2010年10月02日

南アの子供たち

 
今回の旅の途中、たくさんの子供たちに出会いました。ヨハネスブルグに到着した初日には、ネルソン・マンデラ・スクエアのあるサントンに向かうハウトレイン(Gautrain)の車内で、何組かの家族でいっしょに乗っていた小学生たちに。「これ、新しい電車なんだよ」と教えてくれたのは年長の男の子です。彼が言うように、ハウトレインは2010年のサッカーW杯の開催に合わせて建設されたもので、自分たちの国の新しい鉄道が子供たちはとても誇らしげでした。


行政の中心地であるプレトリアでは、学校帰りの中学生のグループに遭遇。屋台でアイスクリームを買っていた3人組にカメラを向けると、あちこちから「ぼくも撮ってよ」「私も」とみんな元気に集まってきます。またクルーガー国立公園でのサファリ取材でも、先生に引率された小学校1、2年生くらいの子供たちと途中の休憩ポイントで小さな交流を持ちました〔写真〕。

私たちアジア系の顔は地方の子供たちには珍しいようで、最初は遠くからじっと見つめています。しかしこちらから手を振ると少しずつ慣れてきて、笑ったり、手を振り返してくる子も。近寄って話しかけると、そのうちの一人がはにかみながら答えてくれました。

「どこから来たの?」
「学校から」
「それはわかるよ。先生もいっしょだし。じゃあ、ここに何をしに来たの?」
「エヘヘ。わからない」
「わからない? 野生の動物たちを観察しに来たんでしょ」
「わからないよ。ギャハハハハ」

クルーガー国立公園でのサファリ取材を無事に終え、先ほど、再びヨハネスブルグに戻りました。ホテルの部屋でいま、彼らの笑顔を思い浮かべながらこの文章を書き進めています。次にこの国を訪れるのは、いつになるだろう。そのとき、あの子たちはいくつになっているかな? アパルトヘイトの暗い歴史に幕を閉じ、試行錯誤の中で確実に前進してきた南アフリカ共和国。今年のサッカーW杯開催を経て、この国の一人ひとりが大きな自信を手にしているような印象を受けました。旅で出会った子供たちが大人になってさらに時代を進め、どんな未来を築いていくのか──いまからとても楽しみな気がしています。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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