2015年10月13日

合掌集落

 
北欧フィンランドのヘルシンキから帰国した翌日、世界遺産の合唱集落で知られる飛騨・白川郷を20年ぶりに訪ねました。田んぼや畑のあいだに点在する、鋭角の三角屋根の建物。この合掌造りは、白川郷のほか富山県の五箇山などでしか見られない、独特の建築様式です。私が20年前に訪れたのは雑誌の取材で、春先に村の人たち総出で行う屋根の葺き替え作業を見学させてもらったことを思い出しました。


作業を見ながら驚いたのは、かやぶき屋根の厚みです。何層にもかやを積み重ねていきます。この地域の年間降雪量は延べ20メートル。葺きたてのかやは、冬場に屋根に積もる雪の重さで、だんだんと固く締まるのだと村の人の説明を受けました。雪で固く締まるうえに、屋内では囲炉裏で生活するため、上ってくる煙でかやがいぶしつづけられる。やがて吹雪にも嵐にもびくともしない、100年も長持ちする屋根が完成するのだと話していました。合掌集落の全景と屋内の囲炉裏の写真は、改めてfacebookにアップしています。

取材した20年前はITバブルの絶頂期で、にわか成金たちの何人かが合掌造りの家に憧れ、そっくり丸ごと東京に持っていこうとした逸話なども聞きました。しかし都心で屋根を葺いたところで、結果は数年も持ちません。合掌造りの屋根は、雪深い国で、生活の煙にいぶしつづけられて初めて完成する──つまり単なる建築仕様の一つではなく、地域の文化そのものなのだと教えられました。

そんなことを一つひとつ思い出しながらの、奥飛騨散策。1泊2日の強行軍でしたが、道中は乗鞍高原などの紅葉も満喫し、海外取材のデータでいっぱいだった頭を休めることができました。

S.Akimoto at 02:11│オフタイム 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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