2014年03月21日

ライト兄弟

 
政治の殿堂が建ち並ぶワシントンDCで、計19の博物館や美術館を無料公開しているスミソニアン博物館群。なかでも最も人気のある一つ、国立航空宇宙博物館を取材してきました。下の写真は1903年にライト兄弟が世界で初めて動力飛行に成功させた「フライヤー号」です。先ほどfacebookにも大きなサイズで投稿しました。


複葉式の翼形がとてもユニークです。以前、野鳥に関する雑誌に書いたことがありますが、この翼形は上空で素早く方向転換(旋回)する鷹がモデルになりました。機体を浮上させるメカニズムや推進させる仕組みについては、ライト兄弟以前にも先駆者たちによってさまざまな研究がなされています。が、それをどう制御するかという操縦法の問題が当時は手つかずのままで、ライト兄弟はくる日もくる日も鳥の姿を追い続けたといいます。そしてあるとき、大きな鷹が自在に進路を変える光景から重要なヒントを得ました。

鷹は旋回するときに左右の翼の先端をわずかにひねることを、彼らは発見しました。翼の前縁を上向きにねじると迎え角が増して揚力がアップし、反対に前縁を下げると揚力はダウン。左右の翼を反対方向にねじることで揚力に差を生じさせ、方向を転換しているのです。では、固定された飛行機の翼をどうねじればいいのか? その難問は、兄のウィルバーが段ボールの空箱をヒントに解決しました。空箱を両手でねじったときに変形する様子は彼らが求めていたメカニズムそのもので、箱の上面と下面を飛行機の複葉と見なせば翼を簡単にねじることが可能になります。

そうして完成させたフライヤー1号を弟のオービルが操縦し、米国ノースカロライナ州キティホークの砂丘を飛び立ちました。世界初の動力飛行が成功した瞬間です。いまから111年前、1903年12月のことでした。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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