2007年10月25日
王者は音もなく舞い上がり
早朝のチャンギ空港第2ターミナルのゲートの先に、王者の風格を持つ“彼”は悠然と待機していました。ランプエリアに見えるほかの機種が、なんと小さく、頼りなく見えることか──。

メインデッキ(1階)とアッパーデッキ(2階)それぞれにボーディングブリッジが接続され、私たち取材班を含めた乗客計471名の搭乗が混乱もなくスムーズに進んでいきます。キャビンに足を踏み入れてまず圧倒されるのが、その広さと明るさでした。窓が大きく、通路もゆったりしていて、他の乗客が左右で手荷物をラックに上げる作業をしていてもその真ん中を楽々と通り抜けることができます。
離陸まで少し時間があったので、機内を動き回って細部のつくりを調べていたら、いつの間にか外の景色が動いていることに気づきました。トーイングカーによるプッシュバックが始まっても、その振動を感じなかったのです。それどころか、エンジンの音や響きも伝わってこない。
A380の最大の特徴は、広さよりもこの静寂性なのかも知れません。シドニーに向かう上空で、エコノミークラス後方席のアメリカ人乗客に取材していたときも、ごく普通の声で普通に会話ができることに驚きました。4基のエンジンを装備した主翼のすぐうしろのキャビンで、周囲の人たちの話の内容までがはっきりと聞こえてきます。
いよいよ離陸滑走が始まりました。全乗客の声がいっせい止み、機内が静まり返ります。加速パワーを背中に感じるだけで、やはり振動はほとんど伝わってきません。やがて機は音もなくふわりと宙に舞い上がり、その瞬間、機内は大きな拍手と歓声に包まれました。
シンガポール航空SQ380便──この歴史的フライトの詳細については、今後各メディアを通じてさまざまな角度から報告していきます〔写真は同便のスイートクラス〕。


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