2010年07月31日

花火会場の露天商

 
7月も今日でおしまいですね。早いなあ。午前中に連載コラムや寄稿レポートなど数本を書き上げて先ほど入稿し、今月予定していた作業も無事終わりました。これからさっとシャワーを浴びて支度をし、また“夏の商売”に出かけます。


今日──7月31日は、地元地域の花火大会です。地域の花火といっても、1万3,000発の打ち上げを予定していて、規模もそこそこ。会場となる荒川沿いには、いくつもの屋台が並びます。私の夏限定の“テキヤ業”は例年だと先週末のお祭りだけで終わるのですが、今年はどうしても人手が足りないからと声がかかりました。たこ焼きやお好み焼き、かき氷、綿アメなどの露店に混ざって、私はつくねを焼いて売ります。

天気予報では、夕方からの雷雨の心配も今日はなさそうだし、かなりの人出になるでしょう。それにしても、暑くなりそうだなあ。

ちなみに上の花火の写真は、地元ではありません。この6月に取材で訪ねたチェコのプラハで撮ったものです。ライトアップされるプラハ城とカレル橋(過去のBlog「教会の鐘・夜の色」参照)を狙っていたら、ヴルタヴァ川の対岸でいきなり始まりました。その日は土曜日で、週末の恒例イベントだったのでしょうか。思わぬ花火撮影になりました。

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2010年07月28日

機内食づくり

 
夕方、都内のある調理師学校で学ぶ学生たちから「エアラインの機内食づくり」をテーマに取材を受けました。機内食はどこでつくられているのか? 一般の料理と機内食の調理法の違いは? どんなプロセスで作業は進むのか? フライトで機内食を楽しんだ経験はあるという人は多くても、その舞台裏は意外と知られていません。そこで今日は、その基本部分を簡単にお話ししておきましょう。


日本でも海外でも、機内食は空港近くにあるケータリング会社の工場で製造されます〔写真はトルコ航空に機内食を提供するDO&CO社の工場=今年4月にイスタンブールで撮影〕。ここでポイントになるのが、機内食は調理が済んでから乗客に提供されるまでにタイムラグがあること。旅客機に積み込まれるのは出発の直前で、その間に鮮度が落ちないよう、調理方法や温度管理などに一般のレストランで出される料理にはない厳しさが求められます。

私が取材で訪れた工場の多くでは、白衣に帽子や手袋を身につけ厳重に衛生管理されたスタッフたちが、機械ではなくほとんど手作業で調理に当たっていました。食材となる肉や魚、野菜などは下処理室で一人分ずつの量(重さ)に切り分けられ、その状態で巨大な業務用冷蔵庫へ。しばらくすると、その冷蔵庫の反対側(料理室側)のドアが開き、ナベやフライパンを使っての加熱調理が始まりました。そうして調理された一品一品を、別のスタッフが「盛りつけ見本」を参考にしながら正確に容器に並べていきます。

成田から飛び立つ便を例にとると、機内食づくりの現場がもっとも忙しくなるのは午前中からお昼にかけてです。午後になると出発便ラッシュが始まり、機内食は乗客に出したときに最高においしくなるタイミングを逆算して調理されるため、おのずとその時間帯が作業のピークに。調理された食事は、台車付きカートに乗客の人数分のトレーがセットされた状態で専用トラックに積まれて工場を出発し、空港で機内のギャレー(厨房)に搭載されます。そして離陸後、水平飛行に移ると、客室乗務員はカートのスイッチをオンに。するとトレーの下の加熱板に電気が通じてメインディッシュだけが温められ、温めが終了すると、乗務員はそのカートを押して乗客のもとに飲み物などといっしょに運んでいくわけです。

2010年07月25日

夏祭りの助っ人

 
昨日と今日は、地元地域の夏祭り。私は例年どおり、両手に鉄ヘラを持ち、熱い鉄板の前で二日間を過ごしました。ふぅ。いつもだと夕方以降に集中するお客さんの列が、今年は早い時間から途切れません。嬉しいことなのですが、休憩する時間がなかなか取れないのがちょっときつかったなァ。もう一度──ふぅ。


通常は1回で10食分のヤキソバを焼きます。で、列ができ始めると倍の20食分を1回で。今年はそれでも間に合わず、初めて“1回で30食”に挑戦しました。

鉄板の端から端に広げた麺を、切らさないように鉄ヘラで撥ね上げながら隙間を取り込み、そこに最初にさっと炒めておいた肉やキャベツなどの具を混ぜてソースをからめていきます。表面にパリッと焦げ目がつくくらいの麺がおいしいので、麺を蒸すための水は最小限しか使いません。かといって、麺が焦げすぎても売り物にならないので、作業は時間とのたたかいでした。

上の写真は、夏祭りには必ず手伝いに来てくれる地元出身のAちゃんです。演劇と海外旅行と祭りが大好きで、今年も鉄板と格闘する私と演劇論や海外文化論をたたかわしながら、パックへの盛りつけやお客さんとの対応に頑張ってくれました。

「ヤキソバ、いかがですかァ? いまちょうど焼き上がりましたよォ」

彼女からそう声がかかると、つい立ち止まって「あ、じゃあひとつ」と買っていってくれる人が少なくありません。夏祭りには毎年欠かせない、貴重な戦力です。

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2010年07月22日

A380就航レポート

 
ルフトハンザは今年5月19日、これまで計15機を発注しているエアバスのオール2階建て機A380の1号機をドイツ・ハンブルクで受領しました。その最初の就航地として同社が選んだのが、東京(成田)です。6月12日にはフランクフルトからの初就航便が成田空港に到着。私は5月にハンブルクでの受領式典に出席したあと、先月には成田/フランクフルト往復便を搭乗取材し、当Blogでも現地から何度か報告を書きました。


その後、成田/フランクフルト線へのA380就航の意味を改めて掘り下げたレポートを執筆し、月刊誌『航空ファン』(文林堂)に寄稿。その一文が掲載された9月号は、昨日から全国の書店で発売になっています〔写真〕。

日本とヨーロッパを結ぶ路線にこの“空飛ぶホテル”の異名をもつ世界最大の豪華旅客機を投入した背景に、ルフトハンザのどんな戦略が隠されているのか? そして同社が推進するハイエンド層向けのプレミアムサービスに、A380はどう位置づけられるのか? その二つを大きなテーマに、計4ページにわたって文章を展開しています。A380を生み出したエアバス社のスタッフたちの開発思想などにも触れていますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

2010年07月19日

ANAの人材観

 
今日は、客室乗務員の採用に関しての話を少々──。ANAはこの春に実施した約200名の新卒採用につづいて、先週新たに150人の既卒者募集を発表しました。一方のJALが再生に向けて事業縮小を進めるなか、名実ともに日本のフラッグキャリアを目指したANAの人事戦略が始まったと見ていいでしょう〔写真は出発前の客室乗務員のブリーフィング風景=成田のANAスカイセンターで撮影〕。


採用試験にパスして新人訓練を終了すると、ANAでは1年契約の客室乗務員として乗務が始まります。契約は2回(3年)を限度に更新が可能で、3年が経過すると、本人の希望と適性・勤務実績などを踏まえて長期雇用社員として再契約。その契約時には過去3年間の勤務態度などが考慮されますが、先日私が会った人事担当のKさんは「よほどの理由がないかぎり、ほぼ100%の確率で長期雇用の客室乗務員に転換していきますよ」と話していました。

女性社員に少しでも長く働いてもらえる会社にしたい──そんな思いからANAではここ数年、産休・育休制度をはじめとする組織改革に取り組んできました。産休や育休明けの社員が本人の希望で休みの日数を選択できる新制度もスタートしています。従来は、1カ月のうち勤務日が20日間と決まっていました。その勤務日を、新制度では75%の15日に減らしたり、50%にしたりということも可能に。それぞれのライフスタイルに合わせた働き方をできるようにすることで、家庭と仕事をより両立しやすくしたのです。

そんな取り組みの背景には、ANAの「社員一人ひとりの経験こそが会社の財産である」という考え方があります。客室乗務員はまさに機内サービスのスペシャリストであり、実際のフライトでどれだけ多くの経験を積み重ねてきたかでサービスにおけるスキルやセンスに大きく差が出てしまう。乗客の安全を守る「保安要員」としての役割にも、やはり経験が不可欠です。人事担当のKさんは、私とのインタビューの中でこんなことも言っていました──。

「ベテラン社員の経験を社内に蓄積していくことが、ANAの強みになるはずです。やがて会社を辞めることになっても、ANAでのそれまでの経験をいろんな世界で生かしていってほしい。さまざまな分野で活躍する人の中に“ANA出身”という経歴を見かけるようになれば、ANAの評価もますます上がっていくでしょうから」

2010年07月16日

成田スカイアクセス

 
東京の都心部と成田空港を最短36分でつなぐ京成電鉄の「成田スカイアクセス」が、明日17日(土)にいよいよ開業します。昨日開かれたその記念式典で、同社の花田力社長は「都心からのアクセスという面で、成田はようやく世界の主要空港と肩を並べることになる」と語りました〔写真=テストランで日暮里駅に入線する新型車両を撮影〕。


海外の主要空港では、空港から市内中心部やダウンタウンまでがわずか10分か20分程度というところが珍しくありません。ドイツのフランクフルトやスイスのチューリッヒを例にとると、空港と市内がせいぜい成田空港と成田市内くらいの距離。そこに鉄道が乗り入れ、アクセスが楽々です。

アジアでは、ヨーロッパに比べると主要空港と市内の距離は離れていますが、それでも日本からみればアクセスはとても便利。1998年に開港した香港国際空港は約25キロ離れた香港中心街との間を最高時速140キロのエアポートエクスプレスが23分で結んでいますし、同じ年に開港したマレーシアのクアラルンプール国際空港は都心からの距離が50キロ以上あるものの、ここでも最高時速160キロの高速鉄道で28分でのアクセス可能です。中国・上海の浦東空港では、市内までの約30キロをわずか7〜8分で結ぶリニアモーターカーが開通しました。

それに対して、成田空港は都心から70キロも離れていて、アクセスの悪さがずっと指摘されてきました。明日の成田スカイアクセスの開業で、世界の主要空港と「肩を並べる」とまではいかないものの、不便さがかなり解消されることは間違いありません。日暮里からの料金は2,400円。現行のスカイライナーより480円高くなるのがちょっと気になりますが、JR成田エクスプレス(東京からだと50分で2,940円)に比べれば、所要時間も短くて割安です。駅で予約状況を聞いたら、「開業当日の指定席はもうほとんど残っていない」と窓口の人が話していました。

2010年07月13日

重版御礼!

 
下の写真は、ANAの成田発パリ行き205便をモデルに国際線機長の活躍を追った新著『ボーイング777機長まるごと体験』の1シーンで使用したものです〔撮影=チャーリィ古庄氏〕。離陸滑走を開始する前のコクピットについて、本書の第3章「離陸」で私は次のように描写しました。


「当機は間もなく離陸いたします。お座席のベルトをもう一度お確かめください」
 副操縦士がキャビンへ「出発」を知らせるチャイムを送ると、ほどなく担当の客室乗務員によるそんな機内アナウンスがコクピットにも聞こえてきました。
「テイク・オフ!」
 機長の口から短く発せられたその言葉は、行くぞ、という力強い意思表示です。
 副操縦士がうなずくと、機長はスラストレバーを押し出してエンジンを全開に。205便は静かに、力強く滑走を開始しました。
 エンジン音がうなりを上げ、タイヤが滑走路面を転がるゴツゴツした振動が伝わってきます。速度が増すにつれ、コントロールホイールが勝手に手前に動こうとするのは、昇降舵に作用する気流の影響によるものです。機体はぐんぐん滑走スピードを上げ、前方の滑走路の景色が勢いよく後方へ流れ始めました。


本書の発売から、間もなく1カ月です。この間、すでにたくさんの方々から反響をいただきました。先日は産経新聞の書評欄でも「話題の本」として取り上げられ、担当編集者からは「ネット通販サイトのAmazonでは先週からずっと在庫切れが続いている状態。一般の書店でも品切れのところが出てきている」と報告がきています。出版社では現在、増刷を進めていますので、いましばらくお待ちくださいね。

2010年07月10日

JAL系に女性機長

 
7月12日の月曜日に、国内の大手エアラインでは初となる女性機長が大阪(伊丹)と仙台を結ぶ路線でデビューします。いくつかの新聞とテレビも昨日、このニュースを報じていました。


機長に昇格した女性は、JALグループの1社で大阪(伊丹)を中心に国内の地方都市を結ぶJEX(ジャルエクスプレス)に勤務する藤明里さん(42)です。大学卒業後にアメリカで事業用の操縦士免許を手にした藤さんは、1999年にJEXに入社し、2000年4月から副操縦士を務めてきました。その後、08年2月に機長に必要な「定期運送用操縦士」の資格を取得し、昇格訓練を経て今月2日に国交省の機長審査に初挑戦で合格。入社から11年かけて夢を実現しました〔写真はJEXが運航するボーイング737-800〕。

国土交通省のデータによると、国内エアラインの機長は2010年1月現在で3,778人。これまではすべて男性でしたが、JALグループでは藤さんのほかに9名、ANAグループでは14名の女性が副操縦士として現在活躍しています。近い将来、2人目、3人目の女性機長が間違いなく誕生するでしょう。

先月刊行した『ボーイング777機長まるごと体験』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンス・アイ新書)への反響で、エアラインパイロットという職業への注目度の高さを改めて実感しました。男性ばかりでなく、女性読者からも「コクピットの世界にますます興味をもった」「私も空の仕事にチャレンジしてみたい」といった声が数多く寄せられています。

2010年07月07日

主婦の友社から新刊

 
飛行機って、どんなしくみで飛んでいるのだろう。機体のメカニズムは? 運航計画はどう立てるの? 航空業界の今後は? そんなさまざまな疑問に答えるための新しい本『飛行機──カラー&図解ですぐわかる飛ぶメカニズム、魅力のすべて』が、主婦の友社より発売になりました〔写真〕。1冊まるごと、私が監修しています。


表紙をめくると、私がシンガポール・チャンギ国際空港から送った導入エッセイが最初の見開きページに掲載され、目次のあとは巻頭特集として旅客機のギャラリーページを展開。エアライン各社のカラフルな塗装が施された現代を代表する旅客機の写真を、私がナビゲート役になって集めました。飛行機の解説本というとすでに数多くの類書が出ていますが、本書はちょっと違う個性的な1冊といえるでしょう。

もちろん、本編も充実しています。飛行機の歴史とその種類、飛ぶための原理と運航の仕組み、さらにメーカーにおける開発・製造から空港、エアライン業界の未来展望まで──。限られたページ数の中で、読者に何をどう伝えるか? 編集者とライターの方が議論に議論を重ねて内容を詰め、中味の濃い1冊に仕上げました。

各ページに掲載されている写真やイラストもすべてカラーで、資料としての価値も十分。書店で見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。

2010年07月05日

案山子に最敬礼

 
参院選投票日まで1週間を切り、選挙戦もまっただなかという感じですね。電車に乗ろうと駅に向かうと、改札近くでは今日も朝から候補者が待ち構えていました。通勤途上の人たちに、必死の形相で何かを訴えています。絶唱を無視してホームへ下り、電車に乗って目的の駅に到着すると、その駅前でもやはり同じような光景が。


駅前のロータリーでタクシーの順番待ちをしながら、しばらく様子をうかがってみました。「後援会」という腕章をつけた運動員たちを従え、誰かが通り過ぎるたびに候補者は手を挙げて愛想をふりまいています。きっと疲れも相当に蓄積されているのでしょう。その行動は意図的というより、ただ反射的に繰り返しているだけのようにも見えました。

上の写真──これ、案山子です。突然ですが(笑)。何年か前に山梨かどこかをドライブしたときに撮影しました。こんな案山子もあるんだなと、物珍しさも手伝って。あ、山梨ではなく、群馬だったかな? 昨年夏の衆議院選挙のときにある取材で東北地方を歩いていて、田んぼの案山子や道ばたの電柱にも最敬礼していた候補者がいたことを思い出し、そういえば珍しい案山子があったなと古いフォルダから引っぱり出してきました。

候補者たちの血走った目には、みんな一票に見えるのでしょうね。案山子も、電柱も。政治家になるって大変なことなんだな、ってそのとき思いました。もちろん私は、政治家になりたいなんて一度も考えたことはないですけど。

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2010年07月02日

アジアンタイフーン

 
エアライン業界への就職や転職を目指す人たちに向けたセミナーが先日開催され、1時間半ほど講演してきました。当日の受講生は30名前後と聞いていたのですが、私が到着したときには会場はすでに満席の状態。最後列のうしろや通路にも立ち見(立ち聴き)の人があふれていたほどです。


90分間ずっと立ったまま? それじゃあ気の毒なので、私が「イスだけでも用意できないのかなあ」と言うと、主催者側から「客室乗務員は立ち仕事で、きちんとした立ち姿勢で人の話を聞くのも大切な訓練です」とピシャリ。「はあ。そ、そうッスか」と、ちょっと恐縮してしまいました(笑)。

一人ひとりの様子は、私のほうからもよく見えます。話を聞くときの態度も表情も実際、とてもよく訓練されているなあという印象でした。受講生の目つきがとくに変わったのは、ルフトハンザエアアジアについての内容に触れたときです。すでに報告したように、ルフトハンザは6月からフランクフルト/東京線にエアバスA380を就航。A380でのデイリー運航になる夏以降は大幅に座席供給量が増えるぶん、日本人客室乗務員の新規採用計画も早々に浮上するでしょう。一方のエアアジアは、アジアを中心に世界の空に翼を広げるマレーシアのLCC(ローコストキャリア)で、いよいよ日本就航を視野に日本人客室乗務員の採用に踏み出しました〔写真はエアアジアが運航するエアバスA320〕。

ただし、エアアジアそのものについては受講生もまだあまり多くを知らないようで、セミナーではその独特な取り組みなどについて詳しくお話ししました。ターゲットとする就航地は、国際化が進む羽田なのか、あるいはつい最近「新しくLCC専用ターミナルを建設する」と発表があった成田なのか? これまでどんな戦略で成長を続けてきたのか? 働く場として見た会社や組織の特徴は?

上陸目前の“アジアの台風”として注目を集めるエアアジアについては、今後当Blogでもさまざまな角度から情報をお伝えしていく予定です。今月半ばに来日することになっている幹部らからは先日、私に面会依頼がきました。新しい情報を仕入れるチャンスでもあるので、先方にはすでに「会っていろいろ話しましょう」と返事を送ってあります。

2010年06月28日

都心の異空間で

 
う〜、東京は暑い。しかも湿気が多く、じめじめと。もともと夏には強くないし、最高の季節を迎えたヨーロッパ取材から戻ったばかりだけに、なおさら身体に応えます。書斎にこもっていても書き物に集中できないので、夕方から新宿に打ち合せに出たついでに、JR総武線に乗って信濃町を目指しました。


雰囲気のいい場所で冷たいビールでも飲んでリフレッシュを! そう思って向かった先は、神宮外苑の明治記念館。「中庭で夏場だけオープンする“ビアテラス鶺鴒(せきれい)”で、打ち合せを兼ねて軽くどうですか?」と、ある欧州系エアラインのPRを担当するKさん&Nさんからお誘いをいただきました。

私も初めてだったのですが、入り口を抜けた途端に、そこはもう別世界。手入れされた芝生の庭園と、その向こうの古い洋館を眺めながら冷えたグラスを口に運ぶと、都心にいることをつい忘れてしまいます〔写真〕。明日からの仕事に向けて、いい気分転換になりました。明日は午前中に連載コラムを1本仕上げてから、午後一番で雑誌のインタビューを受け、夕方からは月刊誌に寄稿予定のレポートの原稿書きに着手。サッカーW杯の日本戦が始まる時間までにはメドをつけたいなと思っています。

8強をかけた明日の日本vsパラグアイ戦──どうなりますかね? 私の予想では、1対1の同点で延長戦へ。いえ、本当は90分でスカッと勝ってほしいですが、あのわくわくする緊張感を少しでも長く楽しみたい気持ちもあります。いずれにしても、キックオフまでには仕事はスカッと終わらせないと!

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2010年06月25日

ジェット機を独り占め

 
ドイツ&チェコの取材から無事に戻っています。帰国便はフランクフルトを午後1時25分に発つLH710便でしたが、プハラからフランクフルトへはルフトハンザの「プライベートジェット」サービスを利用。おかげで当日の朝も、プラハでぎりぎりまで有効に時間を使うことができました。


定期便を運航する航空会社でプライベートジェットのサービスを展開するのは、世界でも唯一、ルフトハンザだけです。希望する出発時刻の24時間前までに予約すると、ファーストクラスのチケットとして発券され、指定した空港にニーズに合わせて5〜10人乗りの小型ビジネスジェット(セスナ・サイテーション)が待機。直行便未就航の空港をはじめヨーロッパの1,000以上の都市へ好きな時間に飛ぶことができます。

予約した時間にプラハの空港に到着すると、5人乗りの機体の前でベテランのスイス人機長と女性の副操縦士が待っていてくれました。数人のグループで利用する場合などは、客室乗務員をオプションでオーダーすることも可能です。フランクフルトまでは正味50分のフライトでしたが、離陸して水平飛行に移ると、この日は女性副操縦士が客室乗務員に早変わり。本格的なオードブルと、冷えたシャンパンをサービスしてくれました〔写真〕。

フランクフルト空港に到着後はファーストクラスターミナルのラウンジ(過去のBlog「ルフトハンザのハブ空港」および「Fクラス専用ターミナル」を参照)に案内され、ここで乗り継ぎ便への搭乗を待つことになります。待ち時間を利用して取材に応じてくれた担当者は「プライベートジェットの予約率は前年比180%の割合で伸びています。保有機材も現在の10機から、年内には16機に増やすことが決まりました。ビジネスでのご利用が中心ですが、最近はハネムーンや家族旅行でヨーロッパを自由に旅されるお客さまも増えましたね」と話していました。

2010年06月22日

物語の舞台に

 
プラハの旅の締めくくりとして、今回私が拠点とした「アリアホテル(Aria Hotel)」について紹介しておきましょう。プラハ城から丘を下った「マラーストラナ」と呼ばれる城下町の一角にたたずむ比較的新しいホテルです。近くを路面電車が走り、カレル橋からも徒歩5分という立地。どこへ行くにもとても便利でした。


ユニークなのは、建物のデザインやインテリアに偉大な作曲家たちの足跡が盛り込まれていること。客室のある各フロアは、オペラ、ジャズ、コンテンポラリー、クラシックなど音楽のジャンルがテーマになっていて、そのジャンルの音楽家や作曲家の名前がついた部屋にはその人のCDや本などが置かれています。私の部屋のフロアは「ボサノバ」がテーマでした。

私がとくに気に入ったのは、心づかいの行き届いたスタッフたちの対応と、夏場だけオープンするという屋上のガーデンテラスです。このテラスからの眺望は言葉を失うくらい美しく、歴史あるプラハの街並みをしばし満喫しました。その後、マネージャーに「写真撮影用に何か飲み物を」とお願いしたら、シャンパンとロゼワインのグラスを二つずも用意してくれたのにはビックリ。建物の壁とシャンパンの色合いが、そして屋根瓦の色とロゼワインの色が奇妙にマッチし、写真はド素人を自認する私にも不思議にいい感じの作品が撮れました〔写真〕。

人と人との小さな出会いと別れの物語を書くための舞台探しと、作品の構想を練ること──それが今回のプラハ訪問の目的でした。男と女を主人公に、ちょっぴりロマンチックな物語に仕立てるなら、ここは作品舞台として一番の候補かも知れません。

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2010年06月21日

教会の鐘・夜の色

 
プラハでは一日に何回か、街のあちこちで教会の鐘の音が鳴り響きます。頭上から降ってくるその音色が耳にとても心地よく、毎朝近くの教会の鐘の音で目覚めるのが日課になっている人も少なくないと聞きました。


ホテルの部屋で夕方の鐘の音を聞いていたら、再び街に繰り出したくなりました。昼から夜に切り替わる時間帯のプラハは、とくに幻想的です。ほとんどの建物が輪郭を失いはじめるとライトアップされる、プラハ城とカレル橋〔写真〕。その下で、ヴルタヴァ川に浮かぶ船が遠慮がちに光を発し、100年前のガス灯と同じデザインの街灯が路地や石畳をほんのりオレンジ色に照らします。一国の首都でありながら、これほど控えめな色と光に演出された街を、私はほかに知りません。

足を止めて、石の壁にもたれかかりました。通りに沿って点々と続く街灯の周辺だけが、ぼんやりした丸い光に包まれています。

ここは、どこだっけ?
あれ。いまは、いつだっけ?

そんな疑問がふと脳裏をよぎり、心をからっぽにしたまま石畳の道をまた歩き始めます。街灯のか細い灯りだけを頼りに、どこまでも。建物の壁に刻まれた彫刻が現れては消え、2010年の現在から歴史の中のプラハへどんどん迷い込んでいくような錯覚におちいりました。

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2010年06月20日

あの夏を忘れない

 
旧市街から新市街へ向かうと、10分ほどでヴァーツラフ広場に出ました。「プラハのシャンゼリゼ」といわれるヴァーツラフ広場にはカフェやホテル、アクセサリー店などが並び、世界中から多くの観光客が訪れます。ですが、そうした観光客相手に働くチェコ人はいても、一般のチェコの人たちはあまり見かけません。彼らにとってここは、暗い過去を背負う場所だからです。


1968年の春から夏にかけて、旧チェコスロヴァキアでは政治・経済の自由化に向けた改革が頂点を迎えました。そんな情勢にソ連の共産党指導部は危機感を抱き、8月20日深夜から21日にかけて軍隊をプラハに侵攻。このヴァーツラフ広場を何台もの戦車が占拠し、市民が夢見た「プラハの春」を無惨に打ち砕きました。

上の写真の正面に見えるのは国立博物館です。黒ずんだ建物に近づいてみると、円柱や窓枠や壁面に、鋭くノミでえぐったような白い斑点が当時のまま残されていました。ソ連軍の戦車から発砲された機関銃の弾痕です。広場の一角には、軍の侵攻に抗議し「この8月を忘れるな!」という遺書を残して焼身自殺したヤン・パラフの遺影が置かれています。その後、彼の死に衝撃をうけた男女18人もの若者が連鎖的に自らの命を絶ちました。

そして民主改革への大波が東欧諸国にうねり始めた1989年。劇作家ヴァーツラフ・ハヴェルを先頭にチェコの人々の心がひとつに結束し、プラハにもついに待ち望んでいた民主化の瞬間が訪れます。11月23日と24日の両日には100万の市民が広場を埋め尽くして、一滴の血を流すこともなく「ビロード革命」を達成。ハヴェルが内外に向けて声明を発表したのも、この広場のビルのバルコニーからでした。

私が最初にプラハを訪れたのは、この革命によってチェコスロバキアの共産党政権が崩壊した直後でした。あれから20年が経過したいまも、パラフの遺影にはたくさんの花が捧げられ、その前で静かに祈る人たちの姿を見かけます。

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2010年06月19日

迷路を抜けて

 
プラハの中心を流れるヴルタヴァ川は、右に左にと大きく蛇行しています。街なかの道がどれも複雑に折れ曲がっているのは、きっとそのせいでしょう。地図に頼らなければとんでもない迷路に入り込んでしまいそうですが、周囲の建物を注意深く見ながら歩くと、ひとつの通りから平行する別の通りへ建物の内部を貫通している“通り抜け”の道をあちこちで発見できます。迷って出口が見つからないときは、この“通り抜け”の道を探すといい──10年前のこの街を訪れたときに、地元の人からそう教わりました。


石畳の道をふらふら歩いていたら、カラクリ時計の塔で有名な旧市街市庁舎の前に出ました。かつては見張り台として使われていたこの塔の高さは70メートル。現在は観光客に開放されていて、上まで歩いて登ることができます。と、塔の上から突然、ラッパの音が響いてきました。

見上げると、何人かの若者が例の応援ラッパ「ブブゼラ」を吹いて、アメリカの国旗を振っています。現在開催中のW杯南アフリカ大会に出場しているアメリカチームのファンでしょう。この先の旧市街広場にパブリックビューイングが設置され、間もなく始まるアメリカ対スロベニア戦を生で観戦しようと、たくさんの人が集まっています。

広場に並んだ屋台からは、おいしそうな香りが漂ってきます。少し疲れたので、ビールとホットドックを買って、ここでちょっとひと休み〔写真=背景に見えるゴシック様式の双塔の建物は「ティーン聖母教会」〕。ビールは60Kc(チェココルナ、約300円)、ホットドックがは40Kc(約200円)でした。物価は日本の3分の2程度でしょうか。腹ごしらえをしたあとは、もう少し先まで足を伸ばしてみます。

2010年06月18日

古都プラハへ

 
昨日のフランクフルトは一日、雨。そんななか、ルフトハンザのいくつかの部署を訪ねて担当責任者らに会い、午前中から夜遅くまで精力的に取材を進めました。具体的なテーマとしては、建設中の新しい空港ターミナル「Aプラス」やエアバスA380のキャビン設計についての取り組み、よりハイレベルなサービスの提供を目指して客室乗務員の意欲を引き出すための人事制度改革などです。


取材は深夜にまでおよび、最後にファーストクラスターミナルを撮影させてもらったのが、夜の11時過ぎ。それからダウンタウンのホテルに戻ると、もう疲れ果ててシャワーを使う気にもなれずに、そのままベッドに倒れ込みました。おかげで、今朝の目覚めはすっきりです。

フランクフルトの現在の時刻は朝の6時。カーテンを開けると、昨日とは一転、さわやかな快晴です。これから朝食を摂ったあと、荷物をまとめてフランクフルト空港に隣接するルフトハンザのケータリングセンター(機内食工場)へ向かい、アジア路線での新しいメニュー開発などについて担当者に取材します。そして終了後は、フランクフルトを正午に発つ便でチェコのプラハへ。

プラハを訪ねるのは、かれこれ10年ぶりになります。今回は個人的なテーマでの取材が目的で、ヴルタヴァ川に架かるカレル橋を旧市街からプラハ城側にわたったすぐのところにホテルを予約しました〔写真〕。ここを拠点に、休養も兼ねて、1,000年の歴史をもつ古都をゆっくりと歩いてくるつもりです。

2010年06月17日

いいねえ、新シート

 
搭乗が始まり、途中で二つに分かれるボーディングブリッジを通ってアッパーデッキ(2階席)へ。機内に入ると左手の先頭部分が8席あるファーストクラスで、私は出迎えてくれた客室乗務員にビジネスクラスの搭乗券を提示して右側のキャビンに向かいました。


そこからアッパーデッキの最後部まで計98席が配置されたビジネスクラスは、壮観です〔写真〕。ネイビーに黄色のアクセントを配したルフトハンザカラーのシェル型シートは従来タイプを踏襲していますが、これまでのボーイング747-400では横一列が“2-3-2”のレイアウトだったのに対し、エアバスA380では1席減らして“2-2-2”の配置に。そのぶん、通路もゆったりとってあります。ドア近くの窓側シートに座った年配カップルの「やっぱりいいねえ、新しいシートは」とささやき合う声が聞こえました。

私のチケットに表示された番号は「27D」。最後部から2列目のシートだったので、出発前のインタビューで男性会社員が話していた「静寂性」に注目してみました。タキシングから離陸滑走、離陸・上昇とつづく中でずっと耳をすませていると、なるほど、静かさを実感します。巡航飛行に移ってから、その静寂性について日本人客室乗務員の一人としばらく話しました。

「これまでの747-400ですっかり慣れてしまい、エンジン音が気になるというのはなくなっていたのですが──」と、彼女も言います。「でも言われてみると、本当にそう。747-400のエンジンより後方のシートでは、少し声を張らないとお客さまとこんなふうに会話はできませんでした。A380での乗務は今日でまだ2回目ですが、これから乗務を重ねていくうちに、もっともっといろんな発見がありそうですね」

どの客室乗務員にとっても、A380という新機材での乗務はまだスタートしたばかり。なので、サービスに当たる一人ひとりの表情には緊張感がただよいます。が、それでもみんないつも以上に楽しげに見えるのは、私の気のせい?

2010年06月16日

機体に期待を乗せて

 
出発前の乗客たちに少しインタビューしてみようと、前泊した成田のホテルを今朝は早い時間にチェックアウト。空港に到着後、出発ロビーのカウンターや45番の搭乗ゲート前〔写真〕で、期待に胸をふくらませる人たちの声を聞いてみました。


「エンジン音がすごく静かみたいですね。いつもは、少しでも空いていそうな後方のシートを選びますが、エンジンよりも後ろの席だと持参する耳栓を使わないとうるさくて眠れません。今日はどうですかね。他の飛行機とA380がどれくらい違うものなのか? 比べてみようと思います」(29歳男性、会社員)

「ヨーロッパへは主張でよく行きますが、直行便のない都市へはどの航空会社を使うかいつも迷います。乗り継ぎの便利さという面ではどこもあまり違いはないので、結局ポイントになるのは、チケットの取りやすさや値段ですね。でも、今日からは変わるかも知れません。A380での長距離移動がどれくらい快適なものなのか。フランクフルト線で実際に試してみて、病みつきになるのではないかとも思っています」(48歳男性、自営業)

「成田に就航すると発表があって、すぐに予約しました。ちょうどヨーロッパ旅行を考えていましたので。従来のジャンボ機(ボーイング747)より1.5倍も広いんでしょ? なのに、シート数は1.25倍。きっとエコノミークラスでもスペースがゆったりしているんでしょうね。楽しみです」(34歳女性、デザイナー)

インタビューした人の中には「え、A380ってそんなにすごい飛行機なの? ふうん、別に興味ないけど」と言っていたツアー客もいました(笑)。また、最後の女性の「ジャンボ機より1.5倍広いスペースにシート数は1.25倍」というのは、私の著書(『エアバスA380まるごと解説』)の受け売りだそうです。熱心な読者だと言われ、恐縮してしまいました。

いずれにしても、エアバスのオール2階建て巨人機A380での運航を開始したルフトハンザのLH711便フランクフルト行きは、たくさんの人たちの“思い”を乗せてもう間もなく──午前9時35分に成田を出発します。報告のつづきは、また到着後に!

2010年06月13日

日欧をつなぐ巨人機

 
午前7時25分──。成田空港ランウェイ16Rの北方の空にレンズを向けていたカメラマン数人の口から、同時に「来た!」と声が漏れました。45番スポット付近に集まっていた報道陣が、いっせいにその方向に目を向けます。


現地時間の前日(11日)午後にフランクフルトを出発したルフトハンザのA380初就航便(LH710)は、昨日(12日)朝、関係者や報道陣が待ち構える成田空港の上空に姿を現しました。薄曇りのぼんやりとした空に、徐々にその輪郭を浮かび上がらせます。正しい角度を保ちながらゆっくりとした速度でアプローチし、午前7時40分に滑走路に舞い降りると、エアバスのオール2階建て巨人機は放水アーチと多くの人たちの拍手で迎えられました〔写真〕。

この初就航便で500人を超える乗客とともに来日したルフトハンザのヴォルフガング・マイヤーフーバーCEOは、到着後の会見で「ハイテクを駆使してかつてない静粛性を実現したA380は、成田空港とフランクフルト空港の近隣住民にも貢献できる機種。両国のさらなる経済発展に向け、日本とドイツおよび欧州各国を移動する人は今後も間違いなく増え続けるでしょう。私たちは、A380の1号機の就航地として最もふさわしい都市を選んだと確信している」と話しました。

私も同感です。ビジネス需要も多い東京/フランクフルト線はいつも満席状態ですし、また“空飛ぶホテル”の異名をもつA380は、移動する距離が長ければ長いほどその特長が生きる──そう私は言い続けてきました。今週水曜日(16日)には、A380でのロングフライトを実地取材するため、さっそくフランクフルトへ向かいます。

2010年06月10日

777機長を体験する

 
国際線機長の活躍に密着した新著『ボーイング777機長まるごと体験』が、ソフトバンククリエイティブのサイエンス・アイ新書の1冊として6月15日に刊行になります。来週の発売日に合わせて正式な告知を──と当初は考えていたのですが、Amazonをはじめネットショップではすでに予約受付が始まっているようですので、ひと足先に報告させていただくことにしました。


上の画像が、そのカバーデザインです。この本の「はじめに」で、私は次のように述べました。

 旅客機のコクピットに乗って、空を飛びたい! 多くの航空ファンが抱くそんな夢を叶えるために、私はこの本を書きました。
 エアラインパイロットに憧れる人はたくさんいますが、それを実現できるのはごく一部に過ぎません。また、パイロットという職業を目指したことはなくても、やはりコクピットに乗って離陸や着陸のスリルを味わってみたいという人は大勢います。
 どうしたらそれを叶えられるか? 学生時代に学んだ航空工学の道に別れを告げ、作家業を選んだ私にできることは一つしかありません。その答えが、本書の実現でした。


で、せっかく体験していただくなら、現代の“花形機種”のコクピットに案内し、人気の国際路線を飛んでもらうのがいい。そう考えて本書の舞台に選んだのが、ボーイングのハイテク機777-300ERで飛ぶANAのパリ行き「NH205便」です。成田からパリへのフライトでの、エアラインパイロットたちの華麗で魅力的な仕事を、どうぞまるごと体験してみてください。

2010年06月07日

太陽光で24時間飛行

 
太陽エネルギーだけを動力とする有人飛行機で世界一周を実現する──そんな夢のプロジェクトについて、3月30日のBlogで紹介しました。スイスを拠点に2003年にスタートしたこの「ソーラーインパルス」プロジェクトはこれまで順調に推移し、4月8日には高度を1,200メートルまで上げてのフライトに成功。その日、取材でトルコのイスタンブールを訪れていた私に届いたのが、テスト飛行の成功を喜ぶスタッフたちの様子です〔写真〕。


ソーラーインパルスの全重量はわずか1,600キロですが、主翼幅はエアバスの大型機A340と同サイズで63.4メートルもあります。その大きな主翼に設置した1万2,000個のソーラーパネルで太陽光を吸収。昼間蓄えた電力で夜間の飛行も可能にし、2週間から1カ月をかけて世界一周を果たすという壮大な計画です。

プロトタイプ機を使った4月のテスト飛行では、スイス西部のパイエルヌの飛行場を時速45キロで離陸し、1,200メートルの上空を87分間飛行しました。このテスト飛行の成功をステップに、あらかじめ充電した状態で離陸したそれまでの飛行から一歩前進して、現在は太陽の光を受けて飛ぶ文字通りの“ソーラープレーン飛行”に移行。飛行時間を段階的に延ばすテストが続いています。

そして先週、再びスイスから一報が入りました。現地時間の6月13日に、いよいよ24時間飛行に挑戦するというのです。もらった連絡には、スタッフからの「テストの現場に来ないか?」というひと言が添えてありました。

ですが、う〜、行けない〜! 別件の取材が重なっていて、スケジュールを動かすことができません。あと1週間先なら、ちょうどヨーロッパに行っている予定なのですが。いずれにしても、スタッフのみなさん、大成功を祈っています!

2010年06月04日

異星人はいる?

 
もうすぐ発売になる新著を書くために、この数カ月、エアラインパイロットの取材を続けてきました〔写真はイメージ=航空写真家・チャーリィ古庄氏撮影〕。それぞれの現場で予定していた取材を終えると、私は機長らに少しだけ時間をもらい、相変わらず以下のような突拍子もない質問をぶつけています。


「ところで機長。フライト中に、上空でUFOに遭遇したことはないですか?」

この物好きなテーマを地道に追い続けていることは、これまでも何度か報告しました(「機長らのUFO目撃談」「私も“謎の物体”を見た!」「“UFO”取材の経過報告」)。ですが、こちらが意図するような答えはなかなか返ってきません。彼らは「UFO? いやあ、ないですねえ」と笑って言いますが、その言葉を本当に信じていいのか、あるいは単にはぐらかされているだけなのか。

広大な宇宙には、太陽と同じような恒星が無数に存在します。その周りには数え切れないほどの惑星あって、そこに生物がいても少しも不思議ではないと私はずっと考えてきました。地球以外に人間のような知的生物がいれば、何らかの信号を発しているはず──そんな観点から、宇宙からの電波を分析する研究ももう50年近く続いています。ある研究者は「コンピュータ技術が進化しているので、10年か15年以内には宇宙からの信号をキャッチできるだろう」と言いました。異星人は存在するのか? その答えが出る日は、もう近いかも知れません。

ただし、異星人との遭遇というロマンには、ちょっぴり切なさもつきまといます。つい最近も、イスラエル軍がパレスチナ支援船を強襲するといったニュースが地球上を駆け巡りました。異星人が宇宙のどこかに存在するとして、殺戮と暴力が絶えない地球は、彼らの目にどう映るのでしょうか?

2010年06月01日

校ォ了ォォ〜!

 
5月の最終日だった昨日は、6月15日に発売する新著を印刷入校するデッドラインでした。この日ですべての文字校正と写真および色校正などを終えて、印刷に回さないと、予定の刊行日に間に合いません。で、午後からDTP会社の校正室に出向き、ソフトバンククリエイティブの担当編集者と作業に没頭しました。


「とにかく、校了まで持っていかなければなりません。場合によっては朝までの作業になることを覚悟してくださいね」

編集者からは危機感たっぷりの声で、先週末にそう言われていました。取材と撮影が長引いたこともあり、原稿の提出が遅れに遅れた結果です。出版社の営業チームが大手書店を中心にすでにかなりの注文をとってしまっているので、もし6月15日に発売できないとなると、ちょっと大変なことに。なので、何が何でもこの日で終えようと腹を決めて出張校正に向かいました。

初校の赤字を反映させて修正済みの再校ゲラを、編集者がまず確認し、それを私が1ページ目から精読して最終チェックします。それでもいくつか赤字を入れなければならない箇所があり、赤字を入れた再校ゲラを制作室に待機しているDTP担当に提出。再度修正されて出てきたものをもう一度確認する──といったやりとりが延々何時間も続き、やっと校了になりました。

上の写真は、成田で撮影した出発前のブリーフィング風景です。パイロットたちの世界を舞台にした今回の作品を書くため、ANAのさまざまな関係者に取材に協力してもらいました。『ボーイング777機長まるごと体験』というタイトルの下に「成田/パリ線を完全密着ドキュメント」のサブタイトルが入って、2週間後に書店に並びます。

2010年05月29日

787で超ロングフライト

 
エアバスA380に関する報告がしばらく続いたので、今日はライバルのボーイングが開発を進める次世代中型機787についての話題を久しぶりに。掲載した画像は、アメリカのコンチネンタル航空のロゴとマークが塗装された787のイメージです。


コンチネンタル航空は787をこれまで25機確定発注し、2011年8月から受領を開始します。同年11月にはハブ空港であるヒューストンとニュージーランドのオークランドを結ぶ路線に787を投入することが発表されました。ヒューストン/オークランド線は787の具体的な就航が決まった初めての路線です。

ヒューストンとオークランドは7,400マイル(約1万1,900キロ)離れています。フライトには15時間近くを要しますが、しかしそのロングフライトも、787ならきっと苦にならないでしょう。

ボディや主翼を新しい炭素繊維複合材でつくった787は、従来のアルミ合金製の機体と違って、錆びや腐食の心配がありません。キャビンを加湿できるので、機内環境はきわめて快適に保たれます。炭素繊維複合材は鉄の約9倍の強度を持ち、壊れにくい大きな1枚板でボディを構成できるため、継ぎ目を少なくしてキャビンの窓を大きく(従来機の1.6倍)とることにも成功しました。

米フォーチュン誌の「最も賞賛されるグローバル航空会社」(9年連続)やOAGエアライン・オブ・ザ・イヤーの「ベストビジネクラス賞」(5年連続)など、これまで数々の栄誉ある賞を手にしてきたコンチネンタル航空。その一番の“売り”であるビジネスファーストクラスも、フルフラット型の新シートを導入してさらに進化しました。コンチネンタル航空の787を利用する太平洋縦断ロングフライト──いいなあ、憧れますね。

2010年05月26日

最上級の空間

 
帰国報告として書いた前回のBlogルフトハンザの新旧ファーストクラスについて触れたところ、読者のみなさんから「オープンな空間を演出したという新しいファーストクラスを画像で見たい」という便りをいただきました。下の写真が、エアバスA380のアッパーデッキ(2階席)の先頭部分に8席をレイアウトしたファーストクラスです。前方のモニター横に赤いバラが生けられているの、わかりますか?


こうしたオープンな空間がいいか、個室タイプが好みか。意見は分かれるでしょうね。シンガポール航空が運航するA380のスイートクラスなどは、対照的に1席1席がカベで仕切られています。それはそれで、この上ない高級感が漂いますが、私が利用するときはおそらく通路側の窓は開け放っておくでしょう。就寝時は別にして。だって、通りかかる客室乗務員にかまってほしいですから(笑)。

ハンブルグで開催されたA380の1号機受領式典では、ルフトハンザがキャビン設計にとり入れたいくつかの新しい試みも披露されました。客室全体を快適な湿度に保つための加湿装置の導入もその一つ。またファーストクラスを仕切っているカーテンには吸音機能をつけ、世界一静かな客室を実現したといいます。

5月19日のフランクフルトまでのデリバリーフライトでは、機内で報道陣の取材合戦が繰り広げられていたため、残念ながら静寂性についてはよく確認できませんでした。わずか2時間のフライトでしたので、湿度の状態についてもしかり。これらの点は、6月の成田からフランクフルトへのロングフライト取材でじっくり検証したいと思います。

2010年05月23日

赤いバラのもてなし

 
予定していたすべての取材を終え、帰国しました。フランクフルトからは、ワケあってファーストクラスでのフライトで。ルフトハンザが成田線で運航しているボーイング747-400では、ファーストクラスはアッパーデッキ(2階席)にあって、中央の通路をはさんで2席ずつのシートが4列──計16席がレイアウトされています。


ルフトハンザはファーストクラスの客室を今回のエアバスA380の1号機受領に合わせてフル・モデルチェンジする計画を進めていたため、現状の747-400に搭載されているシートはもう古く、決して豪華とは言えません。発表されたA380の新シートに比べると、実際のところかなり見劣りします。

ただし、見劣りするのはあくまでハード面に関してのこと。“人”が介在するソフト面のサービスは話が別です。ベタベタせず、しかし必要なときはいつでも近くにいてくれる──その何ともいえない距離感が心地よく、私はいかにもルフトハンザらしいと感じました。

たとえば、搭乗してシートに着くと、通路側の肘掛けの先端に直径3センチ/深さ10センチほどの小さな穴が開いていることに気づきます。私の斜め向かいに座ったスイス人のカップルは「これ、何だろう?」と首をかしげていました。ほどなくして、それぞれの席に担当の客室乗務員が挨拶にきます。「担当の○○です。ご用がございましたら、いつでも遠慮なくお申しつけくださいね」と言って、肘掛けの穴に差していったのは、一輪の赤いバラでした〔写真〕。乗客との間に保たれる絶妙な距離感と、そのさりげない一輪のバラの花は、どこか共通しているように私は思います。

フライトの途中、私を担当してくれた日本人客室乗務員の森素子さんと、今回発表された新しいファーストクラスの話になりました。

「私たちはまだ見ていないのですが、オープンな空間を演出した新しいファーストシートはとても素晴らしいと聞きました」と、森さんは言います。「最近は個室タイプが流行のようですが、ルフトハンザはたくさんの方々にアンケート調査を実施したところ、密閉された空間よりもオープンな空間をお客さまは望んでいるという結果を得たようです。オープンなぶん、私たち客室乗務員もお客さまとのコミュニケーションがとりやすいですし、シートだけでなくソフト面でもお客さまにご満足いただける対応ができるよう私たちももっともっと努力を続けていかなければと思っています」

一輪の赤いバラは、ハンブルグからフランクフルトへのA380のデリバリーフライトでも見かけました。ファーストクラスの座席や、トイレの中などで。ルフトハンザのさりげないもてなしは新機材でも継続されます。その1号機が就航する成田/フランクフルト線も私は搭乗取材する予定ですので、報告を楽しみにお待ちください。

2010年05月22日

アイデアシート

 
ミュンヘンからハンブルグへは、ルフトハンザの国内線を利用しました。朝08時05分に発つLH040便です。同社が国内線で使用する中心機材の一つが、エアバスのベストセラー機──A320。下の写真は、そのビジネスクラスのシートです。


え、これがビジネスクラス? エコノミーじゃないんですか? そう思う人もいるかも知れません。見た目はたしかにエコノミーシートと変りません。いいえ、見た目だけでなく、シートのつくりもサイズもエコノミーシートとまったく同じです。

では、何が違うのでしょうか? A320は通路が中央に1本の“単通路機”で、ビジネスクラスもエコノミークラスも、通路をはさんで両側に3席並びのシートが設置されています。ビジネスクラスの特徴は、写真でご覧いただけるように、その3席並びの真ん中のシートをつぶしてテーブルとして使っていること。ベルリンで毎年開催される国際旅行見本市のルフトハンザのブースで4年前にこのビジネスシートが展示されたとき、私はとてもいいアイデアだなと思いました。

ドイツの国内を移動するフライトはせいぜい1時間程度ですが、ビジネスクラスでは食事が出ます。しかし、とてもコンパクトにまとめられたメニューなので、トレイを置くには小さなスペースがあれば十分。真ん中のテーブルを、両側の乗客がうまくシェアすることができます。

前席の背もたれには自分専用のテーブルもあるので、PCを開いて仕事をするときはこちらを使いました。短いフライトなので、食事の間はPCをしまうというのでは、ほとんど何もできません。その点、このビジネスシートなら、食事は真ん中の席に置いて食べながら仕事をつづけることができます。シートの贅沢さは味わえませんが、それよりも機能性を優先させるところは、合理的なドイツ人らしい発想だなと感じました。

2010年05月21日

国をあげての大騒ぎ

 
話は前後しますが、A380の1号機受領式典に出席するためハンブルグに向かった日の朝のことです。ミュンヘンのホテルでドイツの全国紙をめくっていたら、ルフトハンザのこんな一面広告が目に止まりました〔写真〕。


ドイツ語で書かれたタイトル(見出し)は、日本語になおすと「エアバスA380、ついに来たる!」といった感じ。新聞広告だけではありません。テレビ番組欄に目を移すと、どのチャンネルも夕方のニュース番組はA380の話題をトップ扱いにしています。

エアバスの工場があるハンブルグには、ルフトハンザの技術の拠点であるルフトハンザテクニックが本社を置き、両社はもともとつながりが深い。A380の開発でも早くから密接な協力関係を築いてきました。そのA380がいよいよ自分たちの国に来るというので、ドイツ中がまさに大騒ぎ。その様子をリアルタイムで伝えようとヨーロッパ各国からもたくさんの記者らがハンブルグに集まり、また式典後に招待客を乗せて向かったフランクフルト空港にも、やはりヨーロッパのメディアを中心に2,000人を超す報道陣が詰めかけていました。

フランクフルト空港の滑走路に降り立ったA380は、通常のフライトではないため、ターミナルではなく整備ハンガー(格納庫)に横づけされました。ドアに接続されたタラップを降りる私たちに向かって、いっせいにカメラのフラッシュがたかれ、最前列ではテレビのキャスターらが搭乗者の談話を取ろうとカメラマンをともなって待ち構えています。

「インタビューさせていただいて、いいですか?」

チャーミングな女性キャスターが、私にもマイクを向けます。テレビはあまり好きではないのですが、出ちゃおうかな、なんて考えが頭をよぎりました。外国だし、いいかな──と。

「あ、はい。いいですよ」
「ありがとうございます」と、キャスターも取材できる相手を早々につかまえてホッとしている様子。「では、お話はフランス語でお願いしますね」
「あ、え、フランス語? 英語じゃなくて?」
「はい。フランスで放映するニュース番組ですので、フランス語じゃないと」

私がフランス語を話せるなどと、どうして彼女は思ったのでしょうか。不思議です。あ、もしかして最初に尋ねられたのに、周りがざわざわして私が聞き逃したのかも知れません。それくらい、大変な熱狂ぶりでしたから。結局、彼女は「ごめんなさいね」と言って、カメラマンに目で合図すると別のターゲットを探しに行ってしまいました。あ〜あ、テレビに出損ねた! やっぱり私、テレビは向いていないみたいですね。

2010年05月20日

感動の初フライト

 
ハンブルグ郊外のエアバス社に世界中の報道陣を招いて開催されたA380の1号機納入式典が終わり、いよいよ初フライトへの搭乗開始です。2階席のファースト&ビジネスクラスには来賓と機内で取材を受けるルフトハンザの幹部たちが、そして1階のエコノミークラスには同社スタッフと私たち報道関係者に席が用意されました。


14時35分。A380はハンブルグの空港を飛び立ちました。いつもながら、静かに、そして力強く。どんよりした天候だったので、離陸後はすぐに雲の中に入ってしまうのだろう──そう予想していたのですが、なぜか機長はなかなか高度を上げません。

「このまましばらく低空飛行を続けます。ハンブルグの街並みを、どうぞゆっくりとご堪能ください」

機長からアナウンスに、キャビンでは大きな拍手がわき起こりました。A380は速度を最小限に絞り、貿易港と運河の街の上空で旋回飛行を続けます。こんな巨大な飛行機での“遊覧飛行”は、私も過去に経験がありません。15分ほど景色を楽しませてくれたあとで、機長は機首を上に向けてエンジン出力を上げました。A380はみるみる上昇し、やがて厚い雲の中へ。これからは一路、ルフトハンザのハブであるフランクフルト空港を目指します。

シートベルト着用サインが消えると、報道陣がいっせに立ち上がります。私も少し遅れて2階席に上がると、通路では地元テレビクルーがカメラを回し、ファーストクラスのシートでは記者たちが幹部へのインタビューを始めていました。

「ハロー、ミスター・アキモト!」
背中から声をかけてくれたのは、これまで何度かインタビューなどでお会いしたルフトハンザ筆頭副社長のティエリー・アンティノリさんでした。
「やあ、アンティノリさん!」と私。「1号機受領、おめでとうございます。それと、まずは感謝しないといけませんね」
「おっと、言わなくてもわかってますよ」と、アンティノリさんは笑って私の言葉を遮りました。「感謝というのは、われわれが成田線への1号機投入を決めたことに対してでしょう。来月の就航を、ぜひ楽しみにしていてください」

握手をして別れると、彼はさっそく、通路で待ち構えていた各国の記者たち取り囲まれていました。

前方に、マイン川沿いに建ち並ぶ高層ビル群が見えてきました。間もなくフランクフルトに到着です。ハンブルグからは通常だと1時間程度ですが、この日は倍の2時間をかけてのフライトでした。速度を落として滑走路に進入し、いよいよ着陸──と思ったら、機は超低空飛行でターミナルの前を通過し、再びエンジンを全開にして上昇飛行に!

「みなさん、驚かせてすみません。いまのは、フランクフルト空港で待つ私たちの社員へのお披露目でした」と、機長のアナウンスが流れます。「さあ、いよいよ次は本当の着陸です」

上空で大きく旋回すると、機長はもう一度、着陸進入ルートに乗せました。ルフトハンザのA380は両翼のフラップをいっぱいに降ろし、優雅に舞い降りていきます。多くの報道陣とスタッフ、そしてファンたちが待つフランクフルト空港を目指して〔写真は、フランクフルトに到着したルフトハンザのA380〕。

2010年05月19日

午後9時の“青空”

 
ミュンヘンには定刻より少し早く、現地時間の午後5時に到着しました。ゲートで出迎えてくれたルフトハンザのスタッフたちと空港内のビアホールで明日の取材の打ち合わせをし、しばらく雑談したあと、Sバーン(ドイツの国有鉄道)に乗ってホテルへ。


明日は朝一番の便でハンブルグに飛ぶので、今日は出歩くのをやめて、ホテルで静かに過ごすつもりでいました。が、どうしても「静かに休む」という気持ちになれません。なぜって、午後7時を過ぎても、8時になっても、外がいっこうに暗くならないからです。

この時期のヨーロッパは、とにかく日が長い。ホテルにこもってじっとしているのがもったいなくなります。で、結局はダウンタウンに繰り出しました。写真はダウンタウンの中心部で、19世紀後半に建てられたこのゴシック様式の建物は現在のミュンヘンの新市庁舎です。それよりも見ていただきたいのは、この空の色──これで時刻は午後9時過ぎですよ!

周辺をしばらく散策してから、せっかくドイツに来たのだからと近くのレストランに入って、いまが“旬”のホワイトアスパラとウインナーシュニッツェル(仔牛のカツレツ)とビールを注文。ディナーを終えて10時半過ぎにレストランを出たら、ミュンヘンの街でもようやく夜が始まっていました。

S.Akimoto at 08:06|PermalinkComments(3)clip!ヨーロッパの旅 

2010年05月18日

ドイツ3都市への旅

 
その独特のフォルムから、見る人が見ればシルエットだけでもわかると思います。垂直尾翼のマークでエアラインも特定できるでしょう。このBlog『雲の上の書斎から』のタイトルバックに使用している機影のことです。


エアラインはドイツのルフトハンザで、機種はエアバスのオール2階建て巨人機A380〔写真〕。読者の中には「なぜルフトハンザのA380なんですか?」と聞いてきた人もいますが、不思議に思う気持ちはごもっとも。まだ実際には飛んでいませんからね。

A380はシンガポール航空の成田/シンガポール線で何度も利用しました。いつだってA380での空の旅はこの上なく快適ですが、本当の意味でそれを実感できるのは、もっともっと距離の長い路線ではないか? 私はずっとそう考えてきました。

たとえばヨーロッパの各地へ向かうときに、私はよくフランクフルト経由便を使います。しかし東京/フランクフルト線はビジネス需要も多く、いつも満席状態。それでルフトハンザがA380の導入を決めてからは、ドイツの本社で幹部たちと会うたびに、早く東京線へのA380導入を決断するようにと冗談も含めて提言を続けてきました。このBlogのタイトルバックで使用しているのにも、そんな願いが込められています。

さて、そのルフトハンザに、エアバス社からようやくA380の1号機が納入されます。最初の就航路線も成田/フランクフルトに決まりました。現地時間の明日、5月19日にその1号機受領式典がドイツであり、私もいまから向かいます。今日はミュンヘンまで行ってそこで1泊。明日の朝の便でハンブルグへ飛び、エアバス社の工場での受領セレモニーに出席したあと、受け取ったばかりのA380にいっしょに乗せてもらってルフトハンザの本社があるフランクフルトへ──。

間もなく出発の時間です(成田発12時25分のLH715便)。忙しい旅になりますが、受領式などの様子はまた現地から報告しますね。

2010年05月15日

航空写真に挑戦

 
前回のBlogでも報告したように、一昨日は航空写真家のチャーリィ古庄さんとともに朝から成田空港へ。来月15日に発売になる私の新しい著書『ボーイング777機長まるごと体験』(サイエンス・アイ新書)のための撮影を行ってきました。


現場には別の取材班も来ていて、そのカメラマンも私の知り合いでした。航空写真の分野では、やはり実績のある人です。

私はディレクターの立場で撮影に立ち会いましたが、ただ見ているだけでは退屈です。一眼レフカメラは持参していましたので、二人のベテラン写真家の仕事ぶりを見よう見まねで、私も航空写真にチャレンジ。その様子を、ちょうど出発していく便に乗務していた機長が見ていたらしく、あとでメールが届きました。

「秋本さん、今日の午前中、駐機スポットで取材してたでしょう。ブッシュバックされていくときにコクピットから見かけましたよ」

うわ、知らなかった。知ってたら、もう少しカッコよくカメラを構えるポーズをとったのに(笑)。

さて、スポットでのシーンの撮影を終えたあとは、滑走路の反対側に行って今後は離陸シーンを狙います。巨大な超望遠レンズを向ける二人のプロの動作をみながら、私も200ミリレンズに付け替えていくつか撮ってみました。足を肩幅まで開いて膝に力を入れ、機体の動きに合わせてゆっくりとカメラを動かして。上の写真はその1枚ですが、ピントがちょっと甘いようですね。う〜ん、難しい!

2010年05月12日

国際線機長の全仕事

 
成田からフランスのパリを結ぶANAの205便をモデルに、国際線機長の活躍をドキュメントで追った作品『ボーイング777機長まるごと体験』が、サイエンス・アイ新書の新しい1冊として6月15日にソフトバンククリエイティブから発売になります。


内容は成田/パリ線のフライトドキュメンタリーですが、コクピットで展開される機長の仕事をそのまま再現しただけでは、マニアック過ぎて一般の読者には伝わりません。かといって操縦マニュアル本や単なる解説書を書く気もなし。空港や雲の上で実際に繰り広げられる行動や会話をベースに、それを私なりにデフォルメして、空の仕事を夢見る高校生や旅好きの女性読者にも楽しんでいただけるドラマに仕立てました。

ドラマの素材は、すべて“現場”で収集しています。今年に入ってから成田や羽田のANAの運航現場に何度も足を運び、取材を重ねてきました。明日はこの本の各ページに挿入するイメージカットを空港の駐機スポットなどで一日がかりで撮影する予定で、航空写真家のチャーリィ古庄さんをともなって早朝から成田に向かいます。

ちなみに上の写真は、作品の“舞台”として選んだボーイングの大型双発機──「777-300ER」です。この写真も、古庄さんが提供してくれました。

2010年05月09日

羽田からニューヨーク

 
羽田空港の4本目となるD滑走路と新しい国際線旅客ターミナルの完成まで、あと4カ月とちょっとに迫りました。年間の旅客機発着枠が現状の約27万回から約41万回へと拡大し、増える発着枠の一部が国際線用に割り当てられます。すでにいくつかの新路線開設が決まり、先週はアメリカ4都市への定期便就航も発表されました。


その4路線とは、デルタ航空のロサンゼルス線およびデトロイト線と、アメリカン航空〔写真〕のニューヨーク(JFK)線、そしてハワイアン航空のホノルル線です。

なかでも私が注目するのは、アメリカン航空が10月1日からの開設を目指す羽田/ニューヨーク線です。ニューヨークへの便はビジネス需要も多く、羽田就航を待ち望んでいた利用者は少なくありません。運航スケジュールを見ると、往路が午前7時に羽田を発ち、現地時間の同日午前6時50分にニューヨーク着。着いたその日から1日をフルに活用でき、また復路は午後7時20分発なので、帰国の日もニューヨークでの時間を夕方までゆっくり使えます。

ニューヨークへは今年も何度か出かけることになりそうですので、就航後は早めに羽田からの便も利用してみたいと思います。

2010年05月06日

オンエアが延期に

 
連休最後の日にラジオの前で待っていてくれたみなさん、ごめんなさ〜い! オフィスに戻ったら「ちゃんと文化放送、聴いていたのに」といったメールもいくつか届いていました。同局でいつもだと15時30分から始まる玉川美沙さんの番組『たまなび』が、昨日の5月5日は30分遅れてのスタート予定。その前にプロ野球の西武vs楽天の試合の生中継が入っていて、新聞の番組欄には「試合終了まで放送」とあったので、もしやと思っていたのですが。


でも、試合は14時20分頃の時点で西武が5対1でリード。いいペースで5回裏まで進んでいたので、16時には間違いなく終わるだろうと思って東京・浜松町のスタジオへ向かいました。で、着いてみると、構成作家の人が私を待ち構えていたのです──困った顔で。

「秋本さん、申し訳ない。試合が押していて」
「野球、延びてるんですか?」
「西武打線が爆発して、6回の裏に10点も取っちゃって」

私の出演する「たまなび学園・達人学部」というコーナーは16時30分からの予定でしたが、それまでに試合は終わりそうにないとか。結局、この日の生出演はなくなり、スタジオ収録だけしてオンエアは後日ということになりました。ということで、みなさん、本当にごめんなさい(私があやまる話でもないのですが)。

でも、収録は楽しかったですよ。パーソナリティの玉川美沙さんのストレートで軽快なトークは耳に心地よく、以前は毎日欠かさず聴いていた番組もあります。実際にお会いするのは今回が初めてなので、プレゼントにと持参した著書を収録後に手渡したら、とても喜んで受け取ってくれました〔写真〕。私が出演したコーナーのオンエアは6月に入ってからになりそうですので、日が迫ったらまた当Blogでお知らせしますね。

S.Akimoto at 00:20|PermalinkComments(0)clip!出会った人々 

2010年05月03日

う〜、焼きトン!

 
穏やかな連休ですねえ。ずっと天気もよくて。でも私は、書斎から出られません。いろんな仕事が集中していて。これ以上“引きこもり”を続けていると、さすがに身体にもココロにもよくない! そう思って、明日の4日は午後から地元の仲間たちと久しぶりに小江戸・川越の散策に繰り出すことにしました。いえ、街歩きが本当の目的ではなく、お目当ては夕方からの飲み会なのですが。“焼きトン”で超有名な老舗の店がありまして。


上の写真が、味噌ダレで食べる名物の焼きトンです。テーブルにつくと、注文しなくても次から次へと焼き立てが運ばれてきて、こちらから「もう腹いっぱい」と言うまで終わりません。最後は食べ終えた串の数で清算するのですが、中庭に通じる窓の障子に、ときどき小さな穴があいています。まさに“串で刺した”ような。で、障子をあけて下を覗くと、何本か串が捨てられているのを発見! いえいえ、私じゃありませんよ。私は転がっている串を見て、可笑しくて笑っているだけです。情緒たっぷりだったその紙の障子も、前回行ったときはプラスチックのものに変わっていました。

とにかく、明日が楽しみ〜! あ、言われる前に先に言っておきますね。明日は早朝4時から仕事を始め、途中で食事&ティータイムをはさんで午後1時までに“8時間労働”をこなしてから出かける予定です。なので、原稿やゲラの戻しや新しい連載の企画書を待っているあなたとあなたとあなた、大丈夫ですよ。仕事はちゃんと進めていますから。

なお、明後日の5月5日(水)は16時30分から文化放送の『たまなび』にゲスト出演します。部屋や車の中などでラジオを聞いていたら、AMの“1134kHz”に合わせてみてください。パーソナリティの玉川美沙さんと、生で20分間おしゃべりする予定です。

S.Akimoto at 21:03|PermalinkComments(0)clip!オフタイム 

2010年04月29日

緊急事態発生!

 
キャビンの足もとには煙が充満し、気圧も低下しはじめています。徐々に息苦しさが増すなか、目の前に降りてきた酸素マスクに私は必死で手を伸ばしました。


「みなさん、落ち着いて!」と、乗客一人ひとりに客室乗務員が懸命に声をかけます。「マスクのゴムを頭の後ろ側にまわして」

予期せぬ緊急事態の発生です! ──というのはウソで、上の写真は、この4月にイスタンブールのトルコ航空トレーニング施設を訪れた際に見学した客室乗務員の訓練風景です。実際の機内を再現したモックアップを使用しての緊急時訓練に、私も乗客のモデルとして参加させてもらいました。

客室乗務員の仕事はじつに多彩です。では、その中で最も重要な役割は何でしょうか。笑顔での対応? おいしいワインや機内食の提供? いいえ、彼女らに課せられた最重要任務は「保安要員」としての役割です。火災発生時の消化活動や緊急時の脱出誘導、救命措置などの厳しい訓練を、彼女たちは日々重ねています。今回の取材で、私はそのことをあらためて実感しました。

さて、今日からゴールデンウィークですね。夕方のテレビニュースで、成田空港の出国ラッシュの様子を伝えていました。みなさんのフライトが、事故やトラブルのない、思い出に残る楽しいものになることを心から願っています。

2010年04月26日

カフェで一服

 
海外にいて時間が空くと、私はよくその街のカフェを訪ねます。朝食もホテルのレストランを利用するより、外に出かけてカフェで摂るのが好き。とくにヨーロッパの各都市では、これまでたくさんの洒落たカフェに出会いました。


カフェ文化発祥地であるオーストリア・ウィーンのカフェなどは、趣があっていいですね。また先週予定したいたパリでも、ホテルをカルチェ・ラタンの中心にとったので、数冊の本とノートPCを持ってそこからサンジェルマン通りあたりに繰り出すつもりでした。通り沿いに店を広げる気に入ったカフェで、読書をしたりPCを開いて書き物をしようかな──と。今回のパリ取材は残念ながらアイスランドの火山噴火の影響で実現できませんでしたが。

ところで、最近私がよく訪れるのが「AAカフェ」です。カフェとは言っても、これは実在のものではなく、アメリカン航空〔写真〕がネット上にオープンしているコミュニティサイト。「旅についてのあれこれをカフェのような気軽さで自由に語り合える場に」という目的で、今年2月に誕生しました。

今朝もアクセスしてみると、たとえば女性パイロットについての話題が目につきました。女性のパイロットを世界で最初に採用したのが、じつはアメリカン航空なのだとか。アメリカン航空には現在も478名の女性パイロットが同社に在籍し、そのうち56名がキャプテン(機長)として活躍しているそうです。

ほかに米国内を中心とする旅行先の情報や、イベント・キャンペーンに関する話題なども。アメリカン航空の広報担当者は「これからもっともっと内容を充実させていきますので、ご期待くださいね」と話していました。みなさんも、ときどき覗いてみませんか。仕事に疲れたときなど、ちょっとした息抜きを兼ねて。

2010年04月23日

空の旅のトリビア集

 
お知らせです。今週からANAマイレージクラブの上級カード会員向けサイト『Premium Traveler』で、私の新連載がスタートしました。「Trivia/知れば知るほどフライトが楽しくなる空の雑学」というタイトルのコラム集です〔写真〕。


エアライン各社がサービス向上に役立てようと乗客へのアンケート調査を実施すると、ときどき寄せられるのが「客室の窓がもっと大きければいいのに……」といった意見。窓が大きければ、たしかに地上の景色もよく見えて楽しいでしょうし、鉄道の世界では窓を大きくとった観光用の車両も走り始めました。しかし旅客機の窓は、じつはむやみに大きくつくることはできません。

そこで連載第1回目は「旅客機の窓の大きさの不思議」と題して話を展開。窓を大きくつくれない旅客機の構造上の理由や、日本の空を近い将来、そんな“常識”をつくがえすような画期的な旅客機が飛び始めることに言及しました。はたして、その旅客機とは?

連載は1年間を予定しています。『Premium Traveler』は残念ながらANAのプレミアムメンバー限定のライフスタイルマガジンですが、このBlogの読者に上級カード会員の方がいましたら、どうぞサイトにアクセスしてみてください。次回以降も、毎回さまざまな空のトリビアをお届けしていく予定です。更新は毎月1回、第3水曜日です。

2010年04月20日

ジェット気流に乗って

 
この時期、高度1万メートル付近の上空では、かなり強烈なジェット気流が観測されます。シンガポールから東京へ向かうSQ638便で機内モニターに映し出されるデータをチェックしていたら、追い風がときおり時速180キロ以上を表示。飛行速度も時速1,000キロをゆうに超えていました。


向かい風の中を飛ぶ成田からシンガポールへの行きのフライトは7時間以上もかかったのに、帰りは6時間弱で着きました。エアバスA380の巨体もこの強い追い風に乗せることで、パイロットも操縦がずいぶん楽だったでしょう〔写真はA380の窓からの風景〕。

予定していたパリ行きのチケットを急きょ東京行きに変更したので、ビジネスクラスは満席で取れませんでした。が、気をつかってくれた現地のスタッフから「ゆったりできる席を確保しておきますね」と渡されたチケット番号は、エコノミークラスでも2階デッキのビジネスクラスとの境にある非常口に隣接したシート。膝の前に何もない空間が広がり、足を前にで〜んと投げ出せてとても快適なフライトでした。

さて、帰国から一夜明け、日付は4月20日に変わりました。このBlog『雲の上の書斎から』も、今日から5年目に突入です。4月20日は私の誕生日でもあり、パリで誕生日を迎える予定がアイスランドの火山噴火という思わぬアクシデントで台無しになりましたが、悔やんでいても仕方ありません。5月以降に計画しているいくつかのヨーロッパ取材に向けて心機一転! 私自身も元気にジェット気流に乗って、またさまざまな角度から“世界の空の旅”をお伝えしていきます。

2010年04月18日

大自然の怒り?

 
シンガポールでの休暇を終えて、今夜の便でパリ取材へ! ──と思ったら、わお、飛行機が飛びません。アイスランドの火山噴火の影響です。成田を発った16日にもヨーロッパ便にちらほら欠航が出ていたものの、現地では遅くとも18日には各地の空港閉鎖は解除されるだろうと報じられていたので、あまり心配はしていなかったのですが。


もしやと思ってシンガポール航空の現地サイトを今朝チェックしてみら、予約したパリ行きSQ334便がなんとキャンセルに。ガビ〜ン! チケットインフォメーションにホテルから電話してみても、回線が混雑してつながりません。とりあえず、パリのカルチェ・ラタンにとったホテルに「明日は到着できない」とキャンセルの連絡を送ってから、早めにチャンギ空港に来ました。

シンガポール航空のカウンターで聞くと、パリだけでなくフランクフルト、ロンドン、アムステルダム、バルセロナ、チューリッヒ、ウィーンなどヨーロッパ各地への便は軒並み欠航に。これはまずいと思って、入手できる情報を片っぱしから仕入れたら、ローマへの便だけ飛ぶことがわかりした。

「お、これだ。これしかない! ローマへ飛んで、パリへはそこから列車で入ろう」

チケットの変更手続きをしようと急いでカウンターに行ったのですが、ああ、遅かった。ヨーロッパ各地へ帰る人たちの振替予約がこの便に殺到していて、すでに満席状態です。明日まで待ってもパリ行きが飛ぶかどうかは保証できないというし、私はどうしても23日(金)には日本へ戻らなければならないし……。帰国を先へ延ばすことは不可能なので、やっぱり今日中にパリに向かわないと、現地で何もできません。

あちこち空の旅を続けていると、当然のごとくいろんなことが起こります。ですが、遠い異国の火山の怒りに触れた、というのはさすがに初めてのケース。私の日頃の行いがよっぽど悪かったのでしょうね。もう八方ふさがりで、やむなく今日の23時45分発のSQ638便で東京へ戻ることにしました。パリ取材はまたいずれ、仕切り直して──ということで。

写真は、チャンギ空港のターミナル1と2と3を無料で結ぶ「スカイトレイン」です。出発までだいぶ時間が余ったので、さっき3回往復してきました。それぞれのターミナルを、行ったり来たりして。だって、ヒマなんだもん! あ〜あ、帰ろ。

2010年04月17日

ロングバーで再会

 
シンガポールはやっぱり暑い! 昨日はチャンギ空港に18時過ぎに到着し、MRT(地下鉄)を乗り継いで市内へ。東西線のブギス駅からはマリーナエリアの近くに予約したホテルまで荷物を引きづってテクテク歩いて行ったら、全身汗でびっしょりになりました。


でも、汗をかくのは、決して不快ではありません。むしろ気分爽快です。チェックイン後、部屋でシャワーを浴び、待ち合わせのラッフルズホテルを目指しました。待ち合わせの相手は、前にニュージーランド取材の際にお世話になったライターの片木友美子さんです(当時のBlogはこちら)。その頃、オークランドを拠点に活動を続けていた片木さんは、現在はシンガポールに拠点を移して編集関係の仕事で活躍。指定されたラッフルズホテル2階のロングバーに20時過ぎに入ると、彼女はすでに到着していまいた。

まずは再会を祝い、定番のシンガポールスリングで乾杯です〔写真〕。その後はラオ・パ・サの巨大なフードコートの屋台でたらふく飲んで食べて語って、最後は洒落たバーが建ち並ぶウォーターフロントエリアへ。気がつくと、深夜の1時を回っていました。

今日もこれから、MRTのチャイナタウン駅で彼女と待ち合わせです。「これ、明日の予定です」と昨夜見せられたスケジュールは、夜までびっしり。チャイナタウン駅から仏教寺やインドの有名な寺院などを散策し、アラブ街のモスクを訪ねたあとはホーカーセンターで彼女イチ押しのフィッシュスープとごはん。食後は有名な茶処ティーチャプターでゆったりと優雅に中国茶をいただき、夕方からはセントーサ島へ。ビーチで夕暮れのビールで休憩してから、噴水とレーザーショーによる「ソング・オブ・ザ・シー」を鑑賞し、暗くなってからは──。

え、これを1日で? とちょっと戸惑いましたが、もともと「シンガポールでオフを過ごすことにしたので、どこかへ案内しろ〜!」とメールを送ったのは私のほうなので、文句は言えません(笑)。シンガポールは何度も訪れているのにまともに観光したことはないので、いいチャンスだと思ってしっかり街歩きしてきます。いま、カメラバッグに、汗拭き用の大きなタオルをしまいました。

2010年04月16日

気温34度の熱帯の国へ

 
執筆を進めている新著の確認取材&撮影のため、昨日は午後から成田のANAスカイセンターへ。仕事を終えたあとはそのまま空港近くの成田エクセルホテル東急にステイして、大浴場やサウナで身体を解きほぐし、今朝はまた空港に来ています。


4月中旬とは思えない寒さですね。しかも、朝から冷たい雨。第1ターミナルの46番ゲート付近からは、駐機スポットで忙しく出発準備を進めるシンガポール航空のSQ637便──エアバスA380が窓越しに見えます〔写真〕。

何度も書いてきましたが、目の前で見るとやっぱりでかい! 近くのスポットに停まっている他の旅客機が、まるで小さな子供のよう。11時30分発のこのオール2階建て巨人機に乗って、これから約1年ぶりにシンガポールに向かいます。

外気温は現在、摂氏6度と表示されています。ネットでシンガポールの天気を調べてみたら、今日の最高気温はなんと34度と出ていました。今週末はこの常夏の国で、久々の完全オフ。どちらかというと暑いのは苦手なのですが、炎天下の屋台で汗だくになりながら栄養補給して体力をつけ、今後夏場にかけて続くハードな海外取材に備えたいと思います。

それにしても、暑そう。34度かあ。ふう。──行ってきます!

2010年04月13日

庶民派グルメ

 
フレンチ、中華とならんで世界三大料理のひとつに数えられるトルコ料理。帰国後に会った人たちから「何が一番おいしかった?」と訊ねられ、思い出してみると──トルコ料理の魅力はやっぱり街にあふれる庶民派グルメだという結論に達しました。


イスタンブールの街なかには、安くておいしい屋台料理がいっぱい出ています。たとえば日本でもよく知られるのが、大きな牛肉のかたまりを回転させながら焼き、表面をそぎ落としてパンにはさんで食べる「ドネル・ケバブ」。現地では日本円でだいたい230円くらいで売られていました。

前に来たときには、よく「サバサンド」を食べました。これは塩味のきいたサバの開きを鉄板で焼き、それをレタスとタマネギといっしょにパンにはさんでシンプルにレモンを振りかけただけのトルコの名物料理です。値段はこちらもだいたい230〜240円。

さて、今回の旅で私が一番おいしいなと思ったのが、ひと口サイズの「ミディエ・ドルマス」です〔写真〕。イスタンブールに着いた日の夜、トルコ航空日本支社長のトゥーバ・トプタン・ヤブズさんと新市街の路地裏を歩いていたら、ずらりとムール貝を並べた屋台の前で彼女は「ちょっと待って」とふいに立ち止まりました。お金を払って、いくつか買っています。

「これ、食べてみて」
「貝の身の下に、何が詰まっているんだろう?」

お米のようなそれを貝といっしょに口に入れてみると──味付けされた炒めご飯のようなものでした。いわば、ムール貝のピラフ詰めです。ちょっとレモンをたらして食べるのですが、これがなかなかいけます! 値段を聞くと、5個で200円程度。その安さと味に魅かれて、帰国までの間に3回食べました。

2010年04月10日

旅の終わりに

 
旧市街をたっぷり満喫した翌日は、初日の夜に歩いた新市街のイスティクラール通りへ再び。今回は昼間なので、タクシム広場からテュネル地区へ結んでいる路面電車にも会うことができました。


通る電車はどれも満員です。レトロな赤い車両が「チン、チン」とベルを鳴らして人をかき分けながら進んでいくのを見ると、みんなつい乗ってみたくなるのでしょう。歩いたほうがよっぽど早そうなのに。車両の外側に無賃乗車の子どもたちがぶら下がっている光景も、すっかりイスタンブールの風物詩になりました。

しばらく歩くと、やがて前方の高台に、ガラタ塔の三角屋根が見えてきました〔写真〕。塔に近づくにつれ、平坦だった道が急な上り坂や階段道に変わりはじめます。周囲に目をやると、同じ方向に歩いているのは観光客風の人がほとんど。みんな塔を目指しているのかも知れません。

ガラタ塔は、14世紀にジェノヴァ人が監視塔として建てたものです。てっぺんの展望台に行くとボスポラス海峡からマルマラ海までが一望できると聞き、旅の終わりに私ものぼってみることにしました。なるほど、360度の絶景です。次はいつ再訪できるかわからないイスタンブールの街並みを、しっかりと目に焼きつけておこう。そう思って、しばらく景色に見入っていました。

2010年04月09日

ブルーモスク

 
イスタンブールを訪ねるのは、かれこれ十数年ぶりです。で、今日は一日、市内観光に充てることにしました。トルコ航空本社での取材も昨日で無事に終わったので、気ままに、のんびりと。


さっそく足を向けたのが、ヨーロッパ側の旧市街でした。イスタンブールを代表する観光名所といえば、この旧市街に建ち並ぶ次の3つでしょう──「トプカプ宮殿」と「アヤソフィア大聖堂」と「スルタンアフメット・ジャミイ」と。どれも狭いエリアに集中しているので、徒歩で回れるのですが、見学するとなるとこれがけっこう大変です。トプカプ宮殿だけでも本当は丸一日かかりますから。

宮殿内に飾られた86カラットダイヤなどの秘宝はもちろん、壁や天井のタイルがまた美しい。日本や中国のおびただしい数の陶磁器コレクションに触れながら「これらがみんな、かつて船やラクダの背中に乗ってここまでやって来たんだなあ」と、遠い昔を空想してしまいます。隣のアヤソフィアは赤い聖堂で、暗くてひんやりした内部にステンドグラスを通して差し込む光がとても幻想的でした。

そして最後に訪ねたのが、「ブルーモスク」の名で呼ばれるスルタンアフメット・ジャミイです〔写真〕。靴を脱いで中に入ると、その名のとおりの“青の世界”にうっとり。でも、外は決して静かとは言えません。いつ来ても世界中からの観光客でいっぱいで、モスクにたどり着くまでの怪しいトルコ人たちの“日本語攻撃”には、めまいがしてきます。「オハヨウゴザイマス」「コンニチハ」に始まって「シャチョウサン」「センセイ」まで。無視して行き過ぎようとすると「チョットマッテクダサイマセヨ」と追いかけてきます。

前に来たときも同じで、地元の知り合いのトルコ人にそのことを話すと、彼は日本語で「気にしない、気にしない」と手を振りながら言いました。

「でも、ブルーモスクは美しかった? 素晴らしかった?」
「うん」と私はうなずきます。「すごく」
「でしょ、でしょ。だったら気にしない、気にしない。美しいものにはみんな、トゲがあるよ」

トルコの人たちは親日的で、みんなとてもフレンドリーです。日本語も上手に操る人が多いのですが、ときどき間違った使い方をするので、話していて頭が混乱します。

2010年04月08日

トルコ航空CEO

 
世界地図を広げて、現在いるトルコのイスタンブールにコンパスの針を当て、ここから3時間のフライトで行ける範囲に円を描いてみます。すっぽりと収まったエリアは、欧州全域とロシア、北アフリカ、そして中央アジア──。じつはここに、欧州No.1の“ネットワークキャリア”を目指すトルコ航空の成長戦略の秘密が隠されています。


「この立地的な利点を生かすことでイスタンブールを拠点にさまざまな都市へ旅行者を運べる、というのが、トルコ航空の最大の強みです」と話すのは、同社CEOのテメル・コティル氏です。「けれどもその強みを、私たちはまだまだ発揮し切れていません」

昨日トルコ航空の本社を訪ね、コティル氏へのインタビューを行いました〔写真〕。世界同時不況で各国のエアラインが業績不振に苦しむ中、トルコ航空の2009年の総旅客数は前年比11%増の2,510万人を記録。2008年につづき着実に成長を遂げています。

「イスタンブールを経由して他の都市に向かう旅客の急増が近年のトルコ航空の成長を支えてきました。ですが、トランジット客の比率は私たちが扱う旅客全体のまだ34%に過ぎません」と、コティル氏は続けます。「その数字を3年後には50%、5年後には80%に伸ばすことで、さらに大きな成長を続けていけると考えてます」

ヨーロッパでは、同様なネットワークキャリアを目指すエアラインが少なくありません。しかし欧州各都市での乗り継ぎは、離陸して上昇し、すぐに高度を下げて着陸するという1〜2時間の路線がほとんど。燃料費などのコストがとても高くつきます。それに対してイスタンブールからはどの都市へも3時間程度のフライトになり、トルコ航空が短距離路線の中心に据えるボーイング737シリーズなどの機材が最高のパフォーマンスを発揮します。

「3時間のフライトなら私たちの充実したフルサービスを楽しんでいただくことができますし、また経営的に見れば、最適な距離を最適な機材で飛ぶことで乗客一人当たりを一定距離運ぶためのコストを低く抑えられるメリットも出てきます」

イスタンブールでは、現在のアタチュルク空港の西側にロンドン・ヒースロー並みかそれ以上の規模を持つ新空港の建設プランも動き始めました。完成予定は、トルコ航空が「トランジット客を80%に」と目標を定める5年後です。ヨーロッパとアジアの接点に位置し、古くから東西文明の交流に寄与してきたこの街が、今後も“世界の空の交差点”としてますます重要な役割を果たしていくことは間違いありません。

2010年04月06日

ボスポラス海峡を望む

 
かなり強い向かい風の中、イスタンブールまでは結局13時間のフライトになりました。新市街の海沿いのホテルにチェックインしたのは、現地時間の夜10時過ぎ。しかし遅い時間に到着しても、私がそのままホテルにとどまるわけはありません。さっそく車を拾ってタクシム広場まで行き、そこから南に広がるイスティクラール通りを夜の散歩へ──。


イスティクラール通りは、トルコで一番の繁華街です。17世紀頃からヨーロッパ人の居住区として利用され、各国の在外公館やさまざまな宗教・宗派の関連施設がこの界隈に集中。通りには洒落た店が1キロ以上にわたって続きます。昼間は通りの真ん中をレトロな赤い路面電車が走っているのですが、さすがにこの時間は終わっていました。

メイン通りから一歩路地に折れると、いい感じの居酒屋が軒を連ねています。そのうちの一軒で、私もトルコビールと地酒のラクを注文。ほろ酔い気分になったところで、もう一度車を拾い、次はボスポラス海峡に面したカフェを目指しました〔写真〕。以前この街を訪れたときに知り合った地元の人が「イスタンブールっ子はボアーズ(ボスポラスのトルコ語)に家を持つのが一生の夢」と言っていたのを思い出したからです。

私もイスタンブールが好きですが、さすがに家を買うつもりはないので、お茶代だけ払ってその夢をひとかじり。テラス席で海風に当たって1時間ほど過ごし、夜中の2時過ぎにホテルに戻りました。

Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

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