2006年08月02日

JALのフライトエンジニア

 
ボーイング747のフライトエンジニア(航空機関士)としてJALに勤務する上田哲也さん〔写真〕に、今日の午後お会いしました。


上田さんには、計1万2,000時間以上の飛行キャリアをもつベテランクルーとしての顏のほかにもう一つ、ポップアートを手がける画家としての顏があります。手がけた作品は「リチャード・カイ」のペンネームで発表。中でも代表的なものが、世界中の街の風景をコクピットを通して描いたアート集です。

「世界中の空から見た感動を多くの人に伝えたくてね。フライトで海外へ行くと、ステイ先で時間がありますでしょう。その時間を使ってスケッチを始めるようになりました」

絵を描くようになったきっかけを、上田さんはそう話します。フライトを終え、ステイ先のホテルに着くと、上田さんが真っ先にとる行動はスケッチブックの新しいページを広げること。その日の感動が消えないうちに書き写し、そのスケッチを持ち帰って自宅のアトリエで幻想的な作品に仕上げていきます。

しかしそんな上田さんにも、一つだけ悩みが。“ハイテクジャンボ”と言われるボーイング747-400の登場以来、コクピットには機長と副操縦士のみの「2人乗務」体制が主流になりました。今年7月までの約1年間はグループ会社の日本アジア航空に出向して台北線などにも乗務しましたが、フライトエンジニアとしての仕事は確実に減りつつあるといいます。

飛行機に憧れ、絵を描くことも大好きだったという少年時代。「航空大学に進学してパイロットに」という夢は家庭の事情で断念したものの、しかし飛行機に関わる仕事に就きたいという気持ちは変わらず、上田さんは高校を卒業後メカニックとしてJALに入社しました。その後、整備の現場で働きながら夜間大学に通って猛勉強を続け、社内のフライトエンジニア登用試験に合格し「空の仕事」を手に入れます。

「今後、ですか? さあ、先のことはまだわかりません。海外の航空会社でフライトエンジニアとしての仕事があれば、そこに移るかも知れませんね。昨今は2名乗務が主流になっていますが、私自身はいまでもフライトエンジニアは必要だと思っています。絵を描くことの前に、まず私の原点である“空を飛ぶ”という夢を完遂したいんですよ」

頑張ってほしいですね。そんな上田さんを応援する意味でも、運営するAll About『世界のエアライン』で近々、上田さんの作品を集めたWeb上展覧会を開催する予定です。請うご期待!

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各媒体にレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?』(KAWADE夢文庫)『羽田空港のひみつ』(PHP新書)『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(SBクリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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