2014年07月19日

キャセイに栄冠

 
英国の調査機関スカイトラックス社が毎年160カ国以上の1,800万人の航空旅客の投票をもとに選出する「ワールド・エアライン・アワード」が、今年も発表されました。その結果を受け、私のもとにも受賞各社から「ベスト・キャビンクルー賞に選ばれました」「当社が北欧のベストエアラインに」「LCCのベストワンは当社です」といったPR用のリリースが送られてきています。ですが、あまりに細かく賞が分かれ過ぎていて、さほど興味もわきません。毎年の発表で私が注目するのは「総合での1等賞はどこだったのかな?」ということくらい。では、今年の総合ナンバーワンは?


2014年の「エアライン・オブ・ザ・イヤー」の栄冠を射止めたのは、キャセイパシフィック航空でした。同社については、私も昨年6月に徹底取材しています。その取材でわかった一つが、キャセイファンは日本やアジアだけでなく、欧米やオセアニア、中東・アフリカなど世界中に分散しているということ。そして「国際派」としての人気の重要な一翼を担っているのが第一線のキャビンクルーたちであることも、取材を通じて理解できました。

香港のキャセイパシフィック航空本社を私が訪れたとき、本部のスタッフとともにいろいろと対応してくれたのが日本人客室乗務員の藤原良美さんでした〔写真=中西一朗氏撮影〕。外資系では、日本人クルーが乗務するのは日本路線だけというキャリアが多いなか、キャセイではどの国のクルーもさまざまな国・都市への路線に乗務します。「それだけに、いろんなことにチャレンジしなければなりません」と、藤原さんは次のように話していました。

「日本人のお客さまはシャイな人が多く、欲しいものがあってもなかなかリクエストしてくれません。ですから日本路線では、お客さまが何を望んでいるのかをこちらでまず察する必要があります。その点、別の路線──たとえばインド線などに乗ると、あちこちからコールボタンが押されて、リクエストの量がものすごい。通路を歩いていても声がかかり、いったん通路に出るとなかなかギャレーに戻れません(笑)。そのひっきりなしのリクエストにどう効率的に対応していくかが、インド線などでは重要なポイントにります」

日々のフライトでのそうした創意工夫が、サービスを受ける側の心に響くのでしょう。今年の「ワールド・エアライン・アワード」の結果を聞いて、藤原さんに「おめでとう!」と久しぶりに連絡したら、乗務を終えてステイ中のロサンゼルスから「ありがとうございます。現場(機内)だけでなくさまざまな部署で働く社員たちみんなで頑張ってきた結果だと思います」と返事が届きました。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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