2015年09月20日

ビル街で急旋回

 
今週、香港へ飛びます。そのことを昨夜、友人と上野で飲みながら話したら、彼は「秋本は啓徳(カイタック)空港に降りたことはあるんだっけ?」と聞いてきました。自分は残念ながらそのチャンスはなかったが、あのスリルは一度は味わっておきたかった──と。私はあります。3回ほど。必ず右側の窓側席をリクエストして。いまでもよく覚えています。


啓徳空港が世界中の多くのファンたちに惜しまれながらその役割を終えたのは、1998年。香港が中国に返還された1年後です。香港行きのフライトは、本当にスリル満点でした。目的地に近づくと、搭乗機は少しずつ高度を下げて空港へ進入し、着陸直前になって急旋回します。右側の窓からは、九龍の繁華街を間近に見えました。到着後、乗客の中には「主翼が高層マンションの壁にすれすれで当たりそうだった」とか「オフィスビルの中の人と目が合った」などと、真剣な顔でクレームをつけてくる人もいたそうです。

ビルの人と目が合った? まさか、と私は笑い飛ばしましたが。最近、ある本を書く仕事で「人の目はどれくらい先までちゃんと見えるか」を調べました。たとえば視力が「1.0」とは「視角が1分(1度の60分の1)のものを見分られる場合」と定義されています。ここでは詳細には触れませんが、視力は通常5メートルの距離を置いて測定するので、1.0の視力の人は5メートル先にある1.5ミリのものを見分けるられる計算です。人の目の大きさは、横幅が4〜5センチ程度でしょうか。仮に4.5センチとして、それをはっきり見分けられる距離は150メートル。当時の旅客機がいくらビルの近くを飛んだからって、そこまで接近することはあり得ません。

この2週間ほど、執筆や打合せに引っ越しが重なり、多忙な日々を過ごしました。香港行きの機内では、そんな話も思い出しながら、ワイン片手にのんびり過ごそうと思います。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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