2014年02月08日

雪国の旅

 
今朝、遅めの時間に起床してベランダに出ると──外は天気予報で言っていたとおりの雪景色。午後から夜にかけて風雪はますます強まるそうで、お天気キャスターは「不要な外出は極力避けて」と呼びかけていました。でも、雪景色ってなぜか旅情を誘います。最近はなかなかチャンスがありませんが、若い頃は好んで「冬の旅」に出かけました。雪に覆われた地方の民宿を訪ねて、熱いお風呂につかり、地元の食材を使ったごはんをいただきながら宿の人の話を聞く。そんな旅も、なかなか楽しいものです。


北海道の日高地方を旅したときです。窓の外で降りつづく雪を見ながら、民宿のおかみさんが「雪のことをアイヌ語で“ウバシ”というんだ」と教えてくれました。ウは「互いに」の意味で、バシは「走る」──つまり、お互いに走る。小さい雪は速く、大きい雪はふわふわと落ちてくる様子が、あたかも競争しているように見えるからなのでしょう。美しい表現だな、と思いました。

奥飛騨を真冬に訪ねたときは、白川村の合掌集落で、やはり泊まった宿のご主人が降る雪の量とかやぶきの強さの関係を話してくれました。村を歩いてみると、合掌づくりのかやぶき屋根の厚みに驚きます〔写真〕。「このあたりの年間降雪量は延べ20メートル。ふきたてのかやはな、冬場に屋根に積もる雪の強さによって、はじめて固く締まるのよ」とご主人は言いました。「雪で固く締まるうえに、下からはいろりの煙でいぶしつづける。だからかやぶきは100年も長持ちするのさ」。じゃあ、合掌づくりは雪国の外に移転してもだめなの? 私のそんな質問に、ご主人は「新しく屋根をふいたところで、10年ももたないだろうな」と首を振っていたのを思い出します。

ああ、また旅に出たいなあ。窓の外の雪景色をみながら、そんな気持ちがわきあがってきます。今年は海外へ出る回数を少し減らそうと決めたので、そのぶんのんびり国内旅行でもするかなあ。

S.Akimoto at 12:10│オフタイム 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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