2013年11月16日

仮面舞踏会

 
ヴェネチアの街を歩いていると、迷路のように曲がりくねった路地のあちこちでよく仮面屋を見かけます。売られている仮面の種類はじつにいろいろ。ウィンドウを覗いているだけで飽きません。そのほとんどが仮面職人による手作りです。ちょうど作業を続けていたナンシーさんという女性職人が「ご覧になります?」と言って、しばらく見学させてくれました。


いまの時期が1年のうちでも一番忙しい、とナンシーさんは言います。カーニバルが近づいて来たから、と。ヴェネツィアといえば最も有名な一つが、毎年復活祭の1カ月半ほど前(2月下旬から3月初旬)に開催される仮面のカーニバル。人々は思い思いの仮面をつけて、街に繰り出します。祭りの2週間は世界中から多くの観光客が押し寄せるため、ホテルもなかなかとれません。それにしても、なぜ仮面をつけるようになったのか? 私の素朴な質問に、ナンシーさんは手を休めて答えてくれました。

「ヴェネツィアでは、狭い土地に古くから大勢の人が暮らしてきました。みんな顔見知りになってしまったため、なかなかハメを外せません。シャイな人たちばかりなんです。そこで、カーニバルの間だけは仮面をかぶって素性を隠し、羽を伸ばすというのが習慣になりました。この時期には、たくさんの恋も芽生えるんですよ」

カーニバルにはナンシーさんも仕事を休んで? 私が聞くと、彼女は「もちろんよ。自分で作った特性の仮面をつけてね」と言って片目をつぶりました。

S.Akimoto at 11:01│ヨーロッパの旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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