2014年04月25日

シックスマンス

 
欧米線など長距離フライトを担当するパイロットは、次の帰国フライトまで現地で2、3日のインターバルがあります。その間は自由に時間を使えるわけですが、予定を聞くと、ときどき「何もありません。シックスマンスも近いので、ゆっくり身体を休めます」と答える人がいます。


エアラインパイロットには、半年ごとにライセンス更新のための身体検査が控えています。これが彼らの言う「シックスマンス」。健康管理もパイロットには大事な仕事で、検査が近づくと肝機能を示すGTPに不安のある人は数カ月前から好物のビールを控え、肥満傾向にある人はプロボクサー並みに汗を流して減量に努めなければなりません。万が一基準値をオーバーすれば、フライトは即刻停止。地上の仕事をしながら、復活の日を指折り数え、空を見上げて「飛びたい、飛びたい」と呟きながら過ごすことになります。

LCCのピーチが昨日、パイロット不足を理由に5月と6月に運航予定だった計448便を欠航すると発表しました〔写真はイメージ〕。井上慎一CEOは会見で「在籍するパイロット52名のうち8名が病気や体調不良で乗務できなくなった」と語ったそうですが、その8名が要はシックスマンスをクリアできなかったということでしょう。今後も“病欠者”が増えた場合は、影響は広がり最大で2,088便が欠航する見込みだそうです。

8名は健康管理を怠っていたわけではないと思いますが、どうしたのか? 大手と違い、人件費を抑えるためぎりぎりの人員構成で会社を切り盛りするLCCの弱点が露呈した結果になりました。

S.Akimoto at 19:21
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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