2013年02月03日

ラクダの調査隊

 
オーストラリア大陸を縦断するザ・ガン鉄道の旅を、数回に分けてこのBlogやfacebookで紹介してきました。私自身はすでに2泊3日の行程を終えて帰国しています。さて、そもそも「ザ・ガン」とはどういう意味なのか? 私もよく知らなかったので、調べてみました。今日はその名前の由来について触れておきましょう。


イギリス人が豪大陸に入植し、沿岸部の探査を終えて人々の目が内陸部へ向けられ始めた時代に話はさかのぼります。内陸への開拓が少しずつ進展すると、やがて調査隊の前に立ちはだかったのが赤茶けた砂漠の大地でした。それから先は、調査も思うように進みません。そこで取られた手段が、さらに奥深くに分け入るためのラクダの輸入でした。アフガニスタンを中心に、海外から何頭ものラクダが到着。それとともにラクダの使い手として多くのアフガニスタン人がこの地にやってきました。

アフガニスタン人が率いるラクダの隊列により、オーストラリア内陸部の姿は入植者たちの目にも少しずつ明らかになっていきました。そうして開拓したルートに沿って敷設された線路に、1929年8月、アデレードから「アフガン・エクスプレス」と命名された列車が走り始めたのです。

アフガン・エクスプレスは、のちに「アフガン」の「ガン」をとって「ザ・ガン」という名前に変わり、現在はオーストラリア大陸約3,000キロを縦断する豪華列車として世界中の鉄道ファンの憧れの存在になりました。facebookで掲載した画像でご覧いただけるように、ザ・ガン鉄道の赤い先頭車両にはラクダのマークが入っています。また上の写真は、2日目の午後に到着したアリス・スプリングスの駅近くで出会ったラクダの彫像です。

ところで、ザ・ガン鉄道の誕生にもひと役買ったラクダたちはその後、野生化して現在も100万頭以上がオーストラリア陸内部に生息しているといわれています。2年ほど前には、CO2削減のため野生のラクダの殺処分が検討されているというニュースが流れました。砂漠地帯を中心に徘徊するラクダたちが野草を食べ尽くし、植生が失われるなどの害を考慮すると、ラクダ1頭につき年間で1トンのCO2を排出している計算になるのだとか。ちょっと悲しいニュースでしたが、その後どうなったのでしょうか。

S.Akimoto at 00:02│アジア・太平洋の旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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