2015年10月30日

名水の里

 
海外を旅するとき、必ずペットボトルの水を持ち歩いています。水道の水を飲んでいい国とだめな国があるのですが、場所によっていちいち旅のスタイルを変えるのが面倒になり、いつの頃からか「水は買うもの」という意識が定着してしまいました。その習慣は、東京でも同じ。書斎の冷蔵庫には常時、コンビニやスーパーで買ってきたミネラルウォーターのペットボトルが入っています。


昨夜遅くに福井県・若狭の旅から戻りました。いろいろ新しい発見があり、有意義な取材だったのですが、なかでも印象に残った一つがとにかく水がおいしいこと。自然の中に湧き出る水を手ですくって口につけると、命を洗われた気持ちになります。

先ほどfacebookにも大きいサイズでアップしたご覧の写真は、全国名水百選にも選ばれた「瓜割(うりわり)の滝」です。若狭町の天徳寺境内奥に位置し、山あいの岩間から湧き出る清泉は1年を通して水温が変わりません。夏でも水につけておいた瓜が割れるほど冷たいことから「瓜割の滝」という名前がつけられました。

滝の入口に、湧き出し口から直接引いた水汲み場があります。帰り際に寄ってみると、大きなポリタンクを二つも三つも携えた人たちが列をつくっていました。大阪から来たという年配の夫妻は「おいしい水を求めてドライブがてらあちこち出かけるが、若狭の水は身体にもやさしい感じ。これまで出会ったなかで一番合うようだね」と話していました。コンビニやスーパーで買わなくても自然にはぐくまれた名水がただで飲める──こういう場所で暮している人たちが、うらやましくなります。

S.Akimoto at 13:50│マイ・オピニオン | オフタイム
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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