2010年03月30日

ソーラーインパルス

 
ここ数週間、5月に刊行予定の新しい本の執筆に集中していましたが、今日は午後から作業を一時中断。月刊誌『航空ファン』(文林堂)6月号に発表するあるプロジェクトについての原稿書きに着手しました。化石燃料をいっさい使わず、太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機「ソーラーインパルス」〔写真〕で世界一周を実現する──そんな夢みたいなプロジェクトのレポートです。


ソーラーインパルスは全重量が1,600キロと車1台分に過ぎませんが、主翼幅はエアバスの大型機A340と同サイズで63.4メートルもあります。その大きな主翼に設置した1万2,000個のソーラーパネルで太陽光を吸収。昼間蓄えた電力で夜間の飛行も可能にし、2週間から1カ月をかけて世界一周を果たすという壮大な計画です。プロジェクトは2003年からスイスの技術者や冒険家らが中心になって進め、昨年12月にはプロトタイプ機を完成させ初飛行にも成功しました。

この3月には、広報担当のフィル・ムンドヴィラーさんが来日。スイス大使館で開催された記者会見のあとで、私は個人的に1時間ほど彼と話しました。

「プロジェクトの一番の目的は?」
「地球環境に対する人々の意識を高めることです。燃料がゼロだから、公害もゼロ。空気をまったく汚さない飛行機での世界一周を成功させ、人類はこんなこともできるんだということを強力にアピールしていきたい」

やりとりの中で、私がある取材で4月と5月にパリとフランクフルトに飛ぶ予定があることを伝えると、ついでにスイスにも足を伸ばすよう彼はしきりにすすめました。

「パリからもフランクフルトからも、チューリッヒまではひとっ飛びだよ。プロジェクトのメンバーにぜひ会ってみてよ」
「取材のあとで? うまく時間がとれるかなあ」
「チューリッヒ空港に到着する時間に、車で迎えに行くから」

プロジェクトを率いる一人が、1999年に熱気球による初の無着陸世界一周飛行を成し遂げた冒険家のベルトラン・ピカール氏です。彼のもとに、75人の有能なエンジニアや気象専門家などが集っています。会ってみたいですが、せっかく行くのなら、今後段階的に実施される重要なテスト飛行の日に合わせて改めて日本から飛ぶほうがいいかも知れません。

そんなことを考えながらこの文章を書いていたら、いまちょうどスイスからメールが届きました。次のステップである1,000メートルまで高度を上げてのテスト飛行の準備がすべて整った──という報告です。いずれにしても、最終目標である世界一周飛行は、2012年を予定。プロジェクトの詳細も含めて、その経過については今後逐一、みなさんにもお伝えしていきたいと思っています。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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