2016年02月05日

ドクターコール

 
上空で急病人が出たとき、同じ便に医師が乗っていないかを機内アナウンスで呼びかける「ドクターコール」を聞いたことがあると思います。JALによると、機内で病人が発生する事案は年間で350〜360件あり、医師の協力が必要なケースがそのうちの3分の2におよぶのだとか〔写真は機内に用意されている蘇生キット〕。


アナウンスでコールされるのは、医師が同乗しているか、同乗していてもどの席に座っているかを把握できていないからでした。そうした状況を改善するためJALは今月3日、機内で具合の悪くなった乗客の応急処置に協力する医師の事前登録制度を開始すると発表。これまでドイツのルフトハンザが同様の取り組みを実施してきましたが、日本のエアラインでは今回のJALが初となります。

では、実際に医師が乗っているケースはどれくらいあるのでしょうか。ルフトハンザは「8割以上の便に医師が搭乗している」と言っています。しかし、すべての医師がドクターコールに応じてくれるわけではありません。あるアンケート調査では、呼びかけに「応じる」と答えた医師は34%。「応じない」「わからない」という医師は合わせて60%を超えました。機内の限られた空間では医療措置に責任が持てない、と考える人も少なくないようです。

JALは事前登録した医師に、空港ラウンジへの入室資格などの特典を与えるといいます。インセンティブの用意がなければ助けてもらえない、というわけではないでしょうが、何らかの見返りがあったほうが協力者を得られやすいのも事実。ルフトハンザでもマイル特典を供与することで登録医師数を増やしました。いずれにせよ、新しい制度がうまく機能することを願っています。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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