2009年09月12日

JALとデルタ航空

 
経営再建中のJALがアメリカのデルタ航空と資本・業務提携のための交渉へ──昨日、そんなビックリするようなニュースが飛び込んできました。「再生のためにはやむなし」との見方がある一方で、「いや、そんな提携は絶対にあり得ない」という声も聞こえてくるなど、早くもさまざまな意見が飛び交い始めています。後者の発言には、日本のフラッグキャリアが外国エアラインの支援を受けることに対する感情的な反発も含まれているかも知れません。


JALは今年、一部政府保証が付いた1,000億円の緊急融資を受けたものの、資金不足の状況はいぜん続いています。さらに1,000億円以上の追加融資獲得に向けて民間金融機関の理解を得るための抜本的な策を示す必要があり、そんなことからデルタ航空との資本・業務提携プランが急浮上したのでしょうか。

JALとデルタ航空は太平洋路線を中心に多くの共通路線を抱え、長年ライバル関係にありました。その両社が提携し、双方の路線網をうまく活用して役割分担すれば、たしかにコスト削減など経営面での効率化は進むでしょう。が、問題も少なくありません。最大のネックは、両社がそれぞれ別のアライアンス(航空連合)に所属していることです。

JALはアメリカン航空などがつくる「ワンワールド」のメンバーであり、一方のデルタ航空は「スカイチーム」に加盟。両社が手を結んだ場合に、JALのワンワールド離脱が焦点になりますが、おそらくワンワールド加盟各社が黙っていません。アライアンスの“くら替え”には、コンピュータシステムや空港インフラなどの再整備、ネットワーク戦略の組み換えといった大変な作業もともないます。そう考えたら、デルタ航空よりもむしろ同じワンワールドのアメリカン航空への出資要請のほうが先だったのではないかとも思えてきました〔写真はワンワールド塗装のJAL機〕。

いまこの文章を書いていたら、読売新聞が「JALは今日、副社長ら幹部を米国に派遣してデルタ航空側と資本・業務提携の詰めの交渉に入ったことを明らかにした」と伝えてきました。JALへの経営指導を強める国土交通省もデルタ航空との提携を後押する方針を固めたようですが、来週16日に発足する鳩山新政権の意向によっても今後の展開は変わってくるかも知れません。

S.Akimoto at 16:25│航空機 
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『空を飛べるのはなぜか』『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(サイエンスアイ新書)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『ANAとJAL──こんな違いがあったのか』『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE 夢文庫)など著書多数。

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