2015年04月26日

ゴー・アラウンド

 
今日から大型連休がスタートした会社もあるようです。いいなあ。私にはもちろん、ゴールデン・ウィークなどありません。毎度のことながら、この時期は仕事の山に追われています。テレビを点けっぱなしにして原稿書きを進めていたら、女性キャスターが「広島空港で着陸に失敗したアシアナ航空の事故機が今日の未明、撤去された」と伝えていました。


あの事故では、パイロットはなぜゴー・アラウンドしなかったのかがあちこちのメディアで取り沙汰されました。それをきっかけに航空の世界の「ゴー・アラウンド」という言葉に興味をもった人も少なくないようです。

ILS電波に誘導されて空港に進入してきても、視界が悪くデシジョン・ハイトまで降下して滑走路が視認できない場合は、着陸をやり直さなければなりません。降下を止めて再度上昇に移る動作を、パイロットの世界では「ゴー・アラウンド(go-around)」と呼びます。フラップを下げてぎりぎりまで速度を落とし、ゆっくりと降下を続けてきた機体のエンジンが突然大きなうなり音を発し、再び加速して上昇を開始。すると機内では「何が起こったのか!」「トラブル?」と驚きや心配の声が沸き起こります。

ですがゴー・アラウンドは、別に珍しいことではありません。パイロットたちは、機体を通常どおり滑走路に着陸させたあとでフラップを着陸ポジションから離陸ポジションに切り替え、エンジン出力を上げて再び上昇する──そんな「タッチ・アンド・ゴー(touch and go)」と呼ばれる訓練も普段から積んでいます。彼らはどんなときも、決められた操作を淡々と進めるだけ。私も、怖いと思うことはありません。一度だけ、バンコクの空港で着陸のやり直しがあって機内がざわめいたとき、連れの女性ライターに「大丈夫、心配ないよ」と声をかけたら、彼女はキョトンとして「え、何かありました?」と聞き返してきたときはびっくりしましたが。鈍感な奴もいるんだなあ、と(笑)。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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