2007年10月

2007年10月30日

コリアンクルーのパワー源

 
「同期の仲間たちには、もともと韓国が大好きだったという人が多いですね」


そう話してくれたのは、今朝9時20分成田発ソウル行きのKE706便に乗務していた日本人CAの瑞原美樹さん〔写真〕です。瑞原さんは昨年11月にコリアンエアーに入社。その後、ソウル市内にある乗務員訓練センターでの約2カ月にわたるトレーニングを経て、今年2月から日本線での乗務をスタートしました。

「もちろん私も好きですよ、韓国」と瑞原さんは続けます。「食べ物が本当においしいですから。韓国の人たちは、食べることをみんなとっても大事にします。そんな国民性が、コリアンエアーのサービスにも反映されていると思いますね」

瑞原さんが以前勤務していた日系エアラインなどに比べ、ミールサービスにたっぷりと時間をかけるのがコリアンエアーの特徴の一つとか。乗客が機内でおいしそうに食事を摂っているのを見ると、CAたちはとても嬉しそうな顔になる──そう彼女は言います。

「自分たちも、毎日の食事はしっかり摂りますね。韓国料理はヘルシーですし、だからみんな肌もつやつやしていてきれい。ためしに機内をぐるっと一周して、CAたちをそっとチェックしてみてください。きっとお気に入りの美人が見つかりますよ」

なるほど。足もとがキリッと締まっていて、ほっそりした美人が多い。それだけに、ちょっと心配にもなります。こんな華奢な身体で、乗務員のもう一つの大事な要素である保安要員としての役割は大丈夫なのかな──と。

「まったく問題ありません」と、そんな懸念を口にした私に瑞原さんはきっぱりと答えます。「ああ見えても、彼女たちは驚くほどの力持ち。いざというときには、本当に頼りになる人たちばかりです。これもやはり、キムチパワーですね(笑)」

2007年10月27日

ジェットスターCAと再会

 
午後、シドニー空港を発つ間際になって、今年6月のゴールドコースト取材の際にお会いしたジェットスターの客室乗務員、三浦桃子さんが郊外の自宅からわざわざ見送りに来て駆けつけてくれました。再会する機会があれば9月に出版した著書を手わたしたいと思っていたので、グッドタイミング! というのも、本書の刊行にあたり、掲載する写真の件で三浦さんにもいろいろとお世話になったからです。


ひとつは、本書第3章の「座席のテーブルは傾いている?」の項で使用した写真──機内でワゴンを押しているのが三浦さんです。そしてもう一つが、第2章の「離陸と着陸はどっちが危険?」の項の離陸間際にジャンプシートに座っているCAの写真。離陸直前は私たちもシートベルトを着用して席に着いていなければならないため、こうした写真の撮影は実質的に不可能です。どうしても相応しい写真が手配できませんでした。そこで急きょシドニーの三浦さんに連絡して、乗務中に同僚をモデルにしたイメージカットを撮影してほしいと依頼し、メールで送っていただいたのです。

そのお礼の気持ちを添えて、彼女に著書を贈呈することができました〔写真〕。その後、シンガポール航空のカウンターでチェックインを済ませ、同行した航空写真家の小栗義幸さんと3人で空港内のカフェへ。4カ月ぶりの再会に、思い出話が尽きませんでした。

先ほど、21時30分にシンガポールのチャンギ空港に到着し、いまは同空港内のシルバークリスラウンジでこの文章を書いています。もう間もなく、東京行きSQ628便への搭乗開始。アッと言う間の4日間でしたが、A380の歴史的フライトを体験し、またシドニー在住の友人たちとも再会できて、とても充実した旅でした。帰国後は1日だけおいて、次はコリアンエアーの取材でソウル&済州に向かいます。

2007年10月26日

初夏のシドニーを散策

 
シンガポール航空のA380世界初就航便は、昨日17時25分に定刻どおりシドニーに到着。キングスフォード・スミス空港の到着ロビーでは、シドニー在住のAll About『オーストラリア』ガイド、平野美紀さんが出迎えてくれました。


A380のシンガポール/シドニー線での就航はここオーストラリアでもビッグニュースで、ロビーは待ちかまえていた地元メディアの報道陣であふれ返っています。平野さんも旅行ライターとしてさっそくこの話題を取り上げたいというので、いっしょに来ていたご主人も交えてシドニー市内のお洒落なパブで上質の白ワインと食事を楽しみながら、A380でのフライトについてのインタビューを受けました。

その後は、夜遅くまでシドニー市内を車で案内してもらいましたが、シドニーの街をゆっくり歩くのは何年かぶり。今朝も早めに起きて部屋のデスクでひと仕事終えたあと、ハーバエリアへ繰り出し、ジャカランダが咲く遊歩道などを海風に当たりながら散策しました〔写真〕。

春から初夏に移行しつつあるこの季節のシドニーは、旅をするにもちょうどいいですね。各国からの観光客も多く、昼過ぎにオープンテラスのカフェでビールを飲みながら行き交う人たちの会話に耳を傾けていたら、英語やドイツ語、中国語などに混じってときどき日本語も聞こえてきました。

今日の夕方と明日27日の午前中は空港の様子などを取材し、午後の便で再びシンガポールへ。最終の深夜便で東京に帰ります。

2007年10月25日

王者は音もなく舞い上がり

 
早朝のチャンギ空港第2ターミナルのゲートの先に、王者の風格を持つ“彼”は悠然と待機していました。ランプエリアに見えるほかの機種が、なんと小さく、頼りなく見えることか──。


メインデッキ(1階)とアッパーデッキ(2階)それぞれにボーディングブリッジが接続され、私たち取材班を含めた乗客計471名の搭乗が混乱もなくスムーズに進んでいきます。キャビンに足を踏み入れてまず圧倒されるのが、その広さと明るさでした。窓が大きく、通路もゆったりしていて、他の乗客が左右で手荷物をラックに上げる作業をしていてもその真ん中を楽々と通り抜けることができます。

離陸まで少し時間があったので、機内を動き回って細部のつくりを調べていたら、いつの間にか外の景色が動いていることに気づきました。トーイングカーによるプッシュバックが始まっても、その振動を感じなかったのです。それどころか、エンジンの音や響きも伝わってこない。

A380の最大の特徴は、広さよりもこの静寂性なのかも知れません。シドニーに向かう上空で、エコノミークラス後方席のアメリカ人乗客に取材していたときも、ごく普通の声で普通に会話ができることに驚きました。4基のエンジンを装備した主翼のすぐうしろのキャビンで、周囲の人たちの話の内容までがはっきりと聞こえてきます。

いよいよ離陸滑走が始まりました。全乗客の声がいっせい止み、機内が静まり返ります。加速パワーを背中に感じるだけで、やはり振動はほとんど伝わってきません。やがて機は音もなくふわりと宙に舞い上がり、その瞬間、機内は大きな拍手と歓声に包まれました。

シンガポール航空SQ380便──この歴史的フライトの詳細については、今後各メディアを通じてさまざまな角度から報告していきます〔写真は同便のスイートクラス〕。

2007年10月24日

新たなチャレンジの始まり

 
「最近少しずつ余裕が出てきたのか、仕事を心から楽しめるようになりました」


そう話してくれたのは、今日の11時30分成田発シンガポール行きSQ637便に乗務していた日本人CA、田中友美さん(写真/左端)です。以前はホテルに勤務していた田中さんがシンガポール航空に転職して、今年で4年目。入社後、厳しい乗務員訓練を経て実際の乗務に就き始めたものの、これまでは毎日が緊張の連続だったといいます。

「緊張感はもちろんいまも変わりません。でも真心こめたサービスは必ずお客さまに伝わるんだということが、だんだん実感できるようになりましたね」

東京からシンガポールに向かう際、私はこのSQ637便のビジネスクラスをよく利用します。同便の運航機材はボーイング747-400。ジャンボ機のゆったりしたキャビンレイアウトと、彼女らの質の高いサービス──そのどちらが欠けても、シンガポール航空の人気は維持できなかったかも知れません。

ところで、田中さんたちシンガポール航空のCAにとって、重要な意味を持つ日がいよいよ明日に迫りました。A380の世界初就航まで、あと1日。この歴史的な日を境に、彼女たちはまた乗務員としての新しい訓練に挑むことになります。

「A380が来年日本路線に投入されると、各便に4名の日本人CAが配置されます。私たちもA380に乗るための特別な訓練を受け直さなければなりません。あの広い機内で、あれほどたくさんのお客さまにどうサービスすればいいのか……。正直言って不安もありますが、頑張りたいですね。機材だけ新しくなってもソフト面のサービスが伴わなければ、歴史は変わりませんから」

彼女ら日本人CAにとっても新たなチャンレジの始まりの日になる──明日10月25日を、田中さんたちはそんな思いで迎えようとしています。

2007年10月21日

秋の芋煮(いもに)会

 
見上げると、セスナ機がエンジン音を響かせながら空を行き交っています。1年のうちでもいまの時期は最も空気が澄みわたり、今日も雲一つないさわやかな快晴。上空から眺める地上の景色もきっときれいでしょうね。近くにホンダ・エアポートがあり、遊覧飛行の順番を待つ家族連れで賑わっているのでしょう。


その晴れ渡った空の下で、私はいま約30人前の「芋煮(いもに)鍋」を作っています〔写真〕。毎年、10月の第3日曜日は、地元の仲間とその家族が集っての恒例の芋煮会。旬のさといもとたっぷりの牛肉を、醤油味でぐつぐつと煮込みます。もともとは山形県の名物で、山形出身の私のパートナーが発起人になって10年ほど前から始まりました。

その後、作り手はいつの間にか女房から私にバトンタッチ。「芋煮鍋」というと、地域によっていろんな作り方があるようです。本場の山形市内では、材料はさといもと牛肉、こんにゃく、長ねぎだけというシンプルなもので、味付けも醤油と砂糖、それにお酒かみりんを少々。それがちょっと地域を外れると、牛肉の代わりに豚肉を使ったり、きのこを添えて、味も味噌ベースになったり──いろいろアレンジが加わるようですね。

何種類もの具材を入れると風味が上がって美味しそうですが、元祖の味にこだわる山形出身の女房が「邪道はダメ」といって、許してくれません。会に彼女が参加できいない年だけ、内緒でシメジを加えたり、最後にダシが出たスープにカレーのルーを2種類くらい入れて、そこにうどんをぶち込んで特性のカレーうどんにして振る舞うのですが、じつはこれが参加者たちから大好評。今日もわが女房は他に用事があって参加できなかったので、少し「邪道」に走りました(笑)。

秋の一日を満喫しました。久しぶりに、仕事のことはいっさい忘れて。これから冬場に向けてしばらくは、まず今週のA380世界初就航便の搭乗取材を皮切りに、海外への旅が続きます。

S.Akimoto at 17:45|Permalinkオフタイム 

2007年10月19日

しあわせの“虹の輪”

 
客室乗務員をめざす人や、現役を引退した元CAの人たちを支援する活動を続けている知人──福間賀子さんから、先日ちょっとロマンチックなメールが届きました。以下に一部、引用しますね。


「最近所用があって実家の九州にときどき帰っていますが、何度乗っても空の旅はいいものですね。秋本さんは、飛行機の中から見える“虹の輪”をご存知ですか? ふとしたときに窓から外を見ると、小さな虹の輪が眼下に見えることがあります。虹が丸いのも驚きなのですが、その輪の中に飛行機の小さい影が映って見えるんです。 その小さな飛行機の虹の輪が同じ速度で進んでいるように見えて、なんともいえない光景です」

この“虹の輪”──飛行機を利用することの多い人なら、きっとご覧になったことがあるかも知れません。私も以前、キャビンの窓から写真に撮ったことを思い出し、古いファイルの中から引っ張り出してみました〔写真〕。ちょっと小さいですが、“虹の輪”の中に飛行機の影が映っているのがわかりますか?

これは、いわゆる「ブロッケン現象」と呼ばれるもの。飛行機に太陽の光が当たると、その光が機体を回り込んで反対側に進み、雲のスクリーンに影を映し出します。虹のように何色もの輪になるのは、周囲の水滴によって光が屈折するからだと記憶していますが、違ったかな?

ところで、福間さん自身も以前はCAとして世界の空を飛んでいました。現役時代は上空でよくこの“虹の輪”に遭遇したそうですが、最近はなかなか見るチャンスもなくなったとか。メールには「瀬戸内海の上空あたりで見えることが多いんですよ」と書かれ、そしてこんな一文が添えてありました。

「“虹の輪”が見えると、幸せになるそうですよ」

へえ、そうなんだ。だったら次のフライトでは、必死で探してみようと思います──あ、いや、別にいまが不幸ってわけじゃないんですが(笑)。

2007年10月16日

空飛ぶホテル

 
「秋本さんは記事の中で早くから“空飛ぶホテル”というワードを好んで使っていましたが、現地に来て思いました。本当にその通りだったな、って」


フランスのトゥールーズに飛んだ知り合いの記者からの連絡に、そんな報告が添えてありました。昨日、10月15日にエアバス本社で行われた、シンガポール航空へのA380第1号機の引き渡し式典。その取材のあとで世界中から集まった報道陣に機内装備が初公開され、ファーストを超えるクラスとして新設された「スイートクラス」を間近に見て彼はそう実感したそうです。

送られてきた画像を、私もさっそく見ました〔写真〕。なるほど、これはすごい! スライド式のドアで仕切られた完全な個室仕様で、座席幅が1メートル(ひじ掛け収納時)。しかもそのシートを倒してベッドにするのではなく、就寝用にフルサイズのベッドがシートとは別に用意されています。

まさに“空飛ぶホテル”。自分で書いておいて、自分で驚いています。そして特筆すべきは、カップルで搭乗した人は、オプションで中央2列の席をダブルベッドとして利用できるのだそう。ダブルベッドが空を飛ぶ──う〜ん、うまい表現が見つかりません。とりあえず、まずは「速報」としてAll About『世界のエアライン』で報告しておきました。

≫≫≫「【速報!】A380をシンガポール航空が受領

2007年10月13日

エアバス本社へ、続々と

 
知り合いのジャーナリスト、評論家、記者、カメラマンらが、続々とフランスのトゥールーズに向かい始めました。10月15日(月)にエアバスの本社でA380の1号機がシンガポール航空に引き渡される予定で、その記念式典を取材するためです〔写真/提供=シンガポール航空〕。


シンガポール航空が3クラス・471席でオーダーしているA380の全貌が、いよいよ明らかになりますね。一昨日、シンガポール航空の日本支社にうかがって関係者に聞いた話では、471席の内訳はスイートクラス12席、ビジネスクラス60席、エコノミークラス399席です。ビジネスクラス60席というのが、もう少し増やすのかなと思っていただけにやや意外でしたが、きっとそのぶんエコノミークラスを含めた全体のシートスペースが広がるのでしょう。

いずれにしても、近々すべてのスペックが公表されるはずです。日本から取材に行ったメディア関係者らの報告を待ちましょう。

10月15日の引き渡し記念式典のあと、A380の1号機はトゥールーズを飛び立ち、シンガポールのチャンギ空港に到着します。その後、クルーによるラインでの飛行訓練などを経て、シンガポールからシドニーへの初フライトが行われるのが10月25日。私はその前日の24日に、カメラマンを連れてシンガポール入りします。チャリチィーオークションで席を射止めた世界中の400人を超す幸運な人たちとともに、この歴史的フライトの証言者となるために。

2007年10月10日

JAL国際線に新クラス

 
「上級エコノミークラスを設置するエアラインがこの何年かでずいぶん増えていますね。そういう中で私たちJALは後発として、どう独自性を打ち出していくか。各社のシートも研究しながら出した答えが、デザインの違いによる差別化でした。どうぞ実際に体験してみてください」


商品・サービス企画部課長補佐の百田寛さんは、そう言ってフロアに展示されている新しいシートへ案内してくれました。今日の午後、東京・天王洲のJALビルで開催された「国際線プレミアムエコノミー」の発表会でのことです。

百田さんの言うデザインの違いは、なるほど、一目見れば納得です。上級エコノミークラスでは世界初となる「シェル型シート」を採用〔写真〕。その最大の特徴は、リクライニング時に前席の背もたれが倒れてこない構造で、JALエグゼクティブクラスのシェルフラットシートをベースに新開発されました。

前方座席との間隔も従来のエコノミーシートに比べて約20%拡大。「圧迫感がなくていいね」「ノートPCを広げても余裕がある大型のテーブルは、ビジネスで乗る人にはありがたいんじゃない」──発表会に招かれた他の報道関係者も展示されたシートを体験しながら、口々につぶやいています。

この国際線「JALプレミアムエコノミー」は、12月1日からの成田/ロンドン線を皮切りに、欧米路線を中心に順次導入される予定です。スペックやプレミアムサービスなどの詳細はまた別の機会に報告しますが、アメリカやヨーロッパへの旅が、これからますます快適になることは間違いありません。

2007年10月07日

ジャカランダの季節

 
はるばる地球の真裏を訪ねた私を、街のいたるところで出迎えてくれたジャカランダ──。去年の秋にブエノスアイレスを旅して最も感動的だったことの一つが、日本の桜と同じようにアルゼンチンに春の訪れを告げる、この花との出会いでした〔写真〕。


アルゼンチンへは、日本からだとトータルで24時間近い長旅です。先日(9月20日)のBlog「アルゼンチン便り」でも書いたように、あれから早くも1年が経過。もう一度、ジャカランダの咲く季節に訪ねたいと思いながら、きっとしばらくは実現できないだろうことは自分でもわかっていました。

そのジャカランダが、同じ南半球に位置するオーストラリアでもかなりポピュラーな花だと知ったのは、つい最近のことです。シドニーを拠点に活動を続けるAll About『オーストラリア』の平野美紀さんから届いたメールに、こうありました。

「春から初夏にかけて、ブリスベンからシドニー周辺の東海岸地区を紫色に染めるジャカランダの花。辺り一面が紫色に染まる様子は、それはそれは美しいですよ」

そうなんだ! と、驚きと嬉しさを思わず声に出してしまいました。というのも、平野さんの言うちょうど春から初夏にかけて──つまり10月の下旬に、取材でシドニーを訪ねることが決まっているからです。平野さんからのメールは、こう結んでありました。

「いらっしゃる頃は、ジャカランダがちょうど咲いている時期だと思います。シドニーの中心部よりも郊外のほうがきれいなので、時間があったら郊外にもお連れしますね」

あの淡い紫色の可憐な花の下を、のんびり歩いてこようと思います。6月末以来、約4カ月ぶりの海外。著書の執筆などでたまった夏場の疲れを癒すのに、ちょうどいい旅になるかも知れません。

2007年10月04日

世界を変える写真家たち

 
世界の歴史的瞬間を最前線で記録し続けてきた「マグナム・フォト」。現在、ニューヨーク、パリ、ロンドン、東京に事務所を置き約70名のフォトジャーナリストらが在籍するこの写真家集団は、1947年にロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、デビッド・シーモア、ジョージ・ロジャーの4人の写真家によって結成されました。彼らの過去50年間におよぶ活動を振り返るドキュメンタリー映画『MAGNUM PHOTOS 〜世界を変える写真家たち〜』が今年12月、東京都美術館にて“世界初ロードショー”として上映を開始します〔写真〕。本日午後、東京・原宿で開催された試写会に参加してきました。


マグナム・フォトは写真を志す人には知られた存在ですが、私はじつは、創設者の一人であるロバート・キャパとチェコ生まれのフランス人写真家ジョセフ・クーデルカくらいしか知識がありません。ジョセフ・クーデルカはプラハ工科大学で航空学を学び、航空技術者として働きながら写真を撮り続けてきた人です。そんな彼を一躍有名にしたのが、1968年のソ連軍によるプラハ侵攻を取材した作品でした。困難な状況下、彼は命がけでフィルムを西側に持ち出して、緊張感あふれる作品を発表。世界中に衝撃を与えました。

そのジョセフ・クーデルカをはじめ、映像の中ではメンバーの写真家たちが自身の活動ポリシーなどについてそれぞれに熱き思いを語っています。中でも興味深かったのが、ある一人が口にした次の言葉でした──「時代を記録する、というのは、その時代を生きた人間を撮ることだよ」。

まったく同感です。私の文筆活動も、テーマは「エアライン」ですが、新しい機材(飛行機)や機内での食事・サービスだけを書くことが使命だとは思っていません。書くべき対象は、やはり“人”です。現場で乗務にあたるクルーや、日々のフライトを陰で支える地上と本部のスタッフたち、そして空港で働く人々。もちろんエアラインを利用して海外へ出て行く乗客一人ひとりも、私にとっては常に大切な取材対象です。

これからも世界の空を旅しながら、さまざまな人たちとふれ合い、彼らを描くことを通してエアラインの“現在”と“未来”を伝えていきたい──今日、『MAGNUM PHOTOS 〜世界を変える写真家たち〜』というドキュメンタリー映画に接し、そんな気持ちを新たにしました。

2007年10月02日

街角のBAスタッフ

 
今日の昼間、新宿での取材と打合せを終え、高層ビル街から駅に向かって歩いていたときのことです。新宿駅に近い街頭で、お揃いのポロシャツに身を包んだ人たちが一列に並び、行き交うビジネスマンたちに声をかけ何かを手渡していました。


いろんな国の人がグループに混ざっているようで、近づいてみると、ポロシャツの胸には赤と紺の見覚えのあるロゴマーク。彼らは、英国をはじめ香港、シンガポール、オーストラリア、インドなど世界中から集まったBA(ブリティッシュ・エアウェイズ)のマーケティング部門のスタッフたちでした〔写真〕。

「BAはこの9月から、東京/ロンドン線に新しいビジネスクラスを導入しました。そのPR用のパンフレットを配付しています。日本のみなさんに私たちのニュープロダクトを知っていただくため、各国のスタッフが東京に集結しました」

そう話してくれたのは、ロンドン本社から来たというアジア・太平洋地区マーケティングマネージャーのキャシー・スミスさんです。BAといえば、業界で初めてフルフラットベッドを取り入れたこの分野のパイオニア。東京/ロンドン線ビジネスクラスの新シートは、NASAと共同開発した画期的なリラックス姿勢“Zポジション”などが特徴です。今回のプロモーションのために世界中から計40名のBAスタッフが来日し、銀座や大手町でも別の班がこの時間帯に同様な活動を行っているそうです。

「東京の中心でのこうした活動は、じつは私たちの研修という意味合いもあるんですよ」と彼は続けます。「日本の独特のサービスである“ビラ配り”を体験することで、自国とは異なる日本のマーケットに触れ、エアラインとして提供できるサービスをより広い視野で考えていこうというのが狙いです」

異国の人たちが日本の“ビラ配り”を体験する──ユニークな試みですね。BAの新しいビジネスクラスは、毎日2便飛んでいる東京/ロンドン線のいずれのフライトでも体験可能。その詳細は近く、All About『世界のエアライン』でも報告しようと思っています。

Profile

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秋本俊二(Shunji Akimoto)
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『ボーイング787まるごと解説』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

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