2010年07月28日

機内食づくり

 
夕方、都内のある調理師学校で学ぶ学生たちから「エアラインの機内食づくり」をテーマに取材を受けました。機内食はどこでつくられているのか? 一般の料理と機内食の調理法の違いは? どんなプロセスで作業は進むのか? フライトで機内食を楽しんだ経験はあるという人は多くても、その舞台裏は意外と知られていません。そこで今日は、その基本部分を簡単にお話ししておきましょう。


日本でも海外でも、機内食は空港近くにあるケータリング会社の工場で製造されます〔写真はトルコ航空に機内食を提供するDO&CO社の工場=今年4月にイスタンブールで撮影〕。ここでポイントになるのが、機内食は調理が済んでから乗客に提供されるまでにタイムラグがあること。旅客機に積み込まれるのは出発の直前で、その間に鮮度が落ちないよう、調理方法や温度管理などに一般のレストランで出される料理にはない厳しさが求められます。

私が取材で訪れた工場の多くでは、白衣に帽子や手袋を身につけ厳重に衛生管理されたスタッフたちが、機械ではなくほとんど手作業で調理に当たっていました。食材となる肉や魚、野菜などは下処理室で一人分ずつの量(重さ)に切り分けられ、その状態で巨大な業務用冷蔵庫へ。しばらくすると、その冷蔵庫の反対側(料理室側)のドアが開き、ナベやフライパンを使っての加熱調理が始まりました。そうして調理された一品一品を、別のスタッフが「盛りつけ見本」を参考にしながら正確に容器に並べていきます。

成田から飛び立つ便を例にとると、機内食づくりの現場がもっとも忙しくなるのは午前中からお昼にかけてです。午後になると出発便ラッシュが始まり、機内食は乗客に出したときに最高においしくなるタイミングを逆算して調理されるため、おのずとその時間帯が作業のピークに。調理された食事は、台車付きカートに乗客の人数分のトレーがセットされた状態で専用トラックに積まれて工場を出発し、空港で機内のギャレー(厨房)に搭載されます。そして離陸後、水平飛行に移ると、客室乗務員はカートのスイッチをオンに。するとトレーの下の加熱板に電気が通じてメインディッシュだけが温められ、温めが終了すると、乗務員はそのカートを押して乗客のもとに飲み物などといっしょに運んでいくわけです。

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秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

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