2009年07月03日

こだわりのもてなし

 
ラジオを聴かない人が増えているそうですが、一方でまだまだ根強いファンも多いのでは──と感じました。昨日の朝、生出演したラジオ日本の番組『ザ・ホットライン〜ヨコハマろはす』。急な話でしたので、このBlogの「Information」で簡単に告知だけしたのですが、先日出演した文化放送の番組と同様にまたたくさんの方々から「聴きました」という報告をいただきました。


お話ししたテーマは「航空会社のおすすめサービス」について。その中の、たとえば「機内食でおすすめのエアラインは?」という司会者の質問には、「そのエアラインの“お国柄”が特徴として出ている機内食がおいしい」と答えました。番組ファンの方からは「とくにオーストリア航空の話が面白かった」という感想が届いているようですので、ここで改めて紹介しておきますね。

オーストリア航空が本拠を置くウィーンは、カフェ文化の発祥の地でもあります。そんな同社ならではの個性的な取り組みの一つが、ビジネスクラスで本場ウィーンの代表的なカフェメニュー10種類の中から好みのコーヒーを選べるというサービス。エコノミークラスでもオーストリアの「ユリウス・マインル」という老舗ブランドのコーヒー豆を使い、淹れたてを出してくれるというこだわりようです。

そしてさらに、パンを一つひとつ温めて出してくれるのも乗客にとっては嬉しい。パンを温めるときの何ともいえない香ばしいかおりが機内に漂ってくると、本当に食欲がそそられます。最近はフライトであまりヘビーな食事をとらないようにしているので、おいしいコーヒーとパンという組み合わせは私にはとてもありがたい。カイザーロール、ライロール、ソフトロールなどの中から一つを選び、淹れたての濃いめのコーヒーといっしょにいただきます〔写真〕。

オーストリア航空は、音楽の都ウィーンと成田を週6便で結んでいるほか、ウィーンからはヨーロッパ60都市以上への同日乗り継ぎが可能という充実したネットワークが特徴です。とくに中世の歴史とロマンが色濃く残るザルツブルク、プラハ、ブダペストなどへ行くには最も便利なエアライン。これからは旅をするにも最高の季節ですので、みなさんもオーストリア航空を利用する機会があれば、同社ならではの“こだわりのもてなし”を機内で存分に楽しんでみてください。

2009年07月01日

レトロなハイテク機

 
下の写真は、コンチネンタル航空が1940年代に使用していた機体デザインです。2009年7月15日に創立75周年を迎える同社の社員たちが、記念式典のために過去の機体デザインの中から選び、最新のボーイング737-900に復元しました。


当時は「The Blue Skyway」の名で人気を集めたというこのデザイン──どこか懐かしいレトロな雰囲気があって、いいですね。同機は6月25日にコンチネンタル航空に納入され、米国内の3カ所のハブ空港(ヒューストン、ニューヨーク、クリーブランド)を舞台に記念フライトが行われたそうです。

コンチネンタル航空は1934年、郵便輸送を主事業として創業しました。旅客輸送の収益が郵便事業収益を初めて上回ったのが1944年。その後はアメリカ航空史の発展とともに順調な歩みを進めますが、70年代末に航空規制緩和法が導入されてから90年代初頭までは赤字経営が続き、同社にとってはまさに“どん底”の時代を経験します。そんな状況を、“ワーキング・トゥゲザー”を合言葉に全社員が一丸となって戦っていける会社に立て直したのが、94年にCEOに就任したゴードン・ベスーン氏でした。2004年のベスーン氏退任後もその企業カルチャーは受け継がれ、現在はラリー・ケルナー会長兼CEOのもと、ビジネス誌『フォーチュン』が選出する「世界で最も賞賛されるグローバル航空会社」に6年連続で選ばれるなど数々の勲章を手にするまでに成長を遂げています。

さて、この737-900という機材は、コンチネンタル航空がこれからの主力小型機と位置づけるハイテク機です。ハブ空港の一つであるニューアーク・リバティー空港では2009年後半に次世代の衛星着陸システムが設置される予定で、同機にはそれに対応する「GPSシステム」も搭載されました。コンチネンタル航空は、地球環境保護に向けた燃料効率のいい最新鋭機の導入や、今年1月のBlog「クリーンな未来へ」でも報告したようにバイオ燃料を使った商業飛行実用化への取り組みなどにも積極的です。

レトロな衣装を身にまとったこのハイテク機には、過去の歴史とそこで活躍してきた社員たちの意思を大切に守りながら、次の時代に向かって革新的な取り組みを続けていくという現在のコンチネンタル航空の決意が凝縮されているのかも知れません。

2009年06月28日

787初飛行が延期

 
右欄の「Information」コーナーでもお知らせしたとおり、私が出演したラジオ文化放送『大村正樹のサイエンスキッズ』の第2回目のオンエアが昨日ありました。旅客機について自由にトークを進める中で、大村さんから出た質問の一つが「旅客機の窓はどうしてあんなに小さいのか?」ということ。私はその理由についてお話ししたあと、現在ボーイングが開発中の次世代中型機787はアルミ合金の代わりに強度が鉄の約8倍という炭素繊維複合材を使うことで、窓の大きさを従来の旅客機の1.6倍にできることを紹介しました。


その画期的な旅客機の記念すべき1号機が来年2月か3月にはANAに納入され、日本の空を飛び始めるという私の言葉に、ラジオを聴いていた多くの子供たちが夢を膨らませたことでしょう。世界が注目する中で、今月中には初のテスト飛行も実施される予定でした。ところが──。

昨日のオンエア分の収録が終わったあとで、ボーイング社から「予定していた787初飛行の延期」が伝えられたのです。この発表は先週火曜日(23日)に私のもとにも送られてきました。「787の機体側部(主翼と胴体の結合部分)の補強の必要があり、初フライトを先延ばしせざるをえない」という内容です。

787はこれまで3回も納入が延期され、当初の予定からすでに2年近い遅れが出ています。新しい航空機の開発史上、これほどの遅延はたぶん初めて。計865機を発注済みのエアライン各社の間でもさすがに不信感が渦巻きはじめました。納入時期など今後のスケジュールについては、ボーイング側は「決定まで数週間かかる」と明らかにしていません。私が今年3月にアメリカ・ワシントン州シアトルのエバレット工場〔写真〕に飛び、幹部らと面会したときは「今年6月までに初飛行、来年早々に納入というスケジュールで、こんどこそ間違いない」とみんな自信を見せていたのですが……。彼らの落胆の顔が目に浮かぶようです。

さて、昨日のオンエア終了後、多くの方々から「聴いたよ」「楽しかった」といった報告が届きました。「古いCDラジカセを処分しちゃったあとだったので、新しいポータブルラジオを買いました」と知らせくれたのはM.Yさん。またK.Hさんのメールには「自宅のコンポではAM放送がうまく入らないため、非常用ラジオを引っぱり出して、レバーをぐるぐる回して発電させながら聴いた」とありました。土曜日の貴重な時間をさいていただいたみなさんに、感謝です。

2009年06月25日

歌手の“U”さん

 
アーティスト名はアルファベット一文字で──“U”。これで「ゆう」と読みます。彼女は、自分の声を多重録音する「完全ひとりア・カペラ」にこだわり、心の癒しと再生をうながす「治音(ちおん)」というユニークな音楽の創造をつづけてきました〔写真〕。そしてこの“U”さん、じつは私が交流をもつ幅広いエアライン関係者のうちの一人でもあります。


歌手で、エアライン関係者? そうです。彼女は最近までJALの客室乗務員として世界の空を飛んでいました。3年前に客室乗務員としての16年のキャリアにくぎりをつけ、その後はアーティストの活動に集中。ライブを中心に忙しい日々を送るなかで、先日「スケジュール表に今月後半の一時期だけぽっかり空白ができた」と連絡があり、久々に都心で会うことになりました。

待ち合わせの店に行くと、先に到着していた“U”さん。「これ、どうぞ」とさりげなく渡されたのは、最新のリリースアルバム『運命の詩』のCDです。以前ライブにもお邪魔したことがありますが、彼女のあの何ともいえない不思議な世界はどうやって誕生したものなのか? それを聞くと、“U”さんはちょっと考えて答えました。

「作品づくりは、詩よりもまず曲が先で、メロディが浮かぶ背景にはいつもかつてどこかで出会った異国の街の風景が重なっているように思います。そういう意味では、世界を16年間飛び回ってきた経験はきっといまの自分のベースになっているのでしょうね」

その穏やかな語り口調も特徴で、“U”さんはイベント司会からナレーターまで何でもこなすマルチタレントとしても活躍。「お役に立てることがあればいつでも言ってくださいね」とにこやかに微笑みます。そして話題が私の近況に移ると、彼女は思い出したかのように言いました。

「そういえば、いま書いてる本、いつ出版の予定ですか?」
「秋だね。出版社の意向にもよるけど、9月には出そうかなと」
「でしたら、出版パーティには私が司会役で行きますよ」
「ほんとに?」
「あ、何なら、秋本さんのお友だちやお仲間の前で、歌も披露しましょうか?」

真顔でそんなふうに言ってもらったのには、びっくり! このところ海外取材も一段落してまったりと活動していましたが、気合いを入れ直さないといけません。7月以降はエンジンを全開にして、執筆に集中したいと思います。

2009年06月22日

ふるさと

 
じつは私、東京の下町の出身なんです。──唐突ですが。具体的にいうと、生まれは東京都荒川区。地下鉄千代田線の町屋駅からJR線日暮里駅あたりまでが私の通っていた中学校の学区で、同級生たちの多くはいまも地元で暮らしています。下町の人間って、自分の生まれ育った街に愛着があるのか、地元を離れないんですね。私はずいぶん前に郊外に越してしまいましたが、最近「地元に帰りたい」と思うことが増えました。


「歳をとったのね」と、先日地元で飲みながらかつての同級生に言われました。「歳とると、故郷が恋しくなるっていうじゃない。帰ってらっしゃいよ」

いいえ、別に歳をとったからではありません。それも少しはあるのかも知れませんが、一番の理由は「世界に近づきたいから」です。

日本の空の玄関口である成田空港は、都心からのアクセスが本当に悪い! 海外では市内から空港まで20分程度で行ける都市が珍しくないのに。今年みたいに海外取材が多いと、なおらさその不便さを嘆きたくなります。

しかしそんな不便さも、成田新高速鉄道が開通する2010年からは解消されそうです。成田新高速鉄道は、印旛日本医大駅で止まっていた北総鉄道と千葉ニュータウン鉄道を10.7キロ延伸。空港引き込み線である成田高速鉄道の接続地点=土屋につなげ、現行ルートに比べ大幅な短縮が実現します。新線部分は最高時速160キロ運転の規格で建設するほか、既存路線も時速105キロから130キロ規格に引き上げる計画も発表されました。2010年4月に完成すると、京成線の空港行きスカイライナーは新線に移動し、成田空港と日暮里駅が従来より15分短い36分で結ばれることになります。新型スカイライナーの運航本数も1時間あたり3本に増える予定で、先日のぞいてきたら、京成線日暮里駅の改装工事もだいぶ進んでいました〔新型車両イメージは京成電鉄のニュースリリースより〕。

つまり、もう一度言うと、歳をとったから生まれ故郷が恋しくなったのではありません。地元に戻って日暮里駅を活動の起点として使えるようになれば、私にとって世界がぐっと近づくのです。ああ、帰りたいなあ──ふるさとへ。

2009年06月19日

“お知らせ”のお知らせ

 
テレビやラジオに出演する際、スケジュールの都合で事前のスタジオ収録になるケースが少なくありません。生放送に出るときの緊張感もスリス満点で嫌いではないのですが、事前収録のまったりした空気もそれはそれでまたいい感じ。スタジオの楽しい雰囲気はときどきこのBlogでも報告してきました。


ところが収録の報告だけしておきながら、オンエアのお知らせをついつい忘れてしまいます。「出たなら言ってよ!」と、周囲の人たちにもこれまでたびたび指摘されてきました。今年は例年になく海外取材が多く、1月から月に2回のペースで欧米やアジアを飛び歩いています。出演した番組がその留守中にオンエアされるというケースが何度かあり、じつは私もすっかり忘れているのです。

「なーんて言いながら、本当はわざと教えないんでしょう?」と、なかにはうがった見方をする人もいます。「番組でコメントを噛んだりして、それを見られたり聴かれたりするのがイヤなもので」

まあ、何とでも言ってください。しゃべるのは嫌いではありませんが、私の本職はあくまで書くほうで、しゃべりが下手なのは自分でも認めています。それに、コメントをいつも噛んでいるのは事実ですし(笑)。さて、そこで当『雲の上の書斎から』の右欄の一番上に、新たに「Information(お知らせ)」のコーナーを設けることにしました。新聞や雑誌でコメントを求められたりインタビューを受けた、というケースは数が多過ぎていちいち報告できませんが、テレビやラジオでの出演、刊行した書籍の情報などは今後、逐一この「Infomation」でお知らせしていこうと思っています。

で、まずは明日と来週の2週にわたって出演する文化放送の番組について、告知しました〔写真は浜松町駅前の文化放送新社屋〕。土曜日の夕方で、タイミングがむずかしいかも知れませんが、チャンスがあればラジオをオンにしてAM放送の1134kHzに周波数を合わせてみてください。

S.Akimoto at 09:10|PermalinkComments(0)clip!マイ・オピニオン 

2009年06月16日

ビールがつなぐ姉妹空港

 
数カ月ぶりでセントレア(中部国際空港)に行ってきました。関係者ら何人かにインタビューした後は、編集担当をともなってターミナル4階の「レンガ通り」へ。そこのフレンチカフェ「クイーンアリスアクア」で本場ドイツの生ビールを飲むのを、夏場にセントレアへ来たときの恒例にしています。


セントレアでは、姉妹空港であるミュンヘン国際空港〔写真〕の中で作られるドイツの生ビール「エアブロイ」の販売を3年前にスタートしました。空港内で醸造されているビールというのは、世界でもこの「エアブロイ」だけ。それを毎年、ルフトハンザのカーゴ便で、ミュンヘン空港からセントレアへ期間限定で空輸するのです。

4月下旬が例年の解禁日。で、それが飲める「クイーンアリスアクア」に今回もやってきたのですが……。今年はなぜか、5月で限定販売が終了してしまっていました。なーんだ、残念! 去年はたしか8月でも飲めたのに。仕方ない、この秋にでも何かミュンヘンに行く用事をつくって、本場で“作り立て”を味わうことにしよう。

ところでミュンヘン空港といえば、航空業界専門の調査機関である英国スカイトラックス社が先週発表した「世界空港アワード '09」で、総合5位にランクされました。「ビールがおいしい」というのが最大の理由ではもちろんありません。多くの利用者から評価されているのは、その使い勝手の良さ。フランクフルト空港と並ぶルフトハンザのハブとして、ここを拠点に最短30分の乗り継ぎで欧州の各都市へアクセスできる点が人気なのです。

ちなみに同アワードの1位〜3位は仁川国際空港、香港国際空港、チャンギ国際空港とアジア勢が占め、ミュンヘンは欧州の空港では第2位。欧州での1位(総合4位)は、同じルフトハンザグループのもう一つのハブであるスイスのチューリッヒ国際空港です。地理的にヨーロッパのちょうど中心部に位置するドイツとスイスを経由して、目的とする他の国や都市へ──そんな“ネットワークキャリア”を標榜するルフトハンザにとって、二つのハブが欧州ベストエアポートの1位2位を独占したというのは、何よりも嬉しい勲章かも知れません。

2009年06月13日

帯の写真の赤い機体

 
今週発売の月刊誌『THE21』(PHP研究所)の09年7月号で、技術大国ニッポンの有望企業にスポットを当てた「世界が注目する“侍ジャパン”企業40」という特集が組まれています。先日、その取材で編集者とライターの方が見え、私は航空機産業についていろいろお話ししました。「不況に負けず、日本の企業に少しでも元気が戻ってほしいという願いから企画した特集なんです」と編集担当の人が言っていましたが、本当にそうですね。


その掲載誌が送られてきたので、記事内容を確認し、さらにページをめくっみてビックリ! 特集の最後の「ブックガイド」という書評欄で、私の著書『もっと知りたい旅客機の疑問50』(サイエンス・アイ新書)を紹介してくれているのです。こちらからお願いしたわけでもないのに。すぐにお礼のメールを書きましたが、ありがたいことです。

この『もっと知りたい──』は、前著『みんなが知りたい旅客機の疑問50』の続編として昨年12月に刊行しました。以前のBlogでも報告したように、続編を出した相乗効果で正編の『みんなが知りたい──』の売行きに弾みがつき、その第4刷が先になったのですが、その後『もっと知りたい──』も順調に売れ続けてこちらも重版が決定。現在、第2刷の印刷が進んでいます。

ところで、読者から『もっと知りたい──』について、最近こんな質問が届きました。「表紙の写真は青いロゴマークからコンチネンタル航空だとわかりますが、カバーの帯で使っている赤い機体はどこのエアラインですか?」と〔写真の丸い枠の中〕。じつはこれ、パシフィック・ブルーというニュージーランドの航空会社です。クライストチャーチを中心にオセアニア地域を結ぶLCC(ローコストキャリア)として現在活躍中。航空写真家の小栗義幸さんがニュージーランドを取材した際に撮ったもので、私の著書のために提供してくれました。オセアニア方面を旅する機会があったら、みなさんも空港でこの真っ赤な機体を探してみてください。

2009年06月10日

世界のビジネスクラス

 
旅客機は一つひとつの機種ごとに、標準となるシート数がメーカーによって決められています。ボーイングの資料を見ると、たとえば多くのエアラインが国際線に投入している777-200を3クラスで設定した場合の標準座席数は「ファーストクラス16席(シートピッチ61インチ)、ビジネスクラス58席(同39インチ)、エコノミークラス227席(同32インチ)」の計301席。基本シート数が決められているのはエアバスの機種でも同じです。


ところが、この基本どおりのシート数で機材を運航しているエアラインはほとんどありません。その機材を投入する路線の旅客需要が各社で違う、というのが大きな理由です。座席数を少なくしてできるだけ快適なスペースを提供できなければファンから見放されてしまう──最近はそんな危機感から、シートやレイアウトに個性を打ち出すエアラインも増えました。

その傾向がとくに顕著なのが、ビジネスクラスです。あるエアラインの幹部は「ビジネスクラス1席の収益性はエコノミーの4人分に匹敵します。ブランドイメージの強化につなげる意味でも、このクラスでの競争には負けるわけにはいきません」と私に言っていました。実際、ここ数年は従来の常識を超えるようなビジネスクラスが続々と誕生しています。

そんな各社自慢の最新プロダクトを1冊にまとめたムック『世界のビジネスクラス』が、イカロス出版から発売になります〔写真〕。先ほど私のオフィスに、ひと足先に見本誌が届きました。ページをめくってみると、日本を発着するエアライン各社のビジネスクラスがたくさんのカラー写真で紹介されていて、見ているだけで気持ちが楽しくなります。私も過去に利用したときの「搭乗印象記」を4社ほど書いていますが、さて、その4社とはどこのエアラインでしょう? 『世界のビジネスクラス』は明日──6月11日より、全国の書店に並び始めます。

S.Akimoto at 00:31|PermalinkComments(0)clip!空の本棚  | シート&設備

2009年06月07日

アンコール遺跡群

 
週末の金曜日は、写真家の高島史於さんと中田浩資さん、産経新聞社のタブロイド紙「サンケイEX」の記者・市川雄二さんと夕方から東京・銀座で合流。私の行きつけの和食屋で一献を傾けました。


交流のきっかけは、昨年春の北欧ノルウェー取材でした。船とバスと鉄道を使って壮大なフィヨルドを訪ね歩いた8日間で、彼らとはすっかり意気投合。この日の再会は約10カ月ぶりでしたが、その後もみんなそれぞれに忙しく活躍している様子です。サンケイEXの市川さんは中堅記者として相変わらず幅広く活動を続け、今月末にはトルコのイスタンブールに飛ぶ予定とか。写真家の高島さんは今年、韓国・仁川市より「広報大使」の任命を受け、日本と韓国を行ったり来たり。もう一人の中田さんもライフワークである“人物ルポ”のため国内外を飛び回っています。

その中田さんの作品は現在発売中の総合月刊誌『潮』(潮出版社)7月号の巻頭グラビアページで見ることができます。「アンコール遺跡群──東南アジアに開花したクメール文化の足跡」と題してカラー7ページで掲載されている見事な写真の数々。私もさっそく拝見し、何年かぶりでカンボジアを訪ねてみたくなりました〔写真は4年ほど前に現地で撮影〕。

ちなみに、アンコールワット訪問の玄関口となるシェムリアップへは、ベトナム航空を使うとホーチミンまたはハノイ経由で同日乗り継ぎでアクセスが可能。タイ国際航空などを利用したバンコク経由でのツアーも多いほか、地方都市からは大韓航空を利用しての仁川経由便の人気も高まっています。

2009年06月04日

富士山静岡空港

 
静岡空港がいよいよオープンしましたね。昼間、東京・秋葉原の電気街を歩いていたら、テレビはどのチャンネルもこのニュースでもちきり。JALの福岡行き1番機(MD90)が滑走路から飛び立っていく映像が画面に流れていました。


新空港の愛称は「富士山静岡空港」です。JALはここから福岡線のほかに新千歳への便を、ANAは福岡線と那覇線を就航しています。国際線では、大韓航空アシアナ航空がソウル線を、中国東方航空が上海線を開設しました。そんな中でも注目は、やはり新しく誕生した航空会社、フジドリームエアラインズでしょう。

フジドリームエアラインズは、江戸時代に廻船問屋として創業した物流会社・鈴与(本社静岡市)が設立。大手と競合する大都市への乗り入れをあえて避け、静岡と小松、熊本、鹿児島をエンブラエル社製の小型機ERJ170で結びます。2008年7月にその機体デザインが発表されたときは、大きな話題になりました。

同社の運航機材は、1機ずつ色が違います。保有する機材が増えるごとに、きっと静岡空港もこれからどんどんカラフルになっていくでしょう。利用者も「今日は何色のヒコーキかなあ?」というのが楽しみになるかも知れません。記念すべき1号機は真っ赤なデザイン〔写真〕に、そして2号機はホームページでの投票結果をもとにライトブルーに決まりました。その後はグリーンや紫、オレンジなどの機体が登場する予定です。

フジドリームエアラインズの就航は、新空港の開港から少し遅れて7月23日を予定しています。国内線は「地方と地方を結ぶ路線は採算にあわない」というのがこれまでの通説でしたが、地域の足としてはたしてどこまで定着できるか──注目ですね。カラフルな機体で、業界に元気を取り戻してほしいと私個人は願っています。

2009年06月01日

番組リニューアル

 
私がレギュラーコメンテーターとして出演しているスカパー「旅チャンネル」の情報番組『世界のエアラインガイド』。日本に就航している航空会社を毎週1社ずつ紹介していく番組で、これまでさまざまなジャンルの人たちから「毎週観てますよ」といった励ましの声もいただきました。


計25のエアラインを取り上げた“シーズン1”は2009年2月で終了しましたが、局には視聴者のみなさんからの「もっと続けて!」という要望も届いているようで、この7月からいよいよ“シーズン2”に突入します。その最初の収録が先週、東京・お茶の水の旅チャンネルスタジオでありました〔写真〕。

“シーズン2”からは、現在エアラインスクール「ARK ACADEMY」の代表として後輩たちの指導・育成に力を発揮している橋本絵里子さん〔写真左〕にも番組レギュラーに加わっていただきます。橋本さんはシンガポール航空の元CAであり、またそれ以前のJTB海外旅行課での勤務経験やその後のマナー講師のキャリアをもとに、07年12月には『シンガポール航空で見つけた──“思いやり”という世界で一番のサービス』(Nanaブックス)という著書を出版。私も彼女とは、以前から「エアラインのサービス」をテーマに情報交換を続けてきました。その橋本さんとのトーク形式で進行する7月からの番組では、よりグレードアップした楽しい内容で各社の個性をお伝えできると思います。

なお“シーズン2”からは隔週での放送になります。7月10日(金)午後10時45分からの第1回オンエアではユナイテッド航空を、7月24日(金)の第2回は中国国際航空を予定。ちなみに“シーズン1”のオンエア分も現在再放送が続いていますので、番組ホームページの「ON AIR SCHEDULE」で内容と放送日・時間をチェックしてみてください。

2009年05月29日

スイスの菜食シェフ

 
限られたスペースで10時間以上を過ごす長距離フライトでは、どうしても運動不足になりがちですね。ごく普通に食事をとったつもりでも、実際はカロリー過多に。かといって、上級クラスで事前にオーダーできる特別のベジタリアンミールは、いわゆる“精進料理”のようで味気ない。で、機内ではつい和食をチョイスしてしまうケースが最近はとくに増えてきた気がします。


もっとあっさりしていてシンプルで、なおかつ味がよく満足させてくれる洋食メニューがあったらいいのに。そんなことを思っていたら、うれしいニュースが入ってきました。

スイスの有名なベジタリアンレストラン「ヒルティル」が、SWISS(スイスインターナショナルエアラインズ)と長期のパートナーシップ契約を締結。チューリッヒ発成田行きの全クラスで、通常メニューのひとつとして同レストランの人気シェフ、ラルフ・ヒルティル氏〔写真〕のベジタリアンメニューをチョイスできるようになったというのです。

インド方面の多彩な香辛料をアレンジした風味と香りが特徴の「ヒルティル」の料理は、欧州では大人気。肉や魚をいっさい使わないのに本当においしいと評判で、連日1,200人もの来客で賑わうそうです。私も以前、ある雑誌で見かけて、いつか訪ねてみたいとずっと思っていました。そのラルフ・ヒルティル氏の作品を機内で通常メニューのひとつとして選べるというのは、いいですね。アーティチョークとサフラン・フェタソースのほうれんそうパスタと、なすと赤パプリカの野菜パエリアが代表的な二皿。次のフライトの機会を心待ちにしたいと思います。

2009年05月26日

デルタ航空の広告

 
週明けの昨日、朝日新聞を開いてみて目に飛び込んできたのが、下の全面広告です。雲の間をふわふわと舞っている、いくつもの赤い紙ヒコーキ。どこかで見たような形だな、と思ったら、デルタ航空のロゴマークでした。


「きっと鳥だけが、私たちよりも飛んでいる」

ノースウエスト航空との合併で、各国の主な旅行目的地のほぼ全域を網羅する世界最大の航空会社に生まれ変わったことを、このキャッチコピーで表現しています。紙面をぜいたくに使った、シンプルでかつ奥行きのある、なかなかいい広告ですね。

主要全国紙や雑誌、オンライン媒体、交通広告などを舞台に、新生デルタ航空としてのブランド広告と新路線広告のキャンペーンを今後積極的に展開していくことも昨日発表されました。来週6月3日に就航する成田/ソルトレイクシティ線、翌6月4日にスタートする成田/ニューヨーク線の広告にも、ぜひ注目してみてください。

S.Akimoto at 06:55|PermalinkComments(0)clip!世界のエアライン 

2009年05月23日

文化放送スタジオで

 
東京・浜松町にある文化放送スタジオで昨日、ラジオ番組の収録がありました。私が出演したのは、毎週土曜日の17時30分〜45分の枠でオンエアされている『大村正樹のサイエンスキッズ』。番組案内役の大村正樹さんは、フジテレビ朝の情報番組『とくダネ!』のレポーターなどでもお馴染みの人気アナウンサーです〔写真右〕。


今回のテーマは、もちろん私の専門である「旅客機」です。空を飛ぶ基本的なメカニズムから飛行機の安全性に関することまで、大村さんとフリートークを展開しました。構成作家の方が用意してくれた台本が一応はあるのですが、大村さんの興味はどんどん別の方向に。一方で私の話もついつい横道に逸れていくのは相変わらずで、そんな二人のやりとりに番組スタッフや構成作家さんらもじっと聞き入っています。この日は番組2回分の収録で、予定していた計30分間はアッと言う間に終了してしまったものの、その後もしばらく話が弾みました。

「私は年間で150回ほどは飛行機に乗るんですが──」と大村さんは言います。「秋本さんの話を聞いて、だいぶ気持ちがラクになりました。これまではホント、飛行機に乗るというのがすごいプレッシャーで」
「大村さん。気持ちがラクになったなんて言ってちゃダメですよ、もったいない」と私。「年に150回も乗るなら、もっと積極的にフライトを楽しまないと! 人生を棒に振りますよ(笑)」
「だったら、秋本さん。積極的に楽しめるように、近々またスタジオに来てもっといっぱい話を聞かせてください」

実際のやりとりの内容は文化放送『大村正樹のサイエンスキッズ』でどうぞ。まだ少し先になりますが、6月20日と27日の2週にわたってオンエアされる予定です。お楽しみに!

S.Akimoto at 11:30|PermalinkComments(0)clip!出会った人々 

2009年05月20日

免許が失効する!

 
明け方まで書き物をし、ベッドに入って約2時間。ときどき夢の世界に分け入るのですが、頭が冴えてなかなか熟睡とまではいきません。今日は5月20日──誕生日からもう1カ月が過ぎたんだな、などとぼんやり考え、ハッとして飛び起きました。今年は運転免許の更新の年で、その書き換えの期限が誕生日の1カ月後までなのです。


午後は予定が詰まっているため、急いで着替えて、地元の警察署へ行きました。眠い目をこすりながらの手続きでしたので、視力検査がドキドキです。検眼表がかすんでよく見えなかったりすれば、免許が失効になってしまいますから。結果は問題なしで、また5年間有効の新しい免許証を手にしましたが、更新は面倒臭いですね。そこでふと思ったのが、エアラインパイロットたちのことでした。

エアラインの機長や副操縦士は一度ライセンスを取得しても、1年ごとに定期路線審査を受けなければなりません。査察操縦士(試験官役のパイロット)が同乗して実際の路線を飛び、技能や知識が審査されます。いつも慣れ親しんできた路線でも、1年のあいだに空港システムの一部が変更になっているケースもあり、油断は禁物。査察操縦士の質問に答えられなかったり操縦に不手際があれば、合格できません。そのため現役の機長や副操縦士らも、日頃から最新のフライトシミュレーターでさまざまな飛行ルートや状況を設定しての訓練などを重ねています〔写真はJAL訓練センターのボーイング747-400フライトシミュレーター〕。

実技試験のほかに、半年ごとの身体検査もあります。肝機能を示すGTPに不安のある人は検査の数カ月前から好物のビールを控え、肥満の傾向のある人はプロボクサー並みに汗を流し、食事を控えて減量に努めなければなりません。万が一基準値をオーバーすれば、フライトは即刻停止。基準値に戻るまでは操縦桿を握れず、空を見上げて「飛びたい、飛びたい」と呟きながらしばらくは地上の仕事に従事することになります。

パイロットという職業にはかつて、私も憧れた時期がありました。が、セルフコントロールができない不摂生な私には、しょせん叶わぬ夢でしたね。

S.Akimoto at 11:55|PermalinkComments(0)clip!コクピット・クルー 

2009年05月17日

SQ名古屋線が変わる

 
写真は、名古屋駅前のミッドランドスクエア地下1階にあるイベントスペースで撮影したものです。6月1日から名古屋線に就航するシンガポール航空の新機材、エアバスA330-300の最新のキャビン設備が先週金曜日から一般公開され、そのオープニングセレモニーに私も列席してきました。


A330-300はこれまで数多くの改良を重ね、同じクラスの航空機の中でもきわめて高い運航効率を実現する機種に生まれ変わっています。シンガポール航空はこのA330-300を「余分なCO2の排出を抑えて環境保護に貢献できる機材」として計19機発注。今年1月にはフランス・トゥールーズのエアバス本社で1号機の引渡し式典が行われ、その模様については現地から当日のBlogで報告しました。

「なんだかお洒落なイスね。飛行機じゃないみたい」
「私もこんなシートに座って旅行してみたいな」

ミッドランドスクエアを訪れる地元の人たちは、ふと足を止め、口々に呟いています。私もトゥールーズでの引き渡し式典の際に機内を見せてもらいましたが、このシートはなかなか快適です。キャビン仕様はビジネスクラス30席、エコノミークラス255席の計285席。両クラスともシートはオール2階建て機A380に搭載されているものと同じカラーで統一されました。ビジネスシートはA380用シートを短中距離用にアレンジした新バージョンです。

シンガポール航空は現在、名古屋線をボーイング777で週5便で運航しています。A330-300を導入する6月1日からは、便数も週7便のデイリー体制に拡大。金曜日のオープニングセレモニーで半年ぶりに会った同社日本支社長のフィリップ・ゴーさんは、その狙いを次のように話していました。

「A330は座席数を抑えてキャビン設計しましたので、従来の777に比べてキャパシティが11%小さくなっています。ですので、週7便に拡大しても十分需要は見込めると判断しました。そして何よりも、昨今のように景気が低迷して暗いムードのときにこそ、新しいエキサイティングな機材で市場に刺激を与え、みなさんに元気になってもらうことが必要だと思うんですよ」

S.Akimoto at 10:49|PermalinkComments(0)clip!就航路線  | シート&設備

2009年05月14日

ヘルシンキ経由便

 
エコ出張、という言葉があります。輸送機関はどこもCO2を少なからず排出しますが、東海道新幹線を運行するJR東海の計算では、東京/大阪間を移動する際の新幹線の1座席あたりのCO2排出量は飛行機(ボーイング777)の10分の1。だから大阪方面への出張は飛行機よりも新幹線で、と同社はビジネスマンたちに“エコ出張”を呼びかけます。


CO2排出量が1対10。これじゃあ勝負にならないな、と思っていたら、今度はエアライン側からこんな反論を聞きました──「でも飛行機なら、出発地と目的地に3,000メートルずつの滑走をつくるだけで、世界中どこへでも移動できますよ」と。そう話してくれたのはフィンランド航空の上級副社長、クリステル・ハーグルンド氏です。今週、日本のメディアとの会見のためにヘルシンキの本社から来日。これを機会にいろいろ意見交換をした中で、ハーグルンド氏はこう話を続けました。

「鉄道やバスでは、出発地と目的地の間に延々と線路や道路をつくらなければなりません。そのぶん、自然や生き物の生態系を確実にくずしてしまいます。空を飛ぶ、というのは、そういう意味でもとても優れた移動手段だと思うんですよ」

ハーグルンド氏はもちろん、飛行機がCO2を排出することは否定しません。しかし、それを少しでも軽減するためにフィンランド航空はエアバスA330など燃費効率のいい最新機材を積極的に導入していること、そしてハブ空港のあるヘルシンキはアジアから一番近いヨーロッパの都市であることに言及。直行便のないヨーロッパの都市へ行くにはヘルシンキ経由が最も無駄のない飛行ルートだ、とハーグルンド氏は言います〔写真はヘルシンキ・ヴァンター空港〕。

「たとえばドイツのベルリンに飛ぶには、同じドイツのフランクフルトを経由するよりもヘルシンキ経由のほうが飛行距離が短く、乗客1人当たりのCO2排出量を84キロも少なくできるという調査結果も出ています」

発想や視点がとてもユニークだなと思って聞いていましたが、フィンランド航空はもともと“森と湖の国”のエアライン──自然や環境について語るときのハーグルンド氏の表情は、常に真剣そのものでした。

2009年05月11日

プレステージスリーパー

 
写真は、大韓航空が今後、中長距離線の機材に新しく導入するビジネスクラス用の新シートです。総額2億ドルを投資して全クラスのシートをアップグレードする計画が現在進行中で、その概要が今日発表されました。


“プレステージスリーパー”と名づけられたこのフルフラット型の新シートは、シートピッチが既存の短距離線用シートより67センチ広い188センチ。プライベート空間を強調するパーティションやワンタッチ式のシート調整ボタンを備え、パーソナルモニターも15インチに拡大しています。

ほかにファースクラスにはシート幅を15センチ広げてゆとりが増した“コスモスイート”を、エコノミークラスにも10.6インチモニターを装備した“ニューエコノミー”が登場します。これらが最初に導入されるのが、今年末に受領予定のボーイング777-300ERの1号機。その後、2011年3月までに、現在保有する777やエアバスA330など32機に、さらに来年以降に受領するエアバスのオール2階建て機A380やボーイングの次世代中型機787にも同じシートが装備される予定です。

エアライン各社が不況に苦しむ中、大韓航空は何だかとても元気ですね。今年2月には2機のA380追加購入も決定しました。ボーイング777-200や747-400の一部機材に装備されている現在のシートも2005年から導入が始まった新しいものなのですが、同社によると「これまでは第1次のアップグレード計画。第2次計画にあたる今後は、さらに進化したシートを利用者のみなさんに提供し、従来以上に快適な空の旅を楽しんでいただきたいと思っています」と言っています。

2009年05月08日

787が初飛行へ

 
2007年7月8日に初号機がロールアウトして以来、製造スケジュールに大幅な遅れが出ていたボーイングの最新旅客機787。しかしここにきて作業は急ピッチで進み、この3月にシアトルのエバレット工場を訪れた際も、787の開発責任者らから今年の第2四半期(09年4月〜6月)には初飛行を実施予定であることを確認しました。


完成が遅れていた一番の原因は、機体各部をつなぐためのファスナー(リベットのようなもの)の製造が間に合わなかったことです。787は機体の約50%に炭素繊維複合材が使用されていて、従来のアルミ合金用のファスナーでは適合しません。その複合材用のファスナーの供給量が不十分だったため、07年7月にロールアウトした機体は暫定的に金属用ファスナーで組み立てられていました。

ロールアウト式典後に始まった初号機の作り直しの作業も、昨年秋の従業員のストライキなども影響して遅れていましたが、3月に私が工場を取材したときにはすでに再組み立てが完了。作業は最終のチェック段階に移行していました〔写真=垂直尾翼の方向舵には1号機を受領するANAの塗装が見えます〕。

そしてこの5月3日、機体はいよいよテスト用のフライトラインに搬送されたとシアトルから連絡が入りました。今後は機体に燃料が搭載され、各種システムやエンジンの試験がスタート。単純な運転試験を皮切りに、最大および最小推力テスト、実際の飛行を想定しての推力を変える試験へと進んでいきます。それが完了すると、高速タクシー試験を経て、あとは初飛行を待つばかり。787ドリームライナーがついに上空を舞う──そのカウントダウンがいよいよ始まったのです。

S.Akimoto at 17:50|PermalinkComments(0)clip!航空機&メーカー 

2009年05月05日

不況下のパイロット

 
テレビ朝日で毎週日曜日の夜11時15分からオンエアされているドキュメンタリー番組『素敵な宇宙船地球号』で、一昨日の5月3日に鳥が旅客機のエンジンに吸い込まれる「バードストライク」について特集していました〔写真はイメージ=航空写真家・小栗義幸氏撮影〕。


バードストライクで思い出すのが、今年1月15日にアメリカで起きたUSエアウェイズ機のハドソン川着水事故です。US1549便(エアバスA320)はニューヨークのラガーディア空港を離陸して間もなく、鳥の群れに衝突して双方のエンジンが故障。冷静かつ的確な判断と行動で機をハドソン川に着水させ、機体水没まで約1時間というわずかな時間内に全員を救出させた同機のサレンバーガー機長は、のちに「奇跡の操縦士」として称賛されました。

どの空港でもバードストライクは深刻な問題で、その対策に知恵を絞っていますが、鳥との衝突による事故は世界中で年間2万件も起きています。バードストライクをゼロにすることが難しいのであれば、そこで重要になるのは操縦桿を握るコクピットクルーたちのさまざまな状況を想定した日々の訓練と、実際にアクシデントに遭遇したときの的確な判断・行動でしょう。

USエアウェイズのサレンバーガー機長はその後、アメリカ連邦下院議会の航空小委員会で「航空会社のリストラが安全性を犠牲にしている」と証言しました。同委員会で機長は、自分の給与がここ数年で4割もダウンしたことを明らかにし、経験豊富なベテランパイロットが次々と現場を去っていることに言及。「自分の子供を同じ職業に就かせたいと思っているパイロットは、私のまわりでは一人も知らない」と将来への悲観的な見方を示していたことも、気になります。

2009年05月02日

支持されるSQ637便

 
外資系PR会社で活躍する親しい知人のTさんから「この連休直前にシンガポールへの出張があり、念願だったエアバスA380についに乗ることができました」と嬉しい報告がありました。


シンガポール航空がシドニー線、ロンドン線に続く3番目の路線としてA380を東京線に就航したのが、昨年の5月20日。成田/シンガポール線はバンコク経由も含めて毎日3便を運航していますが、A380を導入した午前11時30分発のSQ637便の人気は圧倒的に高いようですね〔写真〕。

私も、成田/シンガポール線やシンガポール/シドニー線でA380を利用しましたが、この機材ならチャンスがあればあと何回でも乗りたいなと思います。初体験のTさんも「シンガポールを深夜に発つSQ638便での帰国の際にも、できればずっと寝ないでA380の心地よさを体感していたかったのですが、ビジネスクラスの快適すぎるフルフラットシートにぐっすり眠りを誘われてしまいました」と話していました。

東京線就航1周年の今月20日には、SQ637便で成田を発つ搭乗者全員にシンガポール航空から記念品がプレゼントされるほか、エコノミークラスでもシャンパンのサービスがあるそうです。

2009年04月29日

豚インフルエンザ

 
世界が、大変なことになっています。新型インフルエンザ発生が宣言された28日、米国本土やカナダから成田、関西、中部の3空港に到着した航空便では、乗客を機内に留め置いたまま健康チェックを行う「機内検疫」がスタート。検疫官の手が足りずに2時間近くかかるケースもあり、乗客からは「段取りが悪過ぎる」といった苦情も聞こえ始めました〔写真は関西国際空港=航空写真家・小栗義幸氏撮影〕。


折りしもゴールデンウィーク中であり、豚インフルエンザは景気悪化を加速させる“向かい風”にもなりかねないとエアライン業界でも不安が広がっています。思い出すのが、2003年に中国で流行した新型肺炎SARS。このときはイラク戦争も重なり、海外旅行が急減してエアライン業界は大きな打撃を受けました。

今回の豚インフルエンザは、100人以上の死者を出したメキシコで被害が大きく、JALでは成田とメキシコ市を結ぶ同社便の予約にすでに1割程度のキャンセルが出ていることを発表。今後は他国への感染拡大も心配されます。燃油サーチャージが下がり、海外旅行の需要が戻り始めていた時期に重なったことも大きな不安材料の一つです。夏休みの海外旅行の予約にも影響が出る可能性もあり、予断を許しません。

S.Akimoto at 15:11|PermalinkComments(0)clip!航空関連ニュース 

2009年04月26日

白アスパラと白ワイン

 
JALに勤務する“H”さんから、木曜日にアップしたBlog「エンジン内の静寂空間」にコメントが寄せられました。「面白いソファーですね。航空会社なのですから、航空会社ならではの物がラウンジにあるのはいい案ですね」と。そして彼のコメントは、こう結んでいました。


「ドイツには僕も昨年行きましたが、また行きたいです。シュパーゲル(白アスパラガス)の美味しい季節ですね」

そう、白アスパラはいまが“旬”です。そして私も、もちろんいただきました。今回の旅の途中、ドイツのおいしい白ワインが無性に飲みたくなって、フランクフルト空港の取材でいっしょになったアメリカ人ジャーナリスト数人と連れ立って郊外のワイナリーへ。私たちが訪ねたのは、ドイツ西部のライン川沿いにある家族経営の「キューリングジロー・ワイナリー」です。そこでのディナーの席でシェフがすすめてくれたのが、たくさんの白アスパラを添えた仔牛のシュニッツェルの料理でした〔写真〕。

テーブルに並べられたグラスに数種類の白ワインを注いでもらい、テイスティングにもトライ。どこのワインが好きか? と質問してきたシェフに「赤はフランスのボルドー産、白ならドイツワインも大好きですよ」と答えると、彼は「最近の異常気象による地球の温暖化は憂ふべきことですが──」と意外な方向に話を振りました。

「ドイツではもともと白ワインには定評がありますが、赤に関してはヨーロッパでももう少し南のフランスや、国境を越えたスペイン辺りで獲れる葡萄が適していました」と、シェフは続けます。「ところが最近の地球の温暖化で、その赤ワインに適した熟れ頃の葡萄の産地が、ちょうどこの辺りに移ってきたんです」

「つまりこれからは、ドイツ産の赤ワインにも注目ってわけか」
「おいおい、まるで異常気象を喜んでいるような口ぶりだな」
「そういえば、もともとピノノワールの3大生産地にはドイツも入っていなかった?」

アメリカ人ジャーナリストたちもおしゃべり加わり、笑いの絶えない楽しい一夜になりました。

S.Akimoto at 13:09|PermalinkComments(0)clip!ヨーロッパの旅 

2009年04月24日

ハイデルベルグ

 
“イッヒ・ボーネ・イン・ハイデルベルグ”──日本語に訳すと「私はハイデルベルグで生まれました」。このフレーズが記憶に焼きついて離れません。学生時代の必修科目だったドイツ語の教科書で、一番最初に出てきて習ったのが上の基本構文です。


決して真面目な学生だったとは言えず、いまではほとんどのドイツ語を忘れてしまっているのに、“イッヒ・ボーネ・イン・ハイデルベルグ”だけがずっと頭の中で繰り返されてきました。ハイデルベルグってどんな街なのだろう? そんなことを思ったのも一度や二度ではありません。今回の旅でやっと念願がかない、ドイツ最古の大学があるというこの中世の街を訪れることができました。

フランクフルトからバスで到着し、サンドイッチとビールで軽い昼食をとったあと、まずは石畳の道が続く旧市街の丘をのぼって街のシンボルであるハイデルベルグ城をめざします。14世紀から増改築を重ねてきたため、ゴシックやルネッサンスのさまざまな建築様式が残され、そのテラスからはレンガ色に染まったハイデルベルクの街並みが一望できました〔写真〕。

上に見えるのは、ライン川の支流にあたるネッカー川です。有名な石組みの"カール・テオドール橋"のたもとからはソーラーボートでの川下りクルーズが出ていると聞いたので、これから街に下りて乗ってみようと思います。

2009年04月23日

エンジン内の静寂空間

 
フランクフルト空港の取材でいっしょになった中国人女性記者ナ・ジャンさんに「もしよかったらモデルになってくれない?」と英語で声をかけると、彼女は「え、私がですが? 私なんかでいいんですか?」とちょっと照れながらも、快く応じてくれました。そうして撮ったのが、下の写真です。


このソファーの外装、何だかわかりますか? そう、旅客機のエンジンです。フランクフルト空港で今年3月末に出発エリアAのゲートA65の上層階にオープンした「タワーラウンジ」にありました。

エンジンの外装は音が外の漏れない設計になっていますので、反対に、中にいる人には外からの雑音をシャットアウト。ちょうど顔の位置の両側と真上には小型スピーカーが装備され、リスニングサウンドが流れていて、それ以外の音はまったく耳に入ってきません。丸い形を利用したシートは収まり感もよく、快適です。タワーラウンジは総床面積が1,100平方メートル。壁全面がガラス張りで、壮大なエプロンエリアの全景を一望できるよう設計されました。

「どう、座り心地は?」

私が聞くと、ジャンは「一度シートに収まると、もう動くのがイヤです。仕事を忘れて、ここにずっとこうしていたくなりますね」と話していました。フランクフルト空港からルフトハンザの上級クラスを利用する機会があれば、ぜひ試してみてください。

S.Akimoto at 13:55|PermalinkComments(1)clip!世界のエアポート 

2009年04月22日

ヘッセン州の小さな町

 
ドイツ・フランクフルトから南へ約50キロ──「ゼーハイム」という、美しい森と緑に囲まれた小さな町に来ています。


じつはここについ先日、ルフトハンザの新しいトレーニング&カンファレンスセンターがオープンしました。世界中の拠点で活躍するルフトハンザのスタッフたちが、次のステップにキャリアアップするためのトレーニングを受ける施設です。ユニークなのは、ルフトハンザの社員のためだけでなく、広く社外の企業にも開放していること。そのために近代的なホテル機能も完備しています。

実際にここに宿泊して各施設を視察することが、今回の旅の目的の一つです。フランクフルト空港に降りてバスで移動し、先ほどチェックイン。ほかにアメリカやアジアなどからも数名のジャーナリストが招待され、夕方までに集まって来ました。80のトレーニング施設と483のゲストルームがあるほか、レストラン&バー、ビジネスセンターや会議室、フィットネスルーム、ビリヤードやボウリングなどの娯楽施設まで揃っています。案内してくれた同センターの支配人は「ホテルの役目も兼ねるエアライン訓練所としては世界で唯一です」と誇らしげに話していました。

午後6時からのカクテルパーティに参加したあとは、英アビエーションウィークの北米特派員ダレン・シャノン氏〔写真左〕とルフトハンザ広報マネージャーのパトリック・メッシェンモゼル氏〔同中央〕の3人でプールサイドのバーで軽く一杯。話の中で前日が私の誕生日だったことがわかると、ダレンが「極上のスコッチをおごらせてくれ」と言い出し──ヘッセン州の小さな町での思わぬバースデイパーティが始まってしまいました。

明日はフランクフルト空港で、ルフトハンザが“変革”を進めてきた最新の空港機能や施設を取材します。

2009年04月20日

4年目に突入

 
書斎を“雲の上”に移して──なァんて言いうと、ちょっと誤解を招くかな? つまりこのBlogを開設して、という意味ですが、今日で早4年目に突入です。「エアラインと空の旅」をテーマに、日々の記録を残していこうと思い立ったのが3年前の誕生日。2006年4月20日でした。


それ以来、アップした小文は計442本。いま書いているものが443本目になります。この間、プロフィールの写真を差し替えたり、タイトルバックのデザインを変更したりして現在の形にたどり着きました。この4月からもプチリニューアルしたのですが、わかりますか? そう、写真の大きさを少し変えました。「クリックしても大きくならないし、小さ過ぎて写っている内容がよくわからない」と読者から指摘をうけ、従来の5割増しにしたのです。

3年前の誕生日にはニュージーランド航空の日本オフィスを訪ね、そのことについて書いたのが『雲の上の書斎から』の第1回目でした。2年前の誕生日のBlogを読み返してみると、あの日はある親しいエアライン関係者と恵比寿の隠れ家的な小料理屋で一杯! また昨年の誕生日は、ノルウェーを訪れて壮大なフィヨルドを巡っている途中で迎えたのでした。

あれから1年──早いものですね。今日は、コンチネンタル航空のアジア・太平洋地区支社長、チャールズ・ダンカン氏との昼食会を兼ねた記者懇談会に出席して、先ほど戻りました。そして明日からはまた海外取材。これからもいままでどおり、世界の空を旅しながらさまざまな思いや出来事をつづっていきたいと思っています。

S.Akimoto at 18:04|PermalinkComments(1)clip!世界のエアライン 

2009年04月16日

SWISS副社長らが来日

 
世界同時不況の影響を受けて多くのエアラインが業績不振に苦しむ中、SWISS(スイスインターナショナルエアラインズ)がとても元気です。昨日、本社よりネットワーク&セールス担当上級副社長のハリー・フォーマイスター氏や国際線旅客事業担当副社長のマーセル・ビーダーマン氏らが来日。都内で会見が開かれ、私も出席してきました。


まずはフォーマイスター氏が「2008年度の旅客運送実績は前年に比べて10.3%増。その前年の2007年はSWISSにとって最も成功した年でしたが、08年も引き続き好調をキープしています」と報告。日本路線の旅客数も順調に推移している様子で、会見に列席した岡部昇日本支社長が「成田/チューリッヒ線は1年間を通じてほぼ満席でオペレーションできている」と現状を話してくれました。

スイスというと「観光・レジャー」の需要が大きいイメージがありますが、一方で昨今はビジネス需要に頼らなければどのエアラインも経営的に苦しい時代です。「年間を通じてほぼ満席」ということは、SWISSはビジネス旅客を取り込むことにも成功しているのでしょうか? 私のその質問に、岡部氏はこう答えてくれました。

「チューリッヒ経由で欧州各国のビジネス拠点に行かれる方ももちろんいますが、ドイツやイギリス、フランスに比べると、スイスという国はたしかにビジネス需要が多いとは言えません。しかし成田/チューリッヒ線では、レジャーの目的でビジネスクラスを使われるお客さまがたくさんいます。とくに中高年層では、エコノミーではなくビジネスやファーストでスイスを旅したいという人が年々増えてきました。夏場のフライトでは、7割から8割の方にレジャー目的でビジネスクラスの座席を購入していただいていいます」

なるほど。そんな“元気さ”を背景に、SWISSは新機材の導入などにも意欲的です。この4月20日には、フラットベッドタイプの新型ビジネスシートを搭載した最新のエアバスA330-300がチューリッヒ/ニューヨーク線に就航。その後は現行のビジネスクラスの新型シートへの刷新作業を進め、日本路線で使用している長距離用機材A340-300〔写真〕も年内か2010年初めには新しいシートに切り替わることが発表されました。楽しみですね。

ちなみにSWISSは、先ごろ発表された英国スカイトラックス社のワールド・エアライン・アワードで2009年度の「ベストエアライン・ヨーロッパ」に選ばれています。

2009年04月13日

“香港の味”を空港で

 
香港を訪れる人たちの大きな目的の一つが、グルメを満喫することだといいます。その何がこれほど人々を引きつけるのか? “香港の味”はスープとソースに尽きる、と私は考えてきました。カニのみそや、1980年代に香港で誕生し「中国料理界最大の発明」とまで言わしめたXO醤(エックスオージャン)。それらの調味料をからめたソースを新鮮な食材やヌードルなどにあえた独特の味覚が、旅人たちをとりこにするのだ──と。


高温多湿の夏でも、香港では「湯(トン)」と呼ばれる食べやすいスープで味に工夫を凝らし、食欲が落ちることはありません。今回の旅でも感じましたが、庶民的なB級グルメの店でも深い味のスープが出てくるところは、まさに香港ならではでしょう。

市内のレストランだけではありません。香港へのアクセスでキャセイパシフィック航空のビジネスクラスを利用する場合、私が必ず利用するのが、香港国際空港の空港ラウンジ「ザ・ウイング」。空港ラウンジの中でも、施設の充実ぶりでここは間違いなく世界の3本指に入るでしょう。そう評価している私がいつも楽しみにしているのが「ヌードルバー」と呼ばれるコーナーです〔写真〕。人気の四川風タンタン麺や日本風ラーメンなどのメニューが用意され、その場で好きな種類を注文できます。

香港を発つ前に、雑誌向けのコラムを完成させて送稿しなければならない予定があり、帰りは余裕をもってホテルを出発。空港でチェックインし、すぐにラウンジへ向かいました。ひと仕事を終えてヌードルバーへ行き、今回オーダーしたのは、エビのワンタンと青菜が添えられたワンタン麺です。豚骨とさまざまな魚のダシを使った上品な味のスープが、旅の疲れをいやしてくれました。

2009年04月12日

2階建てトラム

 
報告が前後してしまいましたが、香港に着いた翌日は午後からスターフェリーで香港島にわたり、遅い時間までゆっくりと街を散策しました。4月10日からイースターホリデーに入った香港では、どこも多くの人で賑わっています。


なかでも湾仔(ワンチャイ)周辺は、人口密度が世界でも有数の地域。繁華街の雑踏の中をガタンゴトンと走る2階建てのトラム(路面電車)を、道行く人たちはさりげなくかわしながら平然と歩いています。2階建てのバスはあちこちにあっても、2階建てのトラムは世界にここにしかありません。島の北側の下町やオフィス街、そして繁華街を、東から西に行ったり来たり。200〜300メートルおきに駅があって、運賃も一律2香港ドル(約30円)と安く、100年も前から地元の人々の足として活躍してきました〔写真〕。

2階建てトラムが通る道から1本北側を平行して走るのが、怪しげな色のネオンが揺れる駱克道(ロックハードロード)です。香港の公娼制度は1932年に廃止されましたが、それまではこの通り一帯に「貸座敷」という名前の遊郭が並んでいたそうです。銅羅湾(コーズウェイベイ)まで足を伸ばして夕食をとったあと、再び湾仔へ戻るのに、ネオンの灯った駱克道を歩いてみました。

道の両側にナイトクラブが建ち並び、店の女性や客引きたちが熱心に声をかけています。こんな光景も、まさに香港の“顔”の一つ。通りの一角で見つけた英国風のパブに入ってワインを飲みながら、香港らしい活気に深夜まで浸っていました。

S.Akimoto at 12:26|PermalinkComments(0)clip!アジア・太平洋の旅 

2009年04月11日

マルコポーロ香港

 
1年ぶりで香港に来ました。宿泊しているのは、尖沙咀(チムサーチョイ)のビクトリア湾に面した「マルコポーロ香港」。新開発された広東ロード沿いにあり、ネイザンロードにある地下鉄「尖沙咀駅」まで歩いて3分、すぐ目の前には香港島へ渡るスターフェリーの乗り場があるというとても便利なロケーションのホテルです。


九龍(カオルーン)側に滞在するときは、対岸の香港島の夜景鑑賞をいつも楽しみの一つにしています。運よく14階のハーバービューの部屋を予約することができ、一昨日の夜遅くにチェックインして部屋に入ると、すぐに大きな窓のカーテンを全開にしました。そのまま今日まで、夜も朝もずっとカーテンを閉めることなく過ごしています〔写真〕。

2003年から開催されている毎晩午後8時からの「シンフォニー・オブ・ライツ」を楽しむのにも、ここは抜群の立地です。昨夜は香港島に出かける用事があってこのイベントは見逃してしまいましたが、今夜は夕方までにはホテルに戻ってくるつもり。ミシュランにも紹介された6階のレストラン「CUCINA(クッチーナ)」で7時ごろからマネージャーやシェフらと会う予定があるので、ついでにカクテルでも頼んで窓側の席を用意してもらい、光と音の祭典に酔いたいと考えています。

S.Akimoto at 09:49|PermalinkComments(0)clip!アジア・太平洋の旅 

2009年04月09日

過去10年で3度の勲章

 
英国の調査会社スカイトラックス社が実施する恒例のワールド・エアライン・アワードが先ごろ発表されました。同アワードは今年でちょうど10周年。その記念すべき年の「エアライン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのは、キャセイパシフィック航空です。同エアラインにとっては、過去10年で3度目の同賞獲得となりました。


同アワードの2009年度調査は、08年8月から09年3月にわたって実施され、今回調査対象となった旅客は世界97カ国の1,620万人を超えて過去最大規模となりました。そこで手にした「年間最優秀エアライン」の勲章は、とても価値あるものだと思います〔写真はキャセイパシフィック航空の国際色豊かなクルーたち〕。

同じく過去10年で3度「エアライン・オブ・ザ・イヤー」に輝いているのが、シンガポール航空です。これでアジアを代表する二つのエアラインが、肩を並べました。

シンガポール航空といえば、その他の人気ランキングでも常に上位にランクされるエアライン。民族衣装サロンケバヤを身にまとったCAたちが“広告塔”になり、エアバスのオール2階建て巨人機A380を世界で最初に就航するなど、PRのうまさには定評があります。それに比べると、キャセイパシフィック航空はどちらかというと地味で堅実なエアラインといえるかも知れません。しかし海外を歩いてさまざまな乗客にインタビューしてみると、「キャセイが好き」と言う固定ファンが少なくありません。

業界を取り巻く昨今の厳しい経営環境のなかで、キャセイパシフィック航空が何をめざし、どの部分が世界のファンたちに支持されているのか。その“秘密”を改めて探るため、本日午後の便で香港へ飛ぶことになりました。プロダクトやサービス、インフラ整備、経営ビジョンやポリシー、そこで働く社員たちなど幅広い観点から取材し、後日その結果をいくつかのメディアで報告したいと思います。

2009年04月06日

“原点の書”が4刷に

 
国内線パイロットはどの季節のフライトが好きかという話を「前にどこかで書いた覚えがあるが、どこに書いたかは忘れた」と前回のBlogで言ったら、読者の方からさっそく連絡が届きました。「それが書かれているのは『みんなが知りたい旅客機の疑問50』の148ページですよ」と。


で、チェックしてみると──たしかにありました。「第4章/コクピットの疑問」の中の「計器を見なくても計器が見える?」という項目で、最新機材に採用されつつあるHUD(ヘッドアップディスプレイ)について解説しながら、コクピットクルーたちが上空から地上の景色を楽しんでいる様子をエピソードとして紹介したのです。熱心な読者というのは、ありがたいですね。

ところで、この『みんなが知りたい旅客機の疑問50』はソフトバンククリエイティブから2007年9月に出版して以来、ずっと売れつづけてロングセラーになっています。昨日は、刷り上がったばかりの第4刷が出版社から送られてきました〔写真〕。

昨年12月には、続編にあたる『もっと知りたい旅客機の疑問50』を刊行しましたが、“続編を出すと正編が再び売れ始める”という構造が業界にはあるそうです。サイエンス・アイ編集部の編集長が言っていました。「せっかく読むなら最初から」という心理が読者に働くのでしょう。続編もそこそこ好調のようですが、その結果、続編の重版よりも正編の第4刷が先に決まりました。『みんなが知りたい旅客機の疑問50』は、航空関係の著書としては私の“原点”ともいえるものだけに、嬉しいです。

もう一つ。『みんなが知りたい旅客機の疑問50』が中国語に翻訳されて台湾の出版社から発売されることも、正式に決まりました。書籍マーケットとしては台湾は日本より小さいのですが、中国語人口は世界に多いので、台湾から火がついてアジア各国に波及するといいな──と思っています。あ、ちょっと欲張りすぎ?

S.Akimoto at 08:20|PermalinkComments(0)clip!空の本棚 

2009年04月04日

下界のサクラ

 
サクラが、一気に満開ですね。急用があって福岡までトンボ返りで行ってきたのですが、上空から見る列島各地のサクラがとてもきれいでした。この時期の国内線フライトは、下界のサクラ観賞もちょっとした楽しみの一つです。


前にどこかで書いた覚えがありますが、どの季節のフライトが好きかを国内線パイロットに質問すると、多くの意見が「春」か「秋」に集中します(どこに書いたのだっけかな? 忘れた)。春は桜前線が北上する頃の、秋は紅葉前線が南下する時期のフライトが、コクピットから景色を眺めていてとても心が休まるとか。「なかでも満開の桜を見下ろしながらのランディングは最高ですよ」と話してたのは、JALのあるベテラン機長でした。

その機長は、上空から見るサクラできれいなのは「福岡、青森、函館あたり。満開の時期は東京のサクラもいい」と言っていました。写真は、成田空港に近い「さくらの山公園」で何年か前に私が撮影したものです。

都心部では、明日の日曜から来週前半にかけてが、どうやらピークらしい。先週初めにアメリカ・シアトルに出かける前には「今年のサクラはいつもよりだいぶ早そう」と聞いていたので、帰国するときにはもう花見シーズン終盤かと思いましたが、結局は今年もほぼ平年どおり。明日は私の地元で、恒例の“花見どんちゃん騒ぎパーティ”に朝から参加します(笑)。

2009年04月01日

童心に帰って

 
アメリカから無事に帰国しています。このBlogで先週、ボーイングのエバレット工場などで「787ドリームライナー」を取材していると書いたら、知人やエアライン関係者からシアトル滞在中にたくさんの問い合せが届きました。その多くが、787の製造状況はどうなっているのか、初フライトと1号機のデリバリーはいつか──ということ。メールの発信元は日本だけではありません。海外のアドレスも多数含まれています。787には、やはり世界が注目しているのだなと実感しました。


開発のキーマンの一人である787担当副社長のマーク・ジェンクスさんへの現地でのインタビューの中で、私もそのことを確認しました。「初フライトを2009年の第2クオーター(4〜6月)に実施。その後も6機の試験機を使ったテストを継続して、型式証明を取得し、2010年の第1クオーター(1〜3月)に1号機を納入する計画で進めている」というのが彼の答えです。

その1号機を受領するANAでも最近、マスコミ各社に「2010年初頭にはボーイングの次世代中型機787を導入し、国際線を拡充していきたい」とコメントを発表しました。来年のいまごろは、トリトンブルーに塗装された787が日本のファンを乗せて世界の空を舞っていることを私も願っています。

ところで、アメリカから帰国早々、今回のボーイング取材でお世話になった広報のケバン・ゴフ=パーカーさんから上の写真が送られてきました。「アキモトさんたら、とっても嬉しそうで……」という一文が添えられて。現場に展示されていたコクピットの実物大モックアップの機長席に試しに座ってみたところを、彼女が写した1枚です。

たしかに私、子供みたいにはしゃいでいますね。でも、乗りモノが好きなのは子供だけではありません。新しいヒコーキは、大人にだって夢を与えるのです(笑)。

S.Akimoto at 17:19|PermalinkComments(0)clip!航空機&メーカー 

2009年03月30日

再会の宴

 
昨日のBlogで書いた「ホテル・デラックス」は、前回の取材でお世話になった観光局「トラベルポートランド」のジェフ・ハマリーさんが紹介してくれたものです。ポートランド再訪の意を私が伝えると、ジェフさんは「だったらおすすめのホテルがある」と同ホテルのPR担当にかけあってくれ、最上階の眺めのいい部屋を格安で泊まれるよう手配してくれました。


そのジェフさんらとは、ポートランドに到着した初日の夜に再会。同じくトラベルポートランドの古川陽子さんと二人で、夕方ホテルまで会いに来てくれました。そうして繰り出したののが、最近オープンしたばかりという「50 Plates(フィフティ・プレーツ)」というレストランです。日本語に訳すと「50のお皿」──アメリカ50州のオリジナルのローカル料理が食べられるという、ユニークなコンセプトの店で、こちらは「一度偵察に行きたかった」という陽子さんが予約しておいてくれました。

さらに、その店で待っていてくれたもう一人が、オレゴン州観光局のロブ・トーマスさん。ロブさんはかつて12年間日本で働いた経験がある大の日本通で、今回の再会を誰よりも喜んでいました〔写真は、右からジェフさん、私、陽子さん、ロブさん、航空写真家の小栗義幸さん。背景にあるのはアメリカ各州をそれぞれの州の自動車のナンバープレートで表示した「50 Plates」の看板です〕。

まずはオレゴン産の赤ワインで乾杯します。シーフードや肉やじゃがいもの料理を注文し、すっかり満足して店を出ると、ジェフさんの「もう1軒、デザートビールを飲みに行こう!」という提案で通りの向かい側にあるビアパブへ。何種類もの地ビールを飲み比べ、宴が終わるころには、もう全員が足もとがフラフラです。それでもこのまま別れてしまうのが何となく惜しく、心地よい風にあたりながら、夜の街をしばらくみんなでさまよい歩きました。

2009年03月29日

ホテル・デラックス

 
ポートランドで滞在しているのは、1930年代から40年代の名作映画をテーマにした「ホテル・デラックス」です。市内のサウスウエスト地区にあり、路面電車MAXライトレールの駅にも近くて、どこへ行くにもとても便利。ロビーや各部屋に昔懐かしい映画の1シーンの写真が飾られた、落ち着いた雰囲気のホテルです〔写真〕。


今日はここを拠点に、ポートランド市内を南北に走るウィラメット川沿いのウォーターフロント地区や、オールドタウンと呼ばれる古い街並みを歩いてみました。

まずはダウンタウンの中心部からストリートカーに乗り、サウス・ウォーターフロントの「ギブス駅」で下車。そこで最近開通したロープウェートラムに乗り換え、丘の上から市内を見渡す景色を撮影しました。

その後は再びダウンタウンに戻り、今度はMAXライトレールでウィラメット川の西岸沿いを北上。「オールドタウン/チャイナタウン駅」で降り、ビルの多い中心部とはまたひと味違った低層建築が連なる一角を散策したあと、約2.5キロの緑地帯が続くウォーターフロントパークに出ました。第二次世界大戦中の日系人捕虜たちに捧げられた彫刻広場もあり、周辺には100本の桜の木が遊歩道に沿って植えられています。日本でも今年は桜が早いと聞いていますが、ここポートランドでもちょうど開花が始まり、多くの市民たちが訪れていました。

S.Akimoto at 19:27|PermalinkComments(0)clip!アメリカの旅 

2009年03月28日

アムトラックの旅

 
ダウンタウンのキングストリート駅に着くと、待合室では大小の荷物を抱えたたくさんの人たちが列車の到着を待っていました。ビジネスマン風の年配の人もいれば、家族連れのグループもいます。なかにはリュックを背負った若い旅行客の姿も。まずはバゲッジカウンターへ行き、スーツケースを預けました。


そして今日の日付と列車に間違いがないかもう一度確認しようとチケットを取り出すと──あれ、座席番号の表示がない! 自由席なのかなと思ったら、少しして二人の駅員が現れ、彼らの前で乗客たちが列をつくり始めました。順番に駅員にチケットを提示し、そこで初めて座席の指定を受けるのです。飛行機に乗るときの空港でのチェックインと同じだな、とちょっとゆかいな気分になりました。

午前11時を回り、白い車体にエンジと緑色のラインが入った「カスケード号」がホームに入線しました。私の乗る車両は9号車。その後方は貨物車があるのみで、客車としては最後尾です。指定の座席に手荷物を置いてからまた外に降り、列車の外観を写真に収めていたら、紺色の制服をきた体格のいい車掌に「そろそろ乗らないとドアを閉めますよ」と言われて慌てて席に戻りました。

車内の様子や窓からの景色も撮影したかったのですが、ほぼ満席で自由に身動きがとれません。しかもアメリカ人は見慣れた景色になど興味がないのか、ほとんどの人が窓のカーテンを閉め切っています。先頭から1両目と2両目は“ビジネスクラス”で、ゆったりしたシートでPCなども利用できると聞きました。値段は普通料金にプラス14ドル。そのくらいでアップグレードできるのなら、ケチらずにビジネスクラスにすればよかったなと思います。

列車は定刻の11時20分にキングストリート駅を出発しました。途中、タコマやセントラリアなど6つの駅に停車しながら、シアトルからポートランドまで300キロにも満たない距離を3時間40分かけてのんびり進みます。この日は珍しく朝から快晴で、途中から広がる海岸線の景色も期待どおりでした。そして終点のポートランド・ユニオン駅には、予定より10分ほど遅れて午後3時過ぎに到着〔写真〕。昨年12月以来の再訪となるこの街で、これからつかの間の休暇に入ります。

S.Akimoto at 22:32|PermalinkComments(0)clip!アメリカの旅 

2009年03月27日

ドリームライナー

 
今朝は8時にホテルを出発し、ワシントン州レントンにあるボーイングの「カスタマー・エクスペリエンス・センター」に向かいました。シアトルの中心部から車で10キロほど南下し、9時前に同センターに到着。ここには787の実物大モックアップが展示され、完成後のキャビンの様子などを疑似体験できます。担当のケント・クレーバーさんが私を出迎えてくれました。


さっそくモックアップに案内してもらい、約1時間かけて詳しい説明を聞きます。「旅客は787の搭乗した瞬間から、これまでの旅客機とはまったく異なる空間に足を踏み入れたことを感じ、新しい空の旅を体験することになるでしょう」と自信たっぷりに話すクレーバーさんの口ぶりが印象的でした。

“ドリームライナー”の愛称をもつ787の最も大きな特徴は、その快適な機内環境です。従来の旅客機に使用されてきたアルミ合金に代わり、787ではボディや主翼など全重量の50%以上にカーボンファイバー(炭素繊維)の複合材を採用しました。カーボンファイバー複合材は、金属素材と違って腐食の心配もないため、機内の加湿もOK。乾燥した空気の中での長時間フライトでノドを痛めるといった心配も、これからは不要になります。

またこの新素材は、軽量にもかかわらず、鉄の約9倍の強度があります。壊れにくい大きな1枚板でボディを構成できるため、継ぎ目を少なくし、キャビンの窓も大きくとることに成功しました。787の窓の大きさは、従来機の1.6倍以上。初日に訪ねた「787ドリームライナーギャラリー」ではそれを実寸で比較でき、これなら通路側のシートでも外の景色が楽しめると実感しました〔写真=3つの窓の左に白い線で表示されているのが従来機の窓の大きさです〕。

さて、3日間におよんだボーイング取材も、今日ですべての日程が終了です。いまからシアトルのダウンタウンに戻り、キングストリート駅を11時20分に発つアムトラック・カスケード号でオレゴン州の州都ポートランドをめざします。

S.Akimoto at 20:08|PermalinkComments(0)clip!航空機&メーカー 

2009年03月26日

石を投げると何に?

 
昨日に引き続き朝からボーイングのエバレット工場を訪ね、787の開発担当副社長であるマーク・ジェンクスさんらにインタビューしました。テーマは、製造ラインでの現状や今後の見通し、次世代機に盛り込まれたニューテクノロジーなど。どんな質問にも快く答えてくれ、貴重な情報を得ることができたと思っています。


取材を終えて午後3時にホテルに戻ると、この日はこれでフリータイムに。リフレッシュを兼ねて、シアトルで最も有名な観光スポットである「パイクプレイスマーケット」へ繰り出しました。農家や職人たちが直営する露店や、魚屋、地ビール工房、カフェなどがぎっしりと並び、地元の人たちや観光客で賑わっています。

カフェといえば、日本でもおなじみの「スターバックス」の1号店もこの一角にあります。ほかにも「タリーズ」や「シアトルズベスト」など、シアトルの街なかはそこら中がカフェだらけ。「石を投げるとカフェに当たる」といわれるほどで、よくこれだけの店が共存できるものだと感心します。起伏の多い道を1時間ほど歩いて疲れたので、私も本場の“スタバ”に入ってひと休みすることにしました〔写真〕。

ここも観光名所の一つになっているのか、カウンター前の列がまったく途切れません。その列の中に、蓋のついたステンレス製の“マイタンブラー”を持って並んでいる日本人の子がいて、すぐ前のテーブルの私と目が合いました。

「そうやっていつも自分のを持ち歩いているの?」
「はい」と彼女はうなずきます。「シアトルではこれがお洒落なんですよ」

へえ、そうなんだ。留学生だという彼女は、自分の順番がくるとそこにコーヒーを注いでもらい、私に軽く会釈してそのまま外へ。淹れたてのコーヒーを手に、軽快な足取りで坂道を下りていくそのうしろ姿を、私はエスプレッソを飲みながらしばらくボーッと眺めていました。

2009年03月25日

夢を運ぶ飛行機

 
シアトル郊外にあるボーイングのエバレット工場で最新鋭機787の製造ラインを取材していたら、昼過ぎになって現地スタッフの一人から一報が入りました──「ちょうどいま、イタリアと日本から2機の“ドリームリフター”が相次いで到着したそうです。チャンスなので、ご覧になりますか?」


“ドリームリフター”──日本語に訳すと「夢を運ぶ飛行機」。これはボーイングが開発を進める787の主要パーツの製造を担当している海外の協力メーカーから、完成部品をここシアトルの最終組立て工場に輸送するためにつくられた飛行機です。2007年1月にはセントレア(中部国際空港)にも初上陸し、同5月には三菱重工業の名古屋工場でつくられた主翼部分がドリームリフターでシアトルに空輸されました。

胴体中央部がずんぐりとした、一風変わった形状がドリームリフターの特徴です。実物を見るのはめったにない機会なので、取材を中断して現場へ行ってみました。運んできた部品を搬送するために、ちょうど胴体後方部分が開けられています。しかし、中はもうからっぽで、工場内に入ってしまったあとのようでした〔写真〕。

「何を運んできたんですか?」
「さあ、何でしょうねえ」と、私の質問に現地スタッフが首をかしげます。「きっと787のどこかのパーツだと思いますが」
「それはそうでしょう。そのための飛行機なんですから」

そんなやりとりに、周囲の人たちも笑っています。今回の取材で、すでにボーイングのさまざまな人たちに出会いました。アメリカ人らしく、会う人会う人がみんな気さくで陽気です。そして共通しているのが、一人ひとりが自分たちの会社に誇りをもち、誰もが飛行機をこよなく愛していること。彼らと話していて、運んできた中身が何かなどたいして重要じゃないな──と考え直しました。ファンが待ち望む次世代機787を完成させるために、彼らがドリームリフターで「夢」を運んできたことには間違いないのですから。


2009年03月24日

トンネルバス

 
23日早朝の成田空港でのフェデックス機炎上事故、びっくりしましたね。この事故の影響でA滑走路が閉鎖になり、乗客約500人が出発できず空港内で一夜を明かしたそうです。ちょうどその日、私もノースウエスト航空008便でシアトルへ向かう予定でヒヤリとしましたが、短いB滑走路から飛ぶことができて無事に現地に到着。いまはダウンタウンの中心部にあるウエスティンホテルでこのBlogを書いています。


週の後半にはシアトルから列車でポートランドへ向かうため、ホテルにチェックイン後はそのチケットをとりに、エリオット湾に面したウォーターフロント沿いを30分ほど歩いてアムトラック(全米旅客鉄道)のキングストリート駅へ。駅舎の南側にはイチロー選手の所属するシアトルマリナーズの本拠地セーフコフィールドが見えます。カウンターでチケットを予約すると、女性の係員が「ポートランドへの路線は海岸線を走るので景色は抜群よ」とにっこり。約3時間半の鉄道旅が、いまからとても楽しみになりました。

その後、19世紀に建てられたレンガや石造りの建物が保存されているシアトル発祥の地・パイオニアスクエアを散策していたら、重くたれ込めていた鉛色の空から雨が落ちてきました。運良く、近くに地下鉄の入り口のようなところが見えます。雨宿りしようと下に降りると、地下鉄かと思ったら、そこはバスの乗り場でした。

シアトルのダウンタウンの地下には、地上道路の渋滞を避けるためのバス専用の地下道がつくられています。その地下道を走るのが、この街の名物である通称「トンネルバス」〔写真〕。市内中心部には無料ゾーンが設けられていて、おかげでタダでホテル近くまで戻ることができました。やれやれ。

明日からはここシアトルで、航空機メーカー・ボーイングを3日間かけて徹底取材します。

2009年03月22日

大韓航空40年の歴史

 
東京・羽田空港の国際線ターミナル。13時5分発のソウル(金浦)行き大韓航空2708便の出発ゲート前が、四角くテープで囲われ、カメラを持った報道陣たちがその外側を取り巻いています。


「取材みたい。誰か来るのかしら」
「きっと有名人がこの便で出発するのよ」

搭乗を待つ乗客たちの、そんなささやき声が聞こえてきます。しかし、じつは有名人ではありません。報道陣が待っていたのは、歴代のユニフォームを身につけた大韓航空の客室乗務員たちでした。

この3月1日に創立40周年を迎えた大韓航空は、記念イベントの一つとして、旅客機1機に歴代ユニフォームを着た客室乗務員が乗務するスペシャルフライトの運航を開始。ロサンゼルスへ飛び立った3月16日のKE017便を皮切りに、4月中旬まで1カ月間、世界各地を巡っています。その2路線目の飛行として今日22日、KE2707便が金浦から羽田に到着しました。

折り返しのKE2708便への搭乗開始を待つ間、ゲート前では歴代ユニフォーム全11種類を一つひとつ披露する記念セレモニーが行われ、報道陣の一人として私も取材してきました。その詳細は後日、運営するAll About『世界のエアライン』で報告する予定です。

ところで、司会役を務めた大韓航空広報の山田恵美子さんが記念セレモニー終了後に「搭乗開始までまだ少し時間がありますので、ご希望の方はいっしょに記念写真をどうぞ」と乗客に呼びかけると、たくさんの人たちが客室乗務員たちと並んで嬉しそうにカメラに収まっていました。その光景がほほえましく、報道陣からもいっせいにカメラのフラッシュが! すると、年配の女性二人が顔を見合わせてこう言いました。「あらやだ、アタシたち、明日の新聞に出ちゃったらどうしましょ!」

「出ない、出ない」

私が無意識につぶやくと、それが近くにいた記者たちに聞こえたらしく、何人かが同時に吹き出していました。

2009年03月19日

台湾のベニス

 
台北市中心部からちょっと遠出をする日帰りスポットについて、一昨日のBlogで書きました。下の写真は「台湾のベニス」と呼ばれている淡水です。MRT淡水駅の目の前から河沿いに遊歩道がつづき、地元の若者グループやカップル、観光客らがそぞろ歩き。その足もとを、ネコがのんびりと散歩しています。


魚釣りをしていたおじさんが「週末は若い人たちでごった返す」と言っていたので、散策するなら平日がおすすめ。淡水河ぞいの遊歩道に並行して、みやげ物屋などが並ぶ旧市街の中正路が通っています。駅からの行きと帰りで違う道で歩くと変化があって楽しく、1時間もあればぐるっとひと回りできます。

私たちの淡水訪問の目的は「台北一の絶景」と言われる夕日の撮影だったので、日が沈む時刻までカフェでビールを飲みながら待つことに。で、そろそろかなと思ってカメラを持って店を出ると、太陽が雲の中に隠れてしまいました。

同行者である航空写真家の小栗義幸さんに「撮影のために天気をどうにかするのもプロカメラマンの仕事じゃないの?」と言うと、彼は「無茶言わないでくださいよ」と笑っていました。

さて、3泊4日の駆け足での台湾取材も昨日が最終日。午後のチャイナエアライン18便で、夕方帰国しました。淡水で、九份で、そして台北市内で出会った親切な台湾の人々が印象に残ります。親日的な雰囲気に包まれながら、おいしいものを食べ、満足のゆく時間を過ごすことができました。来週からはボーイング社の取材で、アメリカへ飛びます。その報告は、また現地から。

S.Akimoto at 06:34|PermalinkComments(0)clip!アジア・太平洋の旅 

2009年03月17日

石畳を踏みながら

 
今回の台湾の旅では、台北市内の中心部からちょっと離れた、郊外の街も探訪しています。昨日はホテル近くの中山駅からMRT淡水線に40分ほど揺られて、終点の駅「淡水」へ。地元の人に「広大な川面が赤く染まるたそがれの景観がとくに素晴らしいですよ」と教えられ、午後遅めの時間から歴史的な洋館やしゃれたカフェが建ち並ぶ河畔のプロムナードを歩きました。


そして今日は、台北駅から鉄道とバスを乗り継いで約1時間──太平洋を見下ろす山の斜面の広がるノスタルジックな街「九份」へ足を伸ばしました。

九份は19世紀末に金鉱が発見され、ゴールドラッシュに沸き上がった街です。金鉱が閉鎖されてからは「小香港」と呼ばれた当時の賑わいは失われましたが、1989年にここを舞台にした映画『非情城市』が上映されると再び脚光を浴び、台湾でも有数の観光名所となりました。

ここでの散策のメインは、細い路地にみやげ物屋などが並ぶ基山街と、古い茶芸館が軒をつらねる急な石畳の階段〔写真〕。台北市内の居酒屋の店員や電車で知り合った地元に人たちに「九份へ行ったら絶対に寄ってみて」と言われていたスイーツの店「牋で粍鰓ぁ廚砲睥ち寄り、タロイモで作った白玉団子に小豆などをのせたぜんざい風の名物カキ氷も食べました。

快晴の今日は、観光客も多く、坂道ですれ違う人々の間にいろんな国の言葉が飛び交っています。活気を取り戻してからは地元の人たちもホクホク顔のようですが、訪れる人が少ない雨の日に、しっとりした石畳を踏みながら歩くのもいいだろうなと思いました。

S.Akimoto at 23:57|PermalinkComments(0)clip!アジア・太平洋の旅 

2009年03月16日

“占い横丁”で未来を覗く

 
下の写真は、台北市内にある人気の観光スポット「行天宮」の内部の様子です。行天宮には三国志で有名な関羽が祀られ、商人には商売の神様として、軍人には戦の神様として古くから崇められてきました。昨日利用したチャイナエアライン107便の機内で日本人客室乗務員二人に「台湾観光のおすすめは?」と聞くと、二人の話の中で共通して出てきたのがこの行天宮。で、取材の途中で訪ねてみました。


「行天宮は無料で参拝できますので、いつ行っても観光客で賑わっています」と話してくれたのは、入社3年目の與風(よかぜ)瞳さんです。「もちろん地元の人も少なくありません。商売繁盛の御利益があるからと、毎日たくさんの人たちが訪れます」

そしてもう一人、日系エアラインのグランドスタッフから2004年に転職したという北田洋子さんは、彼女のおすすめスポットについて次のように話してくれました。

「行天宮でお参りしたあと、時間があったら“占い横丁”へ行ってみてください。日本語の話せる占い師の方もいらっしゃいます。私もときどき行きますが、前に日本の有名人も見かけました。台北でもっとも人気のある占いストリートです」

行天宮のある通りの角の地下道入り口から下に降りてみると、薄暗い通路に小さな占いブースが軒を連ねています。私はあまり──というより、まったく占いは信じないのですが、取材だと思ってそのうちの1軒に入ってみました。

生年月日や姓名、手相、人相をもとに、まずは私の「これまで」についていろいろ語られます。そのひと言ひと言に、いちいち本当にびっくり。「私の生活をどこかでじっと見てた?」と疑いたくなるほど、ピッタリと言い当てられてしまいます。性格、仕事、健康、対人関係──決して誘導尋問をされたわけではありません。そうして過去をすべて見抜かれたあとで、今後の展望を聞き、将来へのアドバイスを受けました。ちょっとドキドキでしたが、全般的にわりと明るい未来だったので、ホッとひと安心。単純なヤツと思われそうですが、占いって楽しいですよ(笑)。

S.Akimoto at 22:24|PermalinkComments(0)clip!アジア・太平洋の旅 

2009年03月15日

10年ぶりの台湾

 
成田発9時40分のチャイナエアライン107便で、台北にやってきました。考えてみると、台湾を訪ねるのはかれこれ10年ぶり。その間、この国ではさまざまな変化がありました。


たとえば昼間、台北の街なかをぶらぶら歩くと、以前は道路の脇などでスヤスヤ昼寝をしている人をよく見かけました。ホームレスの人ではありません。台湾では、暑い日中に体力を温存するため、みんなで昼寝をする習慣があったのです。ところが、グローバリゼーションの波がこの10年で台湾にも押し寄せ、そんな非効率的な習慣はやめようという運動が起こりました。今日、空港から台北市内へシャトルバスで移動しながらずっと窓の外を見ていましたが、街なかで昼寝をしている人などいまはもう皆無です。

政治の世界では、8年続いた民進党の政権下でいろんな問題が浮き彫りになり、1年前の2008年3月の総選挙では国民党の馬英九氏が民進党の謝長廷氏に200万票の差をつけて圧勝しました。また2007年1月には台湾新幹線が開通し、台湾国内の移動もずいぶんスピードアップ。台北と高雄だけではない、バラエティに富んだ台湾の旅がとても身近になっています。

さて、今回の台北での滞在先は、市内中心部にあるグランドフォルモサリージェント(台北晶華酒店)です〔写真〕。ここは目抜き通りの中山北路沿いにある、MRT中山駅からも徒歩圏内のロケーション抜群のホテル。今日から4日間、このグランドフォルモサリージェントを拠点に、過去10年の間に変化した台湾とまったく変わらない台湾らしい台湾の両方をじっくり見比べてみる旅にしたいと考えています。

S.Akimoto at 18:13|PermalinkComments(0)clip!アジア・太平洋の旅 

2009年03月13日

フィジーが遠く

 
南太平洋の楽園フィジーと日本を結ぶエアパシフィック航空の成田/ナンディ線が、今月末で運航終了になります。1988年に日本に就航して以来、同エアラインは20年以上にわたって旅行者たちを南国リゾートに誘(いざな)ってきました。


あの人懐こくて素朴なフィジアンたちにもうフライトで会えなくなるのかと思うと、残念でなりません。2007年に取材で訪ねたときも、多くのフィジアンたちにたくさんの思い出をもらいました。本島から同国最大のリゾートであるマナに船が到着すると、陽気なフィジアンたちが生演奏とコーラスで出迎えてくれます。その満面の笑顔とは対照的に、帰ってゆく船を見送るときの、彼らの本当に淋しそうな表情──目を閉じると、その一人ひとりの顔がいまも記憶の中によみがえってきます〔写真〕。

昨日は、2007年のフィジー取材を共にした航空写真家の小栗義幸さんと旅&グルメライターの古屋江美子さんと銀座で合流。エアパシフィック航空の広報としてお世話になった千葉孝雄さん、佐藤真由美さんの両氏を私がよく利用する和食屋に招き、ささやかな慰労会を開催しました。

夜7時から11時過ぎまで、途切れることなく続くおしゃべりの中身は、愛すべきフィジアンのことばかり。話しているうちに、いますぐにでも彼らに会いに行きたい気持ちになり、会の最後には「ここに集まった5人でまたいつかフィジーを訪れよう」ということで決まりました。

成田/ナンディ線のラストフライトは3月28日(土)。同路線の撤退にともない、エアパシフィック航空の日本支社もクローズされます。佐藤さんは以前からの目標だった国連職員としての採用が決まり、4月にもニューヨークへ。千葉さんは今後についてはまだ未定ながら「ずっと元気をもらってきたフィジーや、人間そのものに関わる仕事を続けていきたい」と話していました。

エアパシフィック航空は今後、アジアの新たな拠点となる香港への就航を予定しています。成田からはまずキャセイパシフィック航空で香港へ、そこでエアパシフィック航空に乗り継いでフィジーの玄関口であるナンディへ──そんなルートの取材プランが、早くも私の頭の中で動き始めました。

2009年03月11日

夏のベルゲン直行便

 
ノルウェー第二の都市ベルゲンをスタートして、同国の首都オスロへ。雄大な4つのフィヨルドを船とバスト鉄道を乗り継いで約1週間かけて巡った去年春のあの旅から、もうすぐ1年が経ちます。


旅の様子は、このBlogでも「ネアカな北欧クルーたち」「ベルゲンの芸術的街並み」「大自然にパワーをもらう」「ラールダールトンネル」「フロム鉄道の旅」「首都オスロを再訪」の計6回に分けて現地から報告しました。途中立ち寄った港町オーレスンの北欧屈指といわれる美しい街並み〔写真〕なども、心に焼きついて忘れられません。

2008年夏には、SAS(スカンジナビア航空)が期間限定で成田からベルゲンへの直行便を就航させ、フィヨルドの旅がぐっと近くなりました。実際に成田/ベルゲン線を利用してノルウェーを旅してきたという人も多かったようです。

さて、そのSASのベルゲン直行便が、昨年の好評を受けて2009年も実現することになりました。今年は成田を7月4日、11日、18日と8月8日に出発する計4便で運航されます。コペンハーゲンを経由する従来ルートだと、ベルゲンへは乗り継ぎを含めて18時間ほどかかるのに対し、直行便ならフライト時間は約11時間。成田を11時40分に発ち、現地時間の15時台にベルゲンに到着します。

夏のスカンジナビアは日照時間が長く、夜でも明るいので、ホテルにチェックインしてから世界遺産の街ベルゲンをゆったり散策するのもいいですね。みなさんもベルゲン直行便で、この夏はぜひ中世にタイムスリップしてみてください。

S.Akimoto at 07:24|PermalinkComments(0)clip!就航路線  | ヨーロッパの旅
Profile

秋本俊二(Shunji Akimoto)

作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながらエアライン関係者1,000人以上にインタビューを続け、新聞・雑誌やWeb媒体にレポートやエッセイを発表。テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動する。著書に『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。DVD『コンコルド1976〜2003──超音速飛行の27年』(ナウオンメディア)や児童・学校向け図書『飛ぶしくみ大研究』(PHP研究所)を監修・解説。

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