2011年10月07日

3軸ボギー台車

 
数々のワイナリーが点在する壮大な景色の中を、ランチやディナーを楽しみながら時速20〜30キロでのんびり走る──「ワイントレイン」はナパバレーの一番の観光名物です。日本でその取材の話が持ち上がったとき、行こうかどうか迷って何人かの記者仲間に「どうかねえ?」と聞いてみたら、みんな「うわあ、いいなあ」「羨ましい」と言うので体験してみる気持ちになりました。


もともと鉄道も大好きで、1900年代初期に製造されたアンティーク車両にも興味がありました。現在走っているのは、当時の車両を完全復元したものです。私はこの日、午前11時30分に出発するランチ列車を予約。トレインステーションに朝9時過ぎに到着して、ホームに入線する前の車両を取材・撮影させてもらいました。

列車はグルメ車両やラウンジ車両、窓を開けて風を感じながら走るオープンエア型のシルバラード車両、ドーム型の天窓を設けて高さを増した2階建てのビスタ・ドーム車両の4つのタイプに分かれています。先頭車両から乗り込んで順番に車内を歩き、ひと通り撮影して最後方の車両で降りました。その後、列車の脇の線路を歩きながら見つけたのが、上の写真です。

ワイントレインの土台部分には、いまでは珍しくなった3軸のボギー台車が使用されています。当時は「乗り心地がよい」と盛んに造られましたが、現在はもう製造されていません。案内してくれた現地在住の日本人スタッフ、曽志崎友里さんは「車輪などが消耗しても、替えのものはもういっさい手に入りません。だから調達できるものはできるだけ集めて、こうしてストックしているんです」と説明してくれました。

なるほど、その向こうのメンテナンス基地の近くにも、大きな鉄の車輪がまとめて置かれているのが見えます。これらをすべて使い終えたとき、ワイントレインの歴史にも幕が下ろされるのかな? 事前取材を終えて駅舎に戻り、出発時間を待ちながらそんなことを考えていたら、いまから始まる体験に胸の鼓動が高まり始めました。

S.Akimoto at 22:00│アメリカの旅 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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