2014年10月07日

“下山家”たち

 
フランクフルト中央駅に向かう途中で、店開きしていたホットドッグ屋の屋台に寄りました。街歩きでお腹が空いたので。ご覧のように、リュックを背負った数人の若者グループが並んでいて、けっこう混んでいます。登山靴を履いている人もいたので、中央駅から列車でスイス・アルプスにでも行くのかなと思い、順番待ちをしながら近くにいた一人に「山登り?」と訊いてみました。


「山登りというか、どっちかというと山下りだね」と言って、彼は笑います。「おれたち、下山家なんですよ」

久々に聞きました──「下山家」という言葉。ヨーロッパに多いのです。登山電車でどこかの山の中腹まで登り、景色を楽しみながらのんびりふもとまで下りてくるというレクリエーションを趣味にしている人たちが。体力にあまり自信がなくても「下山」ならわりとラクにできるし、それを日常の生活に取り入れている人たちにもドイツやスイスやフランスで何度も会いました。住んでいるアパートなどで、上りはエレベーターを使っても、下りは階段でと決めている人たちです。

パリの知人宅のアパートに以前、3週間ほど居候させてもたったときのことを思い出します。あの古いアパートはエレベータはあったものの、上り専用で、下りはみんな階段を使っていたなあ──と。エレベーターを1階まで下ろすボタンが各階についていて。そういえば、英米仏独語ともエレベーターは「上るもの」の意味で「下りる」の意味はなかったような。てなことをしばらく考えていたら、ホットドッグを買う順番が巡ってきました。

S.Akimoto at 19:07│ヨーロッパの旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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