2006年08月17日
Fクラス専用ターミナル
上級クラスの利用者が実際にどれくらいの料金を支払っているか、みなさんはご存知ですか? 答えは──「ビジネスクラスでエコノミー席のざっと10倍、ファーストクラスだと15倍」といったところでしょうか。では、もう一つ質問です。それだけ高い料金を出して、はたして満足のゆくサービスを受けられているのかどうか?

2つ目の質問の答えは、うーん、難しいところですね。私がこれまでFクラスの利用者たちに聞いた中では、たとえば「機内ではシートもゆったりしているし、食事も豪華で、CAの対応もいい。ただ、飛行機の乗るまでの時間がねぇ……」と嘆く声が少なくありません。空港に到着してチェックインし、長い列に並んでセキュリティチェックを受け、ラウンジで一休みしたあとは出発便の搭乗ゲートでまた少し待たされて──つまり「飛行機に乗るまでの煩わしさが、一般客とほどんど変わらないではないか」というのが彼らの言い分なのです。
利用者たちのそうした声に真剣に耳を傾け、早くから独自の取り組みを進めてきたのがルフトハンザです。空港に到着してから、目的地へ飛び、到着地の空港を出るまでが“空の旅”である──ルフトハンザはそんなコンセプトのもとで「地上でも空の上と変わらないサービス」をめざしてきました。それを実現するには、従来の空港のスタイルでは難しい。そこでルフトハンザがとった施策が、空港会社への資本の投下でした。
空港運営にも関わるエアラインは他にもあります。しかし、空港にこれだけ大規模な投資をしているケースはルフトハンザ以外に見られません。その結果、何が実現したかは、前回(8月13日)のブログ「ルフトハンザのハブ空港」でお話ししたとおりです。Fクラスの乗客はセキュリティチェックや出国審査で並ぶ必要もなければ、搭乗ゲートに向かって空港内を延々と歩き、そこで一般客といっしょに搭乗開始を待つこともない。時間になれば担当のコンシェルジュが「そろそろご出発ですので、ご用意を」と迎えにきて、高級リムジンで搭乗機のすぐ下まで送り届けてくれます〔写真〕。
空港の運営に大きな影響力を持つことで、理想とする空港づくりを進めてきたルフトハンザ。そうして2004年12月、ハブ拠点であるフランクフルト空港に、ついに“究極”ともいえる「ファーストクラス専用ターミナル」のサービスを実現したのです。

TOKYO FMで平日朝6時から放送の「中西哲生のクロノス」にゲスト出演。時事的なテーマについて解説する「WONDAモーニングショット」(7時〜)で話題の“激安航空”を取り上げ、さまざまな角度からお話しします。
新著『