2013年11月14日

路地裏で働く人々

 
ヴェネツィアに到着した翌朝、ジューデッカ島のホテルからシャトル船に乗って本島へ渡り、のんびり散歩していたときのことです。運河にかかるいくつもの橋を越えると、奥まった路地の一角に、長方形の大きな鉄製のカゴが置かれていました。底の部分には車輪のようなものがついています。


なんだろう? あ、あそこに同じ形をしたカゴが! しばらく立ち止まって見ていると、両手にゴミ袋を持った男たちが、そのカゴにゴミをどんどん投げ入れていきます。ゴミの収集を仕事とする人たちでした。

ヴェネツィアはクルマが入れない街だから、ゴミ収集車も入れません。だからこうして一軒一軒、彼らがカゴを押しながら回収する必要があります。では、集めたゴミはどうする? あとをつけてみました。彼らはゴミでいっぱいになったカゴを押して、運河沿いの船着き場へ。そこにゴミ収集船がつけられています。カゴが到着すると、船に装備しているクレーンが動き出してカゴをもちあげ、船体中央部の空いた穴の上に。カゴの底が開いて、集めたゴミが落とされました。ゴミの収集人たちは次々にあらわれ、同じ作業が何度も繰り返されていきます。

「週に6日働いているよ。日曜以外は毎日ね」と、カルロと名乗った収集係が言いました。「歩いて回るのは大変だけど、それがいいんだ。仕事をしながら毎朝、いろんな人と話ができるからね。クルマだと、黙って通り過ぎるだけだろ」。それじゃ──と彼は手をあげ、再びカゴをころがしてもう1本先の路地に消えていきました。

S.Akimoto at 15:30│ヨーロッパの旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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