2015年11月02日

やじろべえ

 
風情ある町家が街道沿いにつくられた水路などとやさしく調和し、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている福井県若狭町の熊川宿。ここは安土桃山時代から江戸時代にかけて若狭湾で水揚げされた魚介類を京の都へ運ぶ「鯖街道」の宿場町として栄えてきたことは、現地からfacebookでも報告しました。当時のままの古民家がいまも街道の両側1キロ以上にわたって建ち並ぶ、観光名所の一つになっています。


私たちは、地元のボランティア団体「熊川宿おもてなしの会」が運営する旧逸見勘兵衛家に宿泊させてもらいました。熊川に住む人たちの中から募った有志で、宿の運営や接客に当たっています。これについては近く、新聞などのメディアでレポートしますので、楽しみにお待ちください。

さて、熊川宿には夕方到着し、すぐに町の散策を始めました。すると、宿の数軒先の縁台でのんびり風に当たっている老人がいます。私も隣に腰をおろしていろいろ話を聞くと、その老人は、築170年の古民家に住む兼田誠之助さん(80)。木工のおもちゃなどを一品一品、手作りし、観光客らに販売しているそうです。「向かいの軒先に陳列してあるので、見ていってくださいよ」と言われ、覗いてみると──。

手作りと聞いて、さぞ高いのだろうと思ったら、こんなんで商売になるのかなと心配してしまうほどの安さです。そこで、旅の記念にと買ってみたのが、昔懐かしいやじろべえ(本体と土台がそれぞれ100円ずつで、計200円=写真はfacebookで)。帰京して、書斎のテーブルに置きました。朝起きて窓をあけると、カーテンを揺らす風がやじろべえを目覚めさせ、クルクルッと回る姿を見ながら古い街並みと兼田さんの顔を思い浮かべます。心の中で「いい旅だったなあ」と呟きながら。

S.Akimoto at 10:03│出会った人々 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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