2012年01月24日

雪の日の空港で

 
ドイツ・ベルリンで開催されたある国際会議に出席するため、成田からフランクフルト経由のフライトを利用したときのことです。フランクフルト空港に到着すると、あいにく天気は雪。スポットに駐機していたベルリン行きの接続便の主翼にも、白い雪が積もり始めています。


このぶんだと出発が遅れるか、欠航もあるかな? そんな心配が脳裏をよぎりました。すると、雪の中をライトを照らしながら機体に近づいてくる1台の車が! 現れたのは、あの特殊車両です。

旅客機の運航にとって、雪はとてもやっかいなものです。とくに主翼に降り積もった雪や付着した氷は、飛行に大きな影響を及ぼします。そのまま放置すれば、旅客機の離陸性能は大きく低下。本来、翼の上面に空気が流れることで発生する揚力が、付着した氷による翼面の形状変化で得られなくなるのです。アメリカのNASAが行った実験では「翼に0.8ミリの厚さの氷が付着すると、離陸時の揚力が8%失われる」というデータも報告されました。

そこで出番となるのが「デ・アイシングカー」と呼ばれる特集車両です〔写真〕。デ・アイシングカーは、その名のとおり「デ・アイス(徐氷)」する──つまり凍りついた機体の表面に除氷液をかけて雪や氷を溶かすための作業車で、車両の本体部分に約4,000リットルの除氷液を積載。これで約10機分の作業が可能です。

日本列島は先週末から、記録的な寒気にすっぽりと覆われました。いまのこの時期、とくに北国の空港では、きっと何台ものデ・アイシングカーが出番を待っていることでしょう。

S.Akimoto at 16:26│世界のエアポート 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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