2013年08月25日

国産旅客機の試練

 
技術立国ニッポンの未来は、どんな分野の技術がリードしていくのか? 「これまでわが国経済を支えてきた自動車や家電に代わる次なる産業の芽を、いまから育てておく必要がある」と私に語ったのは、“日の丸ヒコーキ”の開発に取り組む三菱航空機のエンジニアでした。2013年の第3四半期に実施される予定だったMRJ(三菱リージョナルジェット)の初飛行に、私も期待していたのですが──。


先週の木曜日、そのMRJの納入が1年超延期されると発表されました。航空機の型式証明取得に必要な安全性を立証する作業が遅れ、装備品メーカーなどと交渉した結果、開発計画の変更を余儀なくされたと三菱航空機は説明しています。2015年度半ばに予定していたローンチカスタマーのANAへの1号機引き渡は、2017年度の第1四半期に〔写真はイメージ〕。リージョナルジェットは今後20年間で5000機程度の需要が見込まれる成長分野ですが、先行するブラジルのエンブラエルやカナダのボンバルディアとの受注争いにもこれで大きな影響が出るかも知れません。

運航コストに占める燃料費の割合がどんどん膨れ上がっているなかで、現在運航中の小型機の買い替えを模索しているというあるエアラインの幹部は「新技術を取り入れてCO2の排出量などを削減し、燃費も向上するというMRJには、どこも少なからず関心をもっていると思う」と話していました。初飛行を成功させることで期待値もより高まるだろうと予想していましたが、実機によるデータなしに燃費効率の高さを売り込むのは、説得力に欠けます。

私も8月末から9月にかけ、航空写真家のチャーリィ古庄氏をともなって名古屋の三菱航空機を訪ね、開発技術者へのインタビュー取材を行う予定でいました。しかしそれも、とりあえずは延期に。しばらくは静かに動向を見守っていきたいと思います。

S.Akimoto at 23:30│航空機&メーカー 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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