2010年04月08日

トルコ航空CEO

 
世界地図を広げて、現在いるトルコのイスタンブールにコンパスの針を当て、ここから3時間のフライトで行ける範囲に円を描いてみます。すっぽりと収まったエリアは、欧州全域とロシア、北アフリカ、そして中央アジア──。じつはここに、欧州No.1の“ネットワークキャリア”を目指すトルコ航空の成長戦略の秘密が隠されています。


「この立地的な利点を生かすことでイスタンブールを拠点にさまざまな都市へ旅行者を運べる、というのが、トルコ航空の最大の強みです」と話すのは、同社CEOのテメル・コティル氏です。「けれどもその強みを、私たちはまだまだ発揮し切れていません」

昨日トルコ航空の本社を訪ね、コティル氏へのインタビューを行いました〔写真〕。世界同時不況で各国のエアラインが業績不振に苦しむ中、トルコ航空の2009年の総旅客数は前年比11%増の2,510万人を記録。2008年につづき着実に成長を遂げています。

「イスタンブールを経由して他の都市に向かう旅客の急増が近年のトルコ航空の成長を支えてきました。ですが、トランジット客の比率は私たちが扱う旅客全体のまだ34%に過ぎません」と、コティル氏は続けます。「その数字を3年後には50%、5年後には80%に伸ばすことで、さらに大きな成長を続けていけると考えてます」

ヨーロッパでは、同様なネットワークキャリアを目指すエアラインが少なくありません。しかし欧州各都市での乗り継ぎは、離陸して上昇し、すぐに高度を下げて着陸するという1〜2時間の路線がほとんど。燃料費などのコストがとても高くつきます。それに対してイスタンブールからはどの都市へも3時間程度のフライトになり、トルコ航空が短距離路線の中心に据えるボーイング737シリーズなどの機材が最高のパフォーマンスを発揮します。

「3時間のフライトなら私たちの充実したフルサービスを楽しんでいただくことができますし、また経営的に見れば、最適な距離を最適な機材で飛ぶことで乗客一人当たりを一定距離運ぶためのコストを低く抑えられるメリットも出てきます」

イスタンブールでは、現在のアタチュルク空港の西側にロンドン・ヒースロー並みかそれ以上の規模を持つ新空港の建設プランも動き始めました。完成予定は、トルコ航空が「トランジット客を80%に」と目標を定める5年後です。ヨーロッパとアジアの接点に位置し、古くから東西文明の交流に寄与してきたこの街が、今後も“世界の空の交差点”としてますます重要な役割を果たしていくことは間違いありません。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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