは「シンガポール経由」が、私の旅の重要なキーワードになりそうです。

S.Akimoto at 10:16|Permalink

2012年10月10日

空中巴士と波音

 
中国語でエアバスは「空中巴士」と書き、ボーイングは漢字二文字で「波音」になるんだな。先週末に郵送されてきたご覧の2冊の本を前に、思わずそんなことを呟きました。エアバスA380は「空中巴士A380」と、ボーイング787は「波音787」とカバーに表記されています。ついでに言うと、「まるごと解説」は「完整解説」となっていました。


サイエンス・アイ新書の「まるごと解説シリーズ」として出した2冊──『エアバスA380まるごと解説』と『ボーイング787まるごと解説』が、中国語に翻訳されて新たに台湾で発売になりました。著者として、とても嬉しく思います。

届いた翻訳本、さっそく開いてみました。さっぱり読めません。当然です(笑)。でも、中身に使われている写真は同じですし、それに一つ発見しました。去年の12月10日のBlogでも紹介したパラパラ漫画ですが、『ボーイング787──』のほうにはちゃんと載っています。なぜか『エアバスA380』のほうにはないのですが。そして『ボーイング787──』のパラパラ漫画は、本をパラパラめくっても飛行機のイラストが動きません。各見開きページの右上片隅の同じ位置に、同じイラストが配置されているだけです。だから、パラパラやってもいっこうに飛んでいかない(笑)。

台湾の出版社は、このパラパラ漫画の仕組みをよくわかっていないのでしょうか。それとも、コストがかかるからやらないだけ? こんなところの差にも、日本人のユーモア感覚やサービス精神の高さが読み取れる気がします。

S.Akimoto at 06:43|Permalink

2012年08月23日

4発機で北欧へ

 
今日これから、エアバスA340に乗ります。久しぶりに。A340は中距離路線を中心に世界の空で活躍中のA330の姉妹機です。この二つの機種の違いは、A330が左右の主翼にエンジンを1基ずつ装備した“双発機”であるのに対し、A340は左右に2基ずつを搭載した“4発機”であること。A340は4基のエンジンを駆使することで、かつて旅客機としては初めて1万4,000キロ級の航続距離性能を手にしました。


しかし最近はエンジンそのものが進化し、従来は3基か4基が必要だった大型機でも2基で必要な推力が得られるようになりました。エンジンの数が多ければそれだけ燃費や整備コストがかさんでしまうことから、双発機を主力に据えるエアラインも年々増加。そうした時代の流れもあるのでしょう。エアバスは2011年11月、A340の生産打ち切りを発表しました。

これで現存する4発機は、“ジャンボ機”ボーイング747とエアバスのオール2階建て機A380だけに。4発機ファンとしては、淋しいかぎりです。パイロットの中には「操縦していても、やっぱり4発機は安心感がありますよね」と話す人も少なくありません。

しかし生産は打ち切りになっても、世界の空では現在も300機を超えるA340が飛んでいます。運航を続ける1社が、私がいまからデンマークのコペンハーゲンまでのフライトで利用するスカンジナビア航空〔写真〕。「北欧は避暑ですか?」と聞かれそうですが、いいえ、仕事です(笑)。今日はまずコペンハーゲンで乗り継いで、ノルウェー第二の都市ベルゲンへ。そこを拠点にフロム、オスロなどを回り、来週にはコペンハーゲンに戻って、街や空港を取材して帰国する予定です。

S.Akimoto at 07:18|Permalink

2012年07月21日

747-8Iレポート

 
日本には“ジャンボ機”ボーイング747の根強いファンが少なくありません。かつてはJALが世界最多の100機を超える747を導入し、「ジャンボ王国」などといわれた時代もあります。しかしこの10年間、エアライン各社は原油価格の高騰や金融危機に端を発する世界不況への対応策として、効率化やダウンサイジングへの取り組みを余儀なくされてきました。一時代を築いた747ももはや「時代に合わない機種」となり、JALやANAをはじめ世界中のエアラインで退役が進んでいます。


1973年から約40年にわたり運航を続けてきたシンガポール航空の747も、今年4月にシンガポール/香港間のメモリアルフライトで翼を閉じたことは、誠Style連載記事でも報告しました。

とはいえ、747の歴史がこれで終焉したわけではありません。伝説の名機は「747-8インターコンチネンタル(747-8I)」という名で進化し、よみがえりました。その新しい1ページを開くために重要な役割を果たしたのが、ローンチカスタマーとして2006年12月に同型機の導入をいち早く決意したルフトハンザです。

今年6月1日のフランクフルトから米国ワシントンD.C.への747-8I就航初便に、運よく私は搭乗する機会を得ました。そのときの取材レポートが、本日発売の月刊誌『航空ファン』の9月号に掲載されています〔写真〕。書店で見かけたら、ぜひご一読ください。

S.Akimoto at 15:32|Permalink

2012年06月02日

ワシントンD.C.に到着

 
フランクフルト空港を離陸後、順調に大西洋横断飛行を続けたルフトハンザのボーイング747-8インターコンチネンタルは、定刻より少し早く米国ワシントンD.Cに到着しました。これまでルフトハンザが運航してきた747-400は、アッパーデッキ(2階席)にファーストクラスを置いてきましたが、747-8ではレイアウトを変更。メインデッキ(1階席)の最前方にファーストクラスを、その後方とアッパーデッキに計93席のビジネスシートを設置しています。


今回私が乗ったのは、新開発のフルフラット型シートを通路を挟んで2席ずつ並べたアッパーデッキです。アッパーデッキは地元ドイツやアメリカを中心に各国からのジャーナリストで埋まっていたため、上空では和気あいあいの“取材合戦”が勃発〔写真〕。私も何人かの記者に「エアバスA380とどっちがいいか」について意見を求められました。

難しい質問です。どちらもいい──私にはそう答えるしかありません。本当にどちらも遜色がない。A380に最初に乗ったときにはその「静寂性」に驚きましたが、キャビンに伝わってくるエンジンのノイズレベルは、747-8のほうがさらに低いのではないか。そんな感想も伝えました。エンジンからより離れたアッパーデッキだったこともあるかも知れませんし、機内に計測器を持ち込んだわけでもありませんが、ボーイングの「ノイズを30%低減させた」という発表はそのとおりにとらえていいと思います。

明日(現地時間の6月2日)の夕方にワシントンD.C.を発つLH419で、再びフランクフルトへ折り返します。その後、ドイツで少しのんびりしたかったのですが、週明けから仕事が山積みなのでそうもいきません。フランクフルトに8時05分に到着したあとは、ルフトハンザのウェルカムラウンジで休憩し、13時50分発のLH710便で成田へ。ロングフライトが続きますが、747-8とA380を乗り継ぐので、この二つの巨人機を改めてじっくり比較してみるチャンスだと思っています。

S.Akimoto at 12:02|Permalink

2012年05月31日

A380機長の未練

 
エアバスA380で運航するルフトハンザのLH711便でフランクフルトへ向かう途中、キャプテンがビジネスクラスのキャビンに顔を出してくれました。6月1日のボーイング747-8インターコンチネンタルのデビューフライト取材のため私が同便で現地に向かうと、本社から連絡を受けていたようです。


お互いの挨拶のあと、5分ほど話しました。この20年間、彼は「機長としてのチャレンジ」を続けてきたと言います。初期タイプのジャンボ機747-200の操縦資格の取得に始まり、その後はハイテクジャンボと呼ばれた747-400の資格を、そして世界最大の旅客機である現在のエアバスA380を──と〔写真はイメージ〕。

「こうしてA380での乗務を始めたことで、私は機長としての目標を達成したと思っていました」と、キャプテンは言います。「ですが、最近考えるんですよ。じつはもう一つ、やり残したことがあったんじゃないかって」

キャプテンはどうも、これから飛び始める747-8インターコンチネンタルを思い浮かべているようでした。もちろん、現時点でA380の機長として“頂点”に立っている彼が、その職を手放してさらに新しい機種にチャレンジするなどということはあり得ません。だからこそ、未練も感じているのでしょう。

「ジャンボジェットの集大成である747-8インターコンチネンタルは、間違いなく素晴らしい飛行機です。どうぞ心ゆくまでファーストフライトを楽しんできてください」

キャプテンに言われて、明日がますます楽しみになりました。世界が注目する747-8インターコンチネンタルは6月1日、午前9時50分に米国ワシントンD.C.に向けて離陸します。

S.Akimoto at 10:04|Permalink

2012年05月29日

747伝説は終わらない

 
今年4月に取材したシンガポール航空の747-400ラストフライトのレポートを現在、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で公開しています。日本には本当にジャンボファンが多く、読者を含めてさまざまな方から別れを惜しむ声が届きました。


ひとつの時代に幕が閉じられるときというのは、いつも淋しく、悲しいものです。しかしジャンボに限っては、これで歴史が終焉したわけではありません。伝説の名機は「747-8インターコンチネンタル」という名で進化し、よみがえりました。この新しい1ページを開くために重要な役割を果たしたのが、ローンチカスタマーとして2006年12月に同機導入をいち早く決意したルフトハンザです。

上の写真は、5月2日に1号機が米国シアトルのボーイング工場からフランクフルトに到着したときの様子です。ルフトハンザのスタッフたちはその後1カ月を費やして、就航準備を進めてきました。6月1日、現地時間の午前9時50分。世界が注目する次世代ジャンボが米国ワシントンD.C.に向けていよいよ離陸します。

私が米国アトランタで取材していた2週間前、この747-8インターコンチネンタルの初フライトへの招待がフランクフルトから届きました。私にとっても、願ってもない素晴らしい機会です。就航前日には関係者の会見なども開催されるので、明日30日のLH711便でひと足早く成田からフランクフルトへ。747伝説の新しい1ページを、全力で取材してきたいと思います。

S.Akimoto at 19:25|Permalink

2012年04月23日

ガスパリーニ機長

 
アリタリア-イタリア航空の777機長、レンツォ・ガスパリーニさん〔写真右〕が、私のインタビューに応じてくれました。成田からローマへの向かうAZ785便の機内でのことです。パイロットの交代の時間になり、キャビンに顔を見せたガスパリーニさんは、口数こそ少ないもののとてもフレンドリーなイタリアン。アリタリアひと筋に26年間勤務を続け、社内でもみんなから信頼されているベテラン機長です。


「MD-8やDC-10を始め、エアバス機やボーイング767など、これまでいろんな機種のコクピットを経験してきた」と、ガスパリーニ機長は言います。「その中でもこのトリプルセブン(777)は、私にとって間違いなくナンバーワンの機材だね」

上空で高度を上げたり、左右に旋回しようとコクピットで操作した場合、パイロットの意思が機体に伝わるまでに多少のズレ(タイムラグ)が生じます。けれども、777にはそれがない。まるで自分の手足のようにリアルタイムに、過不足なく忠実なパフォーマンスを発揮してくれる──そうガスパリーニ機長は言うのです。

アリタリア-イタリア航空は現在、777を長距離国際線の中心機材として運航しています。ガスパリーニ機長もこれまで、その777を操って欧州域内はもちろん北米や南米、アジアなど世界の空を飛んできました。では、自分で操縦していて一番好きな路線は? 私のそのちょっと意地悪な質問に、彼は間髪を入れずに答えました。

「日本だよ。当然ね。だって食べ物はおいしいし、知り合う人がみんな親切でやさしい。彼らが暮らす国へまた飛んでいけるという日は、前の晩からワクワクする気持ちを抑えられないよ。ミスター・アキモト、日本のみなさんに私からよろしくって伝えておいてくれるかい?」

S.Akimoto at 12:19|Permalink

2012年03月14日

トルコ航空051便

 
成田空港第1ターミナルの34番ゲート前でいま、トルコ航空051便へのボーディング開始を待っています。出発準備を進めるボーイング777-300ER〔写真〕をガラス越しに眺め、トルコ航空が自社保有の777-300ER初号機を受領したときのことを思い出しながら。あれは、2010年10月でした。


当時私は、航空写真家のチャーリィ古庄氏をともなってシアトルへ飛び、ボーイングのエバレット工場でトルコ航空への新造機引き渡し式典に列席。そのあと、受領したばかりの真新しい777-300ERを同社の拠点であるイスタンブールへ運搬するフェリーフライトに各国の記者らとともに乗せてもらいました。ビジネス、コンフォート、エコノミーの3クラスを合わせて337席が設置されたキャビンに、乗り込んだのはトルコ航空関係者を除けば私たち30人だけ。機内はまさにお祭りさわぎです。普段あまり接点のないウクライナやチェコ、ブラジル、コロンビアなどから来ていた記者たちとワイングラスを傾け、交流をもちながらの11時間のフライトは、とても楽しい経験でした。

あれから1年半が経過したいまも、777-300ERはトルコ航空の長距離路線の主役として活躍を続けています。そして今日もこれから、トルコ航空本社を取材するため、この777-300ERで再びイスタンブールへ。イスタンブールは昨年5月に「ピカソの足跡をたどる旅(2011年5月21日〜6月1日のBlog参照)」の出発点として訪ねて以来、ほぼ10カ月ぶりです。前回はスペイン・マラガへのフライトに乗り継ぐための1泊だけでしたので、今回は取材を終えたあと少し時間をとって、のんびり歩いてこようと思います。

成田からイスタンブールまで、約12時間20分の長旅です。シルクロードの上空をひらすら西へ西へ、おいしいトルコ料理とワインを楽しみながら。何なのでしょうね、仕事で飛ぶのに、まるで休暇でもとったようなこの解放感は(笑)。行ってきます!

S.Akimoto at 13:56|Permalink

2012年02月24日

NYのメディアで

 
2011年11月にデビューしたボーイング787“ドリームライナー”のフィーバーぶりも、ここへきて一段落かな? そう思っていたら、最近またにわかに盛り上がりつつあるようです。ANAが羽田/フランクフルトなど長距離国際線での運航をスタートし、この旅客機の本当の意味での真価が発揮されはじめたからかも知れません。


著書『ボーイング787まるごと解説』(サイエンス・アイ新書)も今月に入って『毎日新聞』7日付け朝刊の生活文化欄で紹介されたほか、旅行業界紙大手の『週刊トラベルジャーナル』誌でも2月13日号で大きく取り上げられました。ラジオでは先週土曜日に子ども向け科学番組「大村正樹のサイエンスキッズ」にゲストで呼ばれ、787をテーマに大村さんとトーク。明日の25日にもその後編がオンエアされます。そして今日、787フィーバーは海を越え、アメリカ・ニューヨークでも著書が紹介されました。

取り上げられたのは、現地で発行されている日本語紙『週刊NY生活』。2004年に創刊以来、ニューヨーク駐在の日本人ビジネスマンや学生などに広く読まれているフリー紙です。現在はデジタル版の配信も始まり、世界中どこでも読めるようになりました。

ネットで同紙デジタル版にアクセスすると、映画『鉄の女』でアカデミー賞候補になっている女優メリル・ストリープさんが表紙の本日配信の最新号が〔写真〕。その第20面のBOOKSコーナーで、詳しく書いてくれています。現地でも多くのニューヨーカーたちが、787の就航を心待ちにしているのかも知れません。

S.Akimoto at 10:22|Permalink

2012年01月19日

嬉しいニュース

 
サイエンス・アイ新書の旅客機シリーズとして2007年9月に最初に出した『みんなが知りたい旅客機の疑問50』と、翌2008年12月に刊行した続編『もっと知りたい旅客機の疑問50』の2冊が、中国語に翻訳されて2010年と2011年に台湾を中心に発売になりました〔写真上〕。


中国語市場での私の本の売れ行きや反響は、どうなのかなあ。ときどき思い出しては気になっていたのですが、今週になってとても嬉しいニュースが! 同じ台湾の晨星出版社より新たに2冊──昨年11月に出した最新作『ボーイング787まるごと解説』とその姉妹編である『エアバスA380まるごと解説』を同時に翻訳出版したいというオファーが、日本での版元であるソフトバンククリエイティブを通じて私のもとに届いたのです。

海外旅行はアジアの人々にも身近になり、出版社の話では「航空ファンも急増している」とのこと。787は世界中のエアラインが発注していますし、A380を運航するアジア系エアラインも数社に拡大しました。次世代旅客機と言われるこの2つの機種の就航を、アジアの多くの人たちが心待ちにしているのかも知れません。

それぞれにどんな先端技術が搭載され、これまでの旅客機と何がどう違うのか? それによって、フライトがどう変わるのか? 新しい2冊の翻訳書を通じてそのことが海外の人たちにも伝わり、空の旅に夢をもってくれるといいなと思います。

S.Akimoto at 00:27|Permalink

2012年01月13日

A380同窓会

 
銀座のイタリアン・レストランで今夜、とある集まりがあり、いまその帰り道でこれを書いています。開催した会の名前は「A380同窓会」。2007年10月25日にエアバスのオール2階建て機A380がシンガポール/シドニー線で世界初就航したとき、日本から私を含めて4人のジャーナリストが招かれました。その4人と、私たちの就航初便取材を舞台裏でおぜん立てしてくれたシンガポール航空関係者4人の、計8名による同窓会です。


世界デビューしたA380に日本人として搭乗したのは、航空写真家のチャーリィ古庄氏と小栗義幸氏、そして小学館の元『Lapita』副編集長・安藤正氏と私の計4人。私たちの取材活動をバックアップしてくれたのは、当時シンガポール航空の広報部長だった壬生塚明氏と現在も現役広報スタッフとして活躍中の吉元美佳さん、さらに社外スタッフとしてPR業務を請け負っていた小林直美さんと田中紘子さんの4人です。アフリカ取材から帰ったばかりの古庄氏は残念ながら参加できなかったものの、残る7人は元気に再会を果たしました。

あのときの搭乗取材をベースにして、私は2008年3月に『エアバスA380まるごと解説』(サイエンス・アイ新書)を刊行しました。古庄氏や小栗氏、安藤氏も「あの経験がその後の自分たちの活動に少なからず影響を及ぼした」と口々に話します。そこで安藤氏より「久しぶりに当時のメンバーで集まらないか」と提案があり、今夜の会が実現しました。

安藤氏が予約してくれたのは銀座の「LAZY」という本格イタリアンです。魚介類を中心にした料理を楽しみながら、小林さんと田中さんが「この会を1回で終わらせるのではなく、ずっと続けていきましょう」と提案。小林さんは現在、外資系製薬会社の広報マネージャーとして、田中さんもライカジャパンの広報スタッフとして活躍を続けています。「5回とか10回の節目には、A380が世界で最初に離陸したシンガポールで開催するのはどうですか?」とのプランも持ち上がり、全員が「絶対に実現しよう」と約束して4時間におよんだ第1回開催はお開きになりました。

S.Akimoto at 23:44|Permalink

2011年12月16日

ボディ延長型の787-9

 
今週はまたボーイング787“ドリームライナー”に関連する話題が続いています。心配なのは、11月中に到着するはずだったANAの国際線仕様の787の製造が遅れていること。12月に予定されていた787の羽田/北京線での運航は来年1月に延期になりました。一方で、尾翼に“鶴丸”のマークが塗装されたJAL向けの787が13日、アメリカ・シアトルで報道陣に披露されたのは明るいニュースです。


ところで、787には仕様の異なる3つのモデルがあり、現在はそのうちの2モデルの開発・製造が進められています。今週塗装が完了したJAL機や、ANAが先月から国内線で運航しているモデルは、いずれも「787-8」という標準のタイプ。その標準型のボディを6.1メートル延ばしたモデルが「787-9」です。787-8と比較して旅客キャパシティで約16%、航続距離で約3%性能が向上します。

UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビに本拠を置くエティハド航空は今週、この787-9を10機追加で購入すると発表しました〔写真=プレスリリースより〕。同社が導入するのはすべてボディ延長型の787-9で、これまですでに31機をオーダーし、新たに10機を加えることで合計41機に。世界のエアラインでも最大の787-9運航会社になります。

エティハド航空はアブダビを拠点に、787-9をダブリン、フランクフルト、クアラルンプール、イスタンブールなどに就航する予定で、そのリストには「名古屋」の名前もありました。デリバリー開始は2014年から。まだ少し先ですが、就航したら真っ先に取材してみようと思います。

S.Akimoto at 08:24|Permalink

2011年12月13日

デビュー間近の747-8

 
ジャンボ機747-400の後継機となるボーイング747-8のテスト飛行と納品前検査を先週、フランクフルト空港で4日間をかけて実施したとドイツから報告が届きました。新開発の747-8は「次世代ジャンボ」と呼ばれ、全長76.4メートル、全幅68.5メートルと従来のジャンボ機よりひと回りビッグサイズ。燃費効率が向上するほか騒音も軽減する「地球にやさしい機材」としてルフトハンザが世界に先駆けて導入を決め、これまで20機を発注しています。


1号機納入への最終段階となった先週のテストでは、ルフトハンザのパイロット3名とボーイングのパイロット2名が乗り、シアトルから約9時間かけてフランクフルトに到着。その後、現地では空港内の格納庫とランプエリアを舞台に、メンテナンスとエンジニアリングの演習が進められました。

ルフトハンザへの1号機納入は2012年の早い時期に予定されているそうで、来年が楽しみですね。私もまた、現地に飛んで取材したいと思っています。

ところで、747-8はすでに世界の空で実際に飛び始めているのをご存じですか? ひと足先に完成したのは、747-8の貨物専用機である747-8F。Fは「フレイター(貨物機)」の意味です。今年11月8日にはキャセイパシフィック航空が運航を始めた747-8Fが成田に初飛来し、多くの熱心な航空ファンが空港に詰めかけました。「貨物機なので、それほど話題にはならないかと思ったら、すごい人気でしたね」と、関係者たちも驚きを隠せない様子です。

当日は別の取材が重なって私は成田に行けなかったため、残念ながらその写真はありません。代わりに、1年前にシアトルへ飛び、製造中だったキャセイパシフィック航空の747-8Fを上空から撮影した1枚を掲載しておきます。

S.Akimoto at 11:02|Permalink

2011年11月16日

ドイツの職人技

 
空港などでよく見かける「RIMOWA」は、根強いファンが多いようですね。工業国ドイツの職人たちがつくったこの最高級キャリーバッグ。デザインが洗練されていて、しかも頑丈で壊れない。値段はちょっと張るけれど、長く使用できることを考えるとトータルでは得かも知れません。


さて、このRIMOWA。ドイツ生まれのレトロな航空機「ユンカースJu52」のボディを参考につくられたということを、最近になって知りました。航空写真家のチャーリィ古庄氏に教えられて。どこをどう参考にしたかは、上の写真をご覧ください。誠Styleの連載レポートでも掲載した写真です。

この波板外板(コルゲート)のボディ構造はユンカースが得意としていた技術で、Ju52はこれにより重量を増やさず機体の強度を上げることに成功しました。RIMOWAの頑丈なバッグも、この構造に学んでいるのです。

ドイツ製品は私もいろいろ愛用してきました。取材用バッグに入っている爪切りはゾーリンゲンで、かれこれ25年も使い続けています。25年間、まったく切れ味が衰えないところがスゴイ! クルマも、ドアを閉めるときに部品と部品が寸分のすき間もなく一体化するあの独特の空気音にしびれ、一時期はずっとドイツ車を乗り回していました。

頑固な職人たちの“匠の技”が脈々と受け継がれているドイツの工業製品──これからも愛用していくんだろうなと思います。取材旅行に連れていくスーツケースが最近だいぶ疲れてきたので、次の欧州旅行で、まずはお気に入りのRIMOWAを探そうかな。

S.Akimoto at 18:09|Permalink

2011年11月01日

“ユーおばさん”

 
ドイツのユンカースが1930年代に開発したレトロな航空機でこの夏、フランクフルト郊外の上空を散策する機会をもちました。その航空機とは、3発プロペラ機の「Ju52」。かつてルフトハンザが同機を使用してベルリン/ローマとベルリン/ロンドンを約8時間で結びましたが、飛行可能な機体はいまはもう世界に数機しか残っていません。


このJu52を、ルフトハンザは1984年に創業60周年の記念事業の一環として中古機市場から買い戻しました。そして飛行機好きのメカニックらの手で大切に整備・保存が進められ、2010年夏から同機による定期遊覧飛行を復活させたのです。

「この懐かしい飛行機に乗ろうと、ヨーロッパの各地から人々が集まってきます。どのフライトも1週間前には席の予約が埋まってしまうんですよ」

そう話していたのは、グランドスタッフ役のクラウディア・シュタインさん。上の写真で、私の隣に写っている人です。あ、この文章のタイトルの「ユーおばさん」というのは、彼女のことではありません。おばさん、なんて──失礼な! ユーおばさんとは、ドイツ語で書くと「Tante Ju(タンテ・ユー)」。Ju52は今年で75回目の誕生日を迎え、いまも多くの人々からそんなふうに呼ばれて親しまれています。

ユーおばさんとの空の散歩の様子は、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で本日より公開になりました。

≫≫≫「レトロな航空機『ユンカース Ju52』でフランクフルト上空を散策

S.Akimoto at 07:37|Permalink

2011年10月29日

番組出演を終えて

 
ようやくと一段落です。大阪読売テレビの朝の報道番組「ウェークアップ!ぷらす」への生出演を先ほど終えました。いまは東京へ帰る新幹線のぞみの車内で、これを書いています。冷たいビールを飲みながら。


787の初営業フライトの取材で飛んだ香港から一昨日(27日)の夜に帰国。そのまま成田から都内のスタジオに入り、ニコニコ生放送の「787特別番組」に出演したときが、疲れのピークだったようです。同番組で1時間半、いろいろ話したときは、緊張感もあってまだ大丈夫だったのですが〔写真〕。番組が終わったとたんに、さすがにスタジオのソファーに座り込んでしまいました。

しかし、昨日は夕方早めに大阪入りして、読売テレビに近いホテルニューオータニにチェックイン。高層階の部屋でライトアップされた大坂城を窓から眺めながら、11月16日に発売になる新著『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンス・アイ新書)の最終ゲラをチェックして過ごしました。おかげで疲れもとれてスッキリし、今朝はさわやかに生番組に臨んだのですが……。前のコーナーが若干押して、787やLCCについてお話しする時間が思ったほどとれなかったのが、少し残念でした。

新著は、これから帰ってゲラの最終チェックを終え、明日の午前中に出版社に戻して校了になります。あとは11月16日の刊行を待つばかり。787は11月1日(火)にいよいよ国内定期路線でデビューし、フィーバーはまだ当分続くでしょうが、私自身は787から頭を切り替えて週明けからは次の新しいテーマに向かいます。

新幹線のぞみは静岡県に入り、左手に富士山がくっきりと姿を現しました。今日もいい天気です。みなさんも、よい週末を!

S.Akimoto at 11:55|Permalink

2011年10月12日

不朽の名機に出会う

 
下の写真は、懐かしき双発プロペラ機──ダグラスDC-3です。昨日、ガルーダ・インドネシア航空の本社を訪ねた際に、玄関先の敷地内に保存・展示されているのを撮りました。初飛行はいまから75年前。その後、世界の空で1万3,000機が活躍し「不朽のベストセラー」と呼ばれた機種です。


ガルーダ・インドネシア航空の設立は1949年。かつてインドネシアの統治国だったオランダのKLMオランダ航空から、島々をつなぐ路線の運航を引き継ぐ形でスタートしました。そのときに最初に使用したのがダグラスDC-3です。同社設立60周年の2009年に本社をジャカルタのダウンタウンから空港近くに移転した際、記念すべき1号機として置かれることになりました。

成田からインドネシアに飛び、着陸間際になると、洋上に数多くの島々が点在する景色が眼下に見えてきます。インドネシアには有人無人をあわせて1万8,000もの島があるそうですが、正確な数は最近まで政府も把握し切れていなかったとか。その島と島をむすぶ欠かせない交通手段として当時、このダグラスDC-3が活躍していたのでしょう。

来年──2012年は、ガルーダ・インドネシア航空が日本に就航して50年目を迎えます。関係者は「節目となる50周年の記念イベントを日本で計画している」と話していました。どんなイベントになるのか、いまから楽しみです。

S.Akimoto at 08:25|Permalink

2011年09月29日

787初号機が羽田に

 
すでに新聞やテレビが報じているように、ボーイングの次世代中型機787“ドリームライナー”が昨日朝、羽田に到着しました。ANA特別塗装の1号機は現地時間の午前7時16分に米国シアトル郊外のボーイング・エバレット工場に隣接するペインフィールド飛行場を離陸し、約10時間のフライトを経て、日本時間の9月28日午前9時2分に羽田空港C滑走路に着陸〔写真〕。その世紀の瞬間に立ち合うため、私も昨日は早朝から羽田に向かいました。


午前8時過ぎに「787の着陸に使用するのはC滑走路」と連絡が入り、撮影ポイントとしてANAから用意された二つのうちの一つ、同社原動機センターの屋上に移動。300人を超す報道関係者が詰めかけていました。

到着の様子を取材・撮影したあとは、バスでANAの新整備ハンガーに向かい、シアトルからのフェリーフライトに乗務した機長の会見に臨みます。そして午後からはハンガーに搬入された787の外観や内装の取材・撮影と続き、その間にAP通信社が海外に配信しているニュース番組とTBSテレビ「みのもんたの朝ズバッ!」の取材を受け、とにかく忙しい一日でした。「みのもんたの朝ズバッ!」では今朝、787の特集が放映になっています。

さて、前回のBlogでもお伝えしたように、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』でベトナム航空のフライトレポート「ベトナム航空で成田からホーチミンへ」を昨日朝から公開。そして明日30日の朝8時には旅のレポート「ベトナム中部紀行。ホイアンとフエ、2つの世界遺産の街を歩く」が掲載されます。その合間を縫って、シアトルで行われた787初号機のANAへの引き渡しから羽田到着までの密着ドキュメント「ANA特別塗装のボーイング787初号機が羽田に到着」を本日、同連載に緊急アップしました。

≫≫≫「ANA特別塗装のボーイング787初号機が羽田に到着

S.Akimoto at 14:50|Permalink

2011年09月23日

出動準備

 
今週発売の『Tokyo Walker』(角川書店)で、ボーイング787が取り上げられています〔写真〕。同誌の編集記者の方から先日インタビューを受け、787が従来機と比べてどこがどう“進化”しているかを、いくつかポイントを絞って解説しました。


いろんな雑誌がある中で、『Tokyo Walker』といえば若い層に人気のシティ情報誌です。航空の世界とはあまり縁の深い媒体ではありません。そんな雑誌さえ注目し始めていることからも、787がいかに多くのファンが心待ちにしている旅客機であるかをうかがい知ることができます。

そしてその787の1号機を、ANAは日本時間の26日にボーイングの工場があるシアトルで受領。羽田には28日朝に到着します。私の取材パートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏は今週、シアトル入りしました。納入前の1号機の様子を、現地でヘリをチャーターして空から狙うなどしてすでに取材を続けているとの報告も届いています。

週明けの受領式典なども彼に引き続き取材してもらい、私は羽田で28日の到着を待ちます。28日の羽田は、多くの報道陣と日本中のファンたちでごった返すでしょう。知り合いのカメラマンや記者からも「当日、羽田で会いましょう」と連絡がきました。今年8月7日のBlogで紹介した“空美ちゃん”たちも、それぞれに出動準備を進めているのかな? 師匠である古庄氏から伝授されたヒコーキ撮影のテクニックを試してみる、絶好の機会ですからね。

あとは真っ青な空をバックに撮影できるよう、当日の好天を祈るばかり。来週は東京ビッグサイトで開催される恒例の世界旅行博も週末に控え、忙しい1週間になりそうです。

S.Akimoto at 14:50|Permalink

2011年09月14日

787取材プラン

 
最終のテストフライトを続けてきたボーイング787“ドリームライナー”が米国FAAと欧州EASAの型式証明を取得し、1号機を9月25日(日本時間26日)にANAに納入すると発表しました〔写真は先日公開された特別塗装の1号機〕。日本のファンもANAの関係者たちも「ようやく決まった」という安堵の気持ちでしょう。


シアトルでは25日から26日にかけて受領式典などのイベントが開催されます。そして受領した787の1号機は27日にシアトルを出発し、羽田には28日に到着。それらの取材をどう手分けして進めるか? 取材パートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏とも相談しながら、具体的なスケジューリングとプランづくりに着手しました。

1号機の引き渡しという世紀のイベントだけに、日本から報道関係者が大挙してシアトルに向かい、海外からもメディア各社が詰めかけるに違いありません。そして28日の羽田では、記者やカメラマンに混ざってたくさんのファンたちが記念すべき1号機到着を待ちかまえるはずです。

シアトルに飛ぶとなると、羽田への1号機到着の撮影やそれに続くセレモニーには参加できません。どちらも大切な取材ですので、さて、どうするか? 古庄氏が来週から別件でひと足先にアメリカ入する予定なので、シアトル取材は彼に任せ、私は日本に残って羽田で到着を待つ──現在そんな役割分担を考え、ANA広報とも調整に入りました。その後も実機の体験フライト取材なども計画していますので、いずれにしても就航までの約1カ月半は「787」にフォーカスして活動し、価値あるレポートを読者のみなさんにお届けしたいと思います。

S.Akimoto at 13:55|Permalink

2011年09月05日

コクピット訪問

 
ドイツから帰国しています。取材に発ったのは1週間前の月曜日でした。そのときのBlogでも報告したとおり、成田からフランクフルトまではルフトハンザのエアバスA380を利用して。じつは行きの機内で、チーフパーサーのブルーノ・ボービンガーさんがわざわざ私のシートまで挨拶に来てくれて「フランクフルトにご到着後、時間がおありでしたらコクピットにいらっしゃいませんかと機長が申しております」と伝えてくれました。


A380のコクピットに入るのは久しぶり。ウキウキしながら訪ねると、ブルガー機長が笑顔で出迎えてくれました。まず目に飛び込んでくるのは、操縦席の前に整然と並んだ最新のLCD(液晶ディスプレイ)です。電子飛行計器システムを備えたグラスコクピットは現在、ボーイング777などに見られるように操縦席パネルに6基の画面が並んだものが主流ですが、A380では8基を標準装備。ディスプレイの形もそれまでの正方形から縦長に変わり、新たな情報表示機能も付加されました。

何枚か写真も撮らせてもらいましたが、あくまで「プライベートの写真」という約束なので、残念ながらここでは紹介できません。

ところで、A380のコクピットについて「やっぱりジャンボ機と同じで2階部分にあるんですか?」と聞かれることがあります。いいえ、A380のコクピットは2階席前方にはありません。だとすると1階席に? それも違います。上の写真からもわかるように、A380のコクピットはメインデッキとアッパーデッキの間の“中2階”につくられました。これは目線の高さを従来機にできるだけ近づけるという配慮から工夫されたもので、パイロットはメインデッキから4段の階段をのぼってコクピットに入ることになります。

S.Akimoto at 08:58|Permalink

2011年09月02日

レトロな航空機

 
ご覧の写真は、1930年代にドイツのユンカース社が開発した「Ju-52」というレトロな航空機です。かつてはルフトハンザが同機を使用してベルリン/ローマ間を8時間で結び、利用者の間では「タンテ・ユー(ユーおばさん)」と呼ばれ親しまれました。1936年に処女飛行して以来、今年で75回目の誕生日を迎えたJu-52。飛行可能な機体は現在、世界にわずか数機しか残っていません。


ルフトハンザは1984年、創業60周年の記念事業の一環としてこのJu-52を中古機市場から買い戻しました。そして飛行機好きのメカニックらの手で大切に整備・保存が進められ、昨年夏から同機による定期遊覧飛行を復活させたのです。ドイツ取材の最終日、私はフランクフルトで、幸運にもこのJu-52による遊覧飛行を体験することができました。

帰国便(LH710)の出発時間は午後1時40分だったので、午前中の11時からのフライトを予約。滞在していた空港近くのホテルに朝9時45分にタクシーを呼んで、郊外にあるエーゲルスバッハ飛行場へ向かいます。10時過ぎに到着すると、同じ便に搭乗する人たちがすでにチェックイン手続きを開始していました。

Ju-52のコクピットにはパイロット2名とフライトエンジニアの計3名が乗り、客室には男性キャビンクルー1名が乗務。乗客の定員は16名で、顔ぶれはドイツをはじめヨーロッパ各地から集まってきた年配の人がほとんどです。韓国から来たという新聞記者は「はじめての体験で、わくわくしています」と緊張した面持ちで話していました。このJu-52での詳しいフライトレポートも、後日発表できる予定です。

S.Akimoto at 11:55|Permalink

2011年08月16日

787の窓サイズ

 
先日、大手新聞の記者と話していて、ボーイング787の窓の大きさが話題に。「787は従来機種に比べて窓が1.5倍大きくなる、と記事で書いたら、どうも間違いだったようで……。1.5倍ではなく1.2倍が正しいと聞いて、訂正したんです」と記者は私に言いました。


「1.2倍、ですか?」と私。「そんなに小さくないはずですよ。実際は1.6倍だったかな。だって1.2倍じゃあ、従来機種との差はあまりないですしね」

787に使われているカーボンファイバー複合材は、軽量にもかかわらず鉄の約9倍の強度があります。大きな1枚板でボディを構成できるため、継ぎ目を少なくし、キャビンの窓も大きくとることに成功。2009年3月に米国シアトルの「787ドリームライナーギャラリー」を訪ねた際に実寸で比較し、私は「窓の大きさは従来機の1.6倍以上」と報告しました(2009年3月27日のBlog参照)。誠Styleでの連載記事「ボーイング787“ドリームライナー”は空の旅をどう変える?」でも、5ページ目でそのことに触れています。

ちょっと気になったので、航空評論家の青木謙知さんと先週金曜日に会ったときに確認してみました。青木さんも「1.2倍ということはないと思うけどなあ。私もシアトルで1.6倍だと聞いたと記憶している」と意外そう。しかし、もう一度調べてくれたそうで、週明けにこんなメールが届きました。

「787の窓だけど、ボーイングのホームページで確認したところ、現在は『同サイズの機種に比べて30%以上大型化』という説明に変わっているね」

つまりは、1.3倍強。これだとインパクトに欠けるなあ、と正直思います。実際に見た感じではもっと大きいように思えたし、ボーイング関係者たちも「787が就航すれば、通路側のシートどころか二つの通路に挟まれた中央列のシートからでも外の景色を楽しめるようになる」と胸を張って話していたのですが……。トーンダウンの印象は否めません。

S.Akimoto at 14:13|Permalink

2011年07月03日

787が、来た〜ッ!

 
ついに、ついに来ましたね。ボーイング787“ドリームライナー”が今朝6時過ぎ、就航を前に空港設備との適合性などを検証するため日本に初飛来! その歴史的な瞬間を見ようと、羽田空港には早朝にもかかわらず多くのファンが詰めかけました。


報道関係者も朝5時前から集まり始め、その数は計120名以上に。新聞や雑誌のカメラマンを中心に、テレビクルーやフリーの記者たちの姿も見えます。米国シアトル郊外のエバレット工場に隣接するペインフィールド飛行場を日本時間の21時11分に離陸したANA塗装の787テスト機は、約9時間のフライトを経て6時21分に羽田空港のC滑走路に着陸しました。

「意外と大きいね」
「シャープな印象で、かっこいい」
「翼が長くて、きれい」
「長かった。3年も待った」

展望デッキではさまざまな声が飛び交います。なかには、感動して涙を浮かべているファンも! 思えばANAへの1号機納入は当初、2008年5月に予定されていました。それが7回も延期され、やきもきしながら開発の推移を見守っていた人も多かったのでしょう。しかしここまで漕ぎ着つければ、2011年秋の初就航は間違いありません。明日も午後から羽田のANA機体メンテナンスセンターで787の披露と記者会見があるので、また取材に行ってきます。

S.Akimoto at 23:38|Permalink

2011年06月24日

A社、大ブレイク

 
現在開催中のパリ航空ショーで、エアライン各社からエアバス機の発注が殺到しているようです。なかでも人気を集めているのが、短通路型のベストセラー機A320を改良した「A320neo」。この3日間にエアバス社から届いた受注報告を見ていて、ものすごい数の契約が結ばれていることがわかりました。


ざっと書き出してみましょう。フィリピンのセブ・パシフィック航空が30機、北欧のスカンジナビア航空も30機、台湾の復興航空が6機、ガルーダ・インドネシア航空が10機、ジェットブルー航空が40機、リパブリック・エアウェイズが80機、インドのインディゴが150機、南米チリのLAN航空が20機……。いまこれを書いていたら、さらにクウェートのALAFCOが30機を、インドのゴーエアが72機を、さらにさらにマレーシアのエアアジアが何と200機を発注したというニュースも追加で届きました。

復興航空が発注した6機はA321neoで、これはA320のボディを延長したタイプ。またガルーダ・インドネシア航空は「neo」に加えて標準タイプのA320も15機、インディゴも同30機を合わせて発注しました。リパブリック・エアウェイズの80機はA320neoファミリー全体での発注数です。

それにしても、かなりのブレイクですね。A320neoの「neo」とは「New Engine Option」の略。新型エンジンを搭載し、主翼の先端にはシャークレットを装備することで、航続距離や環境性能をアップしたA320のニューバージョンです。一例として、ガルーダ・インドネシア航空のカラーを塗装したA320neoのイメージ画像を上に掲載しました。あれ、通常のガルーダカラーとはちょっと違うのでは? そう思った人もいるでしょう。正解です。これはガルーダ・インドネシア航空のグループ会社で、国内線を運航するシティリンクが使用するもの。これまでの主力機材だったボーイング737の代替機としての発注のようです。

S.Akimoto at 01:38|Permalink

2011年06月04日

787が日本に初飛来

 
アメリカ・シアトル郊外にあるボーイングのエバレット工場ではいま、ANAへの787初号機の納入に向けて作業が急ピッチで進んでいます。私もこの2年ほどの間に、数回にわたって同工場を訪問。工場ラインや外側の駐機エリアには、行くたびに完成した787の機体が増えていました〔写真〕。


ANAでも受け入れ準備を本格化させています。羽田空港に近いANA訓練センターには2基のFFS(フル・フライトシミュレーター)が設置され、2011年4月18日からパイロット訓練を開始しました。5月には最初の10名の機長が訓練を終了し、さらに2011年度中には約80名の787パイロットを誕生させる計画です。

そして7月には、就航に向けた検証を行うためのテスト機が日本に初飛来することも発表されました。計画によると、検証プログラムは7月4日(月)〜8日(金)に実施。羽田と伊丹、関空、岡山、広島の5つの空港を結ぶ路線で実際にフライトし、給油作業や整備訓練などが実地検証されます。

今年8月から9月にANAはついに1号機を受領。その後、国内線での運航を開始し、早ければ国際線でも年内デビューがあるかも知れません。いずれにしても787世界初就航は、2011年後半の最大のイベントになるでしょう。来月の日本飛来を含めて、今後のどう取材を進めていくか、現在カメラマンやANA関係者といろいろ話を詰めています。

S.Akimoto at 10:14|Permalink

2011年04月13日

シャークレット

 
左右の主翼の先端で、もうひとつの小さな翼が空に向かってピンと伸びている──そんな旅客機を最近、空港などでよく見かけるようになりました。これは「ウイングレット(主翼端翼)」と呼ばれるもので、たとえばボーイングの単通路機737シリーズでは、-700や-800といった次世代バージョンに装着されています。


飛行機の主翼は上面を速い速度で、下面には遅い速度で空気が流れることで負の圧力が生じ、これが「揚力」となって機体を浮き上がらせます。ところが翼の先端部分では下から上へ空気が逃げ、空気抵抗の原因となる“翼端渦”が発生。この翼端渦が、翼を後方に引っ張る力──つまり前へ進む旅客機の抵抗力となってしまう。そこで威力を発揮するのがウイングレットです。ウイングレットは翼端渦を拡散させると同時に、その渦の気流を前向きの揚力(推力)に変える働きがあり、その結果燃費効率を大幅に向上させます。

ライバルのエアバスも、単通路型のベストセラー機A320用に、飛行効率を大幅に向上させる大型のウイングレットの開発を2009年から進めてきました。同社では「シャークレット」と呼ぶこの主翼端翼は高さが2.5メートルあり、長距離フライトでは燃料消費量を約3.5%改善。1機当たりのCO2排出量でみると、年間で約700トンを削減できるといいます。

上の写真は、中東や北アフリカで活躍を続けるLCC、エア・アラビアに納入されるA320の機体イメージです。同社はこれまで発注している44機のA320のうち28機にシャークレットを装備すると発表しました。シャークレットを装備したA320の引き渡しは2013年第2四半期からを予定。エア・アラビアの主要拠点であるアラブ首長国連邦のシャルジャやモロッコのカサブランカ、エジプトのアレクサンドリアなどの空港を利用する機会のある人は、今後この新しい機体にお目にかかれるかも知れません。

S.Akimoto at 00:05|Permalink

2011年02月23日

A380最新報告

 
ニューヨーク取材、続いていますが、ちょっと一休みして今日は誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』についての報告です。前回アップした「ボーイング787レポート」はかなり反響が大きく、いまだにページビューが増え続けていると担当編集者から連絡がありました。新しい旅客機のデビューを、多くのファンが心待ちにしているのですね。


さて、そのレポートでも予告したように、本日(2月23日)からはボーイングのライバルであるエアバスのA380に関する最新レポートが掲載されます〔写真はフランス・トゥールーズのエアバス本社工場〕。

現在は成田からシンガポール、フランクフルト、パリへの3つの路線でこのオール2階建て巨人機での空の旅を体験でき、すでに乗ったという人も増えてきました。今年はさらにいくつかの新しい路線でも運航が始まりますので、まだという人にもよりチャンスは増えるかも知れません。レポートでは、新規就航路線に関する情報なども盛り込んでいます。

こちらは現在、ニューヨーク時間で2月22日の午後1時過ぎ。日本では23日の午前3時を回ったところです。レポートはいまの時間はまだアップされていませんが、朝8時には公開予定と編集部は言っていましたので、どうぞアクセスしてみてください。

≫≫≫「世界最大のオール2階建て旅客機、エアバスA380を解剖する

S.Akimoto at 03:24|Permalink

2011年02月17日

みかん色のジャンボ

 
報告が遅れましたが、米国ワシントン州シアトルにあるボーイングのエバレット工場で2月13日、開発中の747-8インターコンチネンタルの1号機が初披露されました〔写真〕。747-8インターコンチネンタルは、ジャンボ機747-400の次世代機。ルフトハンザ大韓航空がすでに計33機を発注していて、当日の式典には両社の関係者やボーイング社員、協力メーカーのスタッフなど約1万人が集まって盛大に祝ったそうです。


747-8インターコンチネンタルは400〜500人乗りで、規模としては世界最大のオール2階建て機エアバスA380と既存のジャンボ機のちょうど中間のサイズです。747-400と比較して燃料効率性が向上し、旅客一人当たりの排ガス量を16%削減。騒音も30%軽減しました。ローンチカスタマーであるルフトハンザへの初号機納入は、今年の第4四半期(10〜12月)に予定されています。

式典の写真を見てちょっと意外だったのは、機体がオレンジ色(赤橙)で塗装されていたこと。この色は「隆盛と幸運」のシンボルなのだそうで、従来のボーイングカラー(ブルー)と比べると、だいぶイメージが違いますね。実物を間近で見てみたくなりました。

実物といえば、先行して開発が進められてきた貨物専用機の747-8フレイターが、テストフライトを兼ねて週明けに成田に飛来することが急きょ決まったそうです。今日の昼間、取材でいっしょになった航空評論家の青木謙知さんが教えてくれました。タイミングの悪いことに私は週末から海外取材ですが、これを読んで撮影に向かうカメラマンがいたら、何枚かメールで送ってくださいね。

S.Akimoto at 16:01|Permalink

2011年02月09日

787デビューの年に?

 
1週間前の2月2日、ボーイングから「1,000機目となる767の最終組み立てが完了した」と伝えられました。米国ワシントン州シアトルのエバレット工場〔写真〕には、767の初号機製造に携わり、すでに引退している元従業員らも含めて多くの社員たちが集結。この歴史的なイベントを盛大に祝ったそうです。


767は200〜300人乗りの燃料効率の高い中型機として、これまで世界中のさまざまな路線で活躍してきました。そのファミリーには現在、基本型の-200ERをはじめ-300ER、-400ERなどのタイプがラインアップされています。ちょうど1,000機目となったのは航続距離延長型の767-300ERで、これはANAへの納入が予定されているものです。

さて、200〜300人乗りの中型機でANAへの納入予定というと、やはり気になるのは767の後継機にあたる787“ドリームライナー”の動向でしょう。2010年に入ってから続いていた実用化に向けての最終テスト飛行が、エンジン不具合や胴体内部の配電盤の火災など相次ぐトラブルでストップ。ANAへの納入時期についても再度延期され、この1月に「初号機納入は2011年第3四半期(7〜9月)」と発表されました。

今後スケジュール通りに進行すれば、787はいよいよ年内にも日本の空でデビューすることになります。787は、これからの空の旅をどう変えるのか? そろそろ気になる人も出てきたようですので、シアトルでの最近の取材結果も含めた787の現状報告レポートを本日、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』でアップしました。

≫≫≫「ボーイング787“ドリームライナー”は空の旅をどう変える?

S.Akimoto at 09:18|Permalink

2011年02月06日

エコ実験が新段階へ

 
ドイツのハンブルグとフランクフルトを結ぶ路線で、近くルフトハンザの新しい旅客機が運航を開始します。先月末に来日した同社の新CEO、クリストフ・フランツさん(1月25日のBlog参照)も「準備は計画どおり、順調に進んでる」と話していました。


上の写真がその新しい旅客機です。エアバスの単通路機A321。というと、「A321はずっと前から使われているのでは?」と思う人も多いでしょう。機体は同じですが、違うのはその中身──より正確には、積まれるジェット燃料が変わります。従来からの航空燃料ケロシンと新しいバイオ燃料を50対50の割合で混合したものが、この4月から同機のエンジンに使用されることになりました。

「バイオ燃料による実験は他の航空会社でも何度か実施されています。しかしこれまでは、いずれも実験のための実験でした」と、フランツさんは先日の私とのインタビューで言いました。「フライトにバイオ燃料が使えことについては、過去の実験ですでに実証済みです。そこからもう一歩、新しい段階に進めようというのが、これから私たちがやろうとしていること。ハンブルグとフランクフルトの間をお客さまを乗せて毎日飛んでいるA321にバイオ燃料を使用して、エンジンのメンテナンスや寿命への影響などを研究し、実用化に結びつけていきます」

定期便運航にバイオ燃料を使用するのは世界でも初めてです。実験が行われる期間は今年4月からの6カ月。その間、約1,500トンのCO2削減を達成する計画で、フランツさんは「運航が始まったら招待しますので、ぜひ乗りにきてください」と言ってくれました。

乗ってみたところで、きっと何も変化は感じないでしょう。というより、バイオ燃料を使用した結果、乗り心地が変わってしまうようなことがあってはマズい。でも、せっかく誘っていただいたのだから、実験がある程度進行した段階で行って乗せてもらおうかな。そうして現場でデータを収集・分析している人たちにいろいろ話を聞いてこようと思います。

S.Akimoto at 23:25|Permalink

2010年12月20日

ロスへの豪華旅

 
シンガポール航空は先週、エアバスのオール2階建て巨人機A380を2011年3月27日より成田/ロサンゼルス線に導入すると発表しました。「空飛ぶホテル」の異名をもつA380がシンガポール/シドニー線で世界初就航を果たしたのは、2007年10月。翌08年の5月には東京/シンガポール線でもデビューし、日本の旅行者にももうすっかりお馴染みとなっています〔写真は成田を飛び立つシンガポール航空のA380〕。


A380をシンガポール航空に続いて日本路線に投入したのは、ルフトハンザエールフランス航空でした。今年6月にルフトハンザが成田/フランクフルト線で、9月にはエールフランス航空が成田/パリ線で運航を開始。日本からは現在、成田を10時25分に発つルフトハンザのフランクフルト行き(LH711便)と、11時30分に発つシンガポール航空のシンガポール行き(SQ637便)、そして12時55分に発つエールフランス航空のパリ行き(AF275便)の三つの路線でA380のフライトを体験することができます。

さて、シンガポール航空が新たにA380を導入するのは、シンガポールとロサンゼルスを成田経由で結ぶ路線です。シンガポールからロスに向かう便(SQ12)は成田発が19時15分でロス着が同日の13時30分、ロスからシンガポールへの便(SQ11)はロス発が15時45分で成田には翌日の19時15分に到着。来年3月以降にアメリカ西海岸への旅を予定している人には、かなり気になるニュースでしょう。

新発想のキャビン設計やシート配置でゴージャスな空の旅を実現するこの巨人機を、2011年には大韓航空もデビューさせます。1号機を受領する5月以降、仁川/成田線への早期の導入も予定され、エアライン業界にとっては来年もまた話題の多い1年になることは間違いありません。

S.Akimoto at 11:54|Permalink

2010年11月21日

夢へ大きな一歩

 
このBlogでも何度か報告してきた、太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機で世界一周を目指すソーラーインパルス・プロジェクト。その取材レポートの第2弾を寄せた月刊誌『航空ファン』(文林堂)の'11年1月号が、全国の書店で発売になりました。下の画像は同レポートの扉ページで、今年7月にソーラーインパルスが上空で朝日を迎えたときの感動的瞬間を撮影したものです。


スイスを拠点に展開されるこの壮大な取り組みを、私が取材して同誌を舞台に多くの読者に伝えていこうと思ったのは、プロジェクトを率いる二人のリーダーの考え方に賛同したからです。その二人とは、ソーラーインパルスの発案者であるスイス人冒険家のベルトラン・ピカール氏と、開発の総責任者であるエンジニア出身のアンドレ・ボルシュベルグ氏。今年10月に初来日した二人といろいろ話した中で、ピカール氏は私にこう言いました。

「新しい技術を開発することがソーラーインパルスの目的ではありません。試作1号機のソーラーパネルは、既存のものをアメリカから、バッテリーは韓国から調達しています。このプロジェクトを通じて私たちが世界に伝えたいのは、いま世の中に現存する技術だけでも、環境保全を含めて人類はここまでできるんだということ。かけがえのない私たちの地球を守っていくための行動を、いますぐにでもみんなで起こしましょうというメッセージなんです」

レポート第1弾(『航空ファン』'10年6月号)では、ソーラーインパルスの基本的な仕組みや、試作1号機による初フライトの様子などを伝えました。そしてその後、7月には世界一周飛行への大きなステップとなる26時間連続飛行に成功。今回の第2弾ではその歓喜の瞬間と、二人のリーダーへのインタビューを掲載しています。

拠点であるスイスでは、もう間もなく2号機の開発が始まると聞きました。私も何かの取材でヨーロッパに飛ぶときには、ついでにプロジェクト現場に足を伸ばし、夢に賛同して集まった多くのスタッフたちにできるだけ早い時期に会ってきたいと思っています。

S.Akimoto at 00:19|Permalink

2010年10月14日

処女フライトへ

 
トルコ航空は本日(現地時間10月13日)午後、ボーイング社のエバレット工場で最新鋭777-300ERの1号機を受領し、少し前にその調印式を終えました。両社の関係者や各国の記者らが見守るなか、リボンカットなどのセレモニーが行われ、現場ではまだ大きな拍手が鳴り止みません。


私は早々に写真撮影を終えて、セレモニー会場の一角に特設されたプレスセンターに移動。PCをインターネットにつなぎ、この報告を書き進めています。

それまで大型機の王者として君臨してきた“ジャンボ機”747-400は、左右の主翼に2基ずつ計4基のエンジンを装備した4発機でした。しかし燃料費の高騰が続くなか、エンジンの数が多ければそれだけ燃費や整備コストがかさんでしまう──そんな理由から、近年は左右の主翼に1基ずつのエンジンを搭載した双発機を主力に据えるエアラインが増えています。なかでも「トリプルセブン」の愛称で親しまれる777シリーズは、高い推力と信頼性を併せ持つ高性能エンジンを実用化し、双発機の可能性を先頭に立って切り拓いてきました。そのパワーは強力で、満席時には300トン以上にもなる機体をたった二つのエンジンで軽々と持ち上げ、マッハ0.84の速度で巡航させます。

777シリーズは現在、基本モデルの-200を中心に、同サイズのボディで最大離陸重量を増やし航続距離を延ばした-200ER、ボディを約10メートル延長して座席数を増やした-300、その-300のウイングスパンを拡大しさらにエンジンの推進能力と最大離陸重量を増やして航続距離を伸ばした-300ER、-200ERのウイングスパンを-300ERと同等にし航続距離もさらに延ばした-200LRの計5機種がラインアップされています。なかでも-300ERについては、トルコ航空に限らず、長距主要離線の中心機材として積極的に導入を進めるエアラインが少なくありません。

目の前の駐機場ではいま、トルコ航空の赤いロゴマークが入った真新しい777-300ERが、古都イスタンブールへ向けて離陸の時を静かに待っています〔写真〕。もう間もなく、私たちの搭乗も始まる予定です。

S.Akimoto at 06:58|Permalink

2010年10月12日

製造中の787を空撮

 
ボーイング取材の初日は、シアトルの中心部から車で10キロほど南下したレントンにある「カスタマー・エクスペリエンス・センター」へ。787や747-8など最新機種のキャビン仕様について同センターに展示されている実物大モックアップをもとに取材したあとは、ベストセラー機737のアセンブリー(組み立て)ラインに移動して撮影を行いました。


早朝から活動をスタートしたため、午後2時過ぎにはこの日予定していた取材はすべて終了しました。さて、どうしようか。私が考えていると、同行者のチャーリィ古庄氏が「小型ヘリをチャーターして、レントン工場やエベレット工場に駐機している製造中の機体を空撮取材したい」と言います。空撮かぁ。面白そうなので、私も便乗することにしました。

“ボーイングフィールド”の愛称で知られるキング・カウンティ国際空港に車で向かうと、へリポートは同空港に隣接して置かれていました。左右の後部ドアをあらかじめ取り外した4人乗りのヘリが、すでに待機しています。ドアを外してあるのは上空から身を乗り出す格好で撮影するためで、予約時にチャーリィ氏がそうリクエストしていました。

私は前列左側、操縦席の隣に乗り込みます。ボーイングフィールドを低い高度で2回ほど旋回して撮影を終えたあとは、シアトルのダウンタウンの高層ビル街を右手に見ながら、787などの開発・製造が進むエバレット工場を目指します。工場が近づくにつれ、ANAのマークが入った787が見えてきました。

トリトンブルーの真新しい機体が数機、並んで置かれている光景は壮観です〔写真〕。しかし気になったのは、そのいずれにも左右の主翼にエンジンが装備されていないこと。ANAが採用を決めたロールスロイス製エンジンが機体取りつけ前の試運転中に停止するという異常が生じたことを、最近地元メディアが報じていました。ボーイング関係者にANAへの1号機納入時期を改めて聞いても、彼らからは「2011年の第1四半期」という既発表どおりの答えしか返ってきません。来年早々のデビューが、本当に実現するのかどうか。まだまだ予断は許せないというのが私の印象です。

S.Akimoto at 16:10|Permalink

2010年10月07日

スイスからの来客

 
その巨大な物体はまるで静止しているかのように、空中をゆっくりと移動していきます。左右に広げた両翼で太陽エネルギーを吸収しながら。少しずつ、慎重に高度を上げ、機体は目標の8,500メートルに達しました。離陸から16時間半。夏のヨーロッパの長い一日が終わり、やがて太陽が地平線に沈みます。彼らにとって、いよいよ世界初となる挑戦が始まりました。


「バッテリーモードに切り替え、徐々に高度を下げて!」

地上から指示が入ります。ここからは昼間備蓄したエネルギーだけを頼りに夜間フライトを続けなければなりません。地上でのシミュレーションで何度も実験は行ってきたものの、実際の空では初めてのトライアルです。地上の管制室では、スタッフたちの顔に緊張が走ります。滑空飛行はその後7時間近く続き、時刻は午前5時45分に。管制室の一人が、日の出までのカウントダウンを始めました。

「5、4、3、2、1──」
「やった、やったぞ! 夜明けまでとうとう飛び続けた!」

以前にもこのBlogで紹介した「ソーラーインパルス」は、そうして最終的に1,000キロにも及ぶ飛行を無事に終えました。化石燃料をいっさい使わず、太陽エネルギーだけを動力に世界一周飛行を実現する──その最終目標への重要なステップとなる26時間連続飛行が成功した瞬間でした。今年7月7日のことです。

上の写真は、ソーラーインパルスの発案者である冒険家のベルトラン・ピカール氏(左)と、今回の26時間飛行で操縦士を務めた開発の総責任者アンドレ・ボルシュベルグ氏です。同プロジェクトを先頭に立って率いてきたこの二人の重要人物が今週、スイスから来日。私は今日の午後、彼らが宿泊している東京・六本木のリッツカールトンホテルを訪ね、二人にインタビューしてきました。

インタビューした内容も含めて、ソーラーインパルスの最新情報は11月21日発売の月刊『航空ファン』(文林堂)'11年1月号で詳しくレポートします。

≫≫≫「ソーラーインパルス
≫≫≫「太陽光で24時間飛行

S.Akimoto at 10:25|Permalink

2010年07月07日

主婦の友社から新刊

 
飛行機って、どんなしくみで飛んでいるのだろう。機体のメカニズムは? 運航計画はどう立てるの? 航空業界の今後は? そんなさまざまな疑問に答えるための新しい本『飛行機──カラー&図解ですぐわかる飛ぶメカニズム、魅力のすべて』が、主婦の友社より発売になりました〔写真〕。1冊まるごと、私が監修しています。


表紙をめくると、私がシンガポール・チャンギ国際空港から送った導入エッセイが最初の見開きページに掲載され、目次のあとは巻頭特集として旅客機のギャラリーページを展開。エアライン各社のカラフルな塗装が施された現代を代表する旅客機の写真を、私がナビゲート役になって集めました。飛行機の解説本というとすでに数多くの類書が出ていますが、本書はちょっと違う個性的な1冊といえるでしょう。

もちろん、本編も充実しています。飛行機の歴史とその種類、飛ぶための原理と運航の仕組み、さらにメーカーにおける開発・製造から空港、エアライン業界の未来展望まで──。限られたページ数の中で、読者に何をどう伝えるか? 編集者とライターの方が議論に議論を重ねて内容を詰め、中味の濃い1冊に仕上げました。

各ページに掲載されている写真やイラストもすべてカラーで、資料としての価値も十分。書店で見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。

S.Akimoto at 23:01|Permalink

2010年06月07日

太陽光で24時間飛行

 
太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機で世界一周を実現する──そんな夢のプロジェクトについて、3月30日のBlogで紹介しました。スイスを拠点に2003年にスタートしたこの「ソーラーインパルス」プロジェクトはこれまで順調に推移し、4月8日には高度を1,200メートルまで上げてのフライトに成功。その日、取材でトルコのイスタンブールを訪れていた私に届いたのが、テスト飛行の成功を喜ぶスタッフたちの様子です〔写真〕。


ソーラーインパルスの全重量はわずか1,600キロですが、主翼幅はエアバスの大型機A340と同サイズで63.4メートルもあります。その大きな主翼に設置した1万2,000個のソーラーパネルで太陽光を吸収。昼間蓄えた電力で夜間の飛行も可能にし、2週間から1カ月をかけて世界一周を果たすという壮大な計画です。

プロトタイプ機を使った4月のテスト飛行では、スイス西部のパイエルヌの飛行場を時速45キロで離陸し、1,200メートルの上空を87分間飛行しました。このテスト飛行の成功をステップに、あらかじめ充電した状態で離陸したそれまでの飛行から一歩前進して、現在は太陽の光を受けて飛ぶ文字通りの“ソーラープレーン飛行”に移行。飛行時間を段階的に延ばすテストが続いています。

そして先週、再びスイスから一報が入りました。現地時間の6月13日に、いよいよ24時間飛行に挑戦するというのです。もらった連絡には、スタッフからの「テストの現場に来ないか?」というひと言が添えてありました。

ですが、う〜、行けない〜! 別件の取材が重なっていて、スケジュールを動かすことができません。あと1週間先なら、ちょうどヨーロッパに行っている予定なのですが。いずれにしても、スタッフのみなさん、大成功を祈っています!

S.Akimoto at 06:04|Permalink

2010年05月21日

国をあげての大騒ぎ

 
話は前後しますが、A380の1号機受領式典に出席するためハンブルグに向かった日の朝のことです。ミュンヘンのホテルでドイツの全国紙をめくっていたら、ルフトハンザのこんな一面広告が目に止まりました〔写真〕。


ドイツ語で書かれたタイトル(見出し)は、日本語になおすと「エアバスA380、ついに来たる!」といった感じ。新聞広告だけではありません。テレビ番組欄に目を移すと、どのチャンネルも夕方のニュース番組はA380の話題をトップ扱いにしています。

エアバスの工場があるハンブルグには、ルフトハンザの技術の拠点であるルフトハンザテクニックが本社を置き、両社はもともとつながりが深い。A380の開発でも早くから密接な協力関係を築いてきました。そのA380がいよいよ自分たちの国に来るというので、ドイツ中がまさに大騒ぎ。その様子をリアルタイムで伝えようとヨーロッパ各国からもたくさんの記者らがハンブルグに集まり、また式典後に招待客を乗せて向かったフランクフルト空港にも、やはりヨーロッパのメディアを中心に2,000人を超す報道陣が詰めかけていました。

フランクフルト空港の滑走路に降り立ったA380は、通常のフライトではないため、ターミナルではなく整備ハンガー(格納庫)に横づけされました。ドアに接続されたタラップを降りる私たちに向かって、いっせいにカメラのフラッシュがたかれ、最前列ではテレビのキャスターらが搭乗者の談話を取ろうとカメラマンをともなって待ち構えています。

「インタビューさせていただいて、いいですか?」

チャーミングな女性キャスターが、私にもマイクを向けます。テレビはあまり好きではないのですが、出ちゃおうかな、なんて考えが頭をよぎりました。外国だし、いいかな──と。

「あ、はい。いいですよ」
「ありがとうございます」と、キャスターも取材できる相手を早々につかまえてホッとしている様子。「では、お話はフランス語でお願いしますね」
「あ、え、フランス語? 英語じゃなくて?」
「はい。フランスで放映するニュース番組ですので、フランス語じゃないと」

私がフランス語を話せるなどと、どうして彼女は思ったのでしょうか。不思議です。あ、もしかして最初に尋ねられたのに、周りがざわざわして私が聞き逃したのかも知れません。それくらい、大変な熱狂ぶりでしたから。結局、彼女は「ごめんなさいね」と言って、カメラマンに目で合図すると別のターゲットを探しに行ってしまいました。あ〜あ、テレビに出損ねた! やっぱり私、テレビは向いていないみたいですね。

S.Akimoto at 16:36|Permalink

2010年05月18日

ドイツ3都市への旅

 
その独特のフォルムから、見る人が見ればシルエットだけでもわかると思います。垂直尾翼のマークでエアラインも特定できるでしょう。このBlog『雲の上の書斎から』のタイトルバックに使用している機影のことです。


エアラインはドイツのルフトハンザで、機種はエアバスのオール2階建て巨人機A380〔写真〕。読者の中には「なぜルフトハンザのA380なんですか?」と聞いてきた人もいますが、不思議に思う気持ちはごもっとも。まだ実際には飛んでいませんからね。

A380はシンガポール航空の成田/シンガポール線で何度も利用しました。いつだってA380での空の旅はこの上なく快適ですが、本当の意味でそれを実感できるのは、もっともっと距離の長い路線ではないか? 私はずっとそう考えてきました。

たとえばヨーロッパの各地へ向かうときに、私はよくフランクフルト経由便を使います。しかし東京/フランクフルト線はビジネス需要も多く、いつも満席状態。それでルフトハンザがA380の導入を決めてからは、ドイツの本社で幹部たちと会うたびに、早く東京線へのA380導入を決断するようにと冗談も含めて提言を続けてきました。このBlogのタイトルバックで使用しているのにも、そんな願いが込められています。

さて、そのルフトハンザに、エアバス社からようやくA380の1号機が納入されます。最初の就航路線も成田/フランクフルトに決まりました。現地時間の明日、5月19日にその1号機受領式典がドイツであり、私もいまから向かいます。今日はミュンヘンまで行ってそこで1泊。明日の朝の便でハンブルグへ飛び、エアバス社の工場での受領セレモニーに出席したあと、受け取ったばかりのA380にいっしょに乗せてもらってルフトハンザの本社があるフランクフルトへ──。

間もなく出発の時間です(成田発12時25分のLH715便)。忙しい旅になりますが、受領式などの様子はまた現地から報告しますね。

S.Akimoto at 11:33|Permalink

2010年03月30日

ソーラーインパルス

 
ここ数週間、5月に刊行予定の新しい本の執筆に集中していましたが、今日は午後から作業を一時中断。月刊誌『航空ファン』(文林堂)6月号に発表するあるプロジェクトについての原稿書きに着手しました。化石燃料をいっさい使わず、太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機「ソーラーインパルス」〔写真〕で世界一周を実現する──そんな夢みたいなプロジェクトのレポートです。


ソーラーインパルスは全重量が1,600キロと車1台分に過ぎませんが、主翼幅はエアバスの大型機A340と同サイズで63.4メートルもあります。その大きな主翼に設置した1万2,000個のソーラーパネルで太陽光を吸収。昼間蓄えた電力で夜間の飛行も可能にし、2週間から1カ月をかけて世界一周を果たすという壮大な計画です。プロジェクトは2003年からスイスの技術者や冒険家らが中心になって進め、昨年12月にはプロトタイプ機を完成させ初飛行にも成功しました。

この3月には、広報担当のフィル・ムンドヴィラーさんが来日。スイス大使館で開催された記者会見のあとで、私は個人的に1時間ほど彼と話しました。

「プロジェクトの一番の目的は?」
「地球環境に対する人々の意識を高めることです。燃料がゼロだから、公害もゼロ。空気をまったく汚さない飛行機での世界一周を成功させ、人類はこんなこともできるんだということを強力にアピールしていきたい」

やりとりの中で、私がある取材で4月と5月にパリとフランクフルトに飛ぶ予定があることを伝えると、ついでにスイスにも足を伸ばすよう彼はしきりにすすめました。

「パリからもフランクフルトからも、チューリッヒまではひとっ飛びだよ。プロジェクトのメンバーにぜひ会ってみてよ」
「取材のあとで? うまく時間がとれるかなあ」
「チューリッヒ空港に到着する時間に、車で迎えに行くから」

プロジェクトを率いる一人が、1999年に熱気球による初の無着陸世界一周飛行を成し遂げた冒険家のベルトラン・ピカール氏です。彼のもとに、75人の有能なエンジニアや気象専門家などが集っています。会ってみたいですが、せっかく行くのなら、今後段階的に実施される重要なテスト飛行の日に合わせて改めて日本から飛ぶほうがいいかも知れません。

そんなことを考えながらこの文章を書いていたら、いまちょうどスイスからメールが届きました。次のステップである1,000メートルまで高度を上げてのテスト飛行の準備がすべて整った──という報告です。いずれにしても、最終目標である世界一周飛行は、2012年を予定。プロジェクトの詳細も含めて、その経過については今後逐一、みなさんにもお伝えしていきたいと思っています。

S.Akimoto at 20:25|Permalink

2010年03月18日

大空が恋しい

 
200機を超える数の機体がずらりと並んだ下の写真──これ、模型でもオモチャでもありません。すべて本物の旅客機です。アメリカ・カリフォルニア州のビクタービル空港で撮影したもので、友人であり、拙著『みんなが知りたい空港の疑問50』にもたくさんの写真を提供してくれている航空写真家のチャーリィ古庄さんが取材先から送ってくれました。


現役を退いた各国エアラインの旅客機がここに集まり、中古機として再び世界のどこかに売られていくのを待っています。乗客の激減で路線を維持できなくなったり、燃料効率の悪い飛行機を手放すエアラインが増えたり──厳しい航空不況が続いている現実を思い知らされますね。

BA(ブリティッシュ・エアウェイズ)ユナイテッド航空キャセイパシフィック航空などの大型機が見えます。退役したばかりのJALのジャンボ機(ボーイング747)は、塗装が落とされて真っ白なボディになっていたそうです。どの機体も、大空に恋焦がれて悲しげな表情に見えるのは、私の気のせいでしょうか。届いた写真には、チャーリィさんのこんなメッセージが添えてありました。

「きちんと整備し直せば、まだまだ飛べそうなものばかりです。いまなら機体の価格も安いし、このチャンスにどうですか? 何機か購入して『アキモト・インターナショナルエアラインズ』を立ち上げては」

アキモト・インターナショナルエアラインズ? 冗談とはわかっていても、夢のような話につい引き込まれます。私が、新興エアラインのオーナーかあ。それからしばらく空想の世界に浸り、ふと我に返って首を2、3回強く振ったら、現実に戻されました。いけないいけない、そんなことを考えている場合じゃない、原稿書きに集中しなくちゃ──と。

S.Akimoto at 01:24|Permalink

2010年02月14日

ルフトハンザの巨人機

 
エアバスのオール2階建て機A380が世界の空を舞い始め、すでにフライトを体験した人たちの間ではそのゴージャスさが話題になっています。今年5月には、ドイツのルフトハンザもいよいよ第1号機を受領。塗装が完了した1号機に「フランクフルト・アム・マイン」と命名したことが、先週同社から発表されました〔写真〕。


アム・マインとは、ドイツ語で「マイン川沿いの」の意味。ドイツには旧東ドイツ側の、ポーランドとの国境近くにフランクフルトという同じ地名のついた街が別にあるため、国内ではアム・マインを付して呼ばれます。ちなみにハンブルグのエアバス社施設に到着している2号機は、ルフトハンザのもう一つのハブ空港がある「ミュンヘン」と命名される予定だそうです。

さまざまな革新技術が導入されたA380には、じつは塗装にも下塗剤と希釈剤、硬化剤のみを混合した静電気スプレーによる新しい手法が用いられています。これにより、約200リットルの塗料削減に成功しました。一般に旅客機の塗装に必要な塗料の量は、ジャンボ機(ボーイング747)クラスで約600リットル程度ですので、200リットルの削減は環境保護の面でも間違いなく効果的です。

さて、気になるのは、ルフトハンザのA380の就航路線です。1号機と2号機は北米線に投入すると同社は発表していますが、具体的な路線についてはまだ明言していません。私が昨年、フランクフルトで経営陣と話した印象では、やはりニューヨーク線あたりが有力でしょうか。しかしアジアもルフトハンザにとっては重要マーケットで、なかでも成田/フランクフルト線はロードファクター(利用率)が常に高い。ビジネス需要を中心に満席の日も珍しくありません。チケットが取れず、仕方なしに羽田から関西へ移動して関西発の便でフランクフルトに向かったことも何度かあります。

そんなロードファクターの高さを考えると、もしかしたら1号機、2号機の成田線への投入プランも急浮上するのでは? 私は期待も込めて、そう予想しています。

S.Akimoto at 12:55|Permalink

2010年01月18日

巨人機、世界の空へ

 
“空飛ぶホテル”の異名をもつエアバスのオール2階建て機A380の就航路線が、世界に広がっています。その機体の先進性や実際のフライトの豪華さ・快適さについては、私も拙著『エアバスA380まるごと解説』(サイエンス・アイ新書)で報告しました。これまでに多くの読者から「私も乗ってきました!」「素晴らしい体験でした!」といった便りが届いています。


A380の世界初就航は、シンガポール航空によるシンガポール/シドニー線でした。シンガポール航空はその後、ロンドン、東京、パリ、香港、メルボルンと就航路線を拡大し、今年3月28日には7番目の就航地となるシンガポール/チューリッヒ線への導入も決定しています。

エアバス社は2009年に計10機のA380をエアライン各社に納入しました。シンガポール航空のほかでは、エミレーツ航空がドバイからロンドン、シドニー、オークランド、バンコク、トロント、パリ、ソウルの8都市へ、カンタス航空がシドニー/シンガポール/ロンドン線やシドニー/ロサンゼルス線などに導入。さらに2009年11月にはエールフランス航空もパリ/ニューヨーク線への導入で欧州最初のA380運航エアラインとなり、現在は成田線での運航準備を進めています。

A380の活躍舞台が世界の空に広がり、今後は乗る機会もますます増えるでしょう。私はちょうど1年前の2009年1月以来、残念ながらしばらく利用していません。今年は個人的なテーマでヨーロッパの数都市を訪ねる予定があるので、そのうち1回はシンガポール航空のA380を利用し、成田からシンガポール経由でパリかロンドンへ向かおうと計画しています。

S.Akimoto at 10:54|Permalink

2009年12月25日

ANA塗装の787

 
世界中のファンたちが待ちわびたボーイング787の初飛行から1週間。日本時間の23日未明には、テストフライト用1号機に続いて2号機がペインフィールドから離陸し、高度1万3,000フィートを時速370キロで航行して約2時間後にボーイングフィールドへ着陸しました。


ANAの広報スタッフが届けてくれた上の写真が、その様子です。ご覧のように、2号機のボディに施された塗装はローンチカスタマーのANAカラー。量産1号機を2010年末までに受領し、2011年初めに世界初就航というスケジュールが、いよいよ現実味を帯びてきました。

もちろんそれまでには、今後約9カ月間、計6,800時間におよぶ過酷な条件下でのテスト飛行をクリアしていかなければなりません。離陸滑走中のエンジン停止や滑走路上での急ブレーキ試験、上空からの急降下や横風着陸試験、氷点下55度の寒冷地でのエンジン始動や落雷試験など──。その経緯と成果については、今後も逐一報告していきたいと思います。

ANAにとっては、2010年はさまざまな意味で飛躍の年になりそうですね。スカパー「旅チャンネル」で放映中の情報番組『世界のエアラインガイド』では、いよいよ今日からANA編のオンエアがスタートです。

S.Akimoto at 08:52|Permalink

2009年12月13日

787、初フライトへ

 
間近に迫ったボーイング787の初フライトの日程について、世界中が注目するなか、同社から急きょ「15日(火)に実施する」と発表がありました。ボーイング関係者は「最低でも実施1週間前には公表する」言っていたので、びっくりです。


先日のBlogでもお知らせしたとおり、初フライトはクリスマス前というのが大方の見方でした。私も18日(金)か21日(月)のどちらかだろうと予測し、17日発または20日発の便でシアトルに飛ぶ予定も立てていたのですが──。明日の14日と15日、16日の3日間は取材&打合せ、テレビ出演、イベント参列などの予定が立て込み、日本を発つことができません。

もちろん、関係者や多くのファンが待ち望んだ初フライトの実施が正式に決まったのはとても喜ばしいことです。地上での走行試験の成功や社内での最終見直しを経て、連邦航空局の了承が出ることが前提ですが、おそらく発表どおり15日の実施で間違いないでしょう。“Xデー”をめぐる噂は、当初のクリスマス直前から18日、そして15日と次第に早まり、主翼と胴体接合部分の改修を終えて地上での各種試験も順調に進んでいることをうかがわせていました。

開発当初の予定からおよそ2年4カ月遅れで、ドリームライナーがいよいよ大空に舞います。その現場に立ち会えないのは残念ですが、昨日の夕方、懇意にしているANAの広報担当から「私が現地に飛びます」と連絡が入りました。当日の様子については、彼の帰国後にゆっくり報告を聞こうと思います。787初フライトの成功を祈っています。

S.Akimoto at 06:46|Permalink
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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