2010年10月07日

スイスからの来客

 
その巨大な物体はまるで静止しているかのように、空中をゆっくりと移動していきます。左右に広げた両翼で太陽エネルギーを吸収しながら。少しずつ、慎重に高度を上げ、機体は目標の8,500メートルに達しました。離陸から16時間半。夏のヨーロッパの長い一日が終わり、やがて太陽が地平線に沈みます。彼らにとって、いよいよ世界初となる挑戦が始まりました。


「バッテリーモードに切り替え、徐々に高度を下げて!」

地上から指示が入ります。ここからは昼間備蓄したエネルギーだけを頼りに夜間フライトを続けなければなりません。地上でのシミュレーションで何度も実験は行ってきたものの、実際の空では初めてのトライアルです。地上の管制室では、スタッフたちの顔に緊張が走ります。滑空飛行はその後7時間近く続き、時刻は午前5時45分に。管制室の一人が、日の出までのカウントダウンを始めました。

「5、4、3、2、1──」
「やった、やったぞ! 夜明けまでとうとう飛び続けた!」

以前にもこのBlogで紹介した「ソーラーインパルス」は、そうして最終的に1,000キロにも及ぶ飛行を無事に終えました。化石燃料をいっさい使わず、太陽エネルギーだけを動力に世界一周飛行を実現する──その最終目標への重要なステップとなる26時間連続飛行が成功した瞬間でした。今年7月7日のことです。

上の写真は、ソーラーインパルスの発案者である冒険家のベルトラン・ピカール氏(左)と、今回の26時間飛行で操縦士を務めた開発の総責任者アンドレ・ボルシュベルグ氏です。同プロジェクトを先頭に立って率いてきたこの二人の重要人物が今週、スイスから来日。私は今日の午後、彼らが宿泊している東京・六本木のリッツカールトンホテルを訪ね、二人にインタビューしてきました。

インタビューした内容も含めて、ソーラーインパルスの最新情報は11月21日発売の月刊『航空ファン』(文林堂)'11年1月号で詳しくレポートします。

≫≫≫「ソーラーインパルス
≫≫≫「太陽光で24時間飛行

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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