2014年07月01日

ホンダジェット

 
ミツビシとホンダ──そう聞いて、何を思い浮かべますか? 少し前なら多くの人が「自動車」と答えたでしょうが、現在は「ジェット旅客機」がこの2社に共通するキーワード。先週木曜日(6月26日)には、あのYS-11以来となるの国産旅客機、三菱リージョナルジェット(MRJ)の試験用初号機にR&W製エンジンが搭載されたと発表がありました。


そして2日後の土曜日(6月28日)には、ホンダジェットの量産1号機がアメリカで初飛行に成功します。MRJほど話題にならないのは、ホンダジェットが厳密には国産旅客機ではなく、アメリカに本社を置くホンダエアクラフトカンパニーが製造する米国製だからかも知れません。もちろん構想や基本設計は日本人スタッフが担当し、その意味ではMRJと同様、“メイド・イン・ジャパン”の技術の上に成り立っている旅客機なのですが。

ホンダジェットの特徴は、エンジンの取り付け位置にあります。多くの機種で主翼の下部につり下げられるように置かれているエンジンを、ホンダジェットでは主翼の上部に設計〔写真〕。飛行機は、主翼の丸くふくらんだ上面に速い速度で空気が流れ、下面との間にできる負圧(空気圧の差)によって揚力を生じさせます。その負圧を得るために「主翼の上面には気流を乱すものを置かない」のが航空力学の常識でした。しかし、エンジンを主翼の下側に付けると胴体が地面から高くなり、乗降のための施設(タラップなど)を用意しなければなりません。ビジネスジェットには機体後尾の両脇にエンジンを取りつけている機種もありますが、それだと胴体内部に支柱を通すことが必要で、客室が狭くなってしまいます。ホンダのエンジニアたちは「なんとか主翼の上側にエンジンを置けないか」をテーマに、主翼上面のさまざまな位置にエンジンを設置して気流の乱れをコンピュータで計算・分析する作業を繰り返しました。その結果、主翼の上側であっても気流が乱れず、空気抵抗の少ないエンジンの置き場所を見つけたのです。

ホンダジェットはそんな点でも、画期的な旅客機だと言っていいかも知れません。2015年初頭には米連邦航空局(FAA)から型式証明を取得する予定で、来年中にも世界の空を舞い始めます。

S.Akimoto at 00:13│航空機&メーカー 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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