航空関連ニュース

2017年05月30日

書斎消滅?

 
更新が途絶えていたBlogを12年目に突入した4月から再開したものの、その後も公私ともに忙事に追われてなかなか時間を割けず、また1カ月も放ったらかしになっていました。でも無理はせず、6月に入って落ち着いてからと思っていたのですが、今日は書かずにいられないので書きます。

170530

アメリカ国土安全保障省のジョン・ケリー長官は日曜日に放映されたテレビ番組「フォックス・ニュース・サンデー」の中で、ノートPCなど電子機器の機内座席への持ち込み禁止規制について「米国発着の全国際線を対象にする可能性がある」と発言しました。びっくりです。

パソコンの機内座席への持ち込み制限は今年3月、米政府がテロ対策を理由に中東など10都市への路線を対象に導入しました。対象便は現在、1日50便程度ですが、それが全国際線に拡大されたらどうなるか? ノートPCやタブレットなどを携行している旅行者は、カウンターでスーツケースなどといっしょに預けなければなりません。移動中の機内で、もう仕事ができなくなります。

規制の対象を中東だけでなくEU路線にも拡大する案も浮上し、EUと米当局の話し合いが進んでいるようです。航空機を狙ったテロ活動に備えることが狙いなのでしょうが、パソコンが持ち込めない飛行機には、私はもう乗りません。移動しながらイマジネーションを研ぎ澄ませていろいろな文章を書いてきた「雲の上の書斎」が、一部路線でなくなってしまおうとしています。これ、私にとっては一大事です!

S.Akimoto at 10:04|Permalink

2016年05月22日

プライベートジェット

 
英国のヘビメタバンド、アイアン・メイデンが先日、両国国技館で開催された2日間のツアーのため来日しました。しかも日本へのアクセスは、自家用のジャンボジェット(ボーイング747)で! 航空ファンの間では、そんなことが話題になっています。

160522

2年前に来日したローリングストーンズも移動にはボーイング767の専用ジェットを使っていました。超有名人とか超セレブは、やることが違います(笑)。セレブといえば、アメリカ大統領選で注目を集めるドナルド・トランプ氏のプライベートジェットも、その豪華さは半端ではありません。

プライベートジェットはお金があれば誰でも所有できるの? 1機の購入代金はどのくらい? 一般の人もプライベートジェットで旅する方法がある? 私のもとにもときどき届くそれらの素朴な疑問に、明日(23日・月曜)の朝のラジオ番組で答えることになりました。

文化放送『くにまるジャパン』(平日9時〜13時)の人気コーナーのひとつ「新発見・再発見! くにまる○○○○塾」。同コーナーには過去にもいろいろなテーマで何度もおじゃましてきました。明日の23日(月)に私が開く講座は「プライベートジェット塾」です。10時過ぎから15程度、私が欧州旅で利用したプライベートジェット体験〔写真〕も含めて、詳しくお話しします。

S.Akimoto at 18:56|Permalink

2016年05月07日

羽田で手抜き工事

 
まさか、手抜き工事がこんなところでも! 驚きました。羽田空港の滑走路の液状化対策工事を請け負った建設会社が、ずさんな工事をした上に国にウソの報告をしていたことがわかったのです。

160507

工事を請け負ったのは東亜建設工業という会社で、手抜き工事が発覚したのはC滑走路です。図で説明すると、羽田には井げた状に4つの滑走路がありますが、そのうちの横に走る2本のうちの上のほう(16L/34R)。大地震で液状化するのを防ぐための地盤工事を進めていましたが、地中に障害物があり、強度を高める薬液を予定の5%程度しか注入できなかったようです。しかも執行役員らが国への報告データを改ざんするよう指示し、予定通り工事したよう見せかけるウソの報告を提出しました。

開いた口がふさがりません。欠陥マンションを建てたり、高級食材を使ったと偽装した食品を流通させたり、責任感を持たない人の仕事がなぜ次から次への発覚するのでしょう? ウソはやがてバレると、なぜ学ばないのか?

執行役員は「失敗すると次の工事が受注できない。プレッシャーで魔が差した」と話しているといいますが、魔が差してやることではありません。国土交通省は「地盤強化ができていないC滑走路は大地震で一部が液状化する可能性がある。工事はやり直しが必要」とコメントしています。

S.Akimoto at 10:09|Permalink

2016年05月04日

ジェットスター君

 
シンガポールからミャンマーへ向かう旅客機の機内で、妊娠中の女性の陣痛が始まり、医師や乗務員の助けでヤンゴンの空港に着陸した直後に機内で男の子を無事出産したというニュースをCNNが伝えていました。

160504

4月22日の出来事です。同便を運航していたのはジェットスターグループのジェットスター・アジア。同グループの規定では、妊娠40週目までの妊婦でも4時間以内のフライトに限って搭乗できますが、28週目以降の場合は健康状態を証明する医師の診断書を提出しなければなりません。

このお母さんは、予定よりも早く陣痛が始まったらしい。赤ちゃんが誕生すると、機内では大きな拍手と歓声が上がりました。

ジェットスターは1,000シンガポールドル(約7万9,000円)分の赤ちゃん用品を一家に贈呈する意向だというニュースも報じられています。そしてこの一家は、男の子の名前を同エアラインにちなんで「ソー・ジェットスター」君と命名しました。

S.Akimoto at 11:46|Permalink

2016年02月11日

燃油サーチャージ

 
旅客機を飛ばすには大量のジェット燃料(ケロシン=灯油の一種)が必要です。毎回のフライトで売上の3割が燃料費に消えてしまうと言われるだけに、原油価格の変動がエアラインの経営に与える影響は小さくありません。燃料経費は本来、航空運賃に含まれるものですが、いまから10年ちょっと前に「燃油サーチャージ」の制度が導入されました。


エアラインの企業努力では吸収しきれなくなった燃油価格の高騰分の一部を、乗客に負担してもらう──それが「燃油サーチャージ」です。運賃を値上げして対処する方法もあったのですが、それについては当時、あるエアライン関係者が次のように話していました。

「燃油サーチャージは原油価格の激しい変動に対応するためのあくまで暫定的な措置です。国交省からも『原油価格が一定水準に戻るまで』という廃止条件をつけられました。原油価格が下落した際には当然、額を引き下げるか、廃止しなければなりません。航空運賃に組み込んでしまうと、それが既成事実となって、値段を下げないところが出てくる危険があるのです」

燃油サーチャージがなくなる日がくる? 原油価格はその後、高騰の一途をたどり、彼の言葉もかすんでしまう状況が続きました。それがここへきて急転! 昨今の原油安を背景に、JALANAが4月以降に発券する国際線チケットの燃油サーチャージをゼロにすると発表したのです。欧米などへの長距離路線では一時、3万円を超える追加料金を強いられることもありました。それを思うと今年の春以降は、一気に海外旅行熱が高まるかもしれません。

S.Akimoto at 17:40|Permalink

2016年02月05日

ドクターコール

 
上空で急病人が出たとき、同じ便に医師が乗っていないかを機内アナウンスで呼びかける「ドクターコール」を聞いたことがあると思います。JALによると、機内で病人が発生する事案は年間で350〜360件あり、医師の協力が必要なケースがそのうちの3分の2におよぶのだとか〔写真は機内に用意されている蘇生キット〕。


アナウンスでコールされるのは、医師が同乗しているか、同乗していてもどの席に座っているかを把握できていないからでした。そうした状況を改善するためJALは今月3日、機内で具合の悪くなった乗客の応急処置に協力する医師の事前登録制度を開始すると発表。これまでドイツのルフトハンザが同様の取り組みを実施してきましたが、日本のエアラインでは今回のJALが初となります。

では、実際に医師が乗っているケースはどれくらいあるのでしょうか。ルフトハンザは「8割以上の便に医師が搭乗している」と言っています。しかし、すべての医師がドクターコールに応じてくれるわけではありません。あるアンケート調査では、呼びかけに「応じる」と答えた医師は34%。「応じない」「わからない」という医師は合わせて60%を超えました。機内の限られた空間では医療措置に責任が持てない、と考える人も少なくないようです。

JALは事前登録した医師に、空港ラウンジへの入室資格などの特典を与えるといいます。インセンティブの用意がなければ助けてもらえない、というわけではないでしょうが、何らかの見返りがあったほうが協力者を得られやすいのも事実。ルフトハンザでもマイル特典を供与することで登録医師数を増やしました。いずれにせよ、新しい制度がうまく機能することを願っています。

S.Akimoto at 17:21|Permalink

2016年01月20日

ANAがA380を?

 
エアバスの総2階建て機A380に、にわかに注目が集まりはじめています。その一番の特徴は、巨体を生かしたキャビンのスペース。デビューは2007年10月のシンガポール航空によるシンガポールから豪州シドニーへのフライトでしたが、その初便に乗ったとき、私もあまりの広さに驚きました。


仮に1階と2階をすべてエコノミークラスで座席をレイアウトすれば、一度に800人以上を運べてしまいます。もちろん1回のフライトでそんなにたくさんの乗客が乗る路線は、世界のどこにもありません。A380を導入した各社は3クラス計500席程度でキャビンを設計しましたが、それではあの広大なスペースは埋まらない。余った部分をどうするか? それぞれに創意工夫を凝らした結果、ホテルのスイートルームのような個室席や機内ラウンジ、雲の上でリフレッシュできるシャワールームなどが誕生しました。

こんなゴージャスな旅客機は、他に類をみません。「自分もいつかはA380で旅行してみたい」と憧れるファンがあとを絶たないのもそのためです。

一部報道によると、スカイマークがキャンセルしたA380をANAが引き受けるそうです。近く正式発表があるかも知れません。A380は日本の航空会社にもフィットする機種なのか? 今後、どんなところに注目していくべきか? 私がときどきお邪魔するTOKYO FMラジオの朝のニュース&情報番組「クロノス」で明日21日・木曜日に、番組パーソナリティであるスポーツジャーナリストの中西哲生さんの質問に答えることになりました。「SUZUKI BREAKFAST NEWS」という8時から10分ほどのコーナーです。

S.Akimoto at 14:00|Permalink

2015年11月11日

歴史的な一日

 
2015年11月11日──。ついにこの日が来ました。夢の国産ジェット機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行が、本日午前中に実施されます。歴史的な一日になるのは間違いありません。その瞬間に立ち会うため、取材パートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏とともに、いま県営名古屋空港へ向かっています。


予定された初飛行が何度か延期になり、11月の第2週行うと発表されたのが10月23日(金)。再度の延期を懸念する声も出ていたものの、その翌週に国土交通省から飛行許可が下り、11月1日(日)には初飛行に向けた高速走行試験も開始されたことで「いよいよだな」と感じていました。

昨夜は私、東京・南青山で開催された米国観光局のパーティに出席していました。お世話になった人からの招待で、早くから約束していただけに、こちらも外すわけにはいきません。昨日午後にひと足先にクルマで向かっていたチャーリィ古庄氏に、私が宿泊予定のJR名古屋駅前のホテルで今朝の早い時間にピックアップしてもらえるよう依頼し、パーティ終了後に東京駅からの最終の新幹線に乗り込んだのです。

これから始まるMRJ初飛行の取材は、近く刊行する書籍(ムック)のメイン特集のためのもので、ここで詳しくお伝えできないのが残念です。せめて直前の状況だけでもお知らせしておこうと、Blogで書くことにしました。みなさんが今日一日の活動を始め、これを読む頃には、すでに初飛行を成功裏に終えて県営名古屋空港は感動に渦につつまれているかも知れません。

S.Akimoto at 05:20|Permalink

2014年06月19日

サッカーW杯余話

 
盛り上がっていますね、サッカーW杯のブラジル大会。私も翌日の仕事を気にかけながら、夜中や明け方の試合をついテレビで観始めてしまうと、もう止められません。どのカードもレベルが高く、感動すら覚えます。そんな陰で、航空にからんだ聞き捨てならない二つのニュースが入ってきました。二つとも、時事通信が伝えたものです。


一つは、1カ月前に報じられた「ブラジル航空当局は(サッカーW杯の)大会期間中、飛行機の離着陸時間が遅れた場合に航空会社に最大4万ドル(約400万円)の罰金を科すこともあり得ると警告」というニュース。読んでいて、我が目を疑いました。フライト遅延による観戦客の混乱を避けるのが狙いだそうですが、こんなバカな話、ありますか? W杯の開催中だろうが、平時だろうが、3次元の空間を飛んで行く飛行機は遅れるときは遅れます。乗客からのクレームを恐れて、悪天候の空港からなかなか着陸許可が下ないことに苛立った機長が無理に着陸を決行して墜落する──そんな事故がかつて実際にありました。ブラジルの航空当局というのは、何を考えているのか。

もう一つは、今週配信された「中国の航空会社が操縦士らにサッカーW杯ブラジル大会の徹夜での観戦を禁止した」というニュース。これも、わざわざ会社が規制しないといけないことですか? サッカーを観る自由は機長にも副操縦士にもありますし、かといってエアラインのパイロットが徹夜してフラフラの状態で乗務につくなんて考えられません。その中国系航空会社の社員たちのモラルは、そんなに低いのでしょうか?

さて、明日はいよいよ、日本代表の絶対に負けられないグループリーグ第2戦です。キックオフは、日本時間の朝7時。ちょうど通勤時間帯にかかるため、オフィス街のカフェなどでは早めに来たオフィスワーカーたちに出社ぎりぎりまで店内のテレビで試合観戦を楽しんでもらおうと営業開始時間を早めたり、会社によっては定時の出社時間を遅らせたり──いろいろ工夫をしているようです。こういうことは、大いにやってほしいですね。なにせ、世界中が沸く4年に一度のお祭りなのですから。

S.Akimoto at 16:42|Permalink

2014年06月12日

重量管理システム

 
パラオから戻っています。予想どおりWi-Fi環境がよくなくて、現地でのBlog更新はかないませんでした。写真の整理ができたら少しずつ報告していきたいと思います。渡航中は、日本のニュースもほとんど見ていません。出発直前の6月5日にJALの重量管理システムの障害で国内線の174便が欠航になり、留守中にそれに関連する出来事がいくつかあったと帰国後に知りました。


といっても、私がどうこう言うような出来事ではありません。JALの植木義晴社長が「大量欠航」についてお詫び会見を開いたとか、翌日にANAの現役機長がJALのフェイスブックに「調子乗ってるんじゃねえよ!」と書き込んだとか。その程度です。機長の書き込みは、まったくいただけませんけど(笑)。

読者の方からは「重量管理システムのトラブルとはどういうものか?」という質問がありました。旅客機の運航にとって、重量バランスの管理はとても大切です。旅客や貨物、燃料を含めたトータル重量だけでなく、機体の前後・左右の重量バランスをうまくとることも安全運航には欠かせません。左右のバランスが悪ければ飛行中に機体が傾いてしまいますし、前後のバランスが狂えば機首の上下方向の向きが不安定になります。そこでチェックイン時には、預け入れ荷物の重量をはかり、さらに乗客の平均的な「みなし体重」をもとに一人ひとりをいくつかに区分けした機内の各ブロックに同程度の重量になるよう振り分けていきます。その作業を行うのが、今回トラブルのあった重量管理システムです。

コンピュータが未発達だった時代は、上記の作業は人の“カン”に頼っていました。チェックインの際にカウンタースタッフが見た目で乗客の体重をこっそりと予想し、そのデータを打ち込んでバランスがよくなるよう座席を割り当てていたのです。当時を知る社員から「あの頃は、ひと目で体重を言い当てられる“目利き”の先輩が多かったんですよ」という話も聞きましたし、海外ではカウンターで荷物を預けるときにスーツケースだけでなく乗客も体重計に乗せられる国がいまだに存在します。上の写真がそのときのもので、これには私もびっくりしました。

S.Akimoto at 00:15|Permalink

2014年04月22日

JALクルーが人命救助

 
テレビの報道番組では連日、多数の死者や安否不明者を出している韓国の旅客船セウォル号の沈没事故を取り上げています。沈みかけた船から乗客をすみやかに避難させる措置を、船長や乗組員らはなぜとれなかったのか? 私も疑問に思って繰り返しニュースを見ていますが、先週末のこと──画面はふと別の話題に切り替わりました。セウォル号のニュースの次に映し出されたのは、JALの客室乗務員二人が成田空港警察から表彰ているシーン〔写真〕。とてもいい話なので、紹介しましょう。


そのアクシデントは今月8日、台北からの便が到着した直後の成田空港で起きました。到着後、コンコースを歩いていた台湾からの男性(67歳)が突然、その場で倒れたのです。男性のもとへ駆けつけたのは、近くを歩いていた二人の女性──JALの客室乗務員の粕谷理恵さん(写真左)と吉村亜希子さん(同右)。プライベートで台北を旅行してきた帰りで、たまたま乗客として同じ便に乗り合わせていたのでした。

男性は意識がなく、呼吸もしていません。二人はすぐに荷物を放り出し、行動を起こしました。吉村さんが心肺を蘇生させるための心臓マッサージを始め、粕谷さんが男性の手を握って脈が戻るかを確認します。そんな役割分担を無意識のうちにしていた、と二人はあとで話していました。心臓マッサージは5分ほど続きます。とにかく必死に、男性に向かって「がんばってください!」と声をかけながら。

粕谷さんと吉村さんの懸命の救命措置で、やがて男性の意識は回復し、到着した救急隊により病院に搬送されました。二人が咄嗟の判断で男性を救えたのも、機内で急病人が発生した場合などに備えて日頃から訓練を続けているからでしょう。そんな二人に成田空港警察は感謝状を贈ったのですが、重大な事故に直面しながら何も行動を起こせないセウォル号の乗組員と、勤務外の時間でありながら適切な処置で一人の命を救ったJALのクルーと──極めて対照的な二つのニュースでした。

S.Akimoto at 07:31|Permalink

2014年04月13日

エアアジア、再び

 
マレーシアに拠点を置くアジア最大LCC、エアアジアが、2015年にも日本へ再上陸するかも知れません。東京都内で今週、メディアの取材に応じた同グループのCEO、トニー・フェルナンデス氏が明らかにしました。こんどこそ“アジアの旋風”を巻き起こすのでしょうか。


エアアジアがANAとの合弁でエアアジア・ジャパンを立ち上げ、国内3番目のLCCとして就航したのは2012年の8月でした。順調に離陸したかのように見えましたが、搭乗率が思ったように伸びず、業績低迷からANAとの合併を解消して昨年6月に日本の空から撤退。それについてフェルナンデス氏は「他社と手を組んだのは初めての経験。船頭役が2人いては、意思決定もままならなかったよ」と振り返ります。

その後、ANAは単独で新ブランドのバニラエアを離陸させ、こちらは快調に国内や近隣アジアへと翼を広げています。同社は「リゾートLCC」というコンセプトを明確にし、日本の市場に見合ったサービスも採り入れました。日本で成功するには日本式の経営が必要ということかな、とも思います。

一方、もとはレコード会社ワーナーミュージックの幹部だったフェルナンデス氏が航空業界に進出したのは2001年。「マレーシアで飛行機に乗れたのは当時、人口のわずか6%にすぎない。ならば残りの96%の人たちのために安い飛行機を飛ばすことで大きなビジネスになると確信した」というのがそのきっかけです。エアアジアは飛行機を、まさに列車やバスのような格安運賃で利用できる乗り物に変えました。同社の機体には、こう記されています──「NOW EVERYONE CAN FLY(いまや誰でも飛行機に乗れる)」。再上陸するエアアジアは、はたしてどう変わるのか? あるいは変わらず独自路線を貫くのか? 注目したいと思います。

S.Akimoto at 23:23|Permalink

2014年04月10日

液体物が許可に?

 
空港で検査場を通って国際線を乗り継ぐ場合、これまで酒類など液体物の機内への持ち込みは禁止されていました。それが本日(4月10日)から成田空港で、最新機器による検査を受けることで「許可」されることに。利用者にとっては嬉しいニュースです。


そもそも液体物の持ち込みが禁止になったのは、2007年3月でした。きっかけとなったのは、前年の2006年8月に英国ロンドンのヒースロー空港で発覚した旅客機爆破テロ未遂事件。摘発された犯行グループは、スポーツ飲料に仕掛けを施した爆発物で航空機を爆破しようとしていたのです。その事件を受けて、国土交通省は「機内に持ち込める液体物は100ミリリットル以下の容器に入れ、1リットル以内の透明で再開封可能な袋に入る範囲内」といった新たなルールの適用を開始しました。

禁止された液体物には、一般の飲料品や化粧品などのほか、歯磨き粉やヘアジェルなどのジェル類、エアゾール、スプレー類なども含まれていました。そうとは知らずに持ち込もうとしてそれらを空港検査場で強制的に「没収」されるケースが頻発し、当初は旅行者からの不満の声が続出。今日から持ち込みを「OK」とした理由は技術の進歩だそうで、乗り継ぎの検査場で液体物を最新式の機器に通し、問題がなければ「STEB(ステブ)」と呼ばれる不正開封防止袋内に密封することで許可されるのだとか。

それで、本当にテロ対策は大丈夫なのか? 私も詳細はわからないので、近く安全面を検証するための取材をかけたいと思います。

S.Akimoto at 23:44|Permalink

2013年11月04日

オートパイロット

 
米連邦航空局(FAA)が離着陸時でもスマートフォンなどの電子機器の使用を認める規制緩和案を発表したことについて、先週金曜日のNHKのニュース番組『NEWS WEB』で解説し、さらに誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』でも緊急寄稿しました。この問題に対する関心は予想以上に高いようで、記事にも多くの反響が寄せられています。


これまで電子機器の使用を禁止していた理由として、記事では「旅客機のオートパイロット(自動操縦システム)は受信する電波などに多くを頼っているのに対し、携帯電話などから発信される電波は本来受信すべき電波を妨害しコクピットのコンピュータを誤作動させる恐れがあるとされてきた」という趣旨のことを書きました。詳しくは誠Styleの記事をご覧いただくとして、今日はその「オートパイロット」について取り上げます。

オートパイロットは「APS(自動操縦装置)」「ATS(自動推力調整装置)」「INS(航法装置)」などを統合したシステム。近年はコンピュータ技術の発達で、オートパイロットに任せられる範囲もぐんと広がりました。離陸さえしてしまえば、あとは上昇して水平飛行に移り、目的地の空港への進入まですべてオートパイロットで行うことができます。では、このままテクノロジーの進化が進むと、いずれは離着陸もオートパイロットが代行し旅客機のコクピットは“無人化”するのでしょうか?

軍事目的では「無人偵察機」が実用化されているものの、民間機でコクピットにパイロットがいない機体が飛ぶことはありえない──航空機メーカーやエアライン各社の間ではそんな意見が多数派を占めるようです。技術がどれだけ進歩しようと、機体や操縦システムに予期せぬトラブルが発生する可能性はゼロではありません。操縦はコンピュータに任せても、そのシステムを監視するのはやはり人間の目です。飛行計画に基づいてコンピュータにデータを入力するのもクルーの役割ですし、天候の急変によってときには飛行計画そのものをクルーの判断で見直さなければなりません。自動での着陸も現在は可能になっていますが、ただ機会任せにしておけば安全だと考えているパイロットはいないようです。

S.Akimoto at 17:46|Permalink

2013年07月08日

アシアナ機事故

 
世界の主要空港には「ILS」という、空港近くの地上施設から電波を発射し、旅客機が飛行している上空の現在地点から滑走路の着地点まで目に見えない“道”をつくってやる装置が設置されています。このILSがあるため、旅客機はたとえ濃霧の視界がほとんど利かない中でも、安全に降りることができます。


ILSは機能していなかったのかなあ。着陸時に操縦していたのは機長ではなく、訓練中の副操縦士だったのでは? 米国サンフランシスコ空港で起きたアシアナ航空機の着陸失敗事故のニュースを聞いて、私の中でいろんな疑問がわき上がりました。その事故から丸一日が経過し、事実が少しずつ明らかになってきたようです。その中には「やっぱり」と思う点も少なくありません〔写真は某テレビのニュース番組より〕。

じつは昨日、テレビなどいくつかの電波媒体から、番組への出演オファーをいただきました。迷ったのですが、最終的にはどれもお断りして、いま進めている原稿書きに集中させてもらうことに。私の代わりに解説してくれる人はいっぱいいますし、むしろ航空評論を専門にする人のほうがいいと判断しました。多くの読者から「どの番組でコメントしますか?」と問い合わせをいただいたので、その答えとして今日はこんなBlogを書いています。

私は本来、評論家ではありません。航空ジャーナリストの肩書きで旅を取材する仕事などをしていますが、航空ジャーナリストである前に「作家」であり、できるだけモノを書く仕事に集中していきたい。そんな希望もあり、これからは従来以上に仕事の中心を作家業にシフトしていこうと考えています。

S.Akimoto at 18:27|Permalink

2013年05月01日

宇宙は遠い

 
大気圏を越え、高度110キロの宇宙空間へ。誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で以前、そんな一文で始まるレポートを書きました。『2012年宇宙の旅』というタイトルで、ヴァージンギャラクティックが計画する民間人向けの宇宙旅行を紹介したものです。


2012年は過ぎてしまいましたが、これに関連した新しいニュースが昨日届きました。アメリカ・カリフォルニア州のモハベ砂漠上空で現地時間の4月29日、宇宙船(スペースシップ2)をロケットエンジンで飛行させる初の実験に成功した、というニュースです。夢の宇宙旅行の実現に向け、これは大きな一歩になるでしょう。

同社が計画する宇宙旅行の詳細について、改めて簡単に説明しておきます。双同型のマザーシップで高度16キロ付近まで運ばれた宇宙船〔写真=ヴァージンギャラクティック提供〕は、切り離しが行われたあとでロケットエンジンを始動させ、音速の3倍のスピードで高度110キロの宇宙空間へ。乗客はそこから約4分間、無重力空間を体験し、宇宙船のパノラマウインドウから無限に広がる漆黒の世界で透明に輝く星々や地球の“生”の姿を観察します。トータルで2時間のフライトです。

3日間の事前訓練なども含めた値段は、一人20万USドル。現時点での申し込みはすでに500人を超えたそうです。20万USドルというと、私がレポートを書いた2011年7月当時では約1,600万円でしたが、円安が進んだ現在のレートでは約2,000万円に跳ね上がりました。ですが、夢を手に入れるのにおカネに糸目をつけてはいられません。年内にもいよいよ実現する可能性があるので、そろそろ私も申し込まなければ! そう思っていま自由になるおカネを調べたら──残念、1,997万円足りない。あ〜あ。

S.Akimoto at 00:07|Permalink

2013年01月19日

電源トラブル

 
ボーイング787関連の報道が加熱しています。18日も私は、結局多くの時間をテレビやラジオ、新聞の取材対応に割くことになりました。もちろん重大な事故ですし、その詳細を伝えることはとても重要ですが、一部に誤解を招くような内容も出てきているなと感じています。


787はこれまでとは違う、まったく新しいチャレンジでした。従来のアルミ合金に代わるカーボンファイバー複合材をボディや主翼の素材として多用。大胆な軽量化を実現した結果、燃費が20%も向上しています。素材を新しくしただけではありません。外見ではわからない、機体を構成するさまざまなパーツに軽量化・コンパクト化を求め、新開発の要素技術を細部にまで取り入れることで完成した旅客機なのです。

軽量化への取り組みの一環として、従来は油圧で機械式に動かしていた翼や舵、ブレーキなどを電気で動かす仕組みに変えました。その結果、使う電気の量は大幅に増え、787を「電気飛行機」などと呼ぶ人もいます。今回、ANA機でトラブルのあったバッテリーおよび周辺機器も大きく言えば電気システムの一つであり、私は「軽量化・コンパクト化への取り組みのなかで、無理をしてしまった部分に歪みが出てきていることも可能性の一つとして考えられる」と指摘しました。

しかし電気式に変えたといっても、フライト中に翼や舵、ブレーキなどを動かす電気は従来どおりエンジンで発電してまかなっています。そのため、搭載している発電機などもより強化されていて、今回の事故ではそこが壊れたわけではありません。「変色して電解液が漏れ、内部が炭化したように黒くなっていた」とされるのは、エンジンが止まっている駐機中や非常時に補助電源として使うバッテリーの部分です〔写真は国交省運輸安全委員会から公開されたメインバッテリー内部の様子〕。補助電源だから問題ないと言いたいわけではありませんが、上記の点を誤って解釈している報道も見られますので、今日もいくつかのテレビ番組の取材時に、また過去にインタビューを受けた新聞社の人たちにも連絡をとって改めて詳しく説明しました。

トラブルのあった787が緊急着陸した高松空港では、18日もANAが全面協力しての国交省運輸安全委員会による調査が進められました。その進捗状況などの報告は随時、現場のANA関係者からも届いています。不具合をすべて洗い出し、原因を徹底解明して、よみがえった“夢の飛行機”が再び世界の空に飛び立つのを待ちたいと思います。

S.Akimoto at 01:10|Permalink

2013年01月17日

番組コメンテーター

 
最初の一報が届いたのは、朝9時半を回ったときでした。「ANAのボーイング787のコクピットから煙が上がり、高松空港に緊急着陸した」と。787の相次ぐ機体不具合については1月11日のBlogで触れましたが、今回は地上ではなく上空を飛行中のトラブルです。私の口から「まずいな!」という言葉がこぼれたのとほぼ同時に電話が鳴り始め、その対応に追われている最中にPCは「未開封」のメールでいっぱいになりました。


連絡してきた相手は、テレビ局の報道部やニュース番組担当ディレクター、ラジオ局の番組制作スタッフなど。大手新聞社の記者も混ざっています。用件はすべて、787の事故について特集する番組への出演依頼や、インタビューの申し込みでした。

予定していた原稿書きはとりあえずあと回しにして、午後に入れていたいくつかのアポも相手に詫びを言って先延ばしに。すぐに支度をし、テレビ局のスタジオに向かいました。生出演する番組から優先し、オンエアが先の時間の番組には録画収録の形で、そしてその合間にうまく時間をつくって新聞記者からの電話インタビューを受けます。慌ただしかった一日が何とか終わり、自宅に戻ってビールを開けたら、再び鳴った電話が深夜のニュース番組への出演依頼でした。

上の写真は、先週金曜日(1月11日)の夕方、成田空港で撮ったものです。ANAの787によるサンノゼ線就航セレモニーを取材し、その初便をランプエリアに降りて見送りました(もちろん一般の人は立ち入ることはできません。取材申請をして、許可をとって降りています)。滑走路に向かって地上走行を始めた機体に、私は「いいフライトをしてこいよ!」と手を振ったのですが。

787は開発のスタート当初から取材を続けてきた旅客機で、応援する気持ちにいまも変わりはありません。応援しているからこそ、今日一日、私はしっかりと自分なりの見解を伝えることを心がけました。“辛口過ぎる”ととる視聴者もいるかも知れませんが。明日も朝5時に迎えのクルマが来て、テレビ局へ。午前中にいくつかの番組に出演し、それが終われば、本来の「物書き」の生活に戻れる予定です。

S.Akimoto at 00:55|Permalink

2013年01月14日

成人の日に

 
朝から雨や雪まじりのあいにくの空模様です。昨日までは冬晴れの天気が続いたのに。それでも駅の改札口では、晴れ着姿の若者たちを何人も見かけました。中学や高校のときの同級生たちと待ち合わせ、式典会場に向かうのでしょう。傘をさして数人で寄り添っていく姿を遠目に、ふと考えました。今日成人式を迎えるのは、1992年4月から93年3月までに生を受けた人たち。彼ら、彼女らが時を刻み始めた20年前の1993年は、航空界ではどんなことがあった1年だったかな──と。


まず機体の関係では、この年の3月11日にエアバスのA321が初飛行しました。A321はA320ファミリーの一つで、胴体を伸ばしたストレッチ型。単通路ベストセラー機A320の初飛行からは6年が経過していました。そして同年5月3日には、ボーイングの貨物専用ジャンボ機747-400Fが初飛行を遂げます。

エアライン関係では、カタール航空が1993年11月22日に設立されました。同社はこの20年間で急成長し、現在は首都ドーハから世界110都市へ路線網を拡大。カタールは2022年のサッカーW杯の開催地に中東で初めて選出されています。そのフラッグキャリアとして、今後さらに大きな飛躍が待っているかも知れません。

空港の関係でも重要な出来事がありました。「ビッグバード」の愛称で親しまれる羽田空港の新ターミナルがグランドオープンしたのが、1993年の9月27日です〔写真=チャーリィ古庄氏撮影〕。あれからもう20年が経ったなんて、なんだか信じられません。その後、2004年に第2ターミナルが完成し、第1と第2をJALグループとANAグループで使い分けるようになりました。2010年10月には新しい国際線ターミナルも供用を開始し、羽田空港もこの20年でめまぐるしい変貌を遂げています。

以上、今日は静かな雪音を聞きながらの仕事の合間に、20年前の航空界を簡単に振り返ってみました。成人式を迎えたみなさん、おめでとうございます。これからの活躍を祈っています。

S.Akimoto at 12:28|Permalink

2013年01月11日

トラブル続発

 
年明け早々、目がまわっています。仕事始めの1週間は書き物に集中するつもりでしたが、ボーイング787のトラブルが相次ぎ、予定が狂いました。米国ボストンで7日、JALの787のAPU(補助動力装置)用バッテリーから発火し、翌8日にはやはりJAL機(機体は別)の燃料タンク配管部分の不具合で燃料漏れが発覚。それらのトラブルについて急きょラジオ番組に出演してコメントし、終わって執筆作業に戻ったら、飛び込んできたのがANAの787がブレーキ制御システムの故障で山口からの便が欠航になったというニュースです。この件でも、テレビ取材の対応に深夜まで追われました。


とても気になります。「新型機に初期不良はつきものだよ」という人もいますが、それで済む問題でしょうか。家電製品やPCなどの場合は「新製品が出てもすぐに飛びつかず、初期不良が出尽くしてきちんと改善された時期に買え」という意見があります。ですが、航空機の初期不良を容認することはできません。たくさんの乗客を乗せて飛行中に「初期不良が見つかったので止めますね」というわけにはいかないですから。

開発が3年遅れ、マスコミも「夢の旅客機は夢で終わる?」という論調で騒ぎはじめたとき、私は「787は従来の旅客機とはまったく違う、ある意味では未知へのチャレンジだ。だから予期せぬトラブルがあるのは当たり前。開発の遅れをとやかく言うべきではない」とボーイングを擁護してきました。その一方で、ボーイング側にはこう伝えてきたのです──「待つ代わりに、完成品は100%完璧な形で納入してほしい」と。

787にとって、これからが世界の空を飛び始める大事な時期です。トラブルが続いている事実は、事実としてしっかり受け止めなければなりません。「今後の運航にはまったく問題ない」などという根拠に乏しい発言は慎んで、メーカー(ボーイング)もユーザー(エアライン)も一致協力して原因究明に取り組み、その結果「何が理由でどの部分にどんな不具合が発生し、どういう形で対応したか」をすべてオープンにしていくことが必要でしょう。それなくして、利用者の信頼をつなぎ止めることはできないと思います。

今日──1月11日の夕方、ANAの787による成田/サンノゼ線が新規に就航します。その記念セレモニーなどを取材するため、私も午後から成田に向かいます。

S.Akimoto at 00:07|Permalink

2012年12月20日

事故機のその後

 
あれはちょうど半年前──2012年6月20日でした。北京発の成田行きANA956便が、成田空港着陸の際にハードランディングになり、機体の一部が変形。これは国土交通省により「事故」と認定され、その後は運輸安全委員会による事故の検証が進められます。956便で運航していたのはボーイング767(レジ番号=JA610A)で、ANAは当局の調査に全面協力しながら、社内でも原因究明や再発防止のための取り組みを継続してきました〔写真は、北京空港で撮影したANAの767〕。


じつは今日、ANA広報から「事故機(JA610A)の必要な修復・整備作業を実施し、定められたすべての検査・確認が完了。そのことをホームページでも報告しています」と連絡がありました。同機材は12月26日より成田/上海線で運航を再開し、その後はアジア地区の国際線を中心に使用していく予定だそうです。

これを聞いて、読者の中には「え、事故機をまた飛ばすの?」と不安に思う人もいるかも知れません。ある人は私に「こんなこと、いちいち報告しなくても、6月20日の事故のことすら忘れている人も多いのに」と言いました。ですが私は、情報をきちんとオープンにする姿勢はやはりとても大事だと思います。

事故を起こすこと自体は、もちろん絶対に「ゼロ」に近づけなければなりません。では、アクシデントがあった場合の機体は、どうするのか? 単純に言って、修理できないものは廃棄する、修理できるものは念入りに手をかけて新品に近い形でよみがえらせて再び活用する──その2つの道しかないでしょう。そして後者の場合は、修理・整備を完璧にやり終えたことをきちんとアナウンスする、それも大事です。広報は「この件に関しては、ホームページでご意見やご要望に対応するためのデスクも用意している」と言いました。問い合わせの電話番号なども明記してあります。今後アジア線に乗る予定のある人で、事故後の経緯や機体の状況などに少しでも不安のある人は、何なりと意見をぶつけてみるといいかも知れません。

S.Akimoto at 23:25|Permalink

2012年06月06日

スカイマークの波紋

 
思わぬ波紋が広がっているようです。格安運賃で空の旅を提供しているスカイマークが利用者への対応方針を文書で示した「サービスコンセプト」に対し、消費生活センターがその文書の回収などを求めて抗議。さて、この一連の騒動をどう見るか? 私もアメリカとドイツ取材から帰国したばかりで、まだ状況がうまくつかめていません。しかし昨日今日と「これって、どうなのですか?」という質問が集中しているので、先ほどテレビ朝日の取材に応じました〔写真はイメージ〕。


乱暴な言い方をすると、「LCCとはそういうもの」です。そうやって“サービス”の部分をカットすることでコストを抑え、LCCは格安運賃を実現してきました。欧米では、出発が遅れて4時間も5時間も待たされても、誰も何も説明してくれません。

ただし、欧米では成功しても、そういうLCC流のビジネスがはたして日本の市場にどこまで定着するのか? 私はそのことを指摘してきました。日本人にとって空の旅は特別で、単なる「移動」とはなかなか割り切れない。安くても飛行機に乗るんだから、乗務員は親切に対応してよ──と。そんな日本人旅行者に対して「苦情はいっさい受け付けない」というのは、日本の市場を知らなすぎます。しかも「荷物の収納の援助をしない」とか「客室乗務員に丁寧な言葉遣いを義務づけない」といった対応は、決してコストカットに結びつくものではありません。荷物上げを手伝うのも、楽しくコミュニケーションをとるのも、コストとしては「ゼロ円」です。むしろ荷物上げをせっせと手伝ったやったほうが、早く出発できてコスト削減につながるのでは?

まあ、スカイマークがどんな意図で自社方針を文書化したのかは、私にはよくわかりません。そのことはさておくとして、これが乗務員本来の「保安要員」としての役割となると、また話は変わってきます。安全に関わる部分に手を抜くようなことがあれば、それは徹底的に追求されるべきでしょう。パイロットが規定高度より低いエリアから空港へアプローチしたり、指定されたのと違う滑走路に降りてしまったり──スカイマークはここ数カ月でそんな“不祥事”を繰り返してきました。そのことで利用者サイドから釈明を求められたら、これはきちんと真摯に答えなければいけません。

そんなことも含めて、私は先ほど、今回の騒動についてテレビ朝日の取材に答えました。意図するところはちゃんと伝わったかなあ。明日(6月7日)朝8時からの情報番組「モーニングバード」のコーナーでオンエアされるそうですので、興味のある方はどうぞ。

S.Akimoto at 22:45|Permalink

2012年04月13日

少ない水で機体清掃

 
エールフランス航空から昨日、環境保護の取り組みについてユニークな発表がありました。機体の外装を清掃するのに、従来と比べて100分の1の水しか使用しない方法を開発した──というのもです。これまで中距離線の機材では実績のあるこの方法を、今後は長距離線で運航する大型機でも採用していくことも報告されました。


新しい清掃方法では、小さなシートにクリーニング材を染み込ませて使用します。これにより使う水の量を従来の100分の1程度に減らし、作業時間も3分の1に短縮。ボーイング777の場合、これまでは1万リットルの水が必要だったのが、新方式では100リットルに抑えられるそうです。777よりもさらに大きなエアバスA380なら、効果はより増すでしょう〔写真はエールフランス航空のA380=チャーリィ古庄氏撮影〕。

水を節約するだけではありません。機体の外装を常にきれいに保つことで、空気抵抗が少なくなり、CO2の排出量を減らすことが可能です。エールフランス航空はこの方式で、すでに年間800万リットルの節水と57トン以上のCO2排出量の削減に成功してきました。

エアライン各社の環境保護活動が加速しています。2011年後半にはルフトハンザがハンブルグ/フランクフルト間で半年間にわたりバイオ燃料によるデイリー運航を実施。その詳細は『誠Style』でのレポート「7億円を投資してバイオ燃料の旅客機を飛ばすルフトハンザの本当の狙い」でも報告しました。エールフランス航空とルフトハンザ──競うように環境問題に挑みつづけるこの両社が、いずれも環境規制の厳しいヨーロッパのエアラインであることにも、私は注目しています。

S.Akimoto at 14:29|Permalink

2012年03月30日

どうした、ピーチ!!

 
搭乗便が空港に到着し、ボーディングブリッジが接続されると、機内に業務連絡のアナウンスが流れます──「客室乗務員はドアモードを変更してください」。すると乗務員は、自分が担当するキャビンのドアに向かって何やら操作を開始。あれはいったい、何をしているのでしょうか?


乗客を降ろすためにドアのロックを外している、と思っている人も多いようですが、そうではありません。旅客機のキャビンのドアには、緊急脱出用のスライドシュートが収納されています。緊急時に内側からドアを開けると、スライドシュートに自動的にガスが充填され、ドアから地上や海に向かって下りていくという仕組み。そんなものが空港で乗客が乗り降りする通常の状態で作動してしまったら大変なので、旅客機が空港に降りているときは客室乗務員によるドアモードの「ディスアームド・ポジション」への変更──つまり緊急脱出装置の作動を解除する作業が必要になるわけです。

28日(水)の午前8時半ごろでした。関西を拠点に3月1日から運航を開始したLCCのピーチが、長崎空港を出発前の機体の緊急脱出用スライドシュートを客室乗務員が誤って作動させるというトラブルが発生。乗務員は搭乗者を確認するため、一度閉めたドアを開ける際に、脱出装置の解除をうっかり忘れてしまったそうです。

出発準備などの作業を効率化して旅客機が空港にとどまっている時間を短縮し、1機の旅客機を1日に何往復もさせることで収益を上げる──それがLCCのやり方です。しかし1便1便の安全性維持にかける時間までは、絶対に縮小してはいけません。客室乗務員の仕事で一番大事なのは「保安要員」としての役割であり、既存のエアラインでは一人ひとりが「プロ」としての責任と自覚をもって仕事をまっとうしてきました。そのために日々厳しい訓練を重ね、実際のフライトでは常にさまざまなシーンを頭に思い浮かながら、いかなる状況下でも必要な行動を確実かつ迅速にとれるようシミュレーションしながら乗務に当たっています。

今回のピーチのトラブルは、そうした認識の「甘さ」が露呈した結果になったのでは? 単なる一乗務員のミスで片づけるべきではないでしょう。これは会社全体の問題です。だって、反対のケースを想定してみてください。出発時にドアモードの「アームド・ポジション」への変更をうっかり忘れてしまったら、緊急時にドアを開けてもスライドシュートが作動せず、乗客は機外への脱出ができなくなるのですから。どれだけ格安で運賃を提供できても、安全面で利用者に不安を与えるようなことがあってはLCCに未来はありません。ちょうど本日、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で、LCCの安全性について考察したコラムをアップしました。

≫≫≫「“激安運賃”で注目のLCC。安全性は本当に大丈夫なのか?

S.Akimoto at 12:11|Permalink

2012年02月27日

ニコニコ生放送

 
いよいよ今週、ピーチ・アビエーションが関西国際空港から離陸します。初就航は3月1日(木)の朝7時に発つ札幌・新千歳行き。一般の乗客に混じって多くのメディア関係者が実際のフライトを搭乗取材する予定で、親しい記者仲間やカメラマンらからも「私も乗ります!」と報告が届きました。


私は3月15日に刊行になる『みんなが知りたいLCCの疑問50』(サイエンス・アイ新書)を前日いっぱいで校了し、就航当日のその時間はおそらくまったく違う仕事の原稿を書いていると思いますが、ピーチ初就航の様子はネットでのライブ動画配信サービスの『ニコニコ生放送』でリアルタイム中継されます。そして午前中いっぱいで執筆の仕事を切り上げ、午後のフライトで私も羽田から関空へ。当日の17時より、同じ『ニコ生』で現地から「2012年。LCCが日本の空の旅を大きく変える!?」という1時間30分の生番組を受け持つことになりました。

本格的な和製LCCの第1号となるピーチに続き、ANA系のエアアジア・ジャパンやJAL系のジェットスター・ジャパンが相次いで就航する2012年。LCCの登場でこれからの旅のスタイルはどう変化するのか? そもそもLCCとは何なのか? その“激安運賃”のヒミツは? 関空展望デッキの特設ブースより現地の映像を交えながらの1時間半──さまざまな角度からLCCを分析・展望し、その舞台裏などをわかりやすく解説していきたいと思います。

S.Akimoto at 10:13|Permalink

2012年02月15日

LCC元年が始まる

 
ピーチの就航まであと2週間に迫り、マスコミ各社からはLCCに関する取材依頼が一気に増えてきました。7月にはJAL系のジェットスター・ジャパンが、翌8月にはANA系のエアアジア・ジャパンも相次いで離陸。まさに「LCC元年」といわれるように、2012年の日本の航空界はLCCの話題一色に染まりそうです。


格安で空の旅ができることで利用者たちの期待も集まっているようですが、では、旅行会社にはLCCはどう映っているのか? その点に疑問を感じていたら、日刊Web業界紙『トラベルビジョン』が独自に実施したアンケートの調査結果を報じていました。

上のグラフが、旅行会社のLCCとの関わり方についての回答です。小さくて見えづらいですが、回答を寄せた30社のうち「すでに販売をしており、今後も積極的に販売していく」が7社、また「販売はしていないが前向きに検討している」が5社あり、前向きな意見が全体の4割を占めました。LCCといえば、旅行会社を通さずネットでの直販システムを構築しているのが特徴です。しかし旅行者のニーズがある以上、各社とも無視できないのでしょう。ある旅行会社では昨年、福岡と関西、成田から韓国・釜山への路線に就航しているエアプサンを利用したパッケージ商品を販売したところ、すぐに売り切れたそうです。

さて、このところずっと執筆に集中していたLCC関連の本ですが、今週初めにようやく脱稿。『みんなが知りたいLCCの疑問50』というタイトルで、ソフトバンククリエイティブから予定どおり3月15日に発売されることが決まりました。出版社からはぼちぼち初校のゲラが届き始め、現在は著者校正の作業に進んでいます。校了まであと2週間。中高生や旅好きの女性たちにもわかりやすく、読み物としても楽しい1冊になるよう、最後まで全力でブラッシュアップを重ねていきたいと思います。

S.Akimoto at 23:46|Permalink

2012年01月21日

2012年の流行予報

 
阪急コミュニケーションズより、女性誌『フィガロジャポン』3月号〔写真〕が届きました。最新号のメイン特集は「2012年の流行予報」。ページを開くと、リード文に「お待たせしました! 新しい1年を笑顔でいっぱいにしたいから、フィガロは総力をあげて今年の流行予報を発令します」とあります。


内容をチェックしてみると、モードや美容、インテリア、グルメにカルチャー、そしてデジタルから旅まで──計181のトピックスを網羅した全方位型のトレンド予測を54ページにわたって展開しています。これだけの情報を集めるのは、編集部の人たちもさぞかし大変だったでしょう。

モードや美容、インテリアなどには私はまったく興味ないものの、グルメページでは「へえ、今年はこんな店が流行るの?」とちょっと勉強に。そして次のページをめくると、映画紹介のコーナーで来月26日に発表されるアカデミー賞のゆくえを占っています。編集部の予測は、はたして当たるでしょうか?

またトラベルのページでは、じつは私が、2012年に注目すべき“空の旅”のトレンドについて3つの角度から書きました。興味ある方はどうぞご覧になってみてください。『フィガロジャポン』3月号は昨日より全国の書店で発売になっています。

S.Akimoto at 00:41|Permalink

2011年11月10日

桃のエアライン

 
来ましたねえ、ピンクと白で着飾った派手な機体が。日本初の本格的なローコストキャリア、ピーチ(Peach Aviation)の1号機が今朝9時過ぎ、関西国際空港に到着しました〔写真〕。私も今日は朝から日帰りで関西へ。といっても、このピーチ1号機の取材が目的だったわけではありません。別件での出張でしたが、関空のターミナルにはピンクの機体をひと目見ようと多くのファンや報道陣が集まっていました。


ピーチが使用するのは、エアバスの単通路型ベストセラー機A320です。機首部分は白く、ボディから尾翼にかけては鮮やかなピンクで塗装された機体は、本当に目立ちます。2012年3月に関西から札幌と福岡へ、同5月からはソウルへも飛び始める予定で、日本の空が華やぐことは間違いありません。

昨日は同社の3レターコード(APJ)と2レターコード(MM)も発表されました。3レターコードのAPJが「Air Peach Japan」の頭文字であることは想像できますが、では、2レターコードのMMはなぜ? そんな疑問を持った人も少なくなかったようです。便名などに使われるこの2レターコードは、JALは「JL」だし、ANAは旧社名のニッポンヘリコプターにちなんで「NH」を使用。それらに比べてピーチの「MM」は、たしかに意味がわかりません。

いいえ、私はすぐにピンときました。MMって「MOMO」じゃないかな──と。モモ、桃。つまりはピーチ。心のどこかに「まさかそれはないか」という思いはあったものの、ビンゴだったようです。多くの人たちに親しまれるエアラインに。スタッフたちのそんな願いが、この2レターコードに託されているように感じました。

S.Akimoto at 23:17|Permalink

2011年09月11日

10年前のあの日

 
信じられない事件でした。多数の民間人を乗せた旅客機で高層ビルが爆破・破壊される──そんなことは、誰も予想もしなかったに違いありません。最初のニュース映像が届いたのは、ちょうどテレビで報道番組を観ていたときです。目の前の現実の出来事を、すぐには理解できませんでした。


ニューヨークのワールドトレードセンターに突入した2機は、いずれもボーイング767です。767は双発セミワイドボディ機という、それまでにない新しいカテゴリで登場した機種で、コクピットにはデジタル・アビオニクスが採用されました。飛行に必要なデータは従来型の計器類に代わって6面のCRTで表示。飛行コースや高度・速度の維持、滑走路への進入までをコンピュータによる自動操縦で行います。しかし自動操縦といっても、それは誘導電波や管制塔の支援があってはじめて可能になるもので、林立する高層ビルの間を手動操縦で飛ぶなどという芸当は相当な訓練と経験がなければできません。

2機目がタワーに激突した瞬間はCNNがライブ中継していました。私は繰り返しその映像を眺め、当時まだ「報道」の分野では活用が進んでいなかったWeb媒体に、どのメディアよりも早く送ったのが以下の第一報です。

 ユナイテッド航空175便は機体を30度ほど左に傾けて画面に現れ、バンク角をさらに深くしながら真っ直ぐに“標的”に突入している。バンク角を深めながら高度を下げる操縦法は、じつは戦闘機によく見られる方法だ。操縦桿を握っていたのはおそらく犯人グループの一人に間違いない。これは極めて精密な作戦と周到な準備の上に成立しているテロ行為だろう。
 精密な作戦と周到な準備は、ボストン空港を飛び立ってから短時間で目的を完遂させている点からも読み取れる。旅客機に積む燃料は、着陸時にはほとんどを使い切っているが、反対に離陸直後はまだ満タンに近い。飛び立ってからできるだけ早くビルに激突させたほうが爆発・炎上の威力も増すわけで、そうした行動の裏にも私は計画の残虐さを感じるのだ。


ちょうどいま日付が変わり、10年目の“9・11”を迎えました。何年経っても、あの日の記憶は薄れるどころか、鮮明に脳裏にはりついています。人と人とをつなぎ出会いを演出する、まさに平和の象徴であるべき旅客機が、残虐なテロ行為の凶器に使われる。そんなことが今後、未来永劫、二度とあってはなりません。

S.Akimoto at 00:03|Permalink

2011年07月29日

2012年宇宙の旅

 
30年にわたったスペースシャトル計画が7月21日で幕を閉じ、そして一昨日の27日には“シャトル後の時代”を担う新しい日本人宇宙飛行士3人の記者会見が実施されました。このところ宇宙の話題が続いています。しかしいずれの「宇宙」も、いわば“選ばれた一部の人たち”のもの。一般の人間にとっては、宇宙はまだまだ遠い存在なのでしょうか?


いいえ。一般の人たちも大気圏を飛び出して宇宙旅行を楽しめる日が、じつはもう間近に迫っています。

2010年10月にはアメリカ南部の砂漠地帯に、世界初となる民間宇宙船の発着基地も完成しました〔写真〕。この“宇宙空港”の正式名称は「スペースポートアメリカ」で、米国ニューメキシコ州が200億円を投じて同州南部に建設。3,000メートルの滑走路もすでに整備され、年内にはターミナルビルもグランドオープンします。そして今後、この宇宙空港をキーテナントとして利用することになるのが、民間向けの宇宙旅行計画を進めてきたヴァージングループ傘下のヴァージンギャラクティック社です。

実際に使用するスペースシップも2009年12月に完成・披露され、関係者からは「飛行テストなども現在まで順調に進んでる」と聞きました。民間人旅行者を乗せたスペースシップの初便は、いよいよ2012年にも宇宙に向けて発進します。そこで誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』では、本日より「2012年宇宙の旅」と題するレポートを公開! 同連載の本来のテーマからはちょっと外れるものの、今回は大気圏を超えて高度110キロの宇宙空間へ飛び出し、輝く星々や青い地球をスペースシップから眺める夢の宇宙旅行について紹介しました。

≫≫≫「2012年宇宙の旅。ヴァージンギャラクティックが主催する夢の宇宙旅行

S.Akimoto at 08:05|Permalink

2011年07月21日

ドイツからの招待状

 
何かトラブルがあったのかなあ、と心配していました。今年2月6日のBlogでも報告した、ルフトハンザの新しいエコ実験。ハンブルグとフランクフルトを結ぶ同社の定期路線で、従来のジェット燃料に代わる「バイオ燃料」を使用しての運航が4月より計画されていたのですが、当初の予定より遅れているらしく7月に入ってもまだ始まりません。「準備が整った」という知らせが先週、ようやく届いて、ホッとひと安心といったところです。


すると今週半ば、ルフトハンザの日本での広報を担当するNさんから「招待が来てますよ、フランクフルトの本社から」とさっそく連絡が! ルフトハンザの新しいCEOに就任したクリストフ・フランツさんが初来日したのは、今年1月です(1月25日のBlog参照)。成田で面会し、いろいろ話した中で、フランツさんは「バイオ燃料の実験フライトが始まったら招待しますので、ぜひ乗りにきてください」と言ってくれました。その約束を、ちゃんと覚えていてくれたみたいですね。

問題は、渡航スケジュールです。先方の要望としては、8月下旬であれば、ルフトハンザの技術拠点があるハンブルグ〔写真〕で関係者たちにもインタビューできるとのこと。8月後半はベトナム取材が決まっていますが、Nさんと今日一日やりとりした結果、その日程と重ならないように何とかうまく調整できそうです。ベトナムから帰国してすぐにドイツへ、というハードな夏になりそうですが。

でも、エアライン業界の未来を展望する貴重な機会です。ハンブルグで現場のスタッフたちにいろいろ話を聞き、自分の目でもしっかりと観察して、その結果をいくつかのメディアを通じてみなさんにも報告する予定です。

S.Akimoto at 23:41|Permalink

2011年07月03日

787が、来た〜ッ!

 
ついに、ついに来ましたね。ボーイング787“ドリームライナー”が今朝6時過ぎ、就航を前に空港設備との適合性などを検証するため日本に初飛来! その歴史的な瞬間を見ようと、羽田空港には早朝にもかかわらず多くのファンが詰めかけました。


報道関係者も朝5時前から集まり始め、その数は計120名以上に。新聞や雑誌のカメラマンを中心に、テレビクルーやフリーの記者たちの姿も見えます。米国シアトル郊外のエバレット工場に隣接するペインフィールド飛行場を日本時間の21時11分に離陸したANA塗装の787テスト機は、約9時間のフライトを経て6時21分に羽田空港のC滑走路に着陸しました。

「意外と大きいね」
「シャープな印象で、かっこいい」
「翼が長くて、きれい」
「長かった。3年も待った」

展望デッキではさまざまな声が飛び交います。なかには、感動して涙を浮かべているファンも! 思えばANAへの1号機納入は当初、2008年5月に予定されていました。それが7回も延期され、やきもきしながら開発の推移を見守っていた人も多かったのでしょう。しかしここまで漕ぎ着つければ、2011年秋の初就航は間違いありません。明日も午後から羽田のANA機体メンテナンスセンターで787の披露と記者会見があるので、また取材に行ってきます。

S.Akimoto at 23:38|Permalink

2011年05月16日

太陽光飛行で国境越え

 
スイスから嬉しい報告が届いています。誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』でも先月、2回に分けてレポートしたソーラーインパルスが、太陽エネルギーだけで世界一周飛行を果たすという目標にまた一歩大きく近づきました。


それまでのテストはすべて同プロジェクトが拠点を置くスイス国内でのフライトでしたが、今回達成したのは国境をまたいでのインターナショナルフライトです。目的地に選ばれたのは、約500キロ離れたベルギーのブリュッセル。アンドレ・ボルシュベルグ氏が操縦するソーラーインパルスは、現地時間の5月13日午前8時40分にスイス西部のパイエルヌ飛行場を離陸しました。その後、地上の管制センターから衛星通信システムを使って届く位置情報や飛行データをコクピットで受信しながら優雅に空を舞い、フランス北東部のアルザス上空を通過〔写真〕。ジェット旅客機なら1時間程度のところを約13時間かけて飛行し、午後9時30分にスタッフや地元メディアなどが待つブリュッセル空港に降り立ちました。

ソーラーインパルス・プロジェクトについては最終目標である世界一周フライトを実現するまで、当Blogや誠Styleの連載レポートで今後も逐一報告していきたいと思います。

さて、その誠Styleの連載では、本日より新しい記事がアップされています。タイトルは「新型旅客機が誕生するまで──その開発・製造プロセスを追う」。新しい旅客機が完成するまで、何年くらいかかるのか? よく寄せられるそんな質問への答えとして書いたレポートです。以下からアクセスしてみてください。

≫≫≫「新型旅客機が誕生するまで──その開発・製造プロセスを追う

S.Akimoto at 08:15|Permalink

2011年05月13日

ドレミファ、はどこへ?

 
ソラシド──って、何これ? と口から出たのが第一声でした。それから「ドレミファはどこ行ったの?」という突っ込みが入って。昨日のことです。スカイネットアジア航空が今年7月から導入する新しい企業ブランド名を発表しました。


機体のデザインも「ソラシドエア」に順次変更していくと聞いて、前半の「ドレミファ」じゃダメなのって真剣に思ったら、そうではありませんでした。ソラシドは、英語で書くと「Solaseed」。日本語の「空」と英語の「種」を組み合わせて「空から笑顔の種をまく」との意味なのだとか。なるほどね。

ちなみに上の写真は、スカイネットアジア航空の現在の機体デザインです。ボディの底に引いた濃紺のラインは水平線で、機首から尾翼にかけて太陽やヤシの木のイラストが。宮崎に本社を置く南国のキャリアにふさわしいカラーリングで、CGデザイナーの小関資朗さんが手がけました。

いまのデザインは見慣れていただけに、ちょっと残念な気もしますが、新しいデザインにもすぐ慣れるのでしょうね。JALの鶴丸復活が発表されたときも、“太陽アーク”のマークにせっかく馴染んだのにと反発しましたが、鶴丸機体が飛び始めると「やっぱりJALらしくていいねえ」なんて思うようになりました。当たり前のことですが、問題は中身です。JALもスカイネットアジア航空も、ガンバってください。

S.Akimoto at 19:28|Permalink

2011年05月04日

ブラックボックス

 
2009年6月にブラジルからパリに向かっていたエールフランス航空機が大西洋に墜落し、乗客乗員228人全員が死亡した事故で、現場近くの海底から2年ぶりにブラックボックスが回収されたという報告が入りました〔写真=フジテレビのニュースより〕。


ブラックボックスとは「ボイスレコーダー(CVR=操縦室音声記録装置)」と「フライトレコーダー(FDR=飛行データ記録装置)」の総称で、ボイスレコーダーにはコクピットと地上との交信やクルー同士の会話、周囲の騒音や背景音までをすべて記録。一方のフライトレコーダーには高度や対気速度、経過時間などの飛行データが磁気テープに刻み込まれ、いずれも事故前の飛行状況を解明するためにの重要な手がかりになります。

とても頑丈につくられていることもブラックボックスの大きな特徴です。耐熱・耐衝撃構造の丈夫なカプセルに収められ、機体が炎上する激しい事故でもブラックボックスが壊れるケースはほとんどありません。また水深6,000メートルの海底に沈んでも、海水の浸入を許さず、その水圧に耐えられる構造にできています。

さらにブラックボックスは、強い衝撃を受けてから30日間程度にわたって位置を知らせるための信号を発信しつづけるため、それほど時間が経過しなければほぼ100%回収が可能です。しかし2年越しの発見となると、これは捜索班の執念以外の何ものでもありません。墜落機は「乱気流に巻き込まれた」との連絡を最後に消息を絶ちました。ブラックボックスの回収により、これまで謎だった事故原因の解明が進むはずです。

S.Akimoto at 01:07|Permalink

2011年04月28日

あしながおじさん

 
大地震による被災地への支援の輪が広がっています。エアライン業界も例外ではありません。救援物資の輸送や義援金寄付などの各社の活動については、当Blogでも何度か報告してきました。しかし、瓦礫の山と化した街をどう復興・再生させるか、家を失った人たちをどう救済するかなど問題はまだまだ山積み状態。震災で親をなくした子供たちのケアもこれからの重要な課題です。


そんななか、2004年のインド洋スマトラ島沖地震による大津波で甚大な被害をうけたインドネシアのフラッグキャリア、ガルーダ・インドネシア航空が東北の被災地で暮らす子供たちへの「あしなが育英会」を通じての支援に動き始めました。

1988年に発足したあしなが育英会は、病気や災害などで親をなくした遺児や、親が重度後遺障害で働けない家庭の子供たちを物心両面で支えるNPO団体です。スマトラ島沖地震のときにも、多くのインドネシア人遺児たちに手を差しのべ、遺児が日本の大学で学ぶためのサポートなどを実施。ガルーダ・インドネシア航空も無料の航空券提供などを通じてその支援に加わりました。

「スマトラ島沖地震のときには、私たちもたくさんの日本の友人たちに助けられました。でも、だからといってそのお返しをしているわけではありません」と、成田で会ったガルーダ・インドネシア航空の関係者は私に言いました。「災害で辛い思いをしている人たちに国の違いなんてないですよ。世界はどこもみんな一つにつながっているのですから」

写真は、あしなが育英会会長の玉井義臣氏(左)と、ガルーダ・インドネシア航空の日本・韓国・中国・アメリカ地区総支配人のファイク・ファーミ氏(右)です。そして二人が手にしているのは、ガルーダ・インドネシア航空が立ち上げた『がんばろう日本 ! 』プロジェクトのロゴマーク。今後6月30日までの日本発便に搭乗する利用者からの料金の一部があしなが育英会に寄付され、また乗客から寄せられたメッセージカードが被災地の子供たちに届けられます。

S.Akimoto at 00:21|Permalink

2011年03月18日

原発事故の暗雲

 
東日本を襲った大地震から今日で1週間になります。被災された人たちへのエアラインの支援策について前回のBlogで紹介し、私のもとにはまだ一部しか伝わっていないと書いたところ、各社からその後さまざまな情報が届きました。


たとえばユナイテッド航空は米国赤十字社と協力し、マイレージ会員に被災者支援を呼びかける活動をスタート。大韓航空は東北地方の被災地へ、ミネラルウォーターや毛布などの救援物資を大型貨物機1機分の量に相当する100トンを支援すると発表しました。デルタ航空も被災者支援のために総額100万ドル以上の義援金やマイル寄付などを実施します。

またキャセイパシフィック航空は、昨日から今日にかけて成田/香港間に1日1便ずつの臨時便を運航しました。これはあくまで「帰国希望者の増加を受けた対応」でしょうが、定期便が欠航するなど運航スケジュールが不安定になりつつあるなかで利用者にとっては重要な措置だといえるかも知れません。スペースの関係で各社の事例をすべて紹介できませんが、関係者の方々には敬意を表したいと思います。

しかし残念ながら、大地震にともなう原発事故は深刻化し、その暗雲は日本の“空の道”を閉ざし始めました。欧州系キャリアでは成田から撤退の動きも出てきています〔写真は成田空港の管制塔〕。私たち日本人と海外を結ぶ空路は今後、どうなってしまうのか? 誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で本日、「原発事故の暗雲が“空の道”を遮断する」と題する緊急レポートをアップしました。

≫≫≫「原発事故の暗雲が“空の道”を遮断する。欧州系キャリアでは成田から撤退の動きも!

S.Akimoto at 16:27|Permalink

2011年03月12日

激震・日本列島

 
日本列島が大変なことになっています。マグニチュード8.8──国内観測史上でも最大というだけあって、ものすごい揺れでした。写真は昨日午後、地震発生直後の羽田空港です。ターミナルから外へ逃げようと人々が出口に急ぐ様子を、ちょうど羽田で取材中だった記者が撮影し、送ってくれました。各地の空港では一夜明けた今日も欠航便が相次いでいます。


成田空港では朝から平常どおりの運航が再開されたものの、機材繰りがつかない路線も多く、正午現在で約8,500人の乗客が足止めされているようです。私もじつは今日、昼過ぎの便で成田を発つ予定でした。

私が乗るはずだったのは、12時30分発のスカンジナビア航空984便です。SK984便はいつもはデンマークのコペンハーゲン行きですが、この日だけは目的地を変更。ヨーロッパ最北の岬ノールカップへの玄関口であるノルウェー・ラクセルブ行きの特別便として運航される予定でした。ラクセルブへは通常、成田からコペンハーゲンとオスロで乗り継いで18時間以上かかります。それがダイレクトに飛ぶと、わずか9時間40分。私はこの“オーロラ直行便”で、北極圏の街へ1週間程度の取材に出かける計画を立てていました。

ところが、SK984便に割り当てるコペンハーゲンからの便が、昨日の時点でキャンセルに。“オーロラ直行便”は今日だけの限定なので、1日延期して運航するプランも考えたそうです。でも仮に明日飛ぶことになったとしても、もう日本を離れるわけにはいきません。各地で被害が拡大しているなか、航空とはまた別のテーマで、地方取材に向かわなければならないケースも出てきますから。

思えば昨年4月には、シンガポールで休暇中にアイスランドの火山噴火という事態に遭遇しました。休暇後にそこからパリへ取材で飛ぶ予定だったのですが、シンガポールで足止めされ、結局は渡仏できずに帰国。あちこち旅を続けていると、本当にいろんなことが起こります。いいえ、それこそが旅なのでしょうね。列島各地の1日も早い復興を願い、また被災された方々には心からお見舞いを申し上げます。

S.Akimoto at 12:30|Permalink

2010年12月05日

年末の全力疾走

 
毎年暮れから正月にかけては印刷会社の工場がストップしてしまうため、とくに月刊誌の仕事では「年末進行」といって、11月と12月は原稿や写真などの入稿作業を通常月よりも前倒しして進めなければなりません。他のメディアの取材や来年に向けての企画づくりなども並行するため、いまの時期はてんやわんやの大忙しというのが恒例になります。


現在進めているのは、集英社の男性ファッション誌『UOMO』の仕事です。'11年2月号(12月24日発売)で計32ページのエアライン特集を組むことになり、私は特集全体の企画・監修のほか、全ページの半分の執筆を担当。そして一部「マイレージ」などのページについては、仕事仲間であり同分野の専門家でもある航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに依頼したところ、快く引き受けてくれました。

原稿はすべて先週半ばに入稿済みで、週末には出稿されたゲラが編集部からごそっと届きました。それで今朝も、早くから最終の著者校正に追われています〔写真〕。12月の最初の日曜日である今日は、じつは地元で参加しているソフトボールチームの年内最後の練習日。みんなで軽く汗を流したあとは納会もあるので、さっさと作業を終わらせて顔を出したいのですが……。

S.Akimoto at 07:43|Permalink

2010年11月04日

A380に重大トラブル

 
赤と白の模様が入ったエンジン部品の一部が地面に散らばっています。画面に映し出されている場所は、インドネシアの西部に位置するバタム島。地元の人は「大きな爆発音がして、上空を飛ぶ旅客機のエンジン部分から煙が出ていた」と証言しました。


今日の午後、成田空港である取材をしていた最中に、その第一報が私の耳に届きました。エアバスのオール2階建て巨人機A380に、就航後初めてともいえる重大トラブルが発生したらしい──と。その後わかったところでは、カンタス航空が運航するA380がシンガポール・チャンギ空港をシドニーに向けて飛び立った直後に、4基あるエンジンのうちの1基が停止。同機は午後1時ごろにチャンギ空港に緊急着陸したというのです。

テレビニュースの映像で見ると、左翼の第2エンジンが破損し、エンジンカバーが外れてしまっています〔写真〕。乗客乗員466人にけがはなかったものの、カンタス航空のジョイスCEOは「安全性が確認されるまで保有するA380すべての運航を停止する」と発表。2007年10月に世界で最初にA380をデビューさせ、現在成田線など複数の路線で導入しているシンガポール航空も、点検のため運航を一時見合わせることを決めました。

一度はA380で旅してみたい。そう話していた人が、私の周りに少なくありません。今年に入ってルフトハンザが東京/フランクフルト線で、エールフランス航空が東京/パリ線でA380の運航を開始しました。近々A380での旅を計画していた人は、きっと気が気ではないでしょう。A380については私も本を1冊書き上げるなど、開発当初からずっと注目してきた機種だけに、ショックです。エアバスは同型機にエンジンを供給するロールスロイス社とともに原因究明に全力をあげると言っていますので、とりあえずはその進捗状況を見守りたいと思います。

S.Akimoto at 20:28|Permalink

2010年08月12日

滑った客室乗務員

 
その“事件”は今週月曜日に起きました。アメリカのピッツバーグからニューヨークのJ・F・ケネディ空港に到着したジェットブルー航空1052便の機内でのことです〔写真はイメージ〕。機体が完全に停止する前に頭上のラックから荷物を降ろそうとした女性客を、客室乗務員のスティーブン・スレーター氏が注意してやめさせようとしたところ、その荷物が滑り落ちて彼の頭を直撃。スレーター氏は乗客に謝罪を求めましたが、逆にののしられたことで、彼の堪忍袋の緒は完全に切れてしまいました。


スレーター氏は機内アナウンス用のマイクでこの乗客への不平不満をわめき散らしてから、「もううんざりだ、やめてやる!」と言い放ってギャレーへ。そこで機内サービス用の缶ビール1本をつかみとると、非常口に設置されている緊急脱出用スライドシュートを作動させ、機内から滑り降りてそのまま帰ってしまったのです。

警察はその後、自宅に戻っていたスレーター氏を「危険行為」などを理由に逮捕しましたが、機内でのマナー悪化を不満に思う同業者からは彼を同情する次のような声が絶えません。

「乗客から罵倒されたことなんて、何万回もあるよ」
「客室乗務員は、乗客の手下くらいにしか思われてない」
「私なんか、乗客から平手打ちをくらわされたわ」

客室乗務員の指示には、乗客は必ず従わなければなりません。ネット上ではスレーター氏の行動を「よくやった!」と支持する声も集まっているようですが、現場で問題が起きたときには放置せず、そのつど報告を上げてきちんと対処すべきでしょう。溜め込んだ不満を爆発させて職場を放棄し、脱出用スライドシュートで逃走するなどという行為はもってのほかです。客室乗務員一人ひとりは、機内の安全を守る“保安要員”としての任務も負っているのですから。

警察の調べに対しスレーター氏は「一度、実際にスライドシュートを試してみたかった」と語ったそうです。アメリカ国内では、早くも「I slide(私は滑る)」という文字がプリントされたTシャツが売られているという話を聞きました。これについては、う〜ん、私は何もコメントしようがありません。ヘンな国。

S.Akimoto at 10:58|Permalink

2010年06月07日

太陽光で24時間飛行

 
太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機で世界一周を実現する──そんな夢のプロジェクトについて、3月30日のBlogで紹介しました。スイスを拠点に2003年にスタートしたこの「ソーラーインパルス」プロジェクトはこれまで順調に推移し、4月8日には高度を1,200メートルまで上げてのフライトに成功。その日、取材でトルコのイスタンブールを訪れていた私に届いたのが、テスト飛行の成功を喜ぶスタッフたちの様子です〔写真〕。


ソーラーインパルスの全重量はわずか1,600キロですが、主翼幅はエアバスの大型機A340と同サイズで63.4メートルもあります。その大きな主翼に設置した1万2,000個のソーラーパネルで太陽光を吸収。昼間蓄えた電力で夜間の飛行も可能にし、2週間から1カ月をかけて世界一周を果たすという壮大な計画です。

プロトタイプ機を使った4月のテスト飛行では、スイス西部のパイエルヌの飛行場を時速45キロで離陸し、1,200メートルの上空を87分間飛行しました。このテスト飛行の成功をステップに、あらかじめ充電した状態で離陸したそれまでの飛行から一歩前進して、現在は太陽の光を受けて飛ぶ文字通りの“ソーラープレーン飛行”に移行。飛行時間を段階的に延ばすテストが続いています。

そして先週、再びスイスから一報が入りました。現地時間の6月13日に、いよいよ24時間飛行に挑戦するというのです。もらった連絡には、スタッフからの「テストの現場に来ないか?」というひと言が添えてありました。

ですが、う〜、行けない〜! 別件の取材が重なっていて、スケジュールを動かすことができません。あと1週間先なら、ちょうどヨーロッパに行っている予定なのですが。いずれにしても、スタッフのみなさん、大成功を祈っています!

S.Akimoto at 06:04|Permalink

2010年04月18日

大自然の怒り?

 
シンガポールでの休暇を終えて、今夜の便でパリ取材へ! ──と思ったら、わお、飛行機が飛びません。アイスランドの火山噴火の影響です。成田を発った16日にもヨーロッパ便にちらほら欠航が出ていたものの、現地では遅くとも18日には各地の空港閉鎖は解除されるだろうと報じられていたので、あまり心配はしていなかったのですが。


もしやと思ってシンガポール航空の現地サイトを今朝チェックしてみら、予約したパリ行きSQ334便がなんとキャンセルに。ガビ〜ン! チケットインフォメーションにホテルから電話してみても、回線が混雑してつながりません。とりあえず、パリのカルチェ・ラタンにとったホテルに「明日は到着できない」とキャンセルの連絡を送ってから、早めにチャンギ空港に来ました。

シンガポール航空のカウンターで聞くと、パリだけでなくフランクフルト、ロンドン、アムステルダム、バルセロナ、チューリッヒ、ウィーンなどヨーロッパ各地への便は軒並み欠航に。これはまずいと思って、入手できる情報を片っぱしから仕入れたら、ローマへの便だけ飛ぶことがわかりした。

「お、これだ。これしかない! ローマへ飛んで、パリへはそこから列車で入ろう」

チケットの変更手続きをしようと急いでカウンターに行ったのですが、ああ、遅かった。ヨーロッパ各地へ帰る人たちの振替予約がこの便に殺到していて、すでに満席状態です。明日まで待ってもパリ行きが飛ぶかどうかは保証できないというし、私はどうしても23日(金)には日本へ戻らなければならないし……。帰国を先へ延ばすことは不可能なので、やっぱり今日中にパリに向かわないと、現地で何もできません。

あちこち空の旅を続けていると、当然のごとくいろんなことが起こります。ですが、遠い異国の火山の怒りに触れた、というのはさすがに初めてのケース。私の日頃の行いがよっぽど悪かったのでしょうね。もう八方ふさがりで、やむなく今日の23時45分発のSQ638便で東京へ戻ることにしました。パリ取材はまたいずれ、仕切り直して──ということで。

写真は、チャンギ空港のターミナル1と2と3を無料で結ぶ「スカイトレイン」です。出発までだいぶ時間が余ったので、さっき3回往復してきました。それぞれのターミナルを、行ったり来たりして。だって、ヒマなんだもん! あ〜あ、帰ろ。

S.Akimoto at 20:09|Permalink

2010年03月30日

ソーラーインパルス

 
ここ数週間、5月に刊行予定の新しい本の執筆に集中していましたが、今日は午後から作業を一時中断。月刊誌『航空ファン』(文林堂)6月号に発表するあるプロジェクトについての原稿書きに着手しました。化石燃料をいっさい使わず、太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機「ソーラーインパルス」〔写真〕で世界一周を実現する──そんな夢みたいなプロジェクトのレポートです。


ソーラーインパルスは全重量が1,600キロと車1台分に過ぎませんが、主翼幅はエアバスの大型機A340と同サイズで63.4メートルもあります。その大きな主翼に設置した1万2,000個のソーラーパネルで太陽光を吸収。昼間蓄えた電力で夜間の飛行も可能にし、2週間から1カ月をかけて世界一周を果たすという壮大な計画です。プロジェクトは2003年からスイスの技術者や冒険家らが中心になって進め、昨年12月にはプロトタイプ機を完成させ初飛行にも成功しました。

この3月には、広報担当のフィル・ムンドヴィラーさんが来日。スイス大使館で開催された記者会見のあとで、私は個人的に1時間ほど彼と話しました。

「プロジェクトの一番の目的は?」
「地球環境に対する人々の意識を高めることです。燃料がゼロだから、公害もゼロ。空気をまったく汚さない飛行機での世界一周を成功させ、人類はこんなこともできるんだということを強力にアピールしていきたい」

やりとりの中で、私がある取材で4月と5月にパリとフランクフルトに飛ぶ予定があることを伝えると、ついでにスイスにも足を伸ばすよう彼はしきりにすすめました。

「パリからもフランクフルトからも、チューリッヒまではひとっ飛びだよ。プロジェクトのメンバーにぜひ会ってみてよ」
「取材のあとで? うまく時間がとれるかなあ」
「チューリッヒ空港に到着する時間に、車で迎えに行くから」

プロジェクトを率いる一人が、1999年に熱気球による初の無着陸世界一周飛行を成し遂げた冒険家のベルトラン・ピカール氏です。彼のもとに、75人の有能なエンジニアや気象専門家などが集っています。会ってみたいですが、せっかく行くのなら、今後段階的に実施される重要なテスト飛行の日に合わせて改めて日本から飛ぶほうがいいかも知れません。

そんなことを考えながらこの文章を書いていたら、いまちょうどスイスからメールが届きました。次のステップである1,000メートルまで高度を上げてのテスト飛行の準備がすべて整った──という報告です。いずれにしても、最終目標である世界一周飛行は、2012年を予定。プロジェクトの詳細も含めて、その経過については今後逐一、みなさんにもお伝えしていきたいと思っています。

S.Akimoto at 20:25|Permalink

2009年12月13日

787、初フライトへ

 
間近に迫ったボーイング787の初フライトの日程について、世界中が注目するなか、同社から急きょ「15日(火)に実施する」と発表がありました。ボーイング関係者は「最低でも実施1週間前には公表する」言っていたので、びっくりです。


先日のBlogでもお知らせしたとおり、初フライトはクリスマス前というのが大方の見方でした。私も18日(金)か21日(月)のどちらかだろうと予測し、17日発または20日発の便でシアトルに飛ぶ予定も立てていたのですが──。明日の14日と15日、16日の3日間は取材&打合せ、テレビ出演、イベント参列などの予定が立て込み、日本を発つことができません。

もちろん、関係者や多くのファンが待ち望んだ初フライトの実施が正式に決まったのはとても喜ばしいことです。地上での走行試験の成功や社内での最終見直しを経て、連邦航空局の了承が出ることが前提ですが、おそらく発表どおり15日の実施で間違いないでしょう。“Xデー”をめぐる噂は、当初のクリスマス直前から18日、そして15日と次第に早まり、主翼と胴体接合部分の改修を終えて地上での各種試験も順調に進んでいることをうかがわせていました。

開発当初の予定からおよそ2年4カ月遅れで、ドリームライナーがいよいよ大空に舞います。その現場に立ち会えないのは残念ですが、昨日の夕方、懇意にしているANAの広報担当から「私が現地に飛びます」と連絡が入りました。当日の様子については、彼の帰国後にゆっくり報告を聞こうと思います。787初フライトの成功を祈っています。

S.Akimoto at 06:46|Permalink

2009年11月26日

サンタの入国審査

 
クリスマスまであと1カ月。今週初めには早くもサンタクロースが本場フィンランドから来日しました。ソリではなく、飛行機に乗って。“サンタクロースのオフィシャルエアライン”を自認するフィンランド航空が毎年、自分たちの国をもっとよく知ってもらうための親善大使としてサンタクロースを招待しています。今年は7年ぶりに成田空港に降り立ちました〔写真〕。


空港ロビーでは、出発を待つ旅行者たちに「コンニチハ」と日本語で声をかけて手を振ったり、記念撮影に応じたり。子供たちにはチョコレートが配られ、成田はひと足早いクリスマスムードに包まれていました。今後は本格的なクリスマスシーズンに向けて、東京、名古屋、大阪を中心に幼稚園や医療センター、各地のイベント会場などを訪問する予定だそうです。

ところで、サンタクロースといえども、日本に入国する際にはイミグレーションでの審査を受けなければなりません。空港ロビーに姿を現す前には当然、彼も他の外国人旅行者と同じように入国手続きを行いました。

「滞在の目的は?」
「どこに何日間の滞在予定ですか?」

入国審査官はパスポートの写真とサンタの顔を見比べながら、いつものきりっとした態度でそんな質問をしたのでしょうか? 考えたら、ちょっとおかしくなりました。

S.Akimoto at 23:35|Permalink

2009年10月28日

“空白の2日”を体験

 
現地時間の10月27日、コンチネンタル航空がスターアライアンスのメンバーとして新しいスタートを切りました。スカイチームからスターアライアンスへ──大手エアラインが航空連合を移行するのは初めてのケースです。


メンバー各社とのコードシェア提携やシステム変更などの準備に費した期間は、計18カ月。コンチネンタル航空がハブとするニューアーク・リバティ国際空港にはこの日、ANAルフトハンザユナイテッド航空シンガポール航空などのトップが一堂に集結し、世界中から約150人のメディア関係者を招待しての記念式典が開催されました。

その席で、社長兼COOのジェフ・スマイゼック氏は「コンチネンタル航空とスターアライアンスの間では路線網の重複が少ない。それぞれの弱い部分を強化できる」と加盟の意味についてスピーチ〔写真〕。スターアライアンスにとってはニューヨークにハブを置く唯一のエアラインである同社の充実した大西洋路線や、2007年1月末のヴァリグブラジル航空の撤退で空白地帯となっていた南米地域への路線がネットワークに加わることになり、メンバー各社のトップからも熱い歓迎のメッセージが贈られました。

ところで、コンチネンタル航空は10月24日に正式にスカイチームを脱退しています。それからスターアライアンスチームのメンバーとして再スタートを切る今日までの2日間、どの航空連合にも属さないという状況が生まれました。私が同社便で成田からニューヨーク入りした26日もその“空白の2日”のフライトで、機内では所属するアライアンスの紹介はありません。聞いていて、ちょっと不思議な感じでした。でも、今日10月27日のニューヨーク発の第1便からは、乗客は次のような機内アナウンスを耳にしているはずです。

「本日はスターアライアンスのメンバーであるコンチネンタル航空をご利用いただき、まことにありがとうございます」

S.Akimoto at 19:14|Permalink

2009年10月11日

究極のエコフライト

 
関西国際空港に今日11日の夕方、JALグループの特別機がホノルルから到着します。何が特別なのかというと、この便には現時点で可能なあらゆる省エネ対策が施されていること。JALウェイズがホノルル/関西線で運航するボーイング747-400〔写真〕を使って計18項目にわたるテストを実施し、消費燃料をどこまで抑えられるかが検証されることになりました。


計画では、たとえば機内サービスで使うのガラス製のワイン容器をペットボトルに代えることで消費燃料を570リットル削減します。最も燃費効率のよい巡航高度を選ぶことでさらに490リットル。飛行ルートも、当日の気象を考慮しながら機長らが最適な経路を選択して455リットル。ほかに離着陸時も地上走行の距離が短いスポットを使用したり、機内誌のページ数を減らしたりといった工夫で、トータルでは従来の消費燃料の5%にあたる5,362リットルを削減できる──JALではそう試算しています。5,362リットルというと、ドラム缶で27本分! かなりのエコ対策になりますね。

ライバルのANAも10月を環境保全への取り組みの強化月間と位置づけ、現在「e-flight」と題したエコ対策を実施しています。これまで、たとえばパイロットの訓練を実際の飛行ではなくフライトシュミレータに切り替えることで29万キロリットルの燃料を削減しました。これは東京/大阪間を1万9,000回往復する燃料に相当します。大型機のタイヤ素材の見直しなども進め、約80キロの減量にも成功しました。

各社のこうした取り組みは、エアライン業界の未来を考える上でもとても重要でしょう。本日17時50分に関空に到着するJALウェイズ77便の実験が、実際にどれくらいの成果を生み出すのか? 報告を待ちたいと思います。

S.Akimoto at 01:27|Permalink

2009年10月02日

桃色の旅客機

 
現地時間で今週の火曜日、アメリカ・ニューヨークのJFK空港からご覧のようなピンク色に塗装されたデルタ航空機がワシントンに向けて飛び立ちました〔写真〕。JFK空港ではその日、管制塔もピンクにライトアップされたといいます。


デルタ航空が運航するこの色鮮やかな機体は、人々に乳がんの予防を呼びかけるためのキャンペーン機。ボーイング757にピンクとホワイトのカラーリングで、尾翼から後方搭乗ドアにかけての部分を乳がん研究財団(BCRF)のトレードマークであるピンクのリボンで彩っています。初登場した2005年以来「ピンクプレーン」の名で親しまれ、米国全土やラテンアメリカ、カリブ海諸国でフライトを重ねてきました。

この間、乗客やデルタ航空社員などからの寄付を通じてBCRFのために集まった募金は、計150万ドル近くに。これらは乳がんの防止および治療法の発見に取り組む5つの研究機関の資金として活用されています。

10月は乳がん予防啓発月間にあたり、今年も昨日10月1日より同キャンペーンがスタートしました。デルタ航空は現在、傘下となったノースウエスト航空とともに世界64カ国355都市へ運航しています。期間中はその世界中のフライトで一部の客室乗務員がピンクのユニフォームやネクタイを着用。機内でピンクレモネード(2ドル)を販売します。またエアライングッズを集めるのが好きな人は、オンラインで買い物を楽しめる「デルタショップ」を覗いてみてください。BCRFとの共同ブランドによるピンク色のバゲッジタグやタンブラー、エプロン、ペンなどのキャンペーン商品がラインナップされています。

S.Akimoto at 08:35|Permalink

2009年09月12日

JALとデルタ航空

 
経営再建中のJALがアメリカのデルタ航空と資本・業務提携のための交渉へ──昨日、そんなビックリするようなニュースが飛び込んできました。「再生のためにはやむなし」との見方がある一方で、「いや、そんな提携は絶対にあり得ない」という声も聞こえてくるなど、早くもさまざまな意見が飛び交い始めています。後者の発言には、日本のフラッグキャリアが外国エアラインの支援を受けることに対する感情的な反発も含まれているかも知れません。


JALは今年、一部政府保証が付いた1,000億円の緊急融資を受けたものの、資金不足の状況はいぜん続いています。さらに1,000億円以上の追加融資獲得に向けて民間金融機関の理解を得るための抜本的な策を示す必要があり、そんなことからデルタ航空との資本・業務提携プランが急浮上したのでしょうか。

JALとデルタ航空は太平洋路線を中心に多くの共通路線を抱え、長年ライバル関係にありました。その両社が提携し、双方の路線網をうまく活用して役割分担すれば、たしかにコスト削減など経営面での効率化は進むでしょう。が、問題も少なくありません。最大のネックは、両社がそれぞれ別のアライアンス(航空連合)に所属していることです。

JALはアメリカン航空などがつくる「ワンワールド」のメンバーであり、一方のデルタ航空は「スカイチーム」に加盟。両社が手を結んだ場合に、JALのワンワールド離脱が焦点になりますが、おそらくワンワールド加盟各社が黙っていません。アライアンスの“くら替え”には、コンピュータシステムや空港インフラなどの再整備、ネットワーク戦略の組み換えといった大変な作業もともないます。そう考えたら、デルタ航空よりもむしろ同じワンワールドのアメリカン航空への出資要請のほうが先だったのではないかとも思えてきました〔写真はワンワールド塗装のJAL機〕。

いまこの文章を書いていたら、読売新聞が「JALは今日、副社長ら幹部を米国に派遣してデルタ航空側と資本・業務提携の詰めの交渉に入ったことを明らかにした」と伝えてきました。JALへの経営指導を強める国土交通省もデルタ航空との提携を後押する方針を固めたようですが、来週16日に発足する鳩山新政権の意向によっても今後の展開は変わってくるかも知れません。

S.Akimoto at 16:25|Permalink
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

Logo_MakotoStyle_Tittle.jpg
Contact
仕事依頼などの相談・問い合わせはお気軽にどうぞ。当Blogへのご意見・ご感想もお待ちしています。下のフォームをクリックして画面を呼び出し、ご記入のうえ、送信してください。後ほど連絡させていただきます。

Form
Books











About Link
Blog『雲の上の書斎から』はリンクフリーです。必要に応じて以下のお好きなバナーをご使用ください。リンクされた場合は上記 Contact Formよりご一報いただけますと嬉しいです。