航空機

2019年01月07日

超ワイドな体験

 
4大航空機メーカーの1社であるカナダのボンバルディア。日本ではローカル路線で活躍する高翼プロペラ機DHC-8シリーズで知られますが、今後の注目はズバリ、同社が初めて挑んだ100席超クラスの次世代機「Cシリーズ」でしょう。機体構造に炭素繊維複合材やアルミ・リチウム合金などの軽量な素材を多用したのがCシリーズ特徴で、重量はボーイング737やエアバスA320に比べ5000キロ以上も軽量化し、燃費効率を大幅に向上させました。

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私が初めてCシリーズの実機に触れたのは2016年2月のシンガポール・エアショーでした。キャビンには通路をはさんで左側に2席、右側に3席がゆったりとレイアウトされ、機内に案内してくれたアジア地区営業担当副社長のアンディ・ソレムさんは「経済性とともに乗客に提供できるこの爐罎箸雖瓩Cシリーズの大きなPRポイントです」と話していたのを思い出します。昨年11月には、そのCシリーズでの実際のフライトも体験することができました。

搭乗したのは、Cシリーズの長胴型であるCS300を11月5日に中部国際空港に初就航させた大韓航空の韓国・釜山線の初便です〔写真上〕。同行の航空写真家、チャーリィ古庄氏〔写真下〕とともに機内に入ると、前述したようにキャビンは通路を挟んで2-3の一列5席でレイアウト。一列6席の小型ジェットよりボディサイズは小さいものの、座席幅は737より約4.6センチも広い48.3センチが確保されていました。頭上の荷物棚も大型化し、キャリーバッグが楽々収まります。設計段階でボディ断面にも工夫が凝らされ、窓側席でも壁が円形ではなくほぼ垂直なので窮屈さはまったく感じません。足もとにもゆとりがあり、まさに新しいナローボディ機による狡競錺ぅ畢瓩並慮海任靴拭

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大韓航空はCS300を計10機オーダーし、11月5日の時点では8機まで受領。残り2機も2019年1月までに納入される予定です。12月5日には成田〜釜山線に、2019年1月5日からは福岡〜釜山線と新千歳〜釜山線にもCS300が就航しました。みなさんも機会があったら、ぜひ乗ってみてください。

S.Akimoto at 20:46|Permalink

2018年09月26日

超ロングフライト復活

 
サービスの悪い航空会社でのフライトは2時間や3時間でも苦痛になるけれど、快適なシートと行き届いたもてなしで乗客を迎えてくれる航空会社は、たとえ10時間を超えるフライトでも降りるときに「もう少し乗っていたかったね」と思うもの。日本人旅行者に人気の航空会社の一つがシンガポール航空で、同社は10月11日よりシンガポールからニューヨーク(ニュージャージー州のニューアーク空港)への世界最長路線を開設することになりました。

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この路線に投入するのは、9月22日(現地時間)に受領したばかりのエアバスA350-900ULRです〔写真〕。A350-900ULRは、基本モデルであるA350-900の燃料システムや翼端のウイングレットを改良。燃料タンクの容量も追加され、航続距離の延長を実現しました。今後は飛行時間18時間超のシンガポール−ニューヨーク線で活躍するほか、11月からはシンガポールからロサンゼルスへの直行便も復活する予定です。

同社は過去にもA340-500でシンガポール−ニューヨークへ線を運航していましたが、燃費の悪さなどから採算がとれず、2013年11月で運休に。代わって世界最長になったのが、エミレーツ航空がボーイング777-200LRで運航するドバイ−パナマシティ線やカンタス航空がエアバスA380で運航するシドニー−ダラス線(運航距離はいずれも約1万3,800キロ)です。

シンガポール航空のニューヨーク線の運航距離は、それらを上回る約1万5,000キロ。まさに超ロングフライトの復活です。年内は無理そうですが、NYに用事もあるので来年の早い段階で乗ってこようと思います。

S.Akimoto at 09:21|Permalink

2018年08月06日

電気ヒコーキ

 
電気自動車がずいぶん普及してきたなあと思ったら、こんどは「電気ヒコーキ」かァ。今朝の朝日新聞朝刊に「高性能モーターなどを駆使して航空機を電動化する動きが本格化」といった内容の記事が掲載されていました〔写真〕。

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記事によると、7月に英国南部ファンボローで開催された世界最大の国際航空ショーで、高級車を手がける英アストンマーチンとロールスロイスが電動モーターで飛ぶ垂直離着陸型の小型機の構想をそれぞれに発表したそうです。その背景にあるのが地球温暖化で、これは航空業界としても絶対に避けては通れません。飛行機を電気で飛ばせるようになれば、問題解決に大きく貢献するでしょう。

エアバスは昨年、電動化の実証実験を間もなくスタートすると発表しました。100人乗りのジェット機の4基のエンジンのうち、1基をモータ駆動式にして、ジェットエンジンで発電した電力でモーターを駆動。ファンを回してその勢いで飛ぶというハイブリッド技術による構想です。ボーイングでもグループのベンチャー企業が2022年までに小型ハイブリッド機を売り出す計画を発表しました。

電気ヒコーキが空を飛ぶ。まだまだ道は険しいと思いますが、2大メーカーの最先端の研究開発現場もいずれ取材できたらいいなあと思います。

S.Akimoto at 20:30|Permalink

2018年07月26日

SAABの話

 
今日はスカンジナビア航空日本支社の総支配人、レイフ・ニルソン氏と、ストックホルム市内に最近新しくオープンしたホテルなどを視察しました〔写真〕。私たちが訪ねたのは、中心部に建つ3軒。いずれも北欧デザインの家具を備えたフリーエリアなどが充実するブティックホテルで、とてもお洒落です。こんなホテルに泊まれば滞在が楽しくなることは間違いありません。

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ストックホルムの街を歩いていて、ある変化に気づきました。ボルボと並ぶスウェーデン車のブランドだったサーブの姿が、いまはまったく見られないのです。サーブはリーマンショック後、米ゼネラル・モーターズからオランダの小メーカーの手にわたり、さらに中国の企業へと売却。その間のごたごたで修理部品の供給が追いつかなくなり、多くのユーザーが離れていきました。

一般に「サーブ」として知られる自動車会社サーブ・オートモービルは、もともとは航空機メーカー「SAAB AB」の自動車製造部門でした。旅客機の製造はその後も続き、小型プロペラ機のサーブ340BはいまもJALグループの日本エアコミューター〔写真〕や北海道エアシステムがローカルの短い路線で飛ばしています。

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ストックホルムにあるSAABは現在、製造分野を軍事用にシフトしていますが、その優れたレーダー&通信技術は民間の航空管制にも応用されています。明日からは、そのSAABの取材や、ストックホルム・アーランダ国際空港の視察などを予定に入れました。また時間を見つけて報告を書きます。

S.Akimoto at 22:48|Permalink

2018年06月14日

JALの747初便

 
いま、あるメディアの仕事でJALが初めてジャンボ機(ボーイング747-100)を導入したときのことを書いています。その時代に身をよせ、いろいろなことに改めて驚かされながら。乗客320人を乗せたJALの747第1便は、1970年7月1日に羽田からハワイ・ホノルルへ向けて離陸。それはすなわち、日本における大量輸送時代の始まりでもありました。

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日本は高度経済成長にわき、テレビでは旅番組「兼高かおる世界の旅」が高視聴率を獲得していました。飛行機を使った旅行はまだ富裕層や一部ビジネスマンの特権でしたが、そんな状況を一変させたのがジャンボ機なのです。747は通路が2本ある世界初のワイドボディ機で、機体前部を2階建て構造に設計。キャビンはファーストクラス40席、エコノミークラス321席の計361席でレイアウトされました。

その上空クラスキャビンがとにかくすごい! アッパーデッキ(2階席)は当初、ファーストクラス専用のラウンジにし、プライベートジェットの機内を彷彿させるゆったりしたスペースにソファや回転椅子が並びます。日本画家・加山又造氏の壁画が飾られた豪奢な空間でした。1階メインキャビンは前から順に「藤」「橘」「松」「紅葉」と4つの客室があり、その最前方の「藤」がファーストクラス。客室乗務員はそれぞれの客室に1名ずつ配置され、ファーストクラスでは部屋名と同じ藤の柄の着物を着用してサービスに当たっていました。

ALはクラシックジャンボと呼ばれる初期タイプの747だけでも69機、ハイテク機747-400も含めると世界最多の100機を超える747を保有して「ジャンボ機王国」などといわれました。全機が役割を終えて退役したいまもなお、ジャンボ機の時代を懐かしむファンの声があとを絶ちません。

S.Akimoto at 20:28|Permalink

2018年03月16日

1万機目の737

 
旅客機で過去に最も多く売れた機種というと、エアバスではA320シリーズでボーイングでは737シリーズ。いずれもキャビンに通路が1本しかない「単通路型」の小型機です。「双通路型」の大型機が性能面で劣る、というわけではありません。小型機が売れる背景には、大型機での長距離移動に比べて、150〜200人を乗せて2〜4時間のフライトで移動する路線が世界には多いという路線需要があります。

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ボーイングは今週、通算1万機目となる737を米国シアトル郊外のレントン工場で公開しました。1万機目はLCCの元祖であるサウスウエスト航空へ納入されるもので、これにより737は「最も多く生産された民間ジェット旅客機」としてギネス世界記録にも認定。公開セレモニーには数千人の工場従業員が集まり、盛大に祝ったようです〔写真は同社のプレスリリースより〕。

旅客機には同じ機種の中で「基本型」といわれるモデルと、それをベースに後の新たな需要に対応するためボディのサイズ(長さ)を延長したり新型エンジンに替えて航続距離を延ばした「派生型」といわれるモデルがあります。737はこれまで派生型を最も多く生み出してきた機種で、1967年に生産を開始した-100/-200の第1世代、1984年から登場する-300/-400/-500の第2世代を経て90年代に相次いで完成した「NG(ネクストジェネレーション)型」と呼ばれる-600/-700/-800/−-900の第3世代へと進化しました。ボディの長さで比較すると、-100の29.65メートルから-900では42.1メートルへ、約1.5倍に拡大しています。

現在もその進化は止まらず、2017年には新型エンジンを搭載して環境性能を高めた新バージョンの737MAXが誕生。完成した1万機目もこの737MAXです。MAXの名称には「効率も信頼性も最大、乗客にとっての快適性も最高の旅客機に」というエンジニアたちの目標が込められました。

S.Akimoto at 00:12|Permalink

2018年01月26日

世界の政府専用機

 
日本の政府専用機として1992年から運用してきた2機のボーイング747-400が、今年でついに退役します。2019年からは新しい777-300ERの政府専用機がデビュー。その外装デザインも3年ほど前に発表されました〔写真〕。整備委託先も、従来のJALからANAに変更になります。

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さて、海外で政府専用機といえばアメリカの「エアフォースワン」が有名で、ハリウッド映画などにも活躍シーンがよく登場します。しかし、政府専用機を保有するのは日本やアメリカだけではもちろんありません。オイルマネーでうるおった潤沢な資金で次から次へと新しい専用機を導入するアラブの国々や、国民が貧困で苦しんでいるのに見栄をはって政府専用機を仕立てて飛んでくる開発途上国など、調べてみるとそれぞれにその国のお家事情なども反映されていて、面白い。

各国は、どんな機種を政府専用機として使用しているのか? それを一冊にまとめた本が刊行になりました。航空写真家のチャーリィ古庄氏が著した『ビジュアル版・世界の政府専用機』(秀話システム)です。同書は、私と古庄氏が共著として出した『ツウになる! シリーズ』の第二弾。今回は写真も文章も古庄氏が一人で担当しています。

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大型機から小型機まで複数の政府専用機を持っているアラブの国々や、実際に飛ばす機会のほとんどない北朝鮮の話など、内容は盛りだくさん。世界の航空機を精力的に撮り続けてきた彼だから形にできた一冊だと思います。書店でぜひ手に取って、ご覧になってみてください。

S.Akimoto at 07:42|Permalink

2017年05月30日

書斎消滅?

 
更新が途絶えていたBlogを12年目に突入した4月から再開したものの、その後も公私ともに忙事に追われてなかなか時間を割けず、また1カ月も放ったらかしになっていました。でも無理はせず、6月に入って落ち着いてからと思っていたのですが、今日は書かずにいられないので書きます。

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アメリカ国土安全保障省のジョン・ケリー長官は日曜日に放映されたテレビ番組「フォックス・ニュース・サンデー」の中で、ノートPCなど電子機器の機内座席への持ち込み禁止規制について「米国発着の全国際線を対象にする可能性がある」と発言しました。びっくりです。

パソコンの機内座席への持ち込み制限は今年3月、米政府がテロ対策を理由に中東など10都市への路線を対象に導入しました。対象便は現在、1日50便程度ですが、それが全国際線に拡大されたらどうなるか? ノートPCやタブレットなどを携行している旅行者は、カウンターでスーツケースなどといっしょに預けなければなりません。移動中の機内で、もう仕事ができなくなります。

規制の対象を中東だけでなくEU路線にも拡大する案も浮上し、EUと米当局の話し合いが進んでいるようです。航空機を狙ったテロ活動に備えることが狙いなのでしょうが、パソコンが持ち込めない飛行機には、私はもう乗りません。移動しながらイマジネーションを研ぎ澄ませていろいろな文章を書いてきた「雲の上の書斎」が、一部路線でなくなってしまおうとしています。これ、私にとっては一大事です!

S.Akimoto at 10:04|Permalink

2016年08月16日

787を想う

 
8月も半分が過ぎました。なのに、今月はまだ一回もBlogを更新していません。最近はなかなか書く時間をとれずにいます。Blog『雲の上の詳細から』は開設10周年を迎えた今年4月で閉鎖を考えたこともあったのですが、多くの読者のみなさんから励ましの言葉をいただき、もうあと数年は──と思っています。

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ヨーロッパ人みたいに8月はずっと夏休み──というわけにもいかないので、いま執筆作業を中断してBlog管理画面に向かっています。さて、何を書くか? 今日は16日。たしかANAが「50機目のボーイング787を8月16日に受け取る」と言っていました。787のローンチカスタマーであるANAが1号機を受領したのが2011年秋なので、それからほぼ5年かけて50機に達したことになります。

長胴型の787-9については未受領の機体がまだ残っていますが、標準タイプの787-8は発注済みの36機がすべて揃いました。ライバルのJALでも、計25機を発注した787-8の最後の1機が7月1日に成田に到着しています。

787-8が世界デビューを果たした2011年秋は、ファンもメディアも大騒ぎだったことを思い出します。そのときの様子も含めて、私は同年11月に『ボーイング787まるごと解説』という本も書きました。写真は同書の表紙に使った、チャーリィ古庄氏撮影のものです。5年後のいまは、787が当たり前のように世界の空を飛んでいて、ボーイングのエンジニアたちはすでに新しい「797」の構想を進めているのでしょう。ドリームライナーの次はどんな機体になるのか? 具体的な情報はまだ入ってきていません。水面下で起きていることを、誰か取材してこないかなあ。

S.Akimoto at 10:06|Permalink

2016年07月29日

ジャンボ機が消える?

 
旅行・観光専門サイト『トラベルボイス』で先週、「超大型航空機の時代は終わったのか?」と題するコラムを公開しました。エアバスが「「総2階建て大型機A380を減産する」と発表したことを受けて、その経緯や私なりの見解をつづったものです。

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左右の主翼に2基ずつ、計4基のエンジンを装備する4発機は「操縦していてとても安心感がある」とこれまで多くのエアラインパイロットが話していました。彼らはA380やボーイング747などの大型4発機に、大きな信頼を寄せています。

そのジャンボ機747について、こんどはボーイングが生産終了を検討していると、今朝の大手新聞各紙が報じています。「2016年9月から減産体制に入り、航空会社からの新規受注がなければ生産中止を決断せざるを得ない」と。米紙ウォールストリート・ジャーナルも「世界で最も有名な航空機が、まもなく“着陸”することになりそうだ」と伝えました。

機体前方に2階席があり、飛んでいる姿を遠目から見てもその独特なフォルムから「あ、ジャンボ機だ!」とわかる747は、日本のファンにはとくに親しまれてきました。JALANAの主力機だった747-400は相次いで退役しましたが、その伝統とテクノロジーは次世代ジャンボ747-8に受け継がれています。弱点だった燃費の悪さも、新型エンジンの搭載などで改善されました。世界デビューとなった2012年6月のルフトハンザのフランクフルト/ワシントンD.C.線にも搭乗し、超大型機でのフライトがいかに快適かを身をもって体感したことをいまも思い出します。今後、どこかのエアラインから新規発注があることを、心から望みます。

S.Akimoto at 10:02|Permalink

2016年07月15日

超大型機は時代遅れ?

 
Blog更新がやや途絶えていますが、この間、エアバスがA380を減産するというニュースが入ってきました。現在の月産3機体制から2018年に月産1機に。燃費効率のいい次世代機ボーイング787やエアバスA350XWBに比べて、A380のエアライン各社からの受注が伸びていません。超大型機の時代は終わってしまうのか? 淋しい思いが込み上げてきます。

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A380という機種について私は構想・開発段階から取材を進め、世界で最初に本にもしました。シンガポール航空のデビューフライト(シンガポール〜シドニー線=2007年10月)にも搭乗。以来、各社の初就航便などを中心にフライト体験を重ねて、A380がますます好きになっています。

ここ数年は成田路線からA380を撤退するエアラインも相次ぎましたが、日本から乗れないのであればソウルまで行って大韓航空のパリ行きで長時間フライトを楽しんだり、ドバイからエミレーツ航空でモーリシャスへ飛んだりもしました。

そんなファンの一人として、ノスタルジックな思いも込め、A380減産についての文章を今朝から書き始めました。もうすぐ書き終えて、旅行・観光専門サイト『トラベルボイス』に送ります。来週には公開になると思いますので、また報告します。

S.Akimoto at 10:02|Permalink

2016年06月12日

シロイルカ

 
昨年の秋、ドイツのハンブルクで空を飛んでいる“こいつ”を久しぶりに見かけました。ヨーロッパ各地の協力工場で分担してつくれらたエアバス機のコンポーネントを南仏トゥールーズにある本社工場へ空輸するための特殊輸送機、ベルーガです。

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ボーイングの輸送機ドリームリフターは日本の重工メーカーがある名古屋にも来ますが、エアバス機のコンポーネントは日本で製造していないため、ベルーガを日本で見ることはできません。私はわざわざこれを撮影するために出かけて行くようなマニアではありませんが、偶然に遭遇するとやっぱり嬉しいもの。持参したカメラにたまたま望遠レンズを付けていたので、15分くらい狙いました。

ベルーガとはシロイルカの別称で、空を飛んでいる姿はじつに優雅です。私が見たときも、雲間から突然顔を出したこいつは、スローな速度でふわふわと近づいてきました。

エアバスは部品輸送力を増強するため、新しいベールガ「XL」を製造するプロジェクトを現在推進中です。従来のベルーガよりもさらに巨体化し、エアバスの発表によると輸送能力は30%向上。2019年から稼働するそうなので、ヨーロッパに出かけたときは空を見上げて探してみようと思います。

S.Akimoto at 09:18|Permalink

2016年05月31日

エアバスの独工場

 
世界のエアラインから最も多く採用されている機種といえば、ボーイングの737シリーズとエアバスのA320シリーズ。いずれも単通路型の小型機です。これらが売れる背景には、大型機での長距離移動に比べ、150〜200人を乗せて2〜4時間のフライトで移動するという路線が世界には多いという路線需要があります。

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2012年に日本に誕生したピーチジェットスタージャパンエアアジアジャパンのLCC3社は、運航する機材にA320を選択しました。A320は、それぞれに全長の異なるA318、A319、A320、A321でファミリーを構成。1987年の初飛行から28年以上を経て市場はいまも拡大をつづけ、すでに7,000機以上がエアライン各社に納入さています。

最近はA320neoという、新型エンジンを搭載して環境性能を高めた新型機もファミリーに加わり、現状でのA320シリーズの受注残はまだ5,500機近い。エアバスは現在の月産42機の生産レートを2019年に60機へ引き上げる目標を掲げ、ドイツ・ハンブルクの最終組立工場に4番目のラインを設けると発表しました。A380の格納庫があるエリアを転用するそうです。

ハンブルク工場は昨年2月に視察で訪れ、総2階建て機A380のラインも見学しました〔写真〕。受注が伸びていない超大型機の居場所が、今後は小型機の生産場所に。A380ファンとしては、ちょっぴり複雑な気持ちです。

S.Akimoto at 19:27|Permalink

2016年05月25日

ゼロ戦が飛ぶ

 
本物のゼロ戦(零戦=零式艦上戦闘機)が5月27日から3日間、九州の空を飛ぶそうです。「零戦里帰りプロジェクト」を運営する東京・品川区のゼロエンタープライズジャパンが発表しました。鹿児島空港をベースにしたイベントで、最終日は復興支援のため熊本空港にも降り立つ計画です。

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ご覧の写真は、このプロジェクトとはまったく関係ない、米国ワシントンD.C.のスミソニアン博物館に保存・展示されている機体です。2014年3月に取材で行ったついでに撮影してきました。博物館を訪れる世界各国の人たちがこのゼロ戦ブースに群がっていたのを思い出します。

私は戦闘機についてはほとんど書かないのですが、ゼロ戦の技術面でのスゴさは認めています。同じ時代に戦っていた世界の戦闘機に比べても、航続性能や運動性能などゼロ戦の技術水準ははるかに高かったようです。たとえば地上から上空6,000メートルに到達するのに要する時間は、わずか7分。優れた旋回性能も合わせ持ち、敵機との空中バトルを有利に展開できました。

鹿児島でのイベント、行ってみたい気持ちもありますが、残念ながら週末は予定がびっしり。どこかで動画がアップされたら、そこで見ようと思います。

S.Akimoto at 18:04|Permalink

2016年05月22日

プライベートジェット

 
英国のヘビメタバンド、アイアン・メイデンが先日、両国国技館で開催された2日間のツアーのため来日しました。しかも日本へのアクセスは、自家用のジャンボジェット(ボーイング747)で! 航空ファンの間では、そんなことが話題になっています。

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2年前に来日したローリングストーンズも移動にはボーイング767の専用ジェットを使っていました。超有名人とか超セレブは、やることが違います(笑)。セレブといえば、アメリカ大統領選で注目を集めるドナルド・トランプ氏のプライベートジェットも、その豪華さは半端ではありません。

プライベートジェットはお金があれば誰でも所有できるの? 1機の購入代金はどのくらい? 一般の人もプライベートジェットで旅する方法がある? 私のもとにもときどき届くそれらの素朴な疑問に、明日(23日・月曜)の朝のラジオ番組で答えることになりました。

文化放送『くにまるジャパン』(平日9時〜13時)の人気コーナーのひとつ「新発見・再発見! くにまる○○○○塾」。同コーナーには過去にもいろいろなテーマで何度もおじゃましてきました。明日の23日(月)に私が開く講座は「プライベートジェット塾」です。10時過ぎから15程度、私が欧州旅で利用したプライベートジェット体験〔写真〕も含めて、詳しくお話しします。

S.Akimoto at 18:56|Permalink

2016年04月28日

黒塗りジェットの旅

 
ご覧の黒塗りの機体、どこの所有だかわかりますか? ボディに描かれたロゴは「FOUR SEASONS」。ボーイング757の機内にわずか52席をレイアウトした、フォーシーズンズホテルのプライベートジェットです。

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この旅客機を使って、これまで豪華な世界一周ツアーなどが企画されてきました。そして本日また、2017年に実施される3つの新企画が発表に。その一つが、世界でも指折りのレストランやプライベートキッチンを訪問したり、地元シェフや生産者との交流などが盛り込まれた「美食発見の旅」です。

韓国ソウルを皮切りに、プライベートジェットで東京、香港、チェンマイ、ムンバイ、フィレンツェ、リスボン、コペンハーゲン、パリを3週間かけて食べ歩くそうです。発表されたツアー代金は13万5,000USドルから。1ドル=110円換算で電卓を打ったら「1,485万円」と出ました。

こうしたツアーも今後のために一度くらいは経験しておこうかなと思って預金通帳を調べたら、ああ、ダメだ。1,455万円足りない。諦めよ。

S.Akimoto at 23:08|Permalink

2016年04月01日

モデルプレーン

 
私は旅をするので飛行機は欠かせぬ乗り物ですが、航空マニアではありません。なのでグッズコレクションなどにも興味はないのですが、それでも仕事柄、いろんな品物が私のもとに集ってきます。今年に入ってからも、レアなモデルプレーンが二つ、わが「雲の上の書斎」にやってきました。

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ひとつは、今年の1月と2月に機内販売されたANAの「R2-D2 JETモデル」です。ボーイング787の1/400スケールで、数量も限定生産。「お一人さま1個しかご購入いただけません」という条件つきの品でした。わりと早い時期に完売してしまったそうです。

もうひとつは、こちらは非売品ですがJAL塗装の「MRJモデル」です。「モデルプレーンの王様」と言われる米国パックミン社製で、1/100の大型スケール。JALは2021年からMRJの受領を開始しますが、実際に運航するのはグループでローカル路線を担当するジェイ・エアになる予定で、機体もジェイ・エア塗装になります。ですので、この「JAPAN AIRLINES」の文字がボディに入った非売品モデルは、貴重な一品になるかもしれません。

両方とも、私の書斎スペースの目立つ場所に飾りました。ANAのスターウォーズジェットに乗って、年内にもヨーロッパへ飛んでみようか。JALのMRJが日本のローカル路線に就航すると、地方への旅がますます楽しくなるだろうな。目の前の二つのモデルプレーンを見ながら、そんな思いを膨らませています。

──お知らせです──
私のBlogは文章主体で、挿入画像は小さいサイズでしか扱ってきませんでした。大きいサイズはfacebookに掲載して連動させてきましたが、本日(4月1日)よりBlog掲載の画像をクリックしても大きなサイズで見られるよう変更しています。ご活用ください。

S.Akimoto at 00:04|Permalink

2016年03月29日

空と宇宙の開拓者

 
雑誌などのインタビューで「テレビはよく観るほうですか?」と聞かれると、私は「観たり観なかったり。まあ、普通ですかね」と答えます。多いのはスポーツ中継やニュース番組で、2時間ドラマや映画などはなかなか時間が合わず観られません。それほど頻繁にではありませんが、CS放送のディスカバリーチャンネルは好きな局の一つです。


ディスカバリーチャンネルは、何気ない現象から宇宙のしくみまでを科学的な視点で解明する番組が多く、世界210以上の国・地域で放送されています。そして同チャンネルでは今日(3月29日)から毎週火曜日の時間帯で、航空ファンには見逃せないシリーズがオンエアされることになりました。題して『ボーイング 空と宇宙の開拓者』。ボーイングが航空機と宇宙開発の分野で過去100年の間に成し遂げた主要な技術的進展をドキュメントで伝える番組だそうです。初回の放送スケジュールは以下のとおり──。

・航空産業の誕生/3月29日(火)21:00~22:00
・ドリームライナー/4月5日(火)21:00~22:00
・ジェット機の時代/4月12日(火)21:00~22:00
・宇宙開発/4月19日(火)21:00~22:00

興味深いですね。再放送も予定されています。詳しくは同チャンネルのホームページでチェックしてみてください〔写真は米国シアトルのボーイング工場にて=2015年9月撮影〕。

S.Akimoto at 09:21|Permalink

2016年03月18日

ダグラスDC-8

 
雑誌の記者から今週受けたインタビューのなかで、テーマからは少し外れたものの、ダグラスDC-8という古い機種の話をしました。1960(昭和35)年にJALが日本で最初のジェット旅客機として導入した4発機です。私が高校生のときに初めて乗った飛行機も、このDC-8でした。


当時私は、札幌で毎年2月の頭に開催される「さっぽろ雪まつり」に、行きたくて行きたくて仕方がありませんでした。高校1年が終わる春休みから安い鈍行列車を使った国内の旅をスタートし、春、夏、冬と長い休みがくるごとにあちこちを放浪していたのですが、雪まつりだけはなかなか行けません。開催時期の2月に、学校の休みがなかったからです。

諦めきれない私は、学校をサボることを決意しました。ですが、いつものように鈍行列車でのんびり旅をしていたら、さすがに退学になってしまう。そこで考えたのが、飛行機を使って期間を短縮することでした。アルバイトでお金をため、足りない分は親に借りて、初めて乗った飛行機──それがDC-8だったのです。

ご覧の写真〔JAL提供〕のように、DC-8は胴体が細く、直線が非常に美しい。私が乗ったのは、DC-8のなかでもボディをストレッチしたDC-8-61というモデルでした。外観はよりスマートでカッコいいのですが、通路が一本しかないため、到着した札幌で降りるのにずいぶん待たされた記憶があります。「飛行機って、降りるときがめんどくさいなあ」と、当時はあまり好きになれませんでした。乗るときはウキウキで、降りるときは「遅っせぇなあ、さっさと降ろせよ」と思う気持ちは、いまもあまり変わりませんが(笑)。

S.Akimoto at 18:42|Permalink

2016年02月17日

航空ショー

 
昨日(2月16日)からシンガポールで始まったアジア最大の航空ショーに来ています。「航空」をテーマにした取材では欠かせない相棒の航空写真家・チャーリィ古庄氏を伴って。開催初日は気温30度を超えるなか、朝からずっと会場を動き回り、二人とももう真っ黒になりました。


航空ショーというと、民間機よりも軍用機のほうがどうしてもメインになります。軍用機にはまったく興味をもたないチャーリィが、戦闘機乗りたちの派手な曲芸飛行にレンズを向けて「こいつら、アタマおかしいんじゃねえの」と呟いています〔写真〕。私も同感です(笑)。

最新の軍用機が低空飛行でものすごい爆音を残して去っていったあとは、エアバスA350XWBのカーボンカラー塗装機のデモフライトが始まりました。ほとんど地上に届かないくらいの静かなエンジン音で、私たちの頭上をふわりと旋回していきます。「ほんと、いい旅客機だな」とチャーリィに声をかけると、彼も「ヒコーキはこうじゃないとね」と夢中でシャッターを押していました。

A350とはライバルであるボーイングの“ドリームライナー”787も今回の航空ショー取材の大きなテーマで、それについては旅行・観光専門サイトの『トラベルボイス』に今朝、原稿と写真を送りました。記事は本日中に公開になると思いますので、ぜひチェックしてみてください。

S.Akimoto at 07:58|Permalink

2016年02月05日

ドクターコール

 
上空で急病人が出たとき、同じ便に医師が乗っていないかを機内アナウンスで呼びかける「ドクターコール」を聞いたことがあると思います。JALによると、機内で病人が発生する事案は年間で350〜360件あり、医師の協力が必要なケースがそのうちの3分の2におよぶのだとか〔写真は機内に用意されている蘇生キット〕。


アナウンスでコールされるのは、医師が同乗しているか、同乗していてもどの席に座っているかを把握できていないからでした。そうした状況を改善するためJALは今月3日、機内で具合の悪くなった乗客の応急処置に協力する医師の事前登録制度を開始すると発表。これまでドイツのルフトハンザが同様の取り組みを実施してきましたが、日本のエアラインでは今回のJALが初となります。

では、実際に医師が乗っているケースはどれくらいあるのでしょうか。ルフトハンザは「8割以上の便に医師が搭乗している」と言っています。しかし、すべての医師がドクターコールに応じてくれるわけではありません。あるアンケート調査では、呼びかけに「応じる」と答えた医師は34%。「応じない」「わからない」という医師は合わせて60%を超えました。機内の限られた空間では医療措置に責任が持てない、と考える人も少なくないようです。

JALは事前登録した医師に、空港ラウンジへの入室資格などの特典を与えるといいます。インセンティブの用意がなければ助けてもらえない、というわけではないでしょうが、何らかの見返りがあったほうが協力者を得られやすいのも事実。ルフトハンザでもマイル特典を供与することで登録医師数を増やしました。いずれにせよ、新しい制度がうまく機能することを願っています。

S.Akimoto at 17:21|Permalink

2016年02月02日

ダブルフェザー

 
メキシコ取材から戻りました。facebookにも大きいサイズでアップしたご覧の写真は、メキシコシティからカンクンに向かうアエロメヒコ航空の機内で影したもの。ボーイング737の翼の先に、ポポカテペトル山とイスタクシウアトル山が見えます。5,000メートルを超える火山群で、左側のポポカテペトル山からは白煙が上がっている様子がわかりますか?


ところで、ヒコーキに詳しい人は、主翼先端の形を見て「あれ?」と思ったかもしれません。ウイングレットが従来の737のように単に上に伸びているのではなく、上下に二股に分かれています。「もしかしてMAX!」と驚いた人もいるでしょうか。

いいえ、737MAXはまだ飛んでいません。MAXは先週、ようやく初飛行に成功したばかり。たしかにMAX用に開発されたAT(アドバンスト・テクノロジー)ウイングレットに似ていますが、同じダブルフェザー(二枚羽)タイプであっても、ATウイングレットが上下一体型なのに対してこちらは従来のウイングレットの下に小さな翼を生やしたような形状です。アビエーション・パートナーズが開発し「スピリット・シミター(シミターは三日月の意味)」の名で製造・販売を開始しました。

アエロメヒコ航空は保有する737-800の13機に、この「スピリット・シミター」を発注しています。燃費効率がさらに進化した新しい飛行機での旅を、思わぬところでいち早く体験できました。

S.Akimoto at 00:02|Permalink

2016年01月20日

ANAがA380を?

 
エアバスの総2階建て機A380に、にわかに注目が集まりはじめています。その一番の特徴は、巨体を生かしたキャビンのスペース。デビューは2007年10月のシンガポール航空によるシンガポールから豪州シドニーへのフライトでしたが、その初便に乗ったとき、私もあまりの広さに驚きました。


仮に1階と2階をすべてエコノミークラスで座席をレイアウトすれば、一度に800人以上を運べてしまいます。もちろん1回のフライトでそんなにたくさんの乗客が乗る路線は、世界のどこにもありません。A380を導入した各社は3クラス計500席程度でキャビンを設計しましたが、それではあの広大なスペースは埋まらない。余った部分をどうするか? それぞれに創意工夫を凝らした結果、ホテルのスイートルームのような個室席や機内ラウンジ、雲の上でリフレッシュできるシャワールームなどが誕生しました。

こんなゴージャスな旅客機は、他に類をみません。「自分もいつかはA380で旅行してみたい」と憧れるファンがあとを絶たないのもそのためです。

一部報道によると、スカイマークがキャンセルしたA380をANAが引き受けるそうです。近く正式発表があるかも知れません。A380は日本の航空会社にもフィットする機種なのか? 今後、どんなところに注目していくべきか? 私がときどきお邪魔するTOKYO FMラジオの朝のニュース&情報番組「クロノス」で明日21日・木曜日に、番組パーソナリティであるスポーツジャーナリストの中西哲生さんの質問に答えることになりました。「SUZUKI BREAKFAST NEWS」という8時から10分ほどのコーナーです。

S.Akimoto at 14:00|Permalink

2016年01月06日

787の功績

 
今年夏ごろに、アメリカのボストンに飛ぼうか。元日のBlogでそんなプランを披露しました。JALがビジネスクラスで提供を始めたゼロハリとのコラボによるアメニティポーチの、黒のバージョンを手に入れたいからです。うまく時間が見つかれば、本当に行くことになるかもしれません。


ボストンへはかつて2回行きました。中世ヨーロッパを彷彿とさせる街並みが、私は好きです。日本からはちょっと距離があり、そう簡単には行けない都市でしたが、JALの直行便が2012年4月に就航してからはアプローチも楽々。旅の計画も立てやすくなったので、ぜひ再訪したいと思います。

直行便で行けるようになったのは、ボストンだけではありません。アートにグルメにと各国からの旅行者が絶えないベルギーの首都ブリュッセルなどにも、ANAが昨年10月に開設した直行便で乗り換えなしで飛べるようになりました。この2、3年で日本からの新規路線の開設が相次いでいる背景には、何があるのでしょうか。

路線開設ラッシュの陰には、じつはボーイング787の活躍があります。787は、JALやANAにとってどういう意味をもつ機材なのか?両社へのそんな取材をきっかけに、運航する航空会社の視点で787を考察した記事を書いてみました。「ITmedia ビジネスオンライン」での連載『“飛行機と空と旅”の話』で、本日より公開になっています。興味のある人は、ご一読ください。

≫≫≫「ボーイング787の導入で何が変わったのか?

S.Akimoto at 08:56|Permalink

2015年11月11日

歴史的な一日

 
2015年11月11日──。ついにこの日が来ました。夢の国産ジェット機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行が、本日午前中に実施されます。歴史的な一日になるのは間違いありません。その瞬間に立ち会うため、取材パートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏とともに、いま県営名古屋空港へ向かっています。


予定された初飛行が何度か延期になり、11月の第2週行うと発表されたのが10月23日(金)。再度の延期を懸念する声も出ていたものの、その翌週に国土交通省から飛行許可が下り、11月1日(日)には初飛行に向けた高速走行試験も開始されたことで「いよいよだな」と感じていました。

昨夜は私、東京・南青山で開催された米国観光局のパーティに出席していました。お世話になった人からの招待で、早くから約束していただけに、こちらも外すわけにはいきません。昨日午後にひと足先にクルマで向かっていたチャーリィ古庄氏に、私が宿泊予定のJR名古屋駅前のホテルで今朝の早い時間にピックアップしてもらえるよう依頼し、パーティ終了後に東京駅からの最終の新幹線に乗り込んだのです。

これから始まるMRJ初飛行の取材は、近く刊行する書籍(ムック)のメイン特集のためのもので、ここで詳しくお伝えできないのが残念です。せめて直前の状況だけでもお知らせしておこうと、Blogで書くことにしました。みなさんが今日一日の活動を始め、これを読む頃には、すでに初飛行を成功裏に終えて県営名古屋空港は感動に渦につつまれているかも知れません。

S.Akimoto at 05:20|Permalink

2015年11月08日

615人乗り旅客機

 
航空ジャーナリストとして私がテーマにしてきた一つに、エアバスA380という総2階建ての機種があります。まだ形になる以前の、開発がスタートした時期から取材を進め、完成後はシンガポールからシドニーへのシンガポール航空による世界初就航便にも搭乗。その4カ月後には世界で一番最初に本(『エアバスA380まるごと解説』)にもしました。


この総2階建て機をエコノミークラスだけでレイアウトすると880席設置できます。しかし、800人が一度に乗るような路線は、世界のどこを探してもありません。A380を導入したエアラインは、どこもキャビンを450席から500席前後で設計しました。シートだけ500個積んでもあの広大なスペースは埋まらないので、余った空間にラウンジをつくったり機内販売のショールームを開設したり。エミレーツ航空は機内にシャワー&スパの施設を設置して利用者を驚かせました。A380は空の旅を変える! というのが、私がこの機種に早くから興味をもった理由でもあります。

A380の世界最大のオペレータでもあるエミレーツ航空は、これまで140機をエアバスに発注しました。500席が常に満席になる路線などそうはないのになあ、と私が疑問を口にすると、同社のある幹部は「A380はうちの会社の象徴なので、別に満席にならなくてもいいんですよ」ときっぱり。お金のある会社は、言うことが違います(笑)。

そのエミレーツ航空に先週水曜日、ビジネスクラス(58席)とエコノミークラス(557席)だけでレイアウトした新しいA380が届きました。トータルの席数は615もあります。いったいどこに飛ばすのだろうと首を傾げていたら、今年の12月より拠点のドバイからバンコクとコペンハーゲンへの路線に投入するのだとか。本当に一度にそんなに多くの旅客が乗るのか? 落ち着いた頃に、確かめに行ってみようと思います。

S.Akimoto at 22:49|Permalink

2015年06月25日

“Cシリーズ”

 
これは、乗ってみたい! いよいよベールを脱いだ、ボンバルディアの“Cシリーズ”。欧州内の短距離および中距離路線への導入を計画しているローンチカスタマーのスイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)から先ほど、チューリッヒ空港に初めて飛来した「CS100」の初号機を迎える様子の画像が届きました。バランスのとれた、なかなかイカす旅客機です。


ボンバルディアといえば、日本では地方路線などで活躍する高翼プロペラ機のDHC-8が知られています。ジェット機に比べて低い高度を飛ぶので、機窓から景色を眺めながらの移動が楽しい。私も今年に入って、天草エアラインが運航するDHC-8でのフライトを3回ほど満喫しました。チューリッヒに降り立ったCシリーズは、そのボンバルディアが初めて挑む100席超のクラスの最新ジェットです。

CS100は110席のキャパシティをもつタイプで、1号機がSWISSに実際に納入されるのは2016年の半ば。現地では、そのキャビンデザインや搭載する新型シートも公開されたようです。私も動画で拝見し、冒頭に書いたように「絶対に乗ってみたい!」と強く思いました。

思えば、2007年にシンガポール航空によるエアバスA380の初就航便に乗り、2011年にはANAによるボーイング787のデビューフライトも体験。2012年にはルフトハンザが世界で最初に受領した次世代ジャンボ747-8iの就航便にも呼んでもらい、そして2014年秋には羽田に初飛来したA350XWBのデモフライトにもJALの招待で乗せてもらいました。「初もの」はもう十分かな、と思っていたのですが、来年のCS100の就航便にもやっぱり乗りた〜い! 年内にSWISSの本社を訪ねるかもしれないので、そのときにエラい人たちに頼んでおこっと。

S.Akimoto at 18:49|Permalink

2015年05月14日

基本型と派生型

 
旅客機には同一機種の中で「基本型」のモデルと「派生型」といわれるモデルがあります。派生型は、最初につくった基本型をベースに、後の新たな需要に対応するためボディのサイズ(長さ)を延長したり新型エンジンに替えて航続距離を延ばしたタイプ。たとえばエアバスの単通路型ベストセラー機A320は、A318とA319、さらにA321という3タイプの派生型を誕生させました。


そのうちA318とA319は、基本タイプのA320よりボディを短くした短胴型で、短距離路線などで活躍。またシリーズで最長のA321は、A320よりボディを主翼の前後で6.9メートル延長し、設置できる座席数を増やしました。

A320は日本ではLCCの4社(ピーチジェットスタージャパンバニラエア春秋航空日本)が運航しているので、乗った人も多いでしょうが、長胴型のA321はなかなか体験できるチャンスが少ないかも知れません。かつてはANAが1990年代後半から一時期飛ばしていたものの、わずか10年で日本の空から姿を消しました。

さて、熊本&天草の旅から昨夜戻り、今日はまた成田空港に来ました。いまから乗るのは、ベトナム航空が昨年夏に開設したダナンへの直行便です。ハノイとホーチミン以外の都市への直行便は初めてで、多くの世界遺産やリゾートが集まるベトナム中部への旅が便利になりました。しかも同路線は、前述したA321での運航! 日本からレアなフライトを楽しみながら、1週間の日程で2年ぶりにベトナム中部を歩いてきます〔写真=チャーリィ古庄氏撮影〕。

S.Akimoto at 14:15|Permalink

2015年05月02日

初飛行から10年

 
そうか、あれからもう10年! 今週の火曜日(4月27日)にエアバスから配信されたニュースリリースを目にして、感慨にひたりました。「総2階建て機A380が初飛行から10周年を迎えた」というのがその内容です。


A380について私が興味をもち、取材を続けてきたのは、開発当初から「この画期的な旅客機は空の旅を根底から変えてしまうかも」という思いがあったからです。初飛行から2年半後の2007年秋には1号機がシンガポール航空に納入され、同年10月25日にシンガポール/シドニー線でデビュー。そのフライトにも立ち会い、そして5カ月後の2008年3月には世界で最初に「A380」をテーマにした著書を上梓しました。

もう7年以上も前に書いた本なので、日本の読者にはさすがに情報も古くなっていますが、中国語や韓国語にも翻訳されてアジアではいまも読者が増えつづけています。私のfacebookに先日、台湾の人からの友だち申請があり、こんなメッセージが添えられていました。「本を読んでとても興味をもちました。飛行機のことにも、著者である秋本さん自身にも」と。

書いた作品がひとり歩きして、遠く離れたところにいる人たちの手に届く──嬉しいことです。いま、2冊の新しい本の執筆に取り組んでいるのですが、早く脱稿して書店に並べないと。頑張ろ。

S.Akimoto at 19:16|Permalink

2015年04月23日

ホンダジェット

 
ユニークな形をした飛行機だなあと、改めて観察して思います。今日の午後、世界ツアーの一環で羽田に飛来したホンダジェット。私は現場には出向いていませんが、取材した記者たちがWebでさっそく報告をアップしはじめました。下の写真は以前、ホンダエアクラフトカンパニーから入手したイメージ画像ですが、今回飛来した機体は赤で塗装されています。


私が「ユニークな形」と言ったのは、そのエンジンの取り付け位置です。これまで主翼の下の部分につり下げられるように置かれることの多かったエンジンを、ホンダジェットは何と主翼の上面に!

飛行機の揚力は、主翼の丸くふくらんだ上面に速い速度で空気が流れ、下面との間にできる負圧(気圧の差)によって生じさせます。その負圧を得るため「主翼の上面には気流を乱すものを置かない」というのが航空力学の常識でした。しかし、エンジンを主翼の下側に付けると胴体が地面から高くなり、乗降のための施設(タラップなど)を用意しなければなりません。ビジネスジェットには機体後尾の両脇にエンジンを取りつけている機種もありますが、それだと胴体内部に支柱を通すことが必要で、客室が狭くなってしまう。ホンダのエンジニアたちは「なんとか主翼の上側にエンジンを置けないか」をテーマにさまざまな位置にエンジンを設置して気流の乱れをコンピュータで計算・分析する作業を繰り返しました。その結果、主翼の上側であっても気流が乱れず、空気抵抗の少ないエンジンの置き場所を見つけたのです。

近くアメリカで型式証明を取得し、顧客への納入が開始されるホンダジェット。読者からは「同じ国産の三菱MRJに比べてあまり話題にならないのはなぜですか?」とときどき質問が届きますが、厳密に言うとホンダジェットはアメリカに本社を置くホンダエアクラフトカンパニーが製造する米国製旅客機で、国産ではありません。もちろん構想や基本設計は日本人スタッフが担当し、その意味ではMRJ同様、メイド・イン・ジャパンの技術の上に成り立っている飛行機なのですが。

S.Akimoto at 16:26|Permalink

2015年03月05日

近未来の旅客機づくり

 
旅客機は、何万という種類のパーツから構成されています。整備工場にはメンテナンス用に各種の部品をいつでもストックしておかなければなりません。急きょ交換が必要になった場合に、部品がなければ話にならないからです。たとえば就航先の空港に交換部品の用意がなく、ハブ空港から取り寄せるためフライトが丸一日遅延になる──そんなケースも過去に何度か目にしてきました。



使用している部品は、機種ごとに異なります。保有する機種が多ければ多いほど、ストックしなければならない部品の点数も増え、そのコストはばかになりません。コスト増は会社の経営を圧迫するため、LCCやローカルな会社では使用する機材を1機種か2機種に絞って効率化を進めてきました。

しかし国内外に幅広いネットワークをもつ大手では、小型機から大型機までさまざまな機種を保有しなければなりません。部品ストックにかかる膨大なコストを、どうにか削減できないか? 各社とも模索を続けてきた中で、欧州の航空機大手エアバスがユニークな提案を始めています。私がそのことを知ったのは先月、A350XWBの製造現場を取材するためドイツのハンブルク工場を訪ねたときでした。同工場のあるチームが話題の3Dプリンター技術を近未来の旅客機づくりに役立てる研究を進めている──そんな話を聞き、取材の途中で見学させてもらったのです。

詳細を、今朝公開した誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』の記事で報告しました。実際に3Dプリンターでつくったという骨組み模型〔写真〕を手に取りながら説明してくれたチームリーダーの言葉を、いまもこれを書きながら思い出し、旅客機づくりの未来像に胸をわくわくさせています。

≫≫≫「3Dプリンターで、飛行機づくりはどう変わる? ──エアバスの場合

S.Akimoto at 10:07|Permalink

2014年06月19日

サッカーW杯余話

 
盛り上がっていますね、サッカーW杯のブラジル大会。私も翌日の仕事を気にかけながら、夜中や明け方の試合をついテレビで観始めてしまうと、もう止められません。どのカードもレベルが高く、感動すら覚えます。そんな陰で、航空にからんだ聞き捨てならない二つのニュースが入ってきました。二つとも、時事通信が伝えたものです。


一つは、1カ月前に報じられた「ブラジル航空当局は(サッカーW杯の)大会期間中、飛行機の離着陸時間が遅れた場合に航空会社に最大4万ドル(約400万円)の罰金を科すこともあり得ると警告」というニュース。読んでいて、我が目を疑いました。フライト遅延による観戦客の混乱を避けるのが狙いだそうですが、こんなバカな話、ありますか? W杯の開催中だろうが、平時だろうが、3次元の空間を飛んで行く飛行機は遅れるときは遅れます。乗客からのクレームを恐れて、悪天候の空港からなかなか着陸許可が下ないことに苛立った機長が無理に着陸を決行して墜落する──そんな事故がかつて実際にありました。ブラジルの航空当局というのは、何を考えているのか。

もう一つは、今週配信された「中国の航空会社が操縦士らにサッカーW杯ブラジル大会の徹夜での観戦を禁止した」というニュース。これも、わざわざ会社が規制しないといけないことですか? サッカーを観る自由は機長にも副操縦士にもありますし、かといってエアラインのパイロットが徹夜してフラフラの状態で乗務につくなんて考えられません。その中国系航空会社の社員たちのモラルは、そんなに低いのでしょうか?

さて、明日はいよいよ、日本代表の絶対に負けられないグループリーグ第2戦です。キックオフは、日本時間の朝7時。ちょうど通勤時間帯にかかるため、オフィス街のカフェなどでは早めに来たオフィスワーカーたちに出社ぎりぎりまで店内のテレビで試合観戦を楽しんでもらおうと営業開始時間を早めたり、会社によっては定時の出社時間を遅らせたり──いろいろ工夫をしているようです。こういうことは、大いにやってほしいですね。なにせ、世界中が沸く4年に一度のお祭りなのですから。

S.Akimoto at 16:42|Permalink

2014年06月12日

重量管理システム

 
パラオから戻っています。予想どおりWi-Fi環境がよくなくて、現地でのBlog更新はかないませんでした。写真の整理ができたら少しずつ報告していきたいと思います。渡航中は、日本のニュースもほとんど見ていません。出発直前の6月5日にJALの重量管理システムの障害で国内線の174便が欠航になり、留守中にそれに関連する出来事がいくつかあったと帰国後に知りました。


といっても、私がどうこう言うような出来事ではありません。JALの植木義晴社長が「大量欠航」についてお詫び会見を開いたとか、翌日にANAの現役機長がJALのフェイスブックに「調子乗ってるんじゃねえよ!」と書き込んだとか。その程度です。機長の書き込みは、まったくいただけませんけど(笑)。

読者の方からは「重量管理システムのトラブルとはどういうものか?」という質問がありました。旅客機の運航にとって、重量バランスの管理はとても大切です。旅客や貨物、燃料を含めたトータル重量だけでなく、機体の前後・左右の重量バランスをうまくとることも安全運航には欠かせません。左右のバランスが悪ければ飛行中に機体が傾いてしまいますし、前後のバランスが狂えば機首の上下方向の向きが不安定になります。そこでチェックイン時には、預け入れ荷物の重量をはかり、さらに乗客の平均的な「みなし体重」をもとに一人ひとりをいくつかに区分けした機内の各ブロックに同程度の重量になるよう振り分けていきます。その作業を行うのが、今回トラブルのあった重量管理システムです。

コンピュータが未発達だった時代は、上記の作業は人の“カン”に頼っていました。チェックインの際にカウンタースタッフが見た目で乗客の体重をこっそりと予想し、そのデータを打ち込んでバランスがよくなるよう座席を割り当てていたのです。当時を知る社員から「あの頃は、ひと目で体重を言い当てられる“目利き”の先輩が多かったんですよ」という話も聞きましたし、海外ではカウンターで荷物を預けるときにスーツケースだけでなく乗客も体重計に乗せられる国がいまだに存在します。上の写真がそのときのもので、これには私もびっくりしました。

S.Akimoto at 00:15|Permalink

2014年04月22日

JALクルーが人命救助

 
テレビの報道番組では連日、多数の死者や安否不明者を出している韓国の旅客船セウォル号の沈没事故を取り上げています。沈みかけた船から乗客をすみやかに避難させる措置を、船長や乗組員らはなぜとれなかったのか? 私も疑問に思って繰り返しニュースを見ていますが、先週末のこと──画面はふと別の話題に切り替わりました。セウォル号のニュースの次に映し出されたのは、JALの客室乗務員二人が成田空港警察から表彰ているシーン〔写真〕。とてもいい話なので、紹介しましょう。


そのアクシデントは今月8日、台北からの便が到着した直後の成田空港で起きました。到着後、コンコースを歩いていた台湾からの男性(67歳)が突然、その場で倒れたのです。男性のもとへ駆けつけたのは、近くを歩いていた二人の女性──JALの客室乗務員の粕谷理恵さん(写真左)と吉村亜希子さん(同右)。プライベートで台北を旅行してきた帰りで、たまたま乗客として同じ便に乗り合わせていたのでした。

男性は意識がなく、呼吸もしていません。二人はすぐに荷物を放り出し、行動を起こしました。吉村さんが心肺を蘇生させるための心臓マッサージを始め、粕谷さんが男性の手を握って脈が戻るかを確認します。そんな役割分担を無意識のうちにしていた、と二人はあとで話していました。心臓マッサージは5分ほど続きます。とにかく必死に、男性に向かって「がんばってください!」と声をかけながら。

粕谷さんと吉村さんの懸命の救命措置で、やがて男性の意識は回復し、到着した救急隊により病院に搬送されました。二人が咄嗟の判断で男性を救えたのも、機内で急病人が発生した場合などに備えて日頃から訓練を続けているからでしょう。そんな二人に成田空港警察は感謝状を贈ったのですが、重大な事故に直面しながら何も行動を起こせないセウォル号の乗組員と、勤務外の時間でありながら適切な処置で一人の命を救ったJALのクルーと──極めて対照的な二つのニュースでした。

S.Akimoto at 07:31|Permalink

2014年04月13日

エアアジア、再び

 
マレーシアに拠点を置くアジア最大LCC、エアアジアが、2015年にも日本へ再上陸するかも知れません。東京都内で今週、メディアの取材に応じた同グループのCEO、トニー・フェルナンデス氏が明らかにしました。こんどこそ“アジアの旋風”を巻き起こすのでしょうか。


エアアジアがANAとの合弁でエアアジア・ジャパンを立ち上げ、国内3番目のLCCとして就航したのは2012年の8月でした。順調に離陸したかのように見えましたが、搭乗率が思ったように伸びず、業績低迷からANAとの合併を解消して昨年6月に日本の空から撤退。それについてフェルナンデス氏は「他社と手を組んだのは初めての経験。船頭役が2人いては、意思決定もままならなかったよ」と振り返ります。

その後、ANAは単独で新ブランドのバニラエアを離陸させ、こちらは快調に国内や近隣アジアへと翼を広げています。同社は「リゾートLCC」というコンセプトを明確にし、日本の市場に見合ったサービスも採り入れました。日本で成功するには日本式の経営が必要ということかな、とも思います。

一方、もとはレコード会社ワーナーミュージックの幹部だったフェルナンデス氏が航空業界に進出したのは2001年。「マレーシアで飛行機に乗れたのは当時、人口のわずか6%にすぎない。ならば残りの96%の人たちのために安い飛行機を飛ばすことで大きなビジネスになると確信した」というのがそのきっかけです。エアアジアは飛行機を、まさに列車やバスのような格安運賃で利用できる乗り物に変えました。同社の機体には、こう記されています──「NOW EVERYONE CAN FLY(いまや誰でも飛行機に乗れる)」。再上陸するエアアジアは、はたしてどう変わるのか? あるいは変わらず独自路線を貫くのか? 注目したいと思います。

S.Akimoto at 23:23|Permalink

2014年04月10日

液体物が許可に?

 
空港で検査場を通って国際線を乗り継ぐ場合、これまで酒類など液体物の機内への持ち込みは禁止されていました。それが本日(4月10日)から成田空港で、最新機器による検査を受けることで「許可」されることに。利用者にとっては嬉しいニュースです。


そもそも液体物の持ち込みが禁止になったのは、2007年3月でした。きっかけとなったのは、前年の2006年8月に英国ロンドンのヒースロー空港で発覚した旅客機爆破テロ未遂事件。摘発された犯行グループは、スポーツ飲料に仕掛けを施した爆発物で航空機を爆破しようとしていたのです。その事件を受けて、国土交通省は「機内に持ち込める液体物は100ミリリットル以下の容器に入れ、1リットル以内の透明で再開封可能な袋に入る範囲内」といった新たなルールの適用を開始しました。

禁止された液体物には、一般の飲料品や化粧品などのほか、歯磨き粉やヘアジェルなどのジェル類、エアゾール、スプレー類なども含まれていました。そうとは知らずに持ち込もうとしてそれらを空港検査場で強制的に「没収」されるケースが頻発し、当初は旅行者からの不満の声が続出。今日から持ち込みを「OK」とした理由は技術の進歩だそうで、乗り継ぎの検査場で液体物を最新式の機器に通し、問題がなければ「STEB(ステブ)」と呼ばれる不正開封防止袋内に密封することで許可されるのだとか。

それで、本当にテロ対策は大丈夫なのか? 私も詳細はわからないので、近く安全面を検証するための取材をかけたいと思います。

S.Akimoto at 23:44|Permalink

2013年11月04日

オートパイロット

 
米連邦航空局(FAA)が離着陸時でもスマートフォンなどの電子機器の使用を認める規制緩和案を発表したことについて、先週金曜日のNHKのニュース番組『NEWS WEB』で解説し、さらに誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』でも緊急寄稿しました。この問題に対する関心は予想以上に高いようで、記事にも多くの反響が寄せられています。


これまで電子機器の使用を禁止していた理由として、記事では「旅客機のオートパイロット(自動操縦システム)は受信する電波などに多くを頼っているのに対し、携帯電話などから発信される電波は本来受信すべき電波を妨害しコクピットのコンピュータを誤作動させる恐れがあるとされてきた」という趣旨のことを書きました。詳しくは誠Styleの記事をご覧いただくとして、今日はその「オートパイロット」について取り上げます。

オートパイロットは「APS(自動操縦装置)」「ATS(自動推力調整装置)」「INS(航法装置)」などを統合したシステム。近年はコンピュータ技術の発達で、オートパイロットに任せられる範囲もぐんと広がりました。離陸さえしてしまえば、あとは上昇して水平飛行に移り、目的地の空港への進入まですべてオートパイロットで行うことができます。では、このままテクノロジーの進化が進むと、いずれは離着陸もオートパイロットが代行し旅客機のコクピットは“無人化”するのでしょうか?

軍事目的では「無人偵察機」が実用化されているものの、民間機でコクピットにパイロットがいない機体が飛ぶことはありえない──航空機メーカーやエアライン各社の間ではそんな意見が多数派を占めるようです。技術がどれだけ進歩しようと、機体や操縦システムに予期せぬトラブルが発生する可能性はゼロではありません。操縦はコンピュータに任せても、そのシステムを監視するのはやはり人間の目です。飛行計画に基づいてコンピュータにデータを入力するのもクルーの役割ですし、天候の急変によってときには飛行計画そのものをクルーの判断で見直さなければなりません。自動での着陸も現在は可能になっていますが、ただ機会任せにしておけば安全だと考えているパイロットはいないようです。

S.Akimoto at 17:46|Permalink

2013年07月08日

アシアナ機事故

 
世界の主要空港には「ILS」という、空港近くの地上施設から電波を発射し、旅客機が飛行している上空の現在地点から滑走路の着地点まで目に見えない“道”をつくってやる装置が設置されています。このILSがあるため、旅客機はたとえ濃霧の視界がほとんど利かない中でも、安全に降りることができます。


ILSは機能していなかったのかなあ。着陸時に操縦していたのは機長ではなく、訓練中の副操縦士だったのでは? 米国サンフランシスコ空港で起きたアシアナ航空機の着陸失敗事故のニュースを聞いて、私の中でいろんな疑問がわき上がりました。その事故から丸一日が経過し、事実が少しずつ明らかになってきたようです。その中には「やっぱり」と思う点も少なくありません〔写真は某テレビのニュース番組より〕。

じつは昨日、テレビなどいくつかの電波媒体から、番組への出演オファーをいただきました。迷ったのですが、最終的にはどれもお断りして、いま進めている原稿書きに集中させてもらうことに。私の代わりに解説してくれる人はいっぱいいますし、むしろ航空評論を専門にする人のほうがいいと判断しました。多くの読者から「どの番組でコメントしますか?」と問い合わせをいただいたので、その答えとして今日はこんなBlogを書いています。

私は本来、評論家ではありません。航空ジャーナリストの肩書きで旅を取材する仕事などをしていますが、航空ジャーナリストである前に「作家」であり、できるだけモノを書く仕事に集中していきたい。そんな希望もあり、これからは従来以上に仕事の中心を作家業にシフトしていこうと考えています。

S.Akimoto at 18:27|Permalink

2013年05月01日

宇宙は遠い

 
大気圏を越え、高度110キロの宇宙空間へ。誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で以前、そんな一文で始まるレポートを書きました。『2012年宇宙の旅』というタイトルで、ヴァージンギャラクティックが計画する民間人向けの宇宙旅行を紹介したものです。


2012年は過ぎてしまいましたが、これに関連した新しいニュースが昨日届きました。アメリカ・カリフォルニア州のモハベ砂漠上空で現地時間の4月29日、宇宙船(スペースシップ2)をロケットエンジンで飛行させる初の実験に成功した、というニュースです。夢の宇宙旅行の実現に向け、これは大きな一歩になるでしょう。

同社が計画する宇宙旅行の詳細について、改めて簡単に説明しておきます。双同型のマザーシップで高度16キロ付近まで運ばれた宇宙船〔写真=ヴァージンギャラクティック提供〕は、切り離しが行われたあとでロケットエンジンを始動させ、音速の3倍のスピードで高度110キロの宇宙空間へ。乗客はそこから約4分間、無重力空間を体験し、宇宙船のパノラマウインドウから無限に広がる漆黒の世界で透明に輝く星々や地球の“生”の姿を観察します。トータルで2時間のフライトです。

3日間の事前訓練なども含めた値段は、一人20万USドル。現時点での申し込みはすでに500人を超えたそうです。20万USドルというと、私がレポートを書いた2011年7月当時では約1,600万円でしたが、円安が進んだ現在のレートでは約2,000万円に跳ね上がりました。ですが、夢を手に入れるのにおカネに糸目をつけてはいられません。年内にもいよいよ実現する可能性があるので、そろそろ私も申し込まなければ! そう思っていま自由になるおカネを調べたら──残念、1,997万円足りない。あ〜あ。

S.Akimoto at 00:07|Permalink

2013年01月19日

電源トラブル

 
ボーイング787関連の報道が加熱しています。18日も私は、結局多くの時間をテレビやラジオ、新聞の取材対応に割くことになりました。もちろん重大な事故ですし、その詳細を伝えることはとても重要ですが、一部に誤解を招くような内容も出てきているなと感じています。


787はこれまでとは違う、まったく新しいチャレンジでした。従来のアルミ合金に代わるカーボンファイバー複合材をボディや主翼の素材として多用。大胆な軽量化を実現した結果、燃費が20%も向上しています。素材を新しくしただけではありません。外見ではわからない、機体を構成するさまざまなパーツに軽量化・コンパクト化を求め、新開発の要素技術を細部にまで取り入れることで完成した旅客機なのです。

軽量化への取り組みの一環として、従来は油圧で機械式に動かしていた翼や舵、ブレーキなどを電気で動かす仕組みに変えました。その結果、使う電気の量は大幅に増え、787を「電気飛行機」などと呼ぶ人もいます。今回、ANA機でトラブルのあったバッテリーおよび周辺機器も大きく言えば電気システムの一つであり、私は「軽量化・コンパクト化への取り組みのなかで、無理をしてしまった部分に歪みが出てきていることも可能性の一つとして考えられる」と指摘しました。

しかし電気式に変えたといっても、フライト中に翼や舵、ブレーキなどを動かす電気は従来どおりエンジンで発電してまかなっています。そのため、搭載している発電機などもより強化されていて、今回の事故ではそこが壊れたわけではありません。「変色して電解液が漏れ、内部が炭化したように黒くなっていた」とされるのは、エンジンが止まっている駐機中や非常時に補助電源として使うバッテリーの部分です〔写真は国交省運輸安全委員会から公開されたメインバッテリー内部の様子〕。補助電源だから問題ないと言いたいわけではありませんが、上記の点を誤って解釈している報道も見られますので、今日もいくつかのテレビ番組の取材時に、また過去にインタビューを受けた新聞社の人たちにも連絡をとって改めて詳しく説明しました。

トラブルのあった787が緊急着陸した高松空港では、18日もANAが全面協力しての国交省運輸安全委員会による調査が進められました。その進捗状況などの報告は随時、現場のANA関係者からも届いています。不具合をすべて洗い出し、原因を徹底解明して、よみがえった“夢の飛行機”が再び世界の空に飛び立つのを待ちたいと思います。

S.Akimoto at 01:10|Permalink

2013年01月17日

番組コメンテーター

 
最初の一報が届いたのは、朝9時半を回ったときでした。「ANAのボーイング787のコクピットから煙が上がり、高松空港に緊急着陸した」と。787の相次ぐ機体不具合については1月11日のBlogで触れましたが、今回は地上ではなく上空を飛行中のトラブルです。私の口から「まずいな!」という言葉がこぼれたのとほぼ同時に電話が鳴り始め、その対応に追われている最中にPCは「未開封」のメールでいっぱいになりました。


連絡してきた相手は、テレビ局の報道部やニュース番組担当ディレクター、ラジオ局の番組制作スタッフなど。大手新聞社の記者も混ざっています。用件はすべて、787の事故について特集する番組への出演依頼や、インタビューの申し込みでした。

予定していた原稿書きはとりあえずあと回しにして、午後に入れていたいくつかのアポも相手に詫びを言って先延ばしに。すぐに支度をし、テレビ局のスタジオに向かいました。生出演する番組から優先し、オンエアが先の時間の番組には録画収録の形で、そしてその合間にうまく時間をつくって新聞記者からの電話インタビューを受けます。慌ただしかった一日が何とか終わり、自宅に戻ってビールを開けたら、再び鳴った電話が深夜のニュース番組への出演依頼でした。

上の写真は、先週金曜日(1月11日)の夕方、成田空港で撮ったものです。ANAの787によるサンノゼ線就航セレモニーを取材し、その初便をランプエリアに降りて見送りました(もちろん一般の人は立ち入ることはできません。取材申請をして、許可をとって降りています)。滑走路に向かって地上走行を始めた機体に、私は「いいフライトをしてこいよ!」と手を振ったのですが。

787は開発のスタート当初から取材を続けてきた旅客機で、応援する気持ちにいまも変わりはありません。応援しているからこそ、今日一日、私はしっかりと自分なりの見解を伝えることを心がけました。“辛口過ぎる”ととる視聴者もいるかも知れませんが。明日も朝5時に迎えのクルマが来て、テレビ局へ。午前中にいくつかの番組に出演し、それが終われば、本来の「物書き」の生活に戻れる予定です。

S.Akimoto at 00:55|Permalink

2013年01月14日

成人の日に

 
朝から雨や雪まじりのあいにくの空模様です。昨日までは冬晴れの天気が続いたのに。それでも駅の改札口では、晴れ着姿の若者たちを何人も見かけました。中学や高校のときの同級生たちと待ち合わせ、式典会場に向かうのでしょう。傘をさして数人で寄り添っていく姿を遠目に、ふと考えました。今日成人式を迎えるのは、1992年4月から93年3月までに生を受けた人たち。彼ら、彼女らが時を刻み始めた20年前の1993年は、航空界ではどんなことがあった1年だったかな──と。


まず機体の関係では、この年の3月11日にエアバスのA321が初飛行しました。A321はA320ファミリーの一つで、胴体を伸ばしたストレッチ型。単通路ベストセラー機A320の初飛行からは6年が経過していました。そして同年5月3日には、ボーイングの貨物専用ジャンボ機747-400Fが初飛行を遂げます。

エアライン関係では、カタール航空が1993年11月22日に設立されました。同社はこの20年間で急成長し、現在は首都ドーハから世界110都市へ路線網を拡大。カタールは2022年のサッカーW杯の開催地に中東で初めて選出されています。そのフラッグキャリアとして、今後さらに大きな飛躍が待っているかも知れません。

空港の関係でも重要な出来事がありました。「ビッグバード」の愛称で親しまれる羽田空港の新ターミナルがグランドオープンしたのが、1993年の9月27日です〔写真=チャーリィ古庄氏撮影〕。あれからもう20年が経ったなんて、なんだか信じられません。その後、2004年に第2ターミナルが完成し、第1と第2をJALグループとANAグループで使い分けるようになりました。2010年10月には新しい国際線ターミナルも供用を開始し、羽田空港もこの20年でめまぐるしい変貌を遂げています。

以上、今日は静かな雪音を聞きながらの仕事の合間に、20年前の航空界を簡単に振り返ってみました。成人式を迎えたみなさん、おめでとうございます。これからの活躍を祈っています。

S.Akimoto at 12:28|Permalink

2013年01月11日

トラブル続発

 
年明け早々、目がまわっています。仕事始めの1週間は書き物に集中するつもりでしたが、ボーイング787のトラブルが相次ぎ、予定が狂いました。米国ボストンで7日、JALの787のAPU(補助動力装置)用バッテリーから発火し、翌8日にはやはりJAL機(機体は別)の燃料タンク配管部分の不具合で燃料漏れが発覚。それらのトラブルについて急きょラジオ番組に出演してコメントし、終わって執筆作業に戻ったら、飛び込んできたのがANAの787がブレーキ制御システムの故障で山口からの便が欠航になったというニュースです。この件でも、テレビ取材の対応に深夜まで追われました。


とても気になります。「新型機に初期不良はつきものだよ」という人もいますが、それで済む問題でしょうか。家電製品やPCなどの場合は「新製品が出てもすぐに飛びつかず、初期不良が出尽くしてきちんと改善された時期に買え」という意見があります。ですが、航空機の初期不良を容認することはできません。たくさんの乗客を乗せて飛行中に「初期不良が見つかったので止めますね」というわけにはいかないですから。

開発が3年遅れ、マスコミも「夢の旅客機は夢で終わる?」という論調で騒ぎはじめたとき、私は「787は従来の旅客機とはまったく違う、ある意味では未知へのチャレンジだ。だから予期せぬトラブルがあるのは当たり前。開発の遅れをとやかく言うべきではない」とボーイングを擁護してきました。その一方で、ボーイング側にはこう伝えてきたのです──「待つ代わりに、完成品は100%完璧な形で納入してほしい」と。

787にとって、これからが世界の空を飛び始める大事な時期です。トラブルが続いている事実は、事実としてしっかり受け止めなければなりません。「今後の運航にはまったく問題ない」などという根拠に乏しい発言は慎んで、メーカー(ボーイング)もユーザー(エアライン)も一致協力して原因究明に取り組み、その結果「何が理由でどの部分にどんな不具合が発生し、どういう形で対応したか」をすべてオープンにしていくことが必要でしょう。それなくして、利用者の信頼をつなぎ止めることはできないと思います。

今日──1月11日の夕方、ANAの787による成田/サンノゼ線が新規に就航します。その記念セレモニーなどを取材するため、私も午後から成田に向かいます。

S.Akimoto at 00:07|Permalink

2012年12月20日

事故機のその後

 
あれはちょうど半年前──2012年6月20日でした。北京発の成田行きANA956便が、成田空港着陸の際にハードランディングになり、機体の一部が変形。これは国土交通省により「事故」と認定され、その後は運輸安全委員会による事故の検証が進められます。956便で運航していたのはボーイング767(レジ番号=JA610A)で、ANAは当局の調査に全面協力しながら、社内でも原因究明や再発防止のための取り組みを継続してきました〔写真は、北京空港で撮影したANAの767〕。


じつは今日、ANA広報から「事故機(JA610A)の必要な修復・整備作業を実施し、定められたすべての検査・確認が完了。そのことをホームページでも報告しています」と連絡がありました。同機材は12月26日より成田/上海線で運航を再開し、その後はアジア地区の国際線を中心に使用していく予定だそうです。

これを聞いて、読者の中には「え、事故機をまた飛ばすの?」と不安に思う人もいるかも知れません。ある人は私に「こんなこと、いちいち報告しなくても、6月20日の事故のことすら忘れている人も多いのに」と言いました。ですが私は、情報をきちんとオープンにする姿勢はやはりとても大事だと思います。

事故を起こすこと自体は、もちろん絶対に「ゼロ」に近づけなければなりません。では、アクシデントがあった場合の機体は、どうするのか? 単純に言って、修理できないものは廃棄する、修理できるものは念入りに手をかけて新品に近い形でよみがえらせて再び活用する──その2つの道しかないでしょう。そして後者の場合は、修理・整備を完璧にやり終えたことをきちんとアナウンスする、それも大事です。広報は「この件に関しては、ホームページでご意見やご要望に対応するためのデスクも用意している」と言いました。問い合わせの電話番号なども明記してあります。今後アジア線に乗る予定のある人で、事故後の経緯や機体の状況などに少しでも不安のある人は、何なりと意見をぶつけてみるといいかも知れません。

S.Akimoto at 23:25|Permalink

2012年06月06日

スカイマークの波紋

 
思わぬ波紋が広がっているようです。格安運賃で空の旅を提供しているスカイマークが利用者への対応方針を文書で示した「サービスコンセプト」に対し、消費生活センターがその文書の回収などを求めて抗議。さて、この一連の騒動をどう見るか? 私もアメリカとドイツ取材から帰国したばかりで、まだ状況がうまくつかめていません。しかし昨日今日と「これって、どうなのですか?」という質問が集中しているので、先ほどテレビ朝日の取材に応じました〔写真はイメージ〕。


乱暴な言い方をすると、「LCCとはそういうもの」です。そうやって“サービス”の部分をカットすることでコストを抑え、LCCは格安運賃を実現してきました。欧米では、出発が遅れて4時間も5時間も待たされても、誰も何も説明してくれません。

ただし、欧米では成功しても、そういうLCC流のビジネスがはたして日本の市場にどこまで定着するのか? 私はそのことを指摘してきました。日本人にとって空の旅は特別で、単なる「移動」とはなかなか割り切れない。安くても飛行機に乗るんだから、乗務員は親切に対応してよ──と。そんな日本人旅行者に対して「苦情はいっさい受け付けない」というのは、日本の市場を知らなすぎます。しかも「荷物の収納の援助をしない」とか「客室乗務員に丁寧な言葉遣いを義務づけない」といった対応は、決してコストカットに結びつくものではありません。荷物上げを手伝うのも、楽しくコミュニケーションをとるのも、コストとしては「ゼロ円」です。むしろ荷物上げをせっせと手伝ったやったほうが、早く出発できてコスト削減につながるのでは?

まあ、スカイマークがどんな意図で自社方針を文書化したのかは、私にはよくわかりません。そのことはさておくとして、これが乗務員本来の「保安要員」としての役割となると、また話は変わってきます。安全に関わる部分に手を抜くようなことがあれば、それは徹底的に追求されるべきでしょう。パイロットが規定高度より低いエリアから空港へアプローチしたり、指定されたのと違う滑走路に降りてしまったり──スカイマークはここ数カ月でそんな“不祥事”を繰り返してきました。そのことで利用者サイドから釈明を求められたら、これはきちんと真摯に答えなければいけません。

そんなことも含めて、私は先ほど、今回の騒動についてテレビ朝日の取材に答えました。意図するところはちゃんと伝わったかなあ。明日(6月7日)朝8時からの情報番組「モーニングバード」のコーナーでオンエアされるそうですので、興味のある方はどうぞ。

S.Akimoto at 22:45|Permalink

2012年04月13日

少ない水で機体清掃

 
エールフランス航空から昨日、環境保護の取り組みについてユニークな発表がありました。機体の外装を清掃するのに、従来と比べて100分の1の水しか使用しない方法を開発した──というのもです。これまで中距離線の機材では実績のあるこの方法を、今後は長距離線で運航する大型機でも採用していくことも報告されました。


新しい清掃方法では、小さなシートにクリーニング材を染み込ませて使用します。これにより使う水の量を従来の100分の1程度に減らし、作業時間も3分の1に短縮。ボーイング777の場合、これまでは1万リットルの水が必要だったのが、新方式では100リットルに抑えられるそうです。777よりもさらに大きなエアバスA380なら、効果はより増すでしょう〔写真はエールフランス航空のA380=チャーリィ古庄氏撮影〕。

水を節約するだけではありません。機体の外装を常にきれいに保つことで、空気抵抗が少なくなり、CO2の排出量を減らすことが可能です。エールフランス航空はこの方式で、すでに年間800万リットルの節水と57トン以上のCO2排出量の削減に成功してきました。

エアライン各社の環境保護活動が加速しています。2011年後半にはルフトハンザがハンブルグ/フランクフルト間で半年間にわたりバイオ燃料によるデイリー運航を実施。その詳細は『誠Style』でのレポート「7億円を投資してバイオ燃料の旅客機を飛ばすルフトハンザの本当の狙い」でも報告しました。エールフランス航空とルフトハンザ──競うように環境問題に挑みつづけるこの両社が、いずれも環境規制の厳しいヨーロッパのエアラインであることにも、私は注目しています。

S.Akimoto at 14:29|Permalink

2012年03月30日

どうした、ピーチ!!

 
搭乗便が空港に到着し、ボーディングブリッジが接続されると、機内に業務連絡のアナウンスが流れます──「客室乗務員はドアモードを変更してください」。すると乗務員は、自分が担当するキャビンのドアに向かって何やら操作を開始。あれはいったい、何をしているのでしょうか?


乗客を降ろすためにドアのロックを外している、と思っている人も多いようですが、そうではありません。旅客機のキャビンのドアには、緊急脱出用のスライドシュートが収納されています。緊急時に内側からドアを開けると、スライドシュートに自動的にガスが充填され、ドアから地上や海に向かって下りていくという仕組み。そんなものが空港で乗客が乗り降りする通常の状態で作動してしまったら大変なので、旅客機が空港に降りているときは客室乗務員によるドアモードの「ディスアームド・ポジション」への変更──つまり緊急脱出装置の作動を解除する作業が必要になるわけです。

28日(水)の午前8時半ごろでした。関西を拠点に3月1日から運航を開始したLCCのピーチが、長崎空港を出発前の機体の緊急脱出用スライドシュートを客室乗務員が誤って作動させるというトラブルが発生。乗務員は搭乗者を確認するため、一度閉めたドアを開ける際に、脱出装置の解除をうっかり忘れてしまったそうです。

出発準備などの作業を効率化して旅客機が空港にとどまっている時間を短縮し、1機の旅客機を1日に何往復もさせることで収益を上げる──それがLCCのやり方です。しかし1便1便の安全性維持にかける時間までは、絶対に縮小してはいけません。客室乗務員の仕事で一番大事なのは「保安要員」としての役割であり、既存のエアラインでは一人ひとりが「プロ」としての責任と自覚をもって仕事をまっとうしてきました。そのために日々厳しい訓練を重ね、実際のフライトでは常にさまざまなシーンを頭に思い浮かながら、いかなる状況下でも必要な行動を確実かつ迅速にとれるようシミュレーションしながら乗務に当たっています。

今回のピーチのトラブルは、そうした認識の「甘さ」が露呈した結果になったのでは? 単なる一乗務員のミスで片づけるべきではないでしょう。これは会社全体の問題です。だって、反対のケースを想定してみてください。出発時にドアモードの「アームド・ポジション」への変更をうっかり忘れてしまったら、緊急時にドアを開けてもスライドシュートが作動せず、乗客は機外への脱出ができなくなるのですから。どれだけ格安で運賃を提供できても、安全面で利用者に不安を与えるようなことがあってはLCCに未来はありません。ちょうど本日、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で、LCCの安全性について考察したコラムをアップしました。

≫≫≫「“激安運賃”で注目のLCC。安全性は本当に大丈夫なのか?

S.Akimoto at 12:11|Permalink

2012年02月27日

ニコニコ生放送

 
いよいよ今週、ピーチ・アビエーションが関西国際空港から離陸します。初就航は3月1日(木)の朝7時に発つ札幌・新千歳行き。一般の乗客に混じって多くのメディア関係者が実際のフライトを搭乗取材する予定で、親しい記者仲間やカメラマンらからも「私も乗ります!」と報告が届きました。


私は3月15日に刊行になる『みんなが知りたいLCCの疑問50』(サイエンス・アイ新書)を前日いっぱいで校了し、就航当日のその時間はおそらくまったく違う仕事の原稿を書いていると思いますが、ピーチ初就航の様子はネットでのライブ動画配信サービスの『ニコニコ生放送』でリアルタイム中継されます。そして午前中いっぱいで執筆の仕事を切り上げ、午後のフライトで私も羽田から関空へ。当日の17時より、同じ『ニコ生』で現地から「2012年。LCCが日本の空の旅を大きく変える!?」という1時間30分の生番組を受け持つことになりました。

本格的な和製LCCの第1号となるピーチに続き、ANA系のエアアジア・ジャパンやJAL系のジェットスター・ジャパンが相次いで就航する2012年。LCCの登場でこれからの旅のスタイルはどう変化するのか? そもそもLCCとは何なのか? その“激安運賃”のヒミツは? 関空展望デッキの特設ブースより現地の映像を交えながらの1時間半──さまざまな角度からLCCを分析・展望し、その舞台裏などをわかりやすく解説していきたいと思います。

S.Akimoto at 10:13|Permalink

2012年02月15日

LCC元年が始まる

 
ピーチの就航まであと2週間に迫り、マスコミ各社からはLCCに関する取材依頼が一気に増えてきました。7月にはJAL系のジェットスター・ジャパンが、翌8月にはANA系のエアアジア・ジャパンも相次いで離陸。まさに「LCC元年」といわれるように、2012年の日本の航空界はLCCの話題一色に染まりそうです。


格安で空の旅ができることで利用者たちの期待も集まっているようですが、では、旅行会社にはLCCはどう映っているのか? その点に疑問を感じていたら、日刊Web業界紙『トラベルビジョン』が独自に実施したアンケートの調査結果を報じていました。

上のグラフが、旅行会社のLCCとの関わり方についての回答です。小さくて見えづらいですが、回答を寄せた30社のうち「すでに販売をしており、今後も積極的に販売していく」が7社、また「販売はしていないが前向きに検討している」が5社あり、前向きな意見が全体の4割を占めました。LCCといえば、旅行会社を通さずネットでの直販システムを構築しているのが特徴です。しかし旅行者のニーズがある以上、各社とも無視できないのでしょう。ある旅行会社では昨年、福岡と関西、成田から韓国・釜山への路線に就航しているエアプサンを利用したパッケージ商品を販売したところ、すぐに売り切れたそうです。

さて、このところずっと執筆に集中していたLCC関連の本ですが、今週初めにようやく脱稿。『みんなが知りたいLCCの疑問50』というタイトルで、ソフトバンククリエイティブから予定どおり3月15日に発売されることが決まりました。出版社からはぼちぼち初校のゲラが届き始め、現在は著者校正の作業に進んでいます。校了まであと2週間。中高生や旅好きの女性たちにもわかりやすく、読み物としても楽しい1冊になるよう、最後まで全力でブラッシュアップを重ねていきたいと思います。

S.Akimoto at 23:46|Permalink

2012年01月21日

2012年の流行予報

 
阪急コミュニケーションズより、女性誌『フィガロジャポン』3月号〔写真〕が届きました。最新号のメイン特集は「2012年の流行予報」。ページを開くと、リード文に「お待たせしました! 新しい1年を笑顔でいっぱいにしたいから、フィガロは総力をあげて今年の流行予報を発令します」とあります。


内容をチェックしてみると、モードや美容、インテリア、グルメにカルチャー、そしてデジタルから旅まで──計181のトピックスを網羅した全方位型のトレンド予測を54ページにわたって展開しています。これだけの情報を集めるのは、編集部の人たちもさぞかし大変だったでしょう。

モードや美容、インテリアなどには私はまったく興味ないものの、グルメページでは「へえ、今年はこんな店が流行るの?」とちょっと勉強に。そして次のページをめくると、映画紹介のコーナーで来月26日に発表されるアカデミー賞のゆくえを占っています。編集部の予測は、はたして当たるでしょうか?

またトラベルのページでは、じつは私が、2012年に注目すべき“空の旅”のトレンドについて3つの角度から書きました。興味ある方はどうぞご覧になってみてください。『フィガロジャポン』3月号は昨日より全国の書店で発売になっています。

S.Akimoto at 00:41|Permalink
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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