2012年10月07日

船上カジノ

 
マイアミ港を出航して、翌朝にアメリカ最南端の街キーウエストに到着し、続いてメキシコのカンクンに近い人気リゾートのコズメル島に寄港したことまでをこのBlogで紹介しました。しかしクルーズ船の旅は、寄港地で下船している時間のほうがむしろ短く、旅程のほとんどを楽しみがいっぱい詰まった船の上で過ごします。


レストランでのフルコースのディナーは毎晩の楽しみですし、食事のとき以外は部屋で書き物をしたり、仕事が終われば最上階デッキのプールサイドでのんびり過ごしています。船内に数カ所あるラウンジではさまざまなプログラムが用意され、お気に入りのショータイムが近づくと、いい席を確保しようと早めに移動。カジノも24時間オープンしていて、私もじつは毎晩入り浸っています。

まずは10ドルくらいを使って、スロットマシーンでその日の運だめし〔写真〕。初日は10ドルがアッと言う間に50ドルになったので、コインをお金に換え、それを軍資金にルーレットのテーブルに着きました。“ツキ”はルーレットでも変わりません。50ドルは短時間でさらに100ドルに倍増します。すると、ディーラーが年配の女性から若い男性に交代になりました。見たところ、まだ20代でしょうか。

「よろしくお願いします」
「こちらこそ。ディーラーになってどのくらい?」
「まだ2カ月なんですよ」と、テーブル越しに若いディーラーが答えます。「不慣れな点があったら、大目に見てくださいね」
「大丈夫。なあに、すぐに慣れるさ」

ついエラそうなことを口走ってしまいました。運がきていると思って、自分でもちょっと舞い上がっていたのでしょう。相手は穏やかな表情を少しも崩さず、回転する円盤に白い小球を淡々ところがし続けます。もしかして怒らせてしまったのかも、と気づいたのはあとになってからでした。ふつうならもう少し遊ばせてくれると思うのですが、1時間後には見事にスカンピンに。たとえ2カ月のキャリアでも、プロはプロ──“本気”を出されてしまっては、まったく歯が立ちません(笑)。

S.Akimoto at 13:56│アメリカの旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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