2016年04月10日

ウィーンが遠く

 
海外をあちこち旅していると、ここが自分にとっての「特等席」と思える場所ができてきます。たとえば、オーストリアの首都ウィーン。世界遺産に登録された旧市街を訪れると、私はいくつかの特定のカフェやレストランに必ず足を運ぶようになりました。

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ひとつは、ウィーン美術史美術館の中にあるカフェ〔写真上〕。3階まで吹き抜けになったドーム型天井の真下の空間で、皇帝所有の美術品の数々に囲まれ、まるで自分自身も絵画の一部になったかのような気分を味わえます。もうひとつは、アルベルティーナ美術館に併設されたレストラン〔写真下〕。店内の壁にはエゴン・シーレの絵が大きく飾られ、いつ訪ねても黒ネクタイを締めたウエイターが上品かつ丁寧にもてなしてくれます。

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ウィーンでは古くからのカフェやレストランが至るところで営業を続け、そこで暮らす人々は誰もがその人だけの特等席を持っているように感じます。そのお気に入りの特等席で時間を費やすことを誰もが愛し、店の人も、来客一人ひとりのそんな時間を大切に見守ることが自分たちの役目だと考えているのかもしれません。

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ウィーンと成田を結んできたオーストリア航空の直行便が、今年の9月で27年間の歴史に幕を閉じることになりました。日本人旅行者にとって、ウィーンが遠くなってしまうのが残念でなりません。9月4日に成田を発つOS52便が最終便に。まだ半年先なので、できたらもう一度くらい乗れる時間をつくりたいと思います。

S.Akimoto at 00:52│ヨーロッパの旅 | 就航路線
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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