2017年07月02日

窓からローマが見える

 
陶芸や版画などのアーチストで芥川賞作家としても知られる故・池田満寿夫さん(1934年2月−1997年3月)の小説に『窓からローマが見える』という作品があります。のちに自ら脚本・監督を手がけて映画にもなりました。池田さんの作品はどれも前衛的で、評論家のあいだでも賛否が分かれるのですが、当時私は発表された小説はどれもむさぼるように読んだのを覚えています。

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とても刺激的な人でした。池田さんとはじめてお会いしたのは、熱海にあるアトリエ「満陽工房」におじゃましたときです。ある芸術雑誌の企画でアーチストの制作現場を拝見するという連載企画の取材を受けてもらえることになり、訪ねました。陶芸用のガス窯や版画用プレス機などを備えた「満陽工房」を池田さんが開設してから5年後くらいで、私はまだ30代前半だったと思います。

いろいろ話しているうちにすっかり打ち解け、その日の夜は同じ熱海にある自宅にも招待してくれました。陶芸も版画も私は素人でしたが、語られる内容がとにかく新しくて面白い。なかでも私の仕事柄、やはり記憶に残っているのが、小説を書くきっかけや執筆時のエピソードです。

私はこの週末を、池田さんの小説のタイトルにあるような「窓からローマが見える」部屋で過ごしています〔写真〕。目の前に広がる街並みは作品に出てくるシチュエーションとはまったく異なるのですが、ふと目を閉じると、あのエロスに満ちた官能ドラマが脳裏によみがえります。現実とイマジネーションが頭のなかで溶け合い、不思議な時間に身をゆだねています。

S.Akimoto at 17:07│ヨーロッパの旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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