2013年10月23日
テレサとアンパンマン
作品づくりのための調べ物があって、マザー・テレサに関する本を何冊か読み進めています。テレサの言動には、考えさせられることが少なくありません。たとえば、自分の持っている物の一部を分けてやる。あるいは不要になった物品を送る。それなら自分にもできる気がします。けれど「なくても与える」となると、これはむずかしい。テレサは長年、この「なくても与える」生活を実践し「あっても与えない」ものへの無言の抗議を続けてきました。

愛は数や量ではない──と、テレサは言います。4歳の男の子が小さなビンに詰めた砂糖を彼女のもとに届けたことがありました。少年が何日間か食べるのを我慢してためた砂糖です。テレサ流に言えばたとえ少量でも、たとえ小さな行為でも、そこには「痛い愛」があります。
これ、何かに似ているな。何だったろう? ふとそう考えて、本を閉じ、しばらく瞑想します。そして思い至ったのが、アンパンマンでした。お腹をすかせて困っている人に、アンパンマンは自分の顔をちぎって食べさせる。本人が傷つきながらも人を助ける行為は、マザー・テレサの心に通じるのではないか?
写真は、アンパンマンとその仲間たちのマスコット人形です。二人の息子がまだ小さかった頃に持っていたものだと思うのですが、それがなぜかいまは私の書斎に。当時は映画『それいけ! アンパンマン』の新作が公開になるたびに、私は彼らを連れて映画館へ足を運びました。“引率役”にかこつけて、自分自身も毎回楽しみにしていたことが忘れられません。アンパンマンがピンチに陥り、危機一髪のところでカレーパンマンと食パンマンが助けに駆けつける。映画のそんなワンシーンに、ガッツポーズをとる息子たち。その横で私もいっしょになってこぶしを握りしめていたりして(笑)。今月の13日に、作者のやなせたかしさんが94歳で人生のペンを置きました。本当に残念です。心からご冥福をお祈りします。
S.Akimoto at 16:40│マイ・オピニオン