2015年04月17日

時速590キロ

 
今日はヒコーキではなく、新幹線の話。リニア中央新幹線の2027年開業を目指すJR東海は16日、営業仕様の「L0系」車両を使った山梨リニア実験線での有人走行試験で「時速590キロ」を達成したと発表しました。鉄道では世界最速となる記録で、ギネスにも登録申請するそうです。


私は「航空」に限らず、物書きとしてこれまでさまざまなジャンルで執筆を続けてきました。広告コピーのライター経験も長く、大手広告代理店の仕事を手伝ったことも2度や3度ではありません。当時受け持ったビッグクライアントの一つがJR東海で、私は技術関係の取材・執筆をメインで担当。約10年間、東海道新幹線などの現場を歩きました。

リニアの研究施設や開発現場の取材も重要なテーマでした。山梨実践線にも何度となく足を運び、技術者たちにインタビュー。1997年の12月に、それまでフランスの高速鉄道TGVが持っていた時速515キロの記録を塗り替える時速531キロを達成したときも、リアルタイムで現場からの報告を受けながら記事にしたことを思い出します。あれはたしか、その年のちょうどクリスマスの日でした。

そして昨日、さらに60キロも記録を上塗りし、時速はついに590キロに! もっとも、営業運転では最高でも時速505キロ程度で、最速への挑戦はあくまで「信頼性」を高めるためのものです。リニアには運転席がありません。ガイドウェイ(側壁)に配された電磁石(推進コイルと浮上・案内コイル)を地上から遠隔操作することで、車両を前進させます。超高速で走る無人車両を、ホームドアを備えたホームに1センチの狂いもなく止めるためにはきわめて高精度な制御技術が必要で、実用化に向けたエンジニアたちの挑戦は今後もまだまだ続くのでしょう。「世界最速」のニュースに接し、久しぶりにまた現場を取材してみたくなりました。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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