2014年06月16日

クラゲと戯れる

 
パラオでの取材日程を最初に見たとき、これだけは本当にイヤだなと思いました。「無数のタコクラゲが生息する湖、ジェリーフィッシュレイクでクラゲたちといっしょに泳ぐ」──そう予定表に書いてあったのです。私は、どうもあのくねくねした生き物が好きになれません。かといって、予定されたアクティビティをパスするわけにもいかず、仕方なくガイドさんに従うことにしました。


ロックアイランドに囲まれた塩水の湖に、水中メガネと足ひれをつけてそっと入ります。怖くて、顔をつけることができません。沖のほうに泳ぎ始めると、感触の悪いふわふわしたものがそこらじゅうで肌に当たってきました。10分ほど進んだあたりで「では、潜ってみましょう」と言われ、水の中へ。そこはまさに、想像を絶する不思議な世界でした。

生息しているクラゲはじつに2,000万匹以上と言います。これだけの数がいては、逃げようがありません。もういいや、何とでもなれ! そう言葉に出して、開き直りました。

ガイドさんは「クラゲは弱い生き物で、足ひれで簡単に傷ついてしまいます。泳ぐときは注意してあげてください」と話していたので、きっとクラゲのほうからこちらに危害を加えることはないでしょう。慣れてくると、恐怖心はだんだんと消え去っていきました。むしろ、無防備に肌に触れてくるクラゲたちに、愛おしささえ覚えます。「クラゲたちの寿命はせいぜい1年ほど」という話を聞いたからでしょうか、彼らとしばらく触れ合っていたいなという気持ちに変わっていました。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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