2013年09月08日

ボルダーを走る

 
あれ、この風景? 最近どこかで見たぞ。ダウンタウンから郊外への道をクルマで走っていて、ふとそう感じました。いくつかの場面を頭の中に蘇らせ、そして思い出したのです。8月にモスクワで開催された世界陸上の女子マラソンのときだ! そのテレビ中継の際に、日本代表の野口みずき選手が高地トレーニングの合宿地としてここボルダーを選んだことが映像とともに紹介されていました。


ロッキー山脈のふもとの街ボルダーには、持久力を要するトップアスリートたちが世界中から集まってきます。標高が高いだけでは、高地トレーニングに向いているとは言えません。ボルダーには、アスリートたちへのトレーニング指導のノウハウが蓄積され、多くのプロのトレーナーも育成してきました。モスクワ世界陸上での野口選手は残念ながら完走を果たせませんでしたが、シドニー五輪の金メダリスト、高橋尚子さんもこの地でトレーニングを重ねたことは有名です。

外国人だけではなく、地元ボルダーからも過去に70人近い五輪選手が輩出されました。ボルダーは、まるで街全体がトレーニングコースです。「オープンスペース」と呼ばれる自然保護区が街をぐるっと取り囲み、ランニングやサイクリング、ハイキングなどのコースをあちこちに整備。トレーニングには理想的な環境が整っているのです。観光局のキム・フェイリンさんは「ボルダー市民の約半数はマラソンランナーよ」と言って笑っていました。市民の半分というのはジョークだと思いますが、この街ではいつどこへ行っても、走っている人を見かけないときがありません。

ボルダー滞在2日目の朝、同行の写真家・倉谷清文氏が「ロッキー山脈の岩肌が朝日で染まる風景を写真に収めたい」と一人で出かけていきました。その撮影を終えて戻った彼から、こんな報告も届いています。「日が昇る前に三脚を立てて準備していたら、まだ真っ暗な中を何人かのランナーが私を追い越して山のほうに消えていきました。秋本さん、市民の半分がマラソンランナーというのは、あながち嘘じゃないですよ」と。

S.Akimoto at 22:31│アメリカの旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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