2009年01月08日

クリーンな未来へ

 
現地時間の1月7日午前11時49分。テスト飛行のために用意されたコンチネンタル航空のボーイング737-800のエンジンが始動しました。同機には片方のエンジンに、通常のジェット燃料50%、藻類とジャトロファ(落葉低木のナンヨウアブラギリ)で製造したバイオ燃料50%を混合したものが使用されます。737-800はゆっくりと進みながら、滑走路の所定の位置へ。午後0時3分。離陸滑走を開始したテスト機は、私たちが見守るちょうど目の前で機首をぐいっと持ち上げ、ヒューストンの空へ飛び立っていきました。


「通常の離陸シーンと何ら変わらないね」と、私の横にいたオーストラリア人記者がつぶやきました。実際にそうなのです。バイオ燃料で飛ぶために機体を新しくしたわけでも、エンジンに手を加えたわけでもありません。今回の実験は、既存の航空機をそのままバイオ燃料で飛ばせることを技術的に実証するのが目的です。

「3年から5年後には、一般の乗客を乗せた航空機がバイオ燃料で飛ぶ時代がくるでしょう」と、今回の実験パートナーとして再生可能なエネルギーの開発を進めてきたUOP社の責任者、ジェニファー・フォルムグレン女史〔写真右〕は私たちに語りました。「今日のテストフライトは、その重要な第一歩になるはずです」

3年から5年後? その言葉に、記者たちからどよめきが起こります。この代替エネルギーが実用化される時代が、本当にそんなに早くくるのでしょうか。フォルムグレン女史の発言を受け、コンチネンタル航空のラリー・ケルナー会長兼CEO〔写真中央〕も「遅くとも5年以内にはバイオ燃料をコマーシャルフライト(商業飛行)に利用できるまでに持っていきたい」と力強くうなずきます。

離陸から40分。上空のテストパイロット〔写真右〕から地上に届いた次のメッセージに、私も未来の“クリーンな空”をかすかに垣間見た思いがしました──「エンジンの加速と減速、上空でのエンジン停止、そして再起動。予定していた確認テストは順調に進み、すべてを成功裏に終えました。これから旋回し、空港へ戻ります」

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秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

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