2012年02月21日

ヒマラヤ越え

 
中国のチベット自治区で今年、標高4,436メートルの高地に空港を建設する計画があるそうです。4,436メートルというと、それまで世界で最高峰にあった同じチベットのチャムボバムダ空港(4,334メートル)よりも、さらに102メートル高い。そんな高い土地に空港をつくって大丈夫なの? ちょっと心配になります。きっと離着陸が大変だろうな、と。


旅客機の主翼は上面が前縁から後縁に向かってふっくらと丸くふくらんでいて、そこに早い速度で空気が流れることで生じる空気の圧力差(負圧)が機体を上に持ち上げる揚力になります。しかし高地にある空港はもともと気圧が低いため、主翼に大きな圧力差を生じさせるのがむずかしい。標高2,000メートルを越える高地だと気圧が20%程度低くなるから、旅客機の性能も20%低下してしまうのです。そのため、高地の空港での離着陸は危険度が増すといわれてきました。

ところで、チベットの中枢都市であるラサには、ラサ・クンガ空港があります。こちらも標高は4,004メートルと富士山より高い。ラサ・クンガ空港は、中国国際航空が四川省の成都とネパールのカトマンズを結ぶ路線の中継地になっていて、私はこのフライトにずっと注目してきました。成都からラサに到着した便が準備を終えて再び離陸すると、気圧が薄いなかをエンジン全開にして一気に高度を上げて急上昇。眼下に連なる8,000メートル級の山々を見下ろしながら、ヒマラヤ山脈上空を通過していきます。

この壮大な景色を眺められるのは、まさに同便に搭乗した人たちだけの特権です。私は去年から「成都からラサ経由でカトマンズに飛ぶフライトを取材したい」と中国国際航空に申請を出しているのですが、まだ返事がきていません。忘れられちゃったのかなあ。そろそろまたプッシュしてみようかな。

S.Akimoto at 02:53│就航路線 | 世界のエアポート
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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