2012年10月25日

シンガポール経由

 
早朝のチャンギ空港第2ターミナルのゲートの先で、王者の風格をもつ“奴”は悠然と翼を休めていた。ランプエリアに駐機する他の機種が、なんと小さく、頼りなく見えることか。(中略)離陸滑走が始まると、全乗客の声がいっせい止み、機内は静まり返りる。加速パワーを背中に感じるだけで、振動はほとんど伝わってこない。やがて機は音もなくふわりと宙に舞い上がり、その瞬間、機内は大きな拍手と歓声に包まれた──。


2007年10月25日のあの記念すべき日、到着したシドニーの空港で私はそんなレポート書き、メディア各社に送信しました。エアバスのオール2階建て機A380の世界デビューの瞬間です。あれから丸5年。シンガポール航空はこれまで19機のA380を保有し、同社の主力機材として欧米やアジア・太平洋路線で運航を続けてきました〔写真=チャーリィ古庄氏撮影〕。

そのシンガポール航空が昨日、エアバスにA380をさらに5機追加でオーダーしたと発表しました。同社のA380は、これで計24機になります。A380という画期的な機種を開発当初から追い続け、就航後はその快適なフライトの取材に多くの時間を費やしてきた私にとって、シンガポール航空の“A380ネットワーク”の拡大はとても嬉しいことです。2年前の春に久々にフランス・パリのカルチェ・ラタンで休暇を過ごそうと思いついたときも、SQのA380を乗り継いでパリに向かおうと、わざわざ成田からシンガポール経由での二つのフライトのビジネスクラスを取りました。

ところで、シンガポール航空は5機のA380とともに開発中の最新鋭中型機A350XWBも20機追加で発注しました。A350の合計発注数もこれで40機に。2014年以降には、この新しい翼もシンガポールからの中長距離路線に続々と就航していくことになるでしょう。日本からA380でシンガポールに行き、そこからさらにA380で欧米などの主要都市にアプローチするもよし、新しいA350で他の旅先に向かうもよし。今後もしばらくは「シンガポール経由」が、私の旅の重要なキーワードになりそうです。

S.Akimoto at 10:16│就航路線 | 航空機&メーカー
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『これだけは知りたい旅客機の疑問100』『ボーイング787まるごと解説』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)や『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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