2014年08月27日

都心の低空飛行

 
“空港の街の子どもたち”──というテーマで以前、成田空港周辺の小学校を取材したことがあります。世界各国から飛来する旅客機を間近で見ながら暮らすことの楽しさなどを聞いて歩き、子どもたちの明るい笑顔に接しました。が、同時にその取材で知ったのが「騒音問題」の根深さ。昼間の教室で、旅客機が学校上空を通過するたびに、授業が中断してしまう。騒音で先生の声がまったく聞こえなくなってしまうのです。


国交省は昨日、地元自治体の関係者を集めて、羽田と成田の便数をさらに増やすための第1回協議会を開催しました。そこで提案されたのが、これまで飛行していなかった都心上空の飛行ルートの解禁です。この案に対して地元自治体から上がったのが、旅客機の騒音や落下物を懸念する声。東京都からは「騒音の影響や安全性について詳しい情報が欲しい」との要望が出されました。

東京都の副知事が記者のインタビューに「(都民は)航空機騒音をいままで経験してきたことがないですからね」と答えていたのが印象的です。この騒音レベルは、たしかに体験してみないと実感がわきません。私自身がそうでしたから。

都心の低空飛行が解禁され、羽田と成田をあわせて年間最大8万回近く便数を増やせれば、もちろん便利になるでしょう。しかしその実現のためには会議室で議論しているだけでなく、市民に代わって取り決めを行おうとしている一人ひとりが成田周辺などの“現場”に出向き、自ら体験した上での意見のぶつけ合いが絶対に不可欠だと思います。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

Logo_MakotoStyle_Tittle.jpg
Contact
仕事依頼などの相談・問い合わせはお気軽にどうぞ。当Blogへのご意見・ご感想もお待ちしています。下のフォームをクリックして画面を呼び出し、ご記入のうえ、送信してください。後ほど連絡させていただきます。

Form
Books











About Link
Blog『雲の上の書斎から』はリンクフリーです。必要に応じて以下のお好きなバナーをご使用ください。リンクされた場合は上記 Contact Formよりご一報いただけますと嬉しいです。