2012年04月10日

ミサイルとお受験

 
北朝鮮によるミサイル発射計画の影響で、ANAJALは落下が予想されるエリアを通る運航便の飛行ルートを12日から16日まで変更すると発表しました。影響はそれだけではありません。国内のいくつかの中学校では、この時期に予定していた沖縄への修学旅行をやむなく中止にするケースも。まったく、迷惑な話です。


空のダイヤが乱れるとか、子どもたちに影響を及ぼすとか──そういえば同じようなことが、たしか隣の国・韓国でもあったような。あれこれと考えて、韓国の受験シーズンの話を思い出しました。こちらは「迷惑」などではなく、むしろ子どもたちを気づかっての行動です。

韓国では毎年11月に、日本の大学受験のセンター試験にあたる修学能力試験が実施されます。この“お受験”の1日は韓国の人たちにとって「その後の人生を決定してしまう」という最も重要な日で、受験生たちは国をあげてサポートされてきました。

地下鉄やバスなどの交通機関は、受験生が時間に遅れず試験場に到着できるよう早朝から8時まで増便。企業や官公庁の出勤時間も、交通渋滞を防ぐために通常より1時間繰り下げられます。それでも寝坊などの理由で遅刻しそうな学生のために、地下鉄の駅などにはパトカーや白バイが待機し、パトカーがサイレンを鳴らしながら受験生を試験会場に送り届ける光景も珍しくありません。ヒアリング試験が実施される時間帯はバスも電車も試験場周辺では徐行しなければならず、警笛の使用もいっさい禁止。そして旅客機の離着陸も騒音防止のために規制され、大韓航空の関係者は「この日だけは空のダイヤを変更することもある」と話していました〔写真は、大韓航空が運航するエアバスA380〕。

身勝手な行動で他国のエアラインの飛行ルート変更や子どもたちが楽しみにしている修学旅行の中止を余儀なくさせる国と、子どもたちの将来のために空の便のダイヤ変更も辞さない国と。もともとは同じ一つの国なのに、なんだか、ずいぶん違うものだなあ。

S.Akimoto at 23:48
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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