2018年07月02日

天草・津紀行

 
「天草へ行ったら、津(さきつ)まで足を伸ばしてみるといい」──恩師からそう言われ、訪れたのは、あれはいつごろだったでしょうか。隠れキリシタンについて研究し、調べていた時代だから、おそらくは20代の後半か。

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天草に到着した翌日、ガルニエ神父がつくった大江の天主堂を訪ねたあと、私は山中の道を経て津の町を目指しました。明治初期に大江にきて昭和15年に同村でなくなったガルニエ神父が、長く大江と津の両教会を兼務していたというから、道のりはさほど遠くありません。天草の下島を地図でみると、頭のとがった男の横顔に見えてきます。顔が向いているのは西の方角。目が都呂々川の入り江で、その下に、おそろしいばかりに裂けた口が海の潮を飲んだり吐いたりしている。この裂けた口が「羊角(ようかく)湾」と名づけられたのは、おそらく明治後でしょう。

砂浜は湾の奥まったところに少しあるだけで、津のあたりはいきなり山(岬)が海から生えています。水深もかなり深そう。湾入が複雑なため、船はひとたびこの羊角湾に入ると、四方八方の風から守られます。ただし湾内の形が広かったり狭かったりするので、大型船を入れるには操舵がかなりやっかいなのでは? そんなことを考えながら、いよいよ津の集落に入りました。これからゆっくり歩いてみます。

以上の文章の原型は、1年ほど前に書いたものです。ワケあって、ちょっとアレンジしてこのBlog『雲の上の書斎から』に再現しました。近くアップする後編に続けたいと思います。

S.Akimoto at 06:31│国内の旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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