2014年04月22日

JALクルーが人命救助

 
テレビの報道番組では連日、多数の死者や安否不明者を出している韓国の旅客船セウォル号の沈没事故を取り上げています。沈みかけた船から乗客をすみやかに避難させる措置を、船長や乗組員らはなぜとれなかったのか? 私も疑問に思って繰り返しニュースを見ていますが、先週末のこと──画面はふと別の話題に切り替わりました。セウォル号のニュースの次に映し出されたのは、JALの客室乗務員二人が成田空港警察から表彰ているシーン〔写真〕。とてもいい話なので、紹介しましょう。


そのアクシデントは今月8日、台北からの便が到着した直後の成田空港で起きました。到着後、コンコースを歩いていた台湾からの男性(67歳)が突然、その場で倒れたのです。男性のもとへ駆けつけたのは、近くを歩いていた二人の女性──JALの客室乗務員の粕谷理恵さん(写真左)と吉村亜希子さん(同右)。プライベートで台北を旅行してきた帰りで、たまたま乗客として同じ便に乗り合わせていたのでした。

男性は意識がなく、呼吸もしていません。二人はすぐに荷物を放り出し、行動を起こしました。吉村さんが心肺を蘇生させるための心臓マッサージを始め、粕谷さんが男性の手を握って脈が戻るかを確認します。そんな役割分担を無意識のうちにしていた、と二人はあとで話していました。心臓マッサージは5分ほど続きます。とにかく必死に、男性に向かって「がんばってください!」と声をかけながら。

粕谷さんと吉村さんの懸命の救命措置で、やがて男性の意識は回復し、到着した救急隊により病院に搬送されました。二人が咄嗟の判断で男性を救えたのも、機内で急病人が発生した場合などに備えて日頃から訓練を続けているからでしょう。そんな二人に成田空港警察は感謝状を贈ったのですが、重大な事故に直面しながら何も行動を起こせないセウォル号の乗組員と、勤務外の時間でありながら適切な処置で一人の命を救ったJALのクルーと──極めて対照的な二つのニュースでした。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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