航空機&メーカー

2017年10月11日

沖永良部島から

 
2週間ほどご無沙汰してしまいました。今日は南の島より、10月最初のBlogを更新しています。鹿児島から約550キロ南の海に浮かぶ隆起サンゴ礁の島、沖永良部島まで飛んできました。気温は30度を超え、真夏のような天気です。

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鹿児島から利用したのは、JAC(日本エアコミューター)のフライトです。今年4月から48人乗りの新しいターボプロップ機、ATR42での運航をスタートしました。その乗り心地を体験する──というのが、今回の取材の大きなテーマ。日本でATR42を導入するのはJACが2社目で、その1年前からすでに天草エアラインが飛ばしはじめています。天草エアラインのATR42にももちろん乗りましたが、航空会社や路線が変わると、また違った味わいがあります。

垂直尾翼の“鶴丸マーク”のほか、南国の就航地をイメージした赤いハイビスカスがボディにペイントされています。後部ドアから乗り降りするというのも、ATRならではです。乗員は機長と副操縦士のほか、キャビンアテンダントは1名のみ。アナウンスからセーフティ・デモンストレーション、ドリンクのサービスまでをてきぱきとこなしていました。

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エンジン音が静かなのもATR42の特徴です。主翼がボディの上部に設置されている高翼機なので、どの席も窓からの眺望が遮られません。ジェット機が約1万メートルの高度を飛行するのに対して、プロペラ機であるATRが飛ぶのは最高でも6000メートル程度。冒頭に書いたように、今日は真夏のような晴天で、青い海と南国の島々の景色を存分に楽しむことができました。

S.Akimoto at 14:40|Permalink

2016年08月16日

787を想う

 
8月も半分が過ぎました。なのに、今月はまだ一回もBlogを更新していません。最近はなかなか書く時間をとれずにいます。Blog『雲の上の詳細から』は開設10周年を迎えた今年4月で閉鎖を考えたこともあったのですが、多くの読者のみなさんから励ましの言葉をいただき、もうあと数年は──と思っています。

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ヨーロッパ人みたいに8月はずっと夏休み──というわけにもいかないので、いま執筆作業を中断してBlog管理画面に向かっています。さて、何を書くか? 今日は16日。たしかANAが「50機目のボーイング787を8月16日に受け取る」と言っていました。787のローンチカスタマーであるANAが1号機を受領したのが2011年秋なので、それからほぼ5年かけて50機に達したことになります。

長胴型の787-9については未受領の機体がまだ残っていますが、標準タイプの787-8は発注済みの36機がすべて揃いました。ライバルのJALでも、計25機を発注した787-8の最後の1機が7月1日に成田に到着しています。

787-8が世界デビューを果たした2011年秋は、ファンもメディアも大騒ぎだったことを思い出します。そのときの様子も含めて、私は同年11月に『ボーイング787まるごと解説』という本も書きました。写真は同書の表紙に使った、チャーリィ古庄氏撮影のものです。5年後のいまは、787が当たり前のように世界の空を飛んでいて、ボーイングのエンジニアたちはすでに新しい「797」の構想を進めているのでしょう。ドリームライナーの次はどんな機体になるのか? 具体的な情報はまだ入ってきていません。水面下で起きていることを、誰か取材してこないかなあ。

S.Akimoto at 10:06|Permalink

2016年07月29日

ジャンボ機が消える?

 
旅行・観光専門サイト『トラベルボイス』で先週、「超大型航空機の時代は終わったのか?」と題するコラムを公開しました。エアバスが「「総2階建て大型機A380を減産する」と発表したことを受けて、その経緯や私なりの見解をつづったものです。

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左右の主翼に2基ずつ、計4基のエンジンを装備する4発機は「操縦していてとても安心感がある」とこれまで多くのエアラインパイロットが話していました。彼らはA380やボーイング747などの大型4発機に、大きな信頼を寄せています。

そのジャンボ機747について、こんどはボーイングが生産終了を検討していると、今朝の大手新聞各紙が報じています。「2016年9月から減産体制に入り、航空会社からの新規受注がなければ生産中止を決断せざるを得ない」と。米紙ウォールストリート・ジャーナルも「世界で最も有名な航空機が、まもなく“着陸”することになりそうだ」と伝えました。

機体前方に2階席があり、飛んでいる姿を遠目から見てもその独特なフォルムから「あ、ジャンボ機だ!」とわかる747は、日本のファンにはとくに親しまれてきました。JALANAの主力機だった747-400は相次いで退役しましたが、その伝統とテクノロジーは次世代ジャンボ747-8に受け継がれています。弱点だった燃費の悪さも、新型エンジンの搭載などで改善されました。世界デビューとなった2012年6月のルフトハンザのフランクフルト/ワシントンD.C.線にも搭乗し、超大型機でのフライトがいかに快適かを身をもって体感したことをいまも思い出します。今後、どこかのエアラインから新規発注があることを、心から望みます。

S.Akimoto at 10:02|Permalink

2016年07月15日

超大型機は時代遅れ?

 
Blog更新がやや途絶えていますが、この間、エアバスがA380を減産するというニュースが入ってきました。現在の月産3機体制から2018年に月産1機に。燃費効率のいい次世代機ボーイング787やエアバスA350XWBに比べて、A380のエアライン各社からの受注が伸びていません。超大型機の時代は終わってしまうのか? 淋しい思いが込み上げてきます。

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A380という機種について私は構想・開発段階から取材を進め、世界で最初に本にもしました。シンガポール航空のデビューフライト(シンガポール〜シドニー線=2007年10月)にも搭乗。以来、各社の初就航便などを中心にフライト体験を重ねて、A380がますます好きになっています。

ここ数年は成田路線からA380を撤退するエアラインも相次ぎましたが、日本から乗れないのであればソウルまで行って大韓航空のパリ行きで長時間フライトを楽しんだり、ドバイからエミレーツ航空でモーリシャスへ飛んだりもしました。

そんなファンの一人として、ノスタルジックな思いも込め、A380減産についての文章を今朝から書き始めました。もうすぐ書き終えて、旅行・観光専門サイト『トラベルボイス』に送ります。来週には公開になると思いますので、また報告します。

S.Akimoto at 10:02|Permalink

2016年06月12日

シロイルカ

 
昨年の秋、ドイツのハンブルクで空を飛んでいる“こいつ”を久しぶりに見かけました。ヨーロッパ各地の協力工場で分担してつくれらたエアバス機のコンポーネントを南仏トゥールーズにある本社工場へ空輸するための特殊輸送機、ベルーガです。

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ボーイングの輸送機ドリームリフターは日本の重工メーカーがある名古屋にも来ますが、エアバス機のコンポーネントは日本で製造していないため、ベルーガを日本で見ることはできません。私はわざわざこれを撮影するために出かけて行くようなマニアではありませんが、偶然に遭遇するとやっぱり嬉しいもの。持参したカメラにたまたま望遠レンズを付けていたので、15分くらい狙いました。

ベルーガとはシロイルカの別称で、空を飛んでいる姿はじつに優雅です。私が見たときも、雲間から突然顔を出したこいつは、スローな速度でふわふわと近づいてきました。

エアバスは部品輸送力を増強するため、新しいベールガ「XL」を製造するプロジェクトを現在推進中です。従来のベルーガよりもさらに巨体化し、エアバスの発表によると輸送能力は30%向上。2019年から稼働するそうなので、ヨーロッパに出かけたときは空を見上げて探してみようと思います。

S.Akimoto at 09:18|Permalink

2016年05月31日

エアバスの独工場

 
世界のエアラインから最も多く採用されている機種といえば、ボーイングの737シリーズとエアバスのA320シリーズ。いずれも単通路型の小型機です。これらが売れる背景には、大型機での長距離移動に比べ、150〜200人を乗せて2〜4時間のフライトで移動するという路線が世界には多いという路線需要があります。

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2012年に日本に誕生したピーチジェットスタージャパンエアアジアジャパンのLCC3社は、運航する機材にA320を選択しました。A320は、それぞれに全長の異なるA318、A319、A320、A321でファミリーを構成。1987年の初飛行から28年以上を経て市場はいまも拡大をつづけ、すでに7,000機以上がエアライン各社に納入さています。

最近はA320neoという、新型エンジンを搭載して環境性能を高めた新型機もファミリーに加わり、現状でのA320シリーズの受注残はまだ5,500機近い。エアバスは現在の月産42機の生産レートを2019年に60機へ引き上げる目標を掲げ、ドイツ・ハンブルクの最終組立工場に4番目のラインを設けると発表しました。A380の格納庫があるエリアを転用するそうです。

ハンブルク工場は昨年2月に視察で訪れ、総2階建て機A380のラインも見学しました〔写真〕。受注が伸びていない超大型機の居場所が、今後は小型機の生産場所に。A380ファンとしては、ちょっぴり複雑な気持ちです。

S.Akimoto at 19:27|Permalink

2016年05月22日

プライベートジェット

 
英国のヘビメタバンド、アイアン・メイデンが先日、両国国技館で開催された2日間のツアーのため来日しました。しかも日本へのアクセスは、自家用のジャンボジェット(ボーイング747)で! 航空ファンの間では、そんなことが話題になっています。

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2年前に来日したローリングストーンズも移動にはボーイング767の専用ジェットを使っていました。超有名人とか超セレブは、やることが違います(笑)。セレブといえば、アメリカ大統領選で注目を集めるドナルド・トランプ氏のプライベートジェットも、その豪華さは半端ではありません。

プライベートジェットはお金があれば誰でも所有できるの? 1機の購入代金はどのくらい? 一般の人もプライベートジェットで旅する方法がある? 私のもとにもときどき届くそれらの素朴な疑問に、明日(23日・月曜)の朝のラジオ番組で答えることになりました。

文化放送『くにまるジャパン』(平日9時〜13時)の人気コーナーのひとつ「新発見・再発見! くにまる○○○○塾」。同コーナーには過去にもいろいろなテーマで何度もおじゃましてきました。明日の23日(月)に私が開く講座は「プライベートジェット塾」です。10時過ぎから15程度、私が欧州旅で利用したプライベートジェット体験〔写真〕も含めて、詳しくお話しします。

S.Akimoto at 18:56|Permalink

2016年04月16日

写っちゃった!

 
熊本市内で2回、天草で1回──震度6を超える巨大地震を計3回体験して、先ほどようやく帰ってきました。頭の揺れと身体の揺れは、いまもまだ収まりません。天草のホテルで昨夜遅く(午前1時25分頃)に遭遇した地震を気象庁は「こっちこそが本震」と発表し、驚いています。

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その本震の影響で、熊本空港は朝から閉鎖に。天草から天草エアラインJALを乗り継ぎ熊本・伊丹を経由して帰京する当初のプランを変更し、福岡経由で羽田を目指すルートを選択しました。

今回の熊本行きはATR社のターボプロップ機「ATR42-600」の取材が目的で、ATR42-600を日本で初導入した天草エアラインの熊本から大阪・伊丹へのフライトを数名の記者らとともに体験しました。昨日の午後、その取材を終えて、伊丹から羽田に帰っていく記者らと別れて私は別行動に。天草エアラインの伊丹からの折り返し便に乗って、熊本経由で天草を訪れ、そこで深夜に3度目の巨大地震に襲われたのです。

湯島の「雲の上の書斎」に戻ってから、いくつかの新聞に目を通していたら、こんな記事を見つけました。ATR42-600の体験取材でいっしょに乗っていた産経新聞記者が書いたものです。上の写真をクリックして拡大してみてください。私が写っています(笑)。ちなみに相手の天草エアラインのCAは、西島皓子(あきこ)さん。記念なので、いまメールして「写真が載ってるよ」伝えておきました。震災で大変なときに、うかれている場合じゃないですが。

S.Akimoto at 18:12|Permalink

2016年03月29日

空と宇宙の開拓者

 
雑誌などのインタビューで「テレビはよく観るほうですか?」と聞かれると、私は「観たり観なかったり。まあ、普通ですかね」と答えます。多いのはスポーツ中継やニュース番組で、2時間ドラマや映画などはなかなか時間が合わず観られません。それほど頻繁にではありませんが、CS放送のディスカバリーチャンネルは好きな局の一つです。


ディスカバリーチャンネルは、何気ない現象から宇宙のしくみまでを科学的な視点で解明する番組が多く、世界210以上の国・地域で放送されています。そして同チャンネルでは今日(3月29日)から毎週火曜日の時間帯で、航空ファンには見逃せないシリーズがオンエアされることになりました。題して『ボーイング 空と宇宙の開拓者』。ボーイングが航空機と宇宙開発の分野で過去100年の間に成し遂げた主要な技術的進展をドキュメントで伝える番組だそうです。初回の放送スケジュールは以下のとおり──。

・航空産業の誕生/3月29日(火)21:00~22:00
・ドリームライナー/4月5日(火)21:00~22:00
・ジェット機の時代/4月12日(火)21:00~22:00
・宇宙開発/4月19日(火)21:00~22:00

興味深いですね。再放送も予定されています。詳しくは同チャンネルのホームページでチェックしてみてください〔写真は米国シアトルのボーイング工場にて=2015年9月撮影〕。

S.Akimoto at 09:21|Permalink

2016年03月18日

ダグラスDC-8

 
雑誌の記者から今週受けたインタビューのなかで、テーマからは少し外れたものの、ダグラスDC-8という古い機種の話をしました。1960(昭和35)年にJALが日本で最初のジェット旅客機として導入した4発機です。私が高校生のときに初めて乗った飛行機も、このDC-8でした。


当時私は、札幌で毎年2月の頭に開催される「さっぽろ雪まつり」に、行きたくて行きたくて仕方がありませんでした。高校1年が終わる春休みから安い鈍行列車を使った国内の旅をスタートし、春、夏、冬と長い休みがくるごとにあちこちを放浪していたのですが、雪まつりだけはなかなか行けません。開催時期の2月に、学校の休みがなかったからです。

諦めきれない私は、学校をサボることを決意しました。ですが、いつものように鈍行列車でのんびり旅をしていたら、さすがに退学になってしまう。そこで考えたのが、飛行機を使って期間を短縮することでした。アルバイトでお金をため、足りない分は親に借りて、初めて乗った飛行機──それがDC-8だったのです。

ご覧の写真〔JAL提供〕のように、DC-8は胴体が細く、直線が非常に美しい。私が乗ったのは、DC-8のなかでもボディをストレッチしたDC-8-61というモデルでした。外観はよりスマートでカッコいいのですが、通路が一本しかないため、到着した札幌で降りるのにずいぶん待たされた記憶があります。「飛行機って、降りるときがめんどくさいなあ」と、当時はあまり好きになれませんでした。乗るときはウキウキで、降りるときは「遅っせぇなあ、さっさと降ろせよ」と思う気持ちは、いまもあまり変わりませんが(笑)。

S.Akimoto at 18:42|Permalink

2016年03月06日

ニッポンの底力

 
NHK BSプレミアムで今週の土曜日に放送されるドキュメンタリー番組の収録を先週、羽田空港で行いました。タイトルは『驚き! ニッポンの底力──航空機物語』。同シリーズは過去にも「鉄道王国物語」「巨大建築物語」「自動車王国物語」などのテーマでオンエアされています。いずれも、その分野でいかに日本の技術やサービス、現場の人たちの知恵と努力が世界をリードしてきたかを伝える内容です。


昨年秋の企画段階から番組づくりに協力してきた今回の「航空機物語」では、日本が機体の35%を製造しているボーイング787の国内メーカーの部品製造工場や、限られたキャビン空間を最大限に生かすラバトリー開発の現場などを取材班が精力的に撮影。編集されたビデオの完成を待って、私たち出演者は羽田に集結し、映像を見ながら番組収録を進めました。

番組のMCは俳優の高橋克典さんとNHKアナウンサーの片山千恵子さん、レポーターにお笑いのハマカーンの二人、ゲストに俳優の高橋英樹さんと元AKB48の大島麻衣さんを迎えての丸一日かけての収録でした。私は総合解説という立場での出演です。ANAの整備ハンガーでは787の実機の前や機内で、JALの国内線ランプでは飛び立つ航空機を見送りながらMCやゲストとのトークを繰り広げ、さらにJALスカイミュージアムでは定時運航率を世界一に導いた社員たちの取り組みにも迫ります〔収録時の画像はfacebookにアップしました〕。

オンエアは3月12日(土)の21時〜22時30分。航空の世界に真っ向から切り込んだ、日本に“元気”を注入する見ごたえのある番組になったと思います。ぜひご覧ください。

S.Akimoto at 22:14|Permalink

2016年02月23日

10機目のカラーは?

 
旅行・観光専門サイト『トラベルボイス』でシンガポールから報告を書いたように、同国で先週開催された航空ショーでは初日にMRJの新規受注に関する発表があり、三菱航空機のブースは湧き上がっていました。2015年1月にJALから32機のオーダーを受けて以来で、これでトータル受注数は427機(確定233、オプション170、購入権24)になったそうです。


同じリージョナルジェット市場で先行するライバルの1社が、ブラジルのエンブラエルです。代表機種は「E-Jetシリーズ」で、これまでERJ170(78席)、ERJ175(86席)、ERJ190(104席)、ERJ195(110席)の4つのモデルを市場に送り出しました。日本ではJALグループが2009年にERJ170を導入し、大阪・伊丹空港をベースに76席で運航を開始。また富士山静岡空港を拠点に2009年に誕生したFDA(フジドリームエアラインズ)も、ERJ170/175を使って地方都市を結んでいます。

FDAは、機体塗装に1機1機で色を変えるマルチカラーを採用していることでも知られています。最初の4機目まではERJ170で、カラーは1号機=レッド、2号機=ライトブルー、3号機=ピンク、4号機=グリーン。5号機以降は同175が導入され、5号機=オレンジ、6号機=パープル、7号機=イエロー、8号機=ティーグリーンの4色が加わりました。新しい機材が到着する際には、ファンの間で恒例となった「機体カラーの予想キャンペーン」が実施されます。5,000通のカラー予想応募があったという9機目は何とゴールドのメタリックカラーで、2015年3月に富士山静岡空港に降り立ちました〔写真〕。

来月には10号機目となるERJ175を受領する予定で、そのカラー予想キャンペーンも昨日から始まりました。FDAから提示されたのはシルバー、ブロンズ、エメラルド、ブルー、レインボーの5色で、正解者の中から抽選で全路線対象の往復特典航空券やミニプラモデル10色セットなどがプレゼントされます。締め切りは3月6日。みなさんもチャレンジしてみてください。

S.Akimoto at 15:28|Permalink

2016年02月17日

航空ショー

 
昨日(2月16日)からシンガポールで始まったアジア最大の航空ショーに来ています。「航空」をテーマにした取材では欠かせない相棒の航空写真家・チャーリィ古庄氏を伴って。開催初日は気温30度を超えるなか、朝からずっと会場を動き回り、二人とももう真っ黒になりました。


航空ショーというと、民間機よりも軍用機のほうがどうしてもメインになります。軍用機にはまったく興味をもたないチャーリィが、戦闘機乗りたちの派手な曲芸飛行にレンズを向けて「こいつら、アタマおかしいんじゃねえの」と呟いています〔写真〕。私も同感です(笑)。

最新の軍用機が低空飛行でものすごい爆音を残して去っていったあとは、エアバスA350XWBのカーボンカラー塗装機のデモフライトが始まりました。ほとんど地上に届かないくらいの静かなエンジン音で、私たちの頭上をふわりと旋回していきます。「ほんと、いい旅客機だな」とチャーリィに声をかけると、彼も「ヒコーキはこうじゃないとね」と夢中でシャッターを押していました。

A350とはライバルであるボーイングの“ドリームライナー”787も今回の航空ショー取材の大きなテーマで、それについては旅行・観光専門サイトの『トラベルボイス』に今朝、原稿と写真を送りました。記事は本日中に公開になると思いますので、ぜひチェックしてみてください。

S.Akimoto at 07:58|Permalink

2016年02月02日

ダブルフェザー

 
メキシコ取材から戻りました。facebookにも大きいサイズでアップしたご覧の写真は、メキシコシティからカンクンに向かうアエロメヒコ航空の機内で影したもの。ボーイング737の翼の先に、ポポカテペトル山とイスタクシウアトル山が見えます。5,000メートルを超える火山群で、左側のポポカテペトル山からは白煙が上がっている様子がわかりますか?


ところで、ヒコーキに詳しい人は、主翼先端の形を見て「あれ?」と思ったかもしれません。ウイングレットが従来の737のように単に上に伸びているのではなく、上下に二股に分かれています。「もしかしてMAX!」と驚いた人もいるでしょうか。

いいえ、737MAXはまだ飛んでいません。MAXは先週、ようやく初飛行に成功したばかり。たしかにMAX用に開発されたAT(アドバンスト・テクノロジー)ウイングレットに似ていますが、同じダブルフェザー(二枚羽)タイプであっても、ATウイングレットが上下一体型なのに対してこちらは従来のウイングレットの下に小さな翼を生やしたような形状です。アビエーション・パートナーズが開発し「スピリット・シミター(シミターは三日月の意味)」の名で製造・販売を開始しました。

アエロメヒコ航空は保有する737-800の13機に、この「スピリット・シミター」を発注しています。燃費効率がさらに進化した新しい飛行機での旅を、思わぬところでいち早く体験できました。

S.Akimoto at 00:02|Permalink

2016年01月06日

787の功績

 
今年夏ごろに、アメリカのボストンに飛ぼうか。元日のBlogでそんなプランを披露しました。JALがビジネスクラスで提供を始めたゼロハリとのコラボによるアメニティポーチの、黒のバージョンを手に入れたいからです。うまく時間が見つかれば、本当に行くことになるかもしれません。


ボストンへはかつて2回行きました。中世ヨーロッパを彷彿とさせる街並みが、私は好きです。日本からはちょっと距離があり、そう簡単には行けない都市でしたが、JALの直行便が2012年4月に就航してからはアプローチも楽々。旅の計画も立てやすくなったので、ぜひ再訪したいと思います。

直行便で行けるようになったのは、ボストンだけではありません。アートにグルメにと各国からの旅行者が絶えないベルギーの首都ブリュッセルなどにも、ANAが昨年10月に開設した直行便で乗り換えなしで飛べるようになりました。この2、3年で日本からの新規路線の開設が相次いでいる背景には、何があるのでしょうか。

路線開設ラッシュの陰には、じつはボーイング787の活躍があります。787は、JALやANAにとってどういう意味をもつ機材なのか?両社へのそんな取材をきっかけに、運航する航空会社の視点で787を考察した記事を書いてみました。「ITmedia ビジネスオンライン」での連載『“飛行機と空と旅”の話』で、本日より公開になっています。興味のある人は、ご一読ください。

≫≫≫「ボーイング787の導入で何が変わったのか?

S.Akimoto at 08:56|Permalink

2015年11月11日

歴史的な一日

 
2015年11月11日──。ついにこの日が来ました。夢の国産ジェット機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行が、本日午前中に実施されます。歴史的な一日になるのは間違いありません。その瞬間に立ち会うため、取材パートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏とともに、いま県営名古屋空港へ向かっています。


予定された初飛行が何度か延期になり、11月の第2週行うと発表されたのが10月23日(金)。再度の延期を懸念する声も出ていたものの、その翌週に国土交通省から飛行許可が下り、11月1日(日)には初飛行に向けた高速走行試験も開始されたことで「いよいよだな」と感じていました。

昨夜は私、東京・南青山で開催された米国観光局のパーティに出席していました。お世話になった人からの招待で、早くから約束していただけに、こちらも外すわけにはいきません。昨日午後にひと足先にクルマで向かっていたチャーリィ古庄氏に、私が宿泊予定のJR名古屋駅前のホテルで今朝の早い時間にピックアップしてもらえるよう依頼し、パーティ終了後に東京駅からの最終の新幹線に乗り込んだのです。

これから始まるMRJ初飛行の取材は、近く刊行する書籍(ムック)のメイン特集のためのもので、ここで詳しくお伝えできないのが残念です。せめて直前の状況だけでもお知らせしておこうと、Blogで書くことにしました。みなさんが今日一日の活動を始め、これを読む頃には、すでに初飛行を成功裏に終えて県営名古屋空港は感動に渦につつまれているかも知れません。

S.Akimoto at 05:20|Permalink

2015年10月08日

A350受領式典

 
南仏トゥールーズのエアバス社にて1泊2日で駆け足で進めてきた取材も、無事に終了しました。今回のメインテーマは、フィンエアーへのA350XWB初号機のデリバリー式典です。フィンエアーは世界で3番目、ヨーロッパの航空会社では最初にA350を受領。欧州を中心とする各国メディアや関係者が集うなかで、さまざまなイベントが開催されました。


私たち式典への招待者とフィンエアーの社員たちを乗せてヘルシンキからトゥールーズへ移動したチャーター便の機内では、同社CEOのペッカ・バウラモ氏に単独で15分ほどインタビューする機会も持てました〔写真はfacebookで〕。「A350の1号機をいよいよ明日受領するわけですが、いまの心境は?」という私の質問に、バウラモ氏は「感無量ですよ。オーダーしてから10年、この日を待ちましたから」と笑顔で答えてくれたのが印象に残ります。

式典後は、受け取ったばかりのピカピカのA350に乗って、ヘルシンキまでのフェリーフライトにも同乗。昨年秋にテスト機が羽田に飛来した祭のデモフライトに乗せてもらって以来のA350搭乗体験でしたが、この旅客機は本当に静かで、乗り心地も抜群です。バウラモ氏は「A350の東京への乗り入れもできるだけ早期に実現したい」と話していたので、楽しみに待ちましょう。

さて、今日と明日は、同行の写真家・倉谷清文氏とヘルシンキの街を取材します。春みたいなポカポカ陽気だった南仏とは一転、北欧ヘルシンキは日中でも気温が摂氏5度と真冬のような寒さですが、時間の許すかぎり精力的に歩きたいと思います。

S.Akimoto at 07:14|Permalink

2015年07月06日

豪雨に負けるな!

 
例年にない活発な梅雨前線の影響で九州地方では大雨への警戒がつづくなか、熊本県の天草では“あいつ”が元気に活躍しているようです。本拠地の天草空港から熊本や福岡、大阪(伊丹)へ毎日10フライトを繰り返す天草エアラインの“親子イルカ号”〔写真〕。天気が心配でときどき現地にメールを送ると、先日も「安全第一を念頭におきながら頑張って運航しています」とフタッフから返信がありました。


ところで同社は、2000年の就航から15年間運航してきたボンバルディアDHC-8-Q100を、今年いっぱいで退役させることになりました。代わって来年1月からは、欧州メーカーのATR42-600(48席仕様)がデビューします。長年使い慣れてきた機種を変更するのは、ボンバルディアが同機種の新造機生産を終了したため。JALグループの日本エアコミューターも先月、ATR42の導入を発表しましたが、順番としては天草エアラインが日本で最初の運航会社になります。

機種変更にともなう乗員訓練などにより、8月以降は長期の運休便が発生します。発表されたスケジュールでは、毎日10便あるのうちの6便を10月24日まで運休に。一日3往復体制で運航する天草/福岡の朝と夕方の2往復のみ、継続して利用できます。冬ダイヤが始まる10月25日以降も運休便が出ると思うので、DHC-8-Q100のフライトを楽しみたい人は早めに計画してください。

新規導入するATR42-600も、なかなかいい飛行機です。先週、天草エアラインの弟分(営業部長の川崎茂雄さん)から連絡がありました。「ATR42のフランスでの受領が7月31日に決まりました。その後、必要な手続きを経て、8月に熊本に空輸されてきます。8月下旬にはお披露目会を開きますので、また天草に来てくださいね」と。「もちろん! 何を置いても飛んでいきます」と返事をしました。新しい親子イルカ号に会える日が、いまから楽しみです。

S.Akimoto at 00:24|Permalink

2015年06月25日

“Cシリーズ”

 
これは、乗ってみたい! いよいよベールを脱いだ、ボンバルディアの“Cシリーズ”。欧州内の短距離および中距離路線への導入を計画しているローンチカスタマーのスイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)から先ほど、チューリッヒ空港に初めて飛来した「CS100」の初号機を迎える様子の画像が届きました。バランスのとれた、なかなかイカす旅客機です。


ボンバルディアといえば、日本では地方路線などで活躍する高翼プロペラ機のDHC-8が知られています。ジェット機に比べて低い高度を飛ぶので、機窓から景色を眺めながらの移動が楽しい。私も今年に入って、天草エアラインが運航するDHC-8でのフライトを3回ほど満喫しました。チューリッヒに降り立ったCシリーズは、そのボンバルディアが初めて挑む100席超のクラスの最新ジェットです。

CS100は110席のキャパシティをもつタイプで、1号機がSWISSに実際に納入されるのは2016年の半ば。現地では、そのキャビンデザインや搭載する新型シートも公開されたようです。私も動画で拝見し、冒頭に書いたように「絶対に乗ってみたい!」と強く思いました。

思えば、2007年にシンガポール航空によるエアバスA380の初就航便に乗り、2011年にはANAによるボーイング787のデビューフライトも体験。2012年にはルフトハンザが世界で最初に受領した次世代ジャンボ747-8iの就航便にも呼んでもらい、そして2014年秋には羽田に初飛来したA350XWBのデモフライトにもJALの招待で乗せてもらいました。「初もの」はもう十分かな、と思っていたのですが、来年のCS100の就航便にもやっぱり乗りた〜い! 年内にSWISSの本社を訪ねるかもしれないので、そのときにエラい人たちに頼んでおこっと。

S.Akimoto at 18:49|Permalink

2015年05月14日

基本型と派生型

 
旅客機には同一機種の中で「基本型」のモデルと「派生型」といわれるモデルがあります。派生型は、最初につくった基本型をベースに、後の新たな需要に対応するためボディのサイズ(長さ)を延長したり新型エンジンに替えて航続距離を延ばしたタイプ。たとえばエアバスの単通路型ベストセラー機A320は、A318とA319、さらにA321という3タイプの派生型を誕生させました。


そのうちA318とA319は、基本タイプのA320よりボディを短くした短胴型で、短距離路線などで活躍。またシリーズで最長のA321は、A320よりボディを主翼の前後で6.9メートル延長し、設置できる座席数を増やしました。

A320は日本ではLCCの4社(ピーチジェットスタージャパンバニラエア春秋航空日本)が運航しているので、乗った人も多いでしょうが、長胴型のA321はなかなか体験できるチャンスが少ないかも知れません。かつてはANAが1990年代後半から一時期飛ばしていたものの、わずか10年で日本の空から姿を消しました。

さて、熊本&天草の旅から昨夜戻り、今日はまた成田空港に来ました。いまから乗るのは、ベトナム航空が昨年夏に開設したダナンへの直行便です。ハノイとホーチミン以外の都市への直行便は初めてで、多くの世界遺産やリゾートが集まるベトナム中部への旅が便利になりました。しかも同路線は、前述したA321での運航! 日本からレアなフライトを楽しみながら、1週間の日程で2年ぶりにベトナム中部を歩いてきます〔写真=チャーリィ古庄氏撮影〕。

S.Akimoto at 14:15|Permalink

2015年05月02日

初飛行から10年

 
そうか、あれからもう10年! 今週の火曜日(4月27日)にエアバスから配信されたニュースリリースを目にして、感慨にひたりました。「総2階建て機A380が初飛行から10周年を迎えた」というのがその内容です。


A380について私が興味をもち、取材を続けてきたのは、開発当初から「この画期的な旅客機は空の旅を根底から変えてしまうかも」という思いがあったからです。初飛行から2年半後の2007年秋には1号機がシンガポール航空に納入され、同年10月25日にシンガポール/シドニー線でデビュー。そのフライトにも立ち会い、そして5カ月後の2008年3月には世界で最初に「A380」をテーマにした著書を上梓しました。

もう7年以上も前に書いた本なので、日本の読者にはさすがに情報も古くなっていますが、中国語や韓国語にも翻訳されてアジアではいまも読者が増えつづけています。私のfacebookに先日、台湾の人からの友だち申請があり、こんなメッセージが添えられていました。「本を読んでとても興味をもちました。飛行機のことにも、著者である秋本さん自身にも」と。

書いた作品がひとり歩きして、遠く離れたところにいる人たちの手に届く──嬉しいことです。いま、2冊の新しい本の執筆に取り組んでいるのですが、早く脱稿して書店に並べないと。頑張ろ。

S.Akimoto at 19:16|Permalink

2015年04月23日

ホンダジェット

 
ユニークな形をした飛行機だなあと、改めて観察して思います。今日の午後、世界ツアーの一環で羽田に飛来したホンダジェット。私は現場には出向いていませんが、取材した記者たちがWebでさっそく報告をアップしはじめました。下の写真は以前、ホンダエアクラフトカンパニーから入手したイメージ画像ですが、今回飛来した機体は赤で塗装されています。


私が「ユニークな形」と言ったのは、そのエンジンの取り付け位置です。これまで主翼の下の部分につり下げられるように置かれることの多かったエンジンを、ホンダジェットは何と主翼の上面に!

飛行機の揚力は、主翼の丸くふくらんだ上面に速い速度で空気が流れ、下面との間にできる負圧(気圧の差)によって生じさせます。その負圧を得るため「主翼の上面には気流を乱すものを置かない」というのが航空力学の常識でした。しかし、エンジンを主翼の下側に付けると胴体が地面から高くなり、乗降のための施設(タラップなど)を用意しなければなりません。ビジネスジェットには機体後尾の両脇にエンジンを取りつけている機種もありますが、それだと胴体内部に支柱を通すことが必要で、客室が狭くなってしまう。ホンダのエンジニアたちは「なんとか主翼の上側にエンジンを置けないか」をテーマにさまざまな位置にエンジンを設置して気流の乱れをコンピュータで計算・分析する作業を繰り返しました。その結果、主翼の上側であっても気流が乱れず、空気抵抗の少ないエンジンの置き場所を見つけたのです。

近くアメリカで型式証明を取得し、顧客への納入が開始されるホンダジェット。読者からは「同じ国産の三菱MRJに比べてあまり話題にならないのはなぜですか?」とときどき質問が届きますが、厳密に言うとホンダジェットはアメリカに本社を置くホンダエアクラフトカンパニーが製造する米国製旅客機で、国産ではありません。もちろん構想や基本設計は日本人スタッフが担当し、その意味ではMRJ同様、メイド・イン・ジャパンの技術の上に成り立っている飛行機なのですが。

S.Akimoto at 16:26|Permalink

2015年03月05日

近未来の旅客機づくり

 
旅客機は、何万という種類のパーツから構成されています。整備工場にはメンテナンス用に各種の部品をいつでもストックしておかなければなりません。急きょ交換が必要になった場合に、部品がなければ話にならないからです。たとえば就航先の空港に交換部品の用意がなく、ハブ空港から取り寄せるためフライトが丸一日遅延になる──そんなケースも過去に何度か目にしてきました。



使用している部品は、機種ごとに異なります。保有する機種が多ければ多いほど、ストックしなければならない部品の点数も増え、そのコストはばかになりません。コスト増は会社の経営を圧迫するため、LCCやローカルな会社では使用する機材を1機種か2機種に絞って効率化を進めてきました。

しかし国内外に幅広いネットワークをもつ大手では、小型機から大型機までさまざまな機種を保有しなければなりません。部品ストックにかかる膨大なコストを、どうにか削減できないか? 各社とも模索を続けてきた中で、欧州の航空機大手エアバスがユニークな提案を始めています。私がそのことを知ったのは先月、A350XWBの製造現場を取材するためドイツのハンブルク工場を訪ねたときでした。同工場のあるチームが話題の3Dプリンター技術を近未来の旅客機づくりに役立てる研究を進めている──そんな話を聞き、取材の途中で見学させてもらったのです。

詳細を、今朝公開した誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』の記事で報告しました。実際に3Dプリンターでつくったという骨組み模型〔写真〕を手に取りながら説明してくれたチームリーダーの言葉を、いまもこれを書きながら思い出し、旅客機づくりの未来像に胸をわくわくさせています。

≫≫≫「3Dプリンターで、飛行機づくりはどう変わる? ──エアバスの場合

S.Akimoto at 10:07|Permalink

2015年02月14日

ゾロか、たぬきか

 
エアバスの最新鋭機A350XWBの製造現場の取材で訪ねたドイツのハンブルクと南仏トゥールーズから、昨日戻りました。facebookにもアップしたご覧の写真は、A350XWBのコクピットを正面からとらえたものです。トゥールーズのモックアップセンターで撮影しました。


顔つきは、ボーイング機はもちろん、従来のエアバス機ともずいぶん変わったという印象を受けます。6枚に分割されたコクピットの窓枠が黒くペイントされ、精かんさが増しました。これについて、案内してくれた女性スタッフとちょっとしたやりとりがあり、近くにいた現場スタッフたちに大笑いされたのを思い出します。

「目のまわりが黒く塗られたこのスタイル、日本でもヒコーキ好きの女子らの間で好評ですよ」と私。「たぬきが空を飛んでいるみたいで可愛いね、って」
「タネキ? タネキって、何ですか?」
「タネキじゃなくて、たぬき。Raccoon dog」
「Raccoon dog! あらま。何てことを! 私たちは“マスク・オブ・ゾロ”みたいでカッコいいと思っていますのに」

マスク・オブ・ゾロ。おお、なるほど。言われてみれば。たぬきはちょっとマズかったかな(笑)。けど、言っちゃったものは仕方ない。私はうやむやに笑い飛ばして、脱出用ハッチのことに話題を変えました。A350のコクピットは窓が開かないので、脱出用のハッチを副操縦席側の天井部分に設けているんだね──とか何とか。女性スタッフにもすぐに笑顔がもどり、その後も楽しく取材を進めました。

S.Akimoto at 17:55|Permalink

2015年02月11日

独仏間の移動

 
今回の旅の目的は、エアバスの最新鋭機A350XWBの製造現場の取材です。先ほど、初日の予定を終えました。A350XWBは他のエアバス機と同様に、コンポーネント(構成パーツ)ごとにヨーロッパ各地にある複数の工場で分担して製造。完成したひとかたまりのコンポーネントが南仏トゥールーズにある最終ラインに輸送され、組み上げられていきます。


まずは早朝のフィンエアー便で、ヘルシンキからドイツのハンブルクへ飛びました。ハンブルク工場はA350XWBの製造ラインの中でも最も重要な一つで、後部胴体と機首部の組み立て作業が進められています。迫力の現場を、スタッフの説明を受けながら昼食を挟んで夕方までじっくり取材・撮影し、その後は午後5時過ぎの飛行機で最終ラインのあるトゥールーズへ。定期便の就航がないハンブルクからトゥールーズへの移動では、エアバスの社員やエンジニアたちが使う専用シャトルに便乗させてもらいました。

A318で運航するシャトルの機内は、ほとんど満席です。トゥールーズへ出張するハンブルクのエンジニアもいれば、ハンブルクでの会議や打ち合せを終えて帰るトゥールーズのスタッフも少なくありません。出発待ちのロビーで、さまざまな人に「どちらから?」と声をかけられ、中には私が手にしていた指定座席の番号を見て「このフライトは途中からフランスとスイスの国境沿いを南下していくので、天気がよければ左手にスイスアルプスが見えるよ」と教えてくれる社員も。言われたとおり、離陸後1時間ほどして窓のシェードを上げると、夕日に赤く染まりはじめた雄大な雪山の景色を楽しむことができました〔写真〕。

明日は終日、トゥールーズでA350XWBの最終組立ラインを取材します。そして12日(木)は早朝のエールフランス航空便でトゥールーズからパリへ移動。そこで再びフィンエアーに乗り換え、ヘルシンキ経由で13日(金)の昼前に成田に戻ります。

S.Akimoto at 10:24|Permalink

2014年11月18日

エミレーツのA380

 
今日は久々に旅客機の整備の話です。旅客機の整備には大きく二つの種類があることを、これまでにも何度か書きました。一つは毎回のフライトごとに空港で実施する「ライン整備」で、もう一つが機体をハンガーに搬入してより本格的に点検・修理を行う「ドック整備」と呼ばれるもの。ドック整備は飛行時間や期間によって「A整備」「C整備」「M整備」の3段階に分かれます。


エアラインや機種によって異なりますが、約1カ月ごとに行なわれるA整備では、フライトを終えた夜間にハンガー入りしてエンジンやフラップ、ランディングギアなどの重要部品の点検作業を進めます。また、ほぼ1年から1年半に1回実施されるC整備では、機体各部のパネルを取り外してより細部にわたり入念にチェック。そしてドック整備の中でも最も重いのが、5〜6年に1回、1カ月以上をかけて実施するM整備です。骨組みがむき出しになるまで機体が分解されるほか、塗装もすべて剥がされ、構造的な点検や部品の交換、再塗装などを終えた機体は新品同様にリフレッシュされます。

エミレーツ航空は先週、2008年6月に受領したエアバスの総2階建て機A380の初号機について「大規模な定例整備(M整備)が完了した」と発表しました。ドバイ/ニューヨーク線で初就航して以来、2,000万キロを飛行し、これまで120万人以上の乗客を輸送してきた機体です。整備に費やした期間は計55日間。担当部門責任者は「メーカーから引き渡された時と変わらない状態によみがえった」とコメントしています。

さて、季刊『航空旅行』の次号(Vol.12=2015年1月末発売)で予定している巻頭特集「エアバスA380で行く旅」の取材が現在、順調に進んでいます。来週からは、いよいよ世界最大のA380ユーザーであるエミレーツ航空を取材。保有する約50機のA380が集結するアラブ首長国連邦のドバイへ飛びます。

S.Akimoto at 09:19|Permalink

2014年10月23日

MRJ完成式典

 
MRJ(三菱リージョナルジェット)のロールアウト式典が先週土曜日(10月18日)に三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所・小牧南工場で開催されました。国産初となるジェット旅客機の“お披露目会”とあって、会場には知り合いの記者仲間らを含め、多くのマスコミ関係者が詰めかけたようです。


私は翌朝から海外取材を控えて入稿作業が重なり、残念ながら式典には出席していません。三菱航空機の親しい広報担当と事前に相談した結果、これまで「ニコニコ生放送(ニコ動)」で航空をテーマにした番組づくりをいっしょに進めてきたディレクターA氏に、私に代わって式典を取材してもらうことになりました。その収録映像をもとに同日20時から特別番組を放送したところ、生で視聴したファンは3万人を突破! 寄せられたコメントも、MRJへの期待の高さをうかがわせる内容が圧倒的だったようです。

映像を通して見ても、MRJのフォルムは本当に美しい。“Made in Japan”の技術が凝縮されたシャープでかつ力強い機体から放送中は目が離せませんでした。式典にはローンチカスタマーのANAからも関係者らが列席。会場にいた同社の広報担当からは「実物はやっぱり違います。格納庫の扉が開かれ、その向こうに光に照らされた機体が登場したときは感動的だった」と報告が届きました。

完成にはこぎ着けたものの、本当の勝負はこれからです。リージョナル機は今後20年間で5000機程度の需要が見込まれる成長分野。ライバル機種と比べ燃費性能を20%以上向上させ、かつ居住性も大幅に高めたMRJは、日本のテクノロジーの素晴らしさをきっと世界に見せつけてくれるはず──そう私は願ってやみません。今後はテスト飛行などを控え、まだ少し先になりますが、ANAによる初就航の際には何をおいても取材に駆けつけたいと思っています。

S.Akimoto at 01:23|Permalink

2014年08月04日

搭乗証明書

 
誠Styleの連載『秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話』で掲載中の航空写真家・チャーリィ古庄氏との対談の中で、私は「フライトを終えると搭乗券はすぐに捨ててしまう」と発言しました。しかし搭乗券は処分しても、さすがに「搭乗証明書」は捨てません。新しい旅客機のデビューフライトや、新しい航空会社の就航初便などに乗るともらえる搭乗証明は、自分にとっての大切な思い出ですから。


その搭乗証明書コレクションに本日、また一つ新しいのが加わりました。「ボーイング787-9による世界初の旅客フライト」に貴君はたしかに乗りました──という証明書です。先ほどfacebookに、その写真をアップしてあります。

ANAは先日、787のボディを延長したモデル「787-9」を日本で最初に受領しました。8月7日(木)より同型機を使った世界初の定期運航便として羽田から福岡、伊丹、松山への国内3路線に投入します。それに先駆けて本日、日米の小学生を招待し、羽田から富士山上空を通過し関西方面をぐるっと一回りして帰ってくる旅客フライト実施。「次世代を担う子供たちを次世代の航空機に案内する」というコンセプトで実現したイベントです。そこに新聞や雑誌、テレビなどのマスコミ各社も招かれ、旅行・観光専門サイト『トラベルボイス』で私の連載コラムを担当してくれている編集者の山岡薫さんといっしょに遊覧飛行を楽しんできました。

787-9による記念フライトの様子や、787ファミリーの解説記事などは、近く『トラベルボイス』で発表する予定です。

S.Akimoto at 19:00|Permalink

2014年07月22日

757搭乗記

 
先日のパラオ取材で、何年かぶりにボーイング757に乗りました。単通路型ベストセラー機の737やジャンボ機747、中距離路線で活躍する767とその後継機として開発された787などに比べて、757はあまり馴染みのない機種かも知れません。サイズとしてはやや中途半端で、受注が伸びなかったため、ボーイングは2004年に生産打ち切りを決めました。


757は、727の後継機として1982年に登場しました。727が個性的な3発機でファンも多かったのに対し、双発の中距離型機である757は見た目にも大きな特徴はありません。日本ではJALANAも採用しませんでした。が、それでも2004年までに計1,050機が製造され、いまも世界の空で元気に活躍しています。

冒頭で「サイズがやや中途半端」と書きましたが、200〜250席程度のこのサイズがちょうどいい路線も存在します。その一つが、デルタ航空が成田から直行便を運航するパラオ線でしょう。パラオのほかグアムやサイパンなどへのリゾート路線を中心に、同社は757を積極的に活用しています。通路が1本しかないナローボディ機ですが、私が利用したビジネスクラス「ビジネスエリート」は、通路をはさんで2席ずつをゆったり配置。パラオまでの4時間半を快適に過ごしました。

ビジネスクラスといっても、パラオ線ならさほど高くない追加料金で利用できるので、おすすめです。成田空港ではもちろん、専用のチェックインカウンターや保安検査場への優先レーンが使え、搭乗開始までは同社自慢のラウンジ「デルタスカイクラブ」も利用できます。それら出発前の様子も含めたパラオまでの757搭乗記は、来週発売になる季刊『航空旅行』の夏号(Vol.10)に書きました。7月30日から全国の書店に並びます。

S.Akimoto at 00:02|Permalink

2014年07月01日

ホンダジェット

 
ミツビシとホンダ──そう聞いて、何を思い浮かべますか? 少し前なら多くの人が「自動車」と答えたでしょうが、現在は「ジェット旅客機」がこの2社に共通するキーワード。先週木曜日(6月26日)には、あのYS-11以来となるの国産旅客機、三菱リージョナルジェット(MRJ)の試験用初号機にR&W製エンジンが搭載されたと発表がありました。


そして2日後の土曜日(6月28日)には、ホンダジェットの量産1号機がアメリカで初飛行に成功します。MRJほど話題にならないのは、ホンダジェットが厳密には国産旅客機ではなく、アメリカに本社を置くホンダエアクラフトカンパニーが製造する米国製だからかも知れません。もちろん構想や基本設計は日本人スタッフが担当し、その意味ではMRJと同様、“メイド・イン・ジャパン”の技術の上に成り立っている旅客機なのですが。

ホンダジェットの特徴は、エンジンの取り付け位置にあります。多くの機種で主翼の下部につり下げられるように置かれているエンジンを、ホンダジェットでは主翼の上部に設計〔写真〕。飛行機は、主翼の丸くふくらんだ上面に速い速度で空気が流れ、下面との間にできる負圧(空気圧の差)によって揚力を生じさせます。その負圧を得るために「主翼の上面には気流を乱すものを置かない」のが航空力学の常識でした。しかし、エンジンを主翼の下側に付けると胴体が地面から高くなり、乗降のための施設(タラップなど)を用意しなければなりません。ビジネスジェットには機体後尾の両脇にエンジンを取りつけている機種もありますが、それだと胴体内部に支柱を通すことが必要で、客室が狭くなってしまいます。ホンダのエンジニアたちは「なんとか主翼の上側にエンジンを置けないか」をテーマに、主翼上面のさまざまな位置にエンジンを設置して気流の乱れをコンピュータで計算・分析する作業を繰り返しました。その結果、主翼の上側であっても気流が乱れず、空気抵抗の少ないエンジンの置き場所を見つけたのです。

ホンダジェットはそんな点でも、画期的な旅客機だと言っていいかも知れません。2015年初頭には米連邦航空局(FAA)から型式証明を取得する予定で、来年中にも世界の空を舞い始めます。

S.Akimoto at 00:13|Permalink

2014年05月28日

サーブ340B

 
アイランドホッピング2日目の取材を終え、福岡空港まで戻ってきました。羽田へのJAL便の搭乗開始を待ちながら、鹿児島から奄美諸島をめぐる本日の7回のフライトで利用した「サーブ340B」というコミューター機について、紹介しておくことにします。


サーブ340はスウェーデン製の双発ターボプロップ機で、JALグループでは日本エアコミューター(JAC)のみが運航しています。340Bは、初期タイプ340Aのエンジン改良型。細身のボディが特徴で、キャビンは通路をはさんで左側に1席、右側に2席と変則的にシートがレイアウトされていました〔写真〕。36席で運航している日本エアコミューター便はどの便もほぼ埋まっていて、地方路線に欠かせない戦力であることがうかがえます。

印象的だったのは、離島間のフライト時間がきわめて短いこと。たとえば奄美大島から喜界島への便では「本日のフライト時間は10分を予定しています」と客室乗務員からアナウンスされます。離陸上昇して水平飛行に移り、シートベルト着用サインが消えるのを待って機窓からの風景を撮ろうとバッグからカメラを取り出すと、再びシートベルト着用を指示され、こんなアナウンスが──「当機は間もなく着陸します。この先、すべての電子機器の電源をお切りください」。

同行の写真家、倉谷清文氏は「これじゃあデジカメは使えないですね。フィルムでの撮影に切り替えます」と、到着した空港ターミナルのお土産屋でレンズ付きフィルム「写ルンです」を何個も買い込んでいました(笑)。

S.Akimoto at 19:02|Permalink

2014年05月16日

“折り畳み式”主翼

 
日本の政府専用機の後続機種選定が進んでいることを、昨年8月16日のBlogで書きました。候補に挙がっていたのは、燃費効率に優れた777や787、エアバスが開発中のA350など。そのうち、どうやら777-300ERで落ちきつそうな気配です。ボーイング・ジャパンのジョージ・L・マフェオ社長が今週の会見で「次期政府専用機とし777-300ERを提案している」と明らかにしました。


777-300ERもいい飛行機ですが、どうせならもう少し待って新しい「777X」にすればいいのに! ファンたちからはそんな声も少なくありません。777Xの初号機引き渡しは2020年を予定。現在2機を保有する政府専用機(747-400)は2018年で退役させる計画なので、777Xは後継機の候補からは外れたのでしょうが、あと2年くらいなら待てばいいのにと私も思います。

777Xは昨年11月20日にローンチが発表されました。その大きな特徴の一つが、複合材を使った“折り畳み式”の主翼です。ウイングスパンが拡大し、全幅は777-300ERの64.8メートルから約6メートル伸びて71.1メートルに。しかしこれでは、最大幅65メートルまでの飛行機が使用できるよう調整されている国際空港のゲートが使えません。つまり大型化した777Xでも従来の777と同様の空港ハンドリングができるように、翼端を折り畳める方式が考えられました。

上の写真が、左右の翼端が約3メートルずつ畳まれた777Xの様子です。イメージ画像としてボーイングから配信されました。就航後は各地の空港で、ご覧のようなスタイルで羽を休めるシーンが見られるようになります。

S.Akimoto at 11:59|Permalink

2014年04月01日

いろいろな最後

 
32年も続いた国民的長寿番組『笑っていいとも!』が昨日で最終回を迎え、昼の生放送が終わった直後の午後0時59分にはANAのジャンボ機(ボーイング747-400D)の最終となるNH126便が沖縄の那覇空港を離陸。税率5%だった消費税もその日の23時59分59秒で終わり、日付が変わると8%に引き上がりました。


昨日(3月31日)は、いろんな「最後」がありました。とくに夕方のテレビニュースを賑わせていたのが、747-400Dのラストフライトです。569人の乗客を乗せて満席で飛び発った最終便は、午後3時30分に羽田空港408番スポットに到着。私は現場には行っていませんが、羽田で取材した記者仲間から消防車の放水アーチに出迎えられるNH126便の様子がメールで送られてきました。

昨日はもう一つ、ANAウイングスが運航するDHC-8-Q300という小型機の退役もありました。デハビランド・カナダが開発しボンバルディアが受け継いだDHC-8は、「高翼機」と呼ばれるボディの上に主翼を取り付けた個性的なプロペラ機です〔写真〕。ボディの地上高が低いために、空港での乗り降りもラクラク。実際に利用してみると、プロペラ機でありながらとても静かで、振動なども気になりません。ANAグループでは、かつて国産旅客機YS-11が就航していた札幌・丘珠空港発の着路線や羽田と伊豆諸島を結ぶ路線の後継機として導入し、2001年7月の羽田/大島線での就航が実質的なデビューでした。

最終便となった三宅島行きのNH1849便は羽田を定刻より2時間ほど遅れて出発したものの、三宅島の火山ガスの影響で着陸できずに羽田へ引き返し、ちょっぴり淋しいラストフライトになりました。ジャンボ機引退の陰でほとんど話題になりませんでしたが、お疲れさまと一言、声をかけてあげたいと思います。

S.Akimoto at 10:55|Permalink

2014年03月24日

ダグラスDC-3

 
前回に続いて、ワシントンDCの国立航空宇宙博物館からの報告をもう一つ。レトロな外観のこの機体は「ダグラスDC-3」──米大陸を横断する寝台旅客機として1935年に製造されました。“グーニーバード(アホウドリ)”の愛称で多くのファンたちに親しまれてきた名機です(大きいサイズの画像はfacebookでどうぞ)。


現在の旅客機と比べると小型ですが、ダグラスDC-3は当時では比類ない機能性を誇りました。DC-1、DC-2の基本型をワイドボディ化して発展させたモデルで、航空輸送の歴史を語るうえでDC-3の存在は欠かせません。飛行性能と輸送力・経済性のバランスに優れた初の本格的商業旅客機として、世界の空で活躍しました。

国立航空宇宙博物館には、他にもさまざまな航空機や宇宙船がところ狭しと展示されていました。一つひとつをじっくり見学していたら、いくら時間があっても足りません。DC-3の奥に見えるのは、ボーイングの基礎を築いたといわれる「ボーイング247-D」。これについても、回を改めて書くことにします。

さて、ワシントンDCから報告を続けてきましたが、私自身は週末に帰国しています。零下の気温の中での取材を終え、いまはホッとひと息。明日からは南半球の国に飛ぶので、その荷造りを始めました。寒かった米東海岸とは一転、これから向かう先は夏から秋にさしかかる穏やかな季節なので、ちょっとウキウキしています。

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2014年03月21日

ライト兄弟

 
政治の殿堂が建ち並ぶワシントンDCで、計19の博物館や美術館を無料公開しているスミソニアン博物館群。なかでも最も人気のある一つ、国立航空宇宙博物館を取材してきました。下の写真は1903年にライト兄弟が世界で初めて動力飛行に成功させた「フライヤー号」です。先ほどfacebookにも大きなサイズで投稿しました。


複葉式の翼形がとてもユニークです。以前、野鳥に関する雑誌に書いたことがありますが、この翼形は上空で素早く方向転換(旋回)する鷹がモデルになりました。機体を浮上させるメカニズムや推進させる仕組みについては、ライト兄弟以前にも先駆者たちによってさまざまな研究がなされています。が、それをどう制御するかという操縦法の問題が当時は手つかずのままで、ライト兄弟はくる日もくる日も鳥の姿を追い続けたといいます。そしてあるとき、大きな鷹が自在に進路を変える光景から重要なヒントを得ました。

鷹は旋回するときに左右の翼の先端をわずかにひねることを、彼らは発見しました。翼の前縁を上向きにねじると迎え角が増して揚力がアップし、反対に前縁を下げると揚力はダウン。左右の翼を反対方向にねじることで揚力に差を生じさせ、方向を転換しているのです。では、固定された飛行機の翼をどうねじればいいのか? その難問は、兄のウィルバーが段ボールの空箱をヒントに解決しました。空箱を両手でねじったときに変形する様子は彼らが求めていたメカニズムそのもので、箱の上面と下面を飛行機の複葉と見なせば翼を簡単にねじることが可能になります。

そうして完成させたフライヤー1号を弟のオービルが操縦し、米国ノースカロライナ州キティホークの砂丘を飛び立ちました。世界初の動力飛行が成功した瞬間です。いまから111年前、1903年12月のことでした。

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2014年03月16日

自社ブランド

 
穏やかな日曜日です。気温も午前10時で約15度あって、ポカポカ陽気。その分、天敵(花粉)も我が物顔で暴れはじめました。朝からくしゃみが止まりません。さて、この1週間も春の嵐が吹き荒れるなど、いろいろありました。そんな中で私が注目したのは、三菱重工とIHAが航空機エンジンで提携する方針を固めたというニュースです。


航空機エンジンの市場では現在、欧米勢が圧倒的なシェアを占めています。米国のゼネラル・エレクトリック(GE)とプラット・アンド・ホイットニー、英国のロールスロイスの大手3社で、世界の航空機エンジンのシェアは全体の6割にも!

上の写真はANAのボーイング787に装備されたロールスロイスのエンジンで、開発には日本のメーカーも加わりました。エンジンは数千点の部品で構成され、三菱重工もIHIも有力な部品メーカーではあるものの、しかし部品供給だけではビジネスとしての規模も小さく将来的な発展も見込めません。自社ブランドのエンジンづくりで主導権をもつ「完成品メーカー」への転身を図る──三菱重工とIHIにはそんな狙いがあるのでしょう。この1週間は「リケジョ」として話題を集めた小保方晴子さんのニュースもマスコミを賑わせましたが、もともとがエンジニア志望で技術者びいきの私としても、日本のメーカーには技術で負けてほしくないと思います。

さて、今年に入ってしばらく封印していた海外取材を、今週から再開します。まずは明日の便で、アメリカ東海岸へ。出発は昼近くですが、空港でラウンジなどの取材・撮影があるため、成田へは始発の電車で向かいます。報告はまた、現地から。

S.Akimoto at 10:52|Permalink

2014年03月01日

スカイマーク新展開

 
今日からもう3月。早いなあ。今年は元日から3週間も寝込み、復帰後は待ってもらっていた原稿書きに追いまくられて、私の1月と2月はどこへ行っちゃったのという感じです。自業自得ですが。さて、2月の最終となったこの1週間もいろいろニュースがありました。その一つが、スカイマークが南仏トゥールーズのエアバス本社でA330-300の1号機と2号機の引き渡しを受けたという話題。4月18日からの羽田/福岡線での就航に向け、いよいよだな──と私も実感が高まっています。


当初の予定では3月の就航でした。ところが自社整備体制の準備が遅れ、計画していた1号機の受領も2月末に延期へ。同社の西久保愼一社長とは先週、トゥールーズへ出発される前に会いましたが、無事に受領したとのことで西久保さんもホッとひと安心でしょう。ゆったり快適なグリーンシートを、私も福岡線で早めに体験してきたいと思います。

その同じトゥールーズから今週、スカイマークに関するニュースがもう一つ届いています。発注しているオール2階建て機A380の構造部の組立が完了したというニュースで、現地から画像も送られてきました。ご覧の写真は、その機体後部にフォーカスしたもの。塗装はまだ尾翼部分しか完成していませんが、A380の尾翼は大きいだけに、間近で見ると相当な迫力でしょう。A380は地上から垂直尾翼の先まで、24.1メートルもあります。そう聞いてもピンとこない人に、私はよく「8階建てのビルの高さと同じ」と伝えてきました。

2014年の後半は、このA380によるスカイマークの成田/ニューヨーク線の開設が話題を独占するのではないか。私はそう予想しています。就航日はまだ未定ですが、西久保氏は「ぎりぎり年内には実現する方向で準備を進めている」と話していました。

S.Akimoto at 15:22|Permalink

2014年01月30日

747賛歌

 
年明けから病気療養でしばらく中断したものの、退役の迫ったボーイング747について昨年末から取材を進めてきました。パイロットや整備士を含め747に関わってきた現場で話を聞くと、ジャンボ機がどれだけ人々に愛されてきた機種だったかを改めて思い知らされます。この名機を「時代に合わない」と切り捨ててしまうにはあまりに惜しい──あちこちでそんな声にも触れました。


ここ数日、さまざまな角度・視点から747にオマージュを捧げる文章を書きつづっています。書けば書くほど、淋しさが胸に込み上げてきて、その気持ちをうまくコントロールできません。ふと、若かりし頃を思い出します。かつて上空をゆくジャンボ機を見上げ、自分もあんな飛行機を設計してみたいなあと思ったのが、そもそも航空工学の道に進んだきっかけだったなあと。

時代の流れを止めることはもちろんできません。それに、ジャンボ機の歴史が747-400の退役ですべて終わるわけではないことも事実です。伝説の名機は「747-8インターコンチネンタル」という名前で進化し、新たな歴史の1ページをつくり始めました。

そしていま、私はまったく別の媒体で、この747-8インターコンチネンタルが近く日本に国際定期便として入ってくるかもしれないという記事の執筆に着手しています。たしかな情報であり、もう間もなくみなさんのもとに朗報をお伝えできる予定です。

S.Akimoto at 23:33|Permalink

2013年12月14日

A330という機材

 
南仏トゥールーズから戻り、現地のエアバス本社で初披露されたスカイマークの新機材A330-300についての報告を、まずは旅行・観光専門ビジネスサイト『トラベルボイス』の連載【秋本俊二のエアライン・レポート】で速報として書きました。スカイマークを率いる西久保愼一社長ともいろいろ話ができ、有意義な取材だったと思います。


それにしても、同じ中型機のなかでなぜA330-300をチョイスしたのか? その質問に西久保氏は「ずばり、安いからですよ」と答えました。「ボーイング787やエアバスが開発中のA350は、新しいテクノロジーが搭載されてたしかに快適なのだと思う。一方で、そうしたニューモデルが市場に出てきた結果、もともと一定の快適性をもっていたA330の価格が相対的に安くなった。われわれとしては、まさにいまこそクオリティの高いシートを安く提供できるタイミングだと判断して導入に踏み切ったんです」。では、A330-300は787と比較して、1機あたりどれくらい安いのか? ちょうどエアバス本社を訪ねていたので、その点も取材してみました。

「多くの航空会社は航空機をリース契約で使用しています」と、エアバスの幹部の一人が話してくれました。「その1カ月のリース料を比べると、787が120万USドル程度なのに対し、A330-300は95万USドル程度。25万USドルもコストが抑えられる。A330は誕生から多くの改良が重ねられ、同じクラスの航空機のなかでも1席あたりの運航コスト効率がきわめて高いモデルに仕上がっているんです」

そんなことも含めて、今回の取材結果をもう少し深く掘り下げた報告記事を現在、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』でも書き始めました。こちらはスカイマークの西久保社長との一問一答によるインタビュー記事です。近々公開しますので、お楽しみに。

S.Akimoto at 18:12|Permalink

2013年09月27日

マロニー機長

 
ニューヨークでの取材を終え、帰国便(デルタ航空DL173便)のボーイング747-400のアッパーデッキで、機長のダニエル・マロニーさんと離陸前にしばらく雑談していました。facebookにも大きいサイズでアップしたご覧の写真は、同行のカメラマンがそのときに撮影したものです。


マロニーさんはかつて、2010年1月にデルタ航空と経営統合したノースウエスト航空の機長として乗務を続けてきました。ノースウエスト航空といえば「世界初」の3文字がところどころに登場するエアラインです。日米間の定期運航開始から5年後の1952年に日本人客室乗務員の採用を始めたのもその一例ですし、ハイテクジャンボと呼ばれた747-400を世界に先駆けて導入したのも同社でした。ミネアポリス/フェニックス線での747-400の初フライトは1989年1月で、同年6月には東京/ニューヨーク線で国際線デビューを果たしています。

この747-400について感想を聞くと、マロニーさんは「最高の旅客機だよ」と力強くうなずきました。「大きな胴体で乗客にゆったりしたスペースを提供できるし、気流の悪いところを飛んでもどっしりと安定していて、少々の風にもあおられない。多くの人に愛されているこの独特のフォルムもいい。ジャンボはどの方向から見ても絵になるからね」と。日本では退役が進んでいるものの、この名機を「時代に合わない」と片づけてしまうには、あまりに惜しいと私も思います。ジャンボ機のファンは、とくに日本で少なくありません。デルタ航空は最新のフルフラットシートをこの747-400に導入してリノベーションを進め、今後も長距離国際線の主力機種として活用していこうとしています。

さて、私とマロニーさんが雑談している様子を近くで撮影していたカメラマンを、マロニーさんは離陸直前にコクピットに招待してくれました。その写真は先ほど、季刊『航空旅行』のfacebookページにアップしています。

S.Akimoto at 11:06|Permalink

2013年08月25日

国産旅客機の試練

 
技術立国ニッポンの未来は、どんな分野の技術がリードしていくのか? 「これまでわが国経済を支えてきた自動車や家電に代わる次なる産業の芽を、いまから育てておく必要がある」と私に語ったのは、“日の丸ヒコーキ”の開発に取り組む三菱航空機のエンジニアでした。2013年の第3四半期に実施される予定だったMRJ(三菱リージョナルジェット)の初飛行に、私も期待していたのですが──。


先週の木曜日、そのMRJの納入が1年超延期されると発表されました。航空機の型式証明取得に必要な安全性を立証する作業が遅れ、装備品メーカーなどと交渉した結果、開発計画の変更を余儀なくされたと三菱航空機は説明しています。2015年度半ばに予定していたローンチカスタマーのANAへの1号機引き渡は、2017年度の第1四半期に〔写真はイメージ〕。リージョナルジェットは今後20年間で5000機程度の需要が見込まれる成長分野ですが、先行するブラジルのエンブラエルやカナダのボンバルディアとの受注争いにもこれで大きな影響が出るかも知れません。

運航コストに占める燃料費の割合がどんどん膨れ上がっているなかで、現在運航中の小型機の買い替えを模索しているというあるエアラインの幹部は「新技術を取り入れてCO2の排出量などを削減し、燃費も向上するというMRJには、どこも少なからず関心をもっていると思う」と話していました。初飛行を成功させることで期待値もより高まるだろうと予想していましたが、実機によるデータなしに燃費効率の高さを売り込むのは、説得力に欠けます。

私も8月末から9月にかけ、航空写真家のチャーリィ古庄氏をともなって名古屋の三菱航空機を訪ね、開発技術者へのインタビュー取材を行う予定でいました。しかしそれも、とりあえずは延期に。しばらくは静かに動向を見守っていきたいと思います。

S.Akimoto at 23:30|Permalink

2013年06月26日

787の三つのモデル

 
今月初めに米国シアトルのボーイング・エバレット工場を訪ねたとき、ちょうど787-9の組み立てが始まっていました。787-9は、現在世界の空を飛び始めている787-8の胴体を延長したモデル。構想段階から開発が計画されていた3タイプのうちの一つです。広大な工場内をカートで移動していたときに、その垂直尾翼がラインに搬入されていくシーンに遭遇し、カメラに収めました。


787-9の全長は、標準タイプである787-8の56.7メートルに対して、62.8メートルと6.1メートル長く設計されました。設置できる座席数も3クラスで210〜250席の787-8に比べて、同じ3クラスで250〜290席に拡大。航続距離性能も1万4,800〜1万5,750キロに延び、787-8と比較して旅客キャパシティで約16%、航続距離で約3%性能が向上します。787-9のローンチカスタマーであるニュージーランド航空は昨日、2014年から導入する同型機を成田線にも投入すると発表しました。

さて、787にはもう一つ、787-10というモデルの開発も計画されてきました。胴体延長型の787-9のボディをさらに拡大したタイプです。座席数は3クラスで300〜330席ほど。航続距離は標準型の787-8よりも若干短くなり、おそらく1万3,000キロ程度になるでしょう。

私は当初、この三つめのモデルについては「実際には開発されない可能性が高い」という見解を述べてきました。スペックの詳細を見るかぎり、既存の777-300ERと大差がなく、マーケットを奪い合う形になりかねないと思ったからです。ボーイングもその点は慎重に検討を重ねてきたようですが、シンガポール航空ユナイテッド航空などから発注があったことを受けて、今月18日のパリ・エアショーで787-10の正式な開発着手を発表。最終組み立ては2017年から始まり、2018年に最初の1号機が納入される予定です。まだ少し先の話ですが、ローンチを楽しみに待ちましょう。

S.Akimoto at 11:08|Permalink

2013年04月01日

さよなら、MD-90

 
日付が変わって月曜日──また1枚、カレンダーをめくります。3月が終わるこの週末も、成田のオープンスカイ(航空自由化)の開始や国内LCCによる初のセントレア乗り入れなど、いろいろありました。なかでも大きなイベントの一つだったのが、30日(土)夜に実施されたJALのMD-90のラストフライトでしょう。


マクドネル・ダグラスが開発したMD-90は2発のリアエンジンを持つ単通路機で、これまで2000機近くが生産されています。かつてJALと統合前のJAS(日本エアシステム)が独自に導入し、日本の空の歴史に一時代を築いてきた機体が、30日の広島から羽田へのフライトを最後に姿を消しました。「羽田空港の第1ターミナルにはその雄姿をカメラをに収めようと、多くの航空ファンが詰めかけた」と現場で取材に当たった記者から報告が入っています。

JASが1996年から導入したMD-90は、機体に映画監督・黒澤明さんが手がけた7種のレインボーが描かれたことでも知られています。これらは黒澤監督の代表作品にちなんで「七人の侍」という愛称がつけられ、のちに7パターンがすべて2機体制になると、2機目のほうを「影武者」と呼ぶ人もいました。写真は「七人の侍」のうちの4号機。頭の部分が緑色なので、JALのパイロットたちに「ミドリちゃん」のニックネームがつけられた機体です。

話は変わりますが、昨日の日曜日は地元のソフトボールの試合に参加してきました。地域の自治体が主催する今期の公式トーナメントが2週間前から始まり、昨日はその第2戦。4番・三塁手で出たのですが、結果は──言わないことにします(笑)。身体がもう思うように動かないし、現役を退きたいと監督に言っても、9人のレギュラーのうち私は3番目に若い年老いたチームなので受けつけてもらえません。MD-90のように、かっこよく、惜しまれながら引退したいのですが。

S.Akimoto at 00:06|Permalink

2013年03月26日

高翼プロペラ機

 
デハビランド・カナダが開発したモデルをベースにボンバルディアが受け継いで進化させたDHC-8は、旅客機では珍しいボディの上部に翼をつけた“高翼”のプロペラ機です。その基本型がQ100と呼ばれるタイプで、日本ではローカルな都市と都市や離島を結ぶ路線などで活躍してきました。


同機種を使用している1社が沖縄の琉球エアーコミューターです。同社は、たとえば那覇から350キロほど東の太平洋上で距離にしてわずか12キロしか離れていない南大東島と北大東島を行き来する路線などでこのDHC-8-Q100を運航。これは“日本一距離の短い定期便”として知られています。

DHC-8にはこのQ100のほか、ボディの長さが異なるQ300/400などのタイプがあります。基本型のQ100は全長22.3メートルで39人乗り。Q300はQ100のボディを3.4メートル延長して50人乗りに、Q400はそれよりもさらに7.1メートル長いDHC-8シリーズの最長タイプで74人乗りです。いまからfacebookに写真をアップしますが、先週終えた南アフリカ取材で私は久しぶりにQ400でのフライトを満喫しました。

運航していたのは、南アフリカ航空の国内ローカル路線を担うSAエクスプレスです。ヨハネスブルグからクルマで6、7時間かけてたどり着いたクルーガー国立公園に近いホエドスプルート空港から、約1時間のフライトで再びヨハネスブルグに戻りました。

DHC-8-Q400は高翼機のためボディの地上高が低く、空港での乗り降りもラクラク。また実際に利用してみると、プロペラ機でありながら静かで快適です。シリーズ名のQは「Quiet」の頭文字で、設計に際しては騒音と振動を抑制する技術を駆使して居住性を向上させました。窓よりも高い位置に翼があるので、上の写真のように視界が遮られることもありません。一般のジェット機に比べて半分程度の低高度からアフリカ大陸の景観を存分に楽しみました。

S.Akimoto at 01:36|Permalink

2013年03月23日

旅客機の一生

 
人間の一生と同じように、旅客機にもそれぞれに異なる“人生”があります。国際線のロングフライトを主戦場とするエアバスA380などの超大型機から、国内線を一日に何度も飛ぶボーイング737などの小型機まで、働き方や役割も各種各様。そんな1機1機を「人」に見立て、その生涯をこと細かにつづったユニークな本が誕生しました。


タイトルは『旅客機の一生物語』。著者は私のフライト&旅取材のパートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏です。

「旅客機が『She(彼女)』と女性名詞で語られるのも、1機1機に対する愛しい気持ちの表れですね』と古庄氏は言います。「海外を取材していて出会った旅客機の機体番号を見て『あっ、以前乗った機体だ。元気にしてたか?』」とか『いまはこんな場所で頑張っていたんだなあ』と、つい声をかけてしまいます」

そんな古庄氏が、新型機の開発・誕生の舞台裏からエアラインに納入されて以降の路線での活躍、退役して人知れず眠りにつくまでの生涯をたくさんの写真と文章で追いかけたのが本書です。中古機市場の実態や墓場の存在など、一般の人が知らない話題も盛りだくさん。難しい専門用語を使わず、誰もが気軽に手に取れる一冊になっている点もおすすめです。「読み進めていただくと、途中で秋本さんも登場しますよ」と彼は言っていたので、みなさんも探してみてください。イカロス出版より来週月曜日──3月25日に発売です。

S.Akimoto at 10:20|Permalink

2013年01月17日

番組コメンテーター

 
最初の一報が届いたのは、朝9時半を回ったときでした。「ANAのボーイング787のコクピットから煙が上がり、高松空港に緊急着陸した」と。787の相次ぐ機体不具合については1月11日のBlogで触れましたが、今回は地上ではなく上空を飛行中のトラブルです。私の口から「まずいな!」という言葉がこぼれたのとほぼ同時に電話が鳴り始め、その対応に追われている最中にPCは「未開封」のメールでいっぱいになりました。


連絡してきた相手は、テレビ局の報道部やニュース番組担当ディレクター、ラジオ局の番組制作スタッフなど。大手新聞社の記者も混ざっています。用件はすべて、787の事故について特集する番組への出演依頼や、インタビューの申し込みでした。

予定していた原稿書きはとりあえずあと回しにして、午後に入れていたいくつかのアポも相手に詫びを言って先延ばしに。すぐに支度をし、テレビ局のスタジオに向かいました。生出演する番組から優先し、オンエアが先の時間の番組には録画収録の形で、そしてその合間にうまく時間をつくって新聞記者からの電話インタビューを受けます。慌ただしかった一日が何とか終わり、自宅に戻ってビールを開けたら、再び鳴った電話が深夜のニュース番組への出演依頼でした。

上の写真は、先週金曜日(1月11日)の夕方、成田空港で撮ったものです。ANAの787によるサンノゼ線就航セレモニーを取材し、その初便をランプエリアに降りて見送りました(もちろん一般の人は立ち入ることはできません。取材申請をして、許可をとって降りています)。滑走路に向かって地上走行を始めた機体に、私は「いいフライトをしてこいよ!」と手を振ったのですが。

787は開発のスタート当初から取材を続けてきた旅客機で、応援する気持ちにいまも変わりはありません。応援しているからこそ、今日一日、私はしっかりと自分なりの見解を伝えることを心がけました。“辛口過ぎる”ととる視聴者もいるかも知れませんが。明日も朝5時に迎えのクルマが来て、テレビ局へ。午前中にいくつかの番組に出演し、それが終われば、本来の「物書き」の生活に戻れる予定です。

S.Akimoto at 00:55|Permalink

2013年01月11日

トラブル続発

 
年明け早々、目がまわっています。仕事始めの1週間は書き物に集中するつもりでしたが、ボーイング787のトラブルが相次ぎ、予定が狂いました。米国ボストンで7日、JALの787のAPU(補助動力装置)用バッテリーから発火し、翌8日にはやはりJAL機(機体は別)の燃料タンク配管部分の不具合で燃料漏れが発覚。それらのトラブルについて急きょラジオ番組に出演してコメントし、終わって執筆作業に戻ったら、飛び込んできたのがANAの787がブレーキ制御システムの故障で山口からの便が欠航になったというニュースです。この件でも、テレビ取材の対応に深夜まで追われました。


とても気になります。「新型機に初期不良はつきものだよ」という人もいますが、それで済む問題でしょうか。家電製品やPCなどの場合は「新製品が出てもすぐに飛びつかず、初期不良が出尽くしてきちんと改善された時期に買え」という意見があります。ですが、航空機の初期不良を容認することはできません。たくさんの乗客を乗せて飛行中に「初期不良が見つかったので止めますね」というわけにはいかないですから。

開発が3年遅れ、マスコミも「夢の旅客機は夢で終わる?」という論調で騒ぎはじめたとき、私は「787は従来の旅客機とはまったく違う、ある意味では未知へのチャレンジだ。だから予期せぬトラブルがあるのは当たり前。開発の遅れをとやかく言うべきではない」とボーイングを擁護してきました。その一方で、ボーイング側にはこう伝えてきたのです──「待つ代わりに、完成品は100%完璧な形で納入してほしい」と。

787にとって、これからが世界の空を飛び始める大事な時期です。トラブルが続いている事実は、事実としてしっかり受け止めなければなりません。「今後の運航にはまったく問題ない」などという根拠に乏しい発言は慎んで、メーカー(ボーイング)もユーザー(エアライン)も一致協力して原因究明に取り組み、その結果「何が理由でどの部分にどんな不具合が発生し、どういう形で対応したか」をすべてオープンにしていくことが必要でしょう。それなくして、利用者の信頼をつなぎ止めることはできないと思います。

今日──1月11日の夕方、ANAの787による成田/サンノゼ線が新規に就航します。その記念セレモニーなどを取材するため、私も午後から成田に向かいます。

S.Akimoto at 00:07|Permalink

2012年12月14日

787で長距離移動

 
3年前のちょうどいまごろでした。当時、開発が予定より2年以上遅れていたボーイング787。初飛行はいつ実現するのか? 世界中が注目する中、製造現場のアメリカ・シアトルから直前になって急きょ「12月15日に実施する」と発表されたのです。


初飛行を成功裏に終え、翌2010年からは実用化に向けて細部を検証する実地テストに移行しました。必要なチェック項目を一つひとつクリアし、ローンチカスタマーであるANAの1号機が羽田に到着したのは2011年9月28日〔写真〕。同年11月に国内線でデビューし、現在は国際線も含めて787ネットワークは各地に広がっています。787はライバルのJALも戦略機種と位置づけ、欧米やアジアへの路線で運航を始めました。

ファンの方たちからも「もう乗りました!」という報告がたくさん届いています。もっとも、その多くはまだ国内線の短距離フライトでの体験かも知れません。787の本当の意味での快適性は、ロングフライトで利用してみないと実感できないのではないか。そう私は思っています。ANAが787の羽田/岡山・広島線での運航をスタートする前に実施した香港へのチャーターフライトを、私は航空写真家のチャーリィ古庄氏をともなって取材しました。しかしそれ以上のロングフライトは、私もまだ体験していません。海外──とくに欧米への長距離路線が充実した頃に、改めてじっくり取材しよう。そう古庄氏とも話していたからです。

日系2社を含めたエアライン数社が、年が明けた2013年から787でのアメリカやヨーロッパへの新規路線を続々と開設します。それを受けて私と古庄氏も、いよいよ具体的な取材準備に入りました。できれば1月に、遅くとも2月中には取材を敢行する予定です。どのエアラインのど路線を取材するかはまだ発表できませんが、いずれこのBlogを含めて各メディアで報告したいと思います。

S.Akimoto at 00:36|Permalink

2012年11月15日

ロッキードL-1011

 
時刻は現在、23時45分。間もなく日付が変わります。いまから42年前のこの日──11月16日に、ある記念すべき出来事がありました。1970年代の空の大量輸送時代をリードしてきたロッキード社のL-1011トライスターがこの日、初飛行を遂げたのです。


初代ジェット旅客機の代表格である4発機ボーイング707やダグラスDC-8が飛び始めた1950年代、さらに個性的スタイルの727や双発ジェット機DC-9が日本の高度経済成長の牽引役となった1960年代を経て、1970年代は大型ワイドボディ機が主流になった時代です。ボーイング747をはじめマクドネル・ダグラスDC-10、欧州から新規参入したエアバスのA300などが相次いで誕生。それらの機種とともに一つの時代を引っ張ってきたのが、ロッキードL-1011でした。

ご存知の方も多いと思いますが、ANAがかつて東京/グアム線で国際線への参入を果たした機種が、ロッキードL‐1011トライスターです。1号機が羽田に到着したのは1974年2月。翌3月には、まず羽田/那覇線に就航します。当時の機体塗装は、例のモヒカンルックでした〔写真〕。最盛期には21機のトライスターが国内の空を飛び、そして1986年3月3日に同機種で悲願だった国際線デビューを実現します。当時の中村大造ANA社長は成田空港での東京/グアム線新規就航セレモニーで、満面の笑みを浮かべて「創業以来の夢をやっと手に入れた」と語りました。

このワイドボディ3発ジェットのファンだったという人は少なくありません。「機首をぐいっと持ち上げてタッチダウンする姿が好きだった」「エンジンを始動するときの独特の響きがよかったね」などなど。私自身も、L‐1011はバランスのいい、美しい旅客機だったなという印象を持っています。

──以上、初飛行から42年目の思い出の日に。

S.Akimoto at 23:45|Permalink

2012年10月25日

シンガポール経由

 
早朝のチャンギ空港第2ターミナルのゲートの先で、王者の風格をもつ“奴”は悠然と翼を休めていた。ランプエリアに駐機する他の機種が、なんと小さく、頼りなく見えることか。(中略)離陸滑走が始まると、全乗客の声がいっせい止み、機内は静まり返りる。加速パワーを背中に感じるだけで、振動はほとんど伝わってこない。やがて機は音もなくふわりと宙に舞い上がり、その瞬間、機内は大きな拍手と歓声に包まれた──。


2007年10月25日のあの記念すべき日、到着したシドニーの空港で私はそんなレポート書き、メディア各社に送信しました。エアバスのオール2階建て機A380の世界デビューの瞬間です。あれから丸5年。シンガポール航空はこれまで19機のA380を保有し、同社の主力機材として欧米やアジア・太平洋路線で運航を続けてきました〔写真=チャーリィ古庄氏撮影〕。

そのシンガポール航空が昨日、エアバスにA380をさらに5機追加でオーダーしたと発表しました。同社のA380は、これで計24機になります。A380という画期的な機種を開発当初から追い続け、就航後はその快適なフライトの取材に多くの時間を費やしてきた私にとって、シンガポール航空の“A380ネットワーク”の拡大はとても嬉しいことです。2年前の春に久々にフランス・パリのカルチェ・ラタンで休暇を過ごそうと思いついたときも、SQのA380を乗り継いでパリに向かおうと、わざわざ成田からシンガポール経由での二つのフライトのビジネスクラスを取りました。

ところで、シンガポール航空は5機のA380とともに開発中の最新鋭中型機A350XWBも20機追加で発注しました。A350の合計発注数もこれで40機に。2014年以降には、この新しい翼もシンガポールからの中長距離路線に続々と就航していくことになるでしょう。日本からA380でシンガポールに行き、そこからさらにA380で欧米などの主要都市にアプローチするもよし、新しいA350で他の旅先に向かうもよし。今後もしばらくは「シンガポール経由」が、私の旅の重要なキーワードになりそうです。

S.Akimoto at 10:16|Permalink
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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