2015年04月23日

ホンダジェット

 
ユニークな形をした飛行機だなあと、改めて観察して思います。今日の午後、世界ツアーの一環で羽田に飛来したホンダジェット。私は現場には出向いていませんが、取材した記者たちがWebでさっそく報告をアップしはじめました。下の写真は以前、ホンダエアクラフトカンパニーから入手したイメージ画像ですが、今回飛来した機体は赤で塗装されています。


私が「ユニークな形」と言ったのは、そのエンジンの取り付け位置です。これまで主翼の下の部分につり下げられるように置かれることの多かったエンジンを、ホンダジェットは何と主翼の上面に!

飛行機の揚力は、主翼の丸くふくらんだ上面に速い速度で空気が流れ、下面との間にできる負圧(気圧の差)によって生じさせます。その負圧を得るため「主翼の上面には気流を乱すものを置かない」というのが航空力学の常識でした。しかし、エンジンを主翼の下側に付けると胴体が地面から高くなり、乗降のための施設(タラップなど)を用意しなければなりません。ビジネスジェットには機体後尾の両脇にエンジンを取りつけている機種もありますが、それだと胴体内部に支柱を通すことが必要で、客室が狭くなってしまう。ホンダのエンジニアたちは「なんとか主翼の上側にエンジンを置けないか」をテーマにさまざまな位置にエンジンを設置して気流の乱れをコンピュータで計算・分析する作業を繰り返しました。その結果、主翼の上側であっても気流が乱れず、空気抵抗の少ないエンジンの置き場所を見つけたのです。

近くアメリカで型式証明を取得し、顧客への納入が開始されるホンダジェット。読者からは「同じ国産の三菱MRJに比べてあまり話題にならないのはなぜですか?」とときどき質問が届きますが、厳密に言うとホンダジェットはアメリカに本社を置くホンダエアクラフトカンパニーが製造する米国製旅客機で、国産ではありません。もちろん構想や基本設計は日本人スタッフが担当し、その意味ではMRJ同様、メイド・イン・ジャパンの技術の上に成り立っている飛行機なのですが。

S.Akimoto at 16:26│航空機&メーカー 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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