2012年05月20日

空飛ぶあんぱん

 
少し前の話になりますが、4月22日に成田からボーイング787で就航したJALのボストン線初便に搭乗した知人から「私ももらいましたよ、成田あんぱん。ボストンに着いてから食べましたが、おいしかったです!」と報告が届きました。


上の写真。「成田ソラガール」の3人が手にしているのが、彼女らが地元商工業や農業関係者と1年かけて共同開発を進めてきた「空飛ぶあんぱん」です。無添加のヘルシーな餡(あん)に成田ブランドのさつまいもがふんだんに使われていたり、地元産の古代レンコンや名物「鉄砲漬」がトッピングされていたりと、ご当地あんぱんとしての個性を強くアピール。これが、JALのボストン線初便の搭乗者に提供される記念品の一つに採用されました。

開発に取り組んできた成田ソラガールとは、成田市の女性職員有志で結成している“地域おこし”グループ。以前に何度か紹介した「成田空援隊」の下部組織にあたります。先日、ソラガールの一人ひとりと話してみて、空港のある地元成田にみんな心から愛着をもっていることを実感しました。その愛情が、完成したあんぱんにもたっぷり注がれています。

今年7月からは「ハード生地さつまいも」「レンコンさつまいも」など計4種類の成田あんぱんが市内で発売されることも決まりました。成田から海外へ飛ぶ際には、彼女たち渾身の作品をぜひ試してみてください。

S.Akimoto at 11:11|Permalinkclip!世界のエアポート 

2012年05月17日

大勢に見送られて

 
アトランタ国際空港が「世界で一番忙しい空港」であることは昨日のBlogで紹介しました。4,700エーカーという広大な敷地で5本の滑走路を運用し、毎日2,600もの便が発着。メインターミナルと国内線用のコンコースA〜D、国際線用のターミナルEの各施設が置かれ、それぞれが地下を走るモノレールで結ばれています。


現地時間の5月16日正午にグランドオープンしたのは、ターミナルEのさらに先に建設された新しい国際線ターミナルFです。この新ターミナルから最初に離陸するのが、成田に向けて13時25分に発つデルタ航空DL295便。昨日視察した新ターミナルに午前11時過ぎに到着すると、国内外からすでに数多くの報道関係者が集まっていました。

F7のゲート前で始まったオープニングセレモニーでのDL295便の機長らによるリボンカットのあとは、報道陣やデルタ航空関係者とともに同便の出発を見送り、その40分後に最初に到着するアイルランド・ダブリンからのDL177便を迎える手はずになっていました。けれども私は、記念のリボンカットの撮影までで取材は打ち切りに。18日は朝から予定が詰まっているため、そのDL295便に乗って帰国しなければならなかったからです。上の写真は、今回のイベント取材に日本から私とともに招かれた航空・旅行ライターの緒方信一郎氏が搭乗ゲートで撮影し、送ってくれたもの。緒方氏は引き続きアトランタに残り、最後まで取材を続けていました。

私は先ほど、16時30分過ぎに成田に到着しました。東京へ向かう帰りのスカイライナーでメールをチェックしたら緒方氏からさっそく写真が届いていたので、いま車内でこのBlogを書いています。

S.Akimoto at 18:13|Permalinkclip!世界のエアポート 

2012年05月16日

世界一忙しい空港

 
アメリカの“空の十字路”として発展を続けるアトランタ国際空港の1日の平均乗降者数が、2011年は25万人を超えました。年間では世界最多の約9,200万人が利用し、離発着する旅客機は1日2,600便に。その7割が、アトランタに本社を置くデルタ航空便です。


同空港は以前は4本の滑走路で運用されてきましたが、それでも足りず2006年に5本目の滑走路が敷設されました。5本ある滑走路のうち同時に3本からデルタ航空をはじめ各社の機体が飛び立っていく光景は、他の空港ではまず見られません。壮観そのものです。

この「世界一忙しい空港」に、数年前から建設を進めてきた新しい国際線ターミナルが完成しました。そのグランドオープンを前に、今日は各国のメディア関係者らとともに新ターミナルの施設などを視察〔写真〕。メキシコ、コスタリカ、コロンビア、ブラジルなどの中南米をはじめ、ヨーロッパではイギリス、フランス、ドイツ、イタリアから、アジアからも韓国、中国、香港から総勢40名のジャーナリストが招かれ、終日いっしょに行動して楽しく有意義な1日でした。

いよいよ明日(日本時間で17日)が、その新国際線ターミナルのグランドオープンです。私も再び空港へ行って、オープニングセレモニーに列席する予定。きっと今日以上にたくさんの報道関係者が集うイベントになるでしょう。詳細はまた後日、報告します。

S.Akimoto at 11:55|Permalinkclip!世界のエアポート 

2012年05月14日

LAの休日

 
周辺のカウンティ(群)を含めると広さは日本の関東平野に匹敵するロサンゼルスで、たった1日だけの休暇。ポイントを絞って効率よく歩かないと、移動だけで1日が終わってしまいます。さて、どこへ行く? 予定よりやや遅れて午前10時過ぎに空港に到着した私が最初に向かったのは、シカゴから続く全長3,755キロの「ルート66」の終点──サンタモニカでした。


風が少し冷たかったものの、ピア(桟橋)を1時間ほどのんびり散策したあとは、次なる目的地のファーマーズマーケットへ。いつもだとそろそろビールタイムなのですが、私には珍しく名物の搾りたてカリフォルニアオレンジのジュースでのどを潤します。ついでに屋台風レストランが並ぶフードコートでつまみ食いしてランチを済ませ、続いて足を向けたのは、これまた私がめったに行かない高級ブランドのショッピングストリート──ロデオドライブでした。

エルメスにルイヴィトンにシャネルにグッチに──私にはまったく興味がありませんが、ビバリーヒルズの一角にあるこの4ブロックほどのエリアは、本当に街並みがきれい〔写真〕。カメラを持って歩いていると、とめどなくシャッターを切ってしまいます。通りの終着点にあるビバリーウィルシャーホテルにたどり着いたときは、たっぷり2時間が経過していました。ちなみにビバリーウィルシャーは、映画『プリティウーマン』の舞台になったホテルです。

さすがに疲れて、ホテルのカフェではビールを注文します。冷えたジョッキを運んできたウエイターに「ビバリーヒルズは広いけど、いわゆる高級住宅街っていうのはどこからどこまでって明確な線引きはあるの?」と聞くと、彼は「歩道にある消火栓の色で分かりますよ」と教えてくれました。カフェを出てセレブたちの邸宅を目指して歩き始めると、なるほど、あちこちに黄色く塗られた消火栓が目につきます。そしてある通りを超えたとたん、その消火栓の色がすべて鮮やかなシルバーに変わり、家の建物がヤシの木などで隠されてまったく見えなくなりました。

S.Akimoto at 18:00|Permalinkclip!アメリカの旅 

2012年05月13日

それぞれの異国

 
つい先ほどまで、成田空港のA滑走路に近いホテル、マロウドインターナショナル成田にいました。目の前の迫力ある離陸シーンにカメラを向けるヒコーキ大好き女子──“空美ちゃん”たちといっしょに〔写真〕。今日はそこで、成田空援隊プロデュースによる女子会イベントを開催。講師役の航空写真家、チャーリィ古庄氏に呼ばれてゲスト参加してきました。


現在はJALの整備ハンガーでの撮影教室が続いていますが、私は先に失礼して、空港第1ターミナルにあるデルタ航空のラウンジ「スカイクラブ」に来ています。明日からアメリカ南部の街、アトランタで取材があり、これから16時15分発のDL284便でロサンゼルスへ。1日だけLAで休暇をとったあと、月曜日に移動してアトランタ入りする予定です。

そのことを古庄氏に話したら、彼から「えー、私も今日の夕方の便でLAに行くんですよ」と言われ、お互いにびっくり! 同じ日に別々にLAに飛ぶなんて、本当に奇遇です。古庄氏が利用するのは、19時15分発のシンガポール航空SQ012便。私は現地時間の朝9時40分にLAに到着し、その3時間後に彼も着きます。LAではそれぞれに予定があるものの、普通ならそこで「夕方から合流していっしょに食事でも」という話になるのでしょう。が、私たちの間では、どちらからもそんな提案が出ません。いいえ、決して不仲なわけではないんです(笑)。ただ、私は「どうせチャーリィは夜も空港に張りついて撮影を続け、飛行機といっしょに過ごしたいのだろう」と確信していますし、古庄氏は古庄氏で「秋本はダウンタウンの繁華街で飲んだくれるつもりだろうから」と私からの誘いを警戒しているに違いありません。だから「合流しよう」などという話はどちらからも出ないのです。

いつも仲のいい二人が、偶然にも同じ日の同じ時間帯にLAに降り立つというのに──周囲の人は「へんな関係だな」と思って見ているでしょうね。ですが、こればかりは仕方ありません。価値観の違いですから(笑)。さて、ではそれぞれのLAを目指して、まずはお先に出発します!

2012年05月10日

ドイツの観光名所

 
ドイツ観光局が外国人旅行者を対象に2012年2月に実施した「ドイツの名所トップ100」を決めるアンケート調査の結果が発表されました。約5,500人の回答者が選んだトップ100を見ると、目立つのはやはり世界遺産。ドイツにある36の世界遺産のうち、22がランクインしています。その中で堂々第1位にランクされたのが、写真のハイデルベルク城でした。


ハイデルベルクはドイツ最古の大学がある歴史ある街で、朽ち果てた古城が訪れる人たちを中世ロマンの世界へと誘います。2009年4月に私が訪ねたとき、ちょうど韓国の旅行雑誌から取材で来ていたキムさんという若い女性記者と知り合い、半日ほど行動を共にして街を撮影して歩きました。

キムさんは「買ったばかり」という新しいニコンを首から下げていました。いっしょに来るはずだったカメラマンの予定が変わり、急きょ単身での取材になったらしい。行く先々で彼女は懸命にシャッターを押していましたが、帰国後にソウルから「どれもうまく撮れていなかった」と電話で私に泣きついてきて、いくつか写真を送ってやったことを覚えています。私は写真を本職にしているわけではないから、自由に使っていいし、クレジットも必要ない。そう伝えたのですが、後日届いた雑誌には、ハイデルベルク旅行記のページを飾っていた5点ほどの写真の一つひとつにちゃんと私の名前が記されていました。そのときの1枚が、上の写真──ネッカー川を下るフェリーから撮ったハイデルベルク城です。

この古城が「ドイツの名所トップ100」の第1位になったと聞き、当時のことが頭によみがえって、懐かしさが込み上げてきました。ちょっぴりキュートだったあの韓国の新米記者、いまも元気に旅の取材を続けているかなあ。

2012年05月08日

ワイントレイン

 
下の写真は、走る列車の中で撮りました。というと「へえ、珍しいね。食堂車?」と思うかも知れません。食堂車といえばたしかにそうなのですが、この列車は先頭車両から最後尾車両までがすべて食堂車! 米国カリフォルニア州のワインの産地ナパバレーを走る観光列車──“ワイントレイン”です。


ナパバレーのワイントレインは、世界中の旅行者を魅了してやみません。走行区間は、ナパを出発して北上し、カリフォルニアのワイン醸造の発祥地といわれるセントヘレナまでの往復約59キロ。通常なら1時間もかからない距離を、時速20〜30キロの速度でのんびり3時間もかけてゴトゴトと進んでいきます。私も今回初めて体験し、広大なぶどう畑の中に点在するいくつものワイナリーを車窓から眺めながら、フルコースの料理とカリフォルニア産を中心としたおいしいワインを満喫しました。各国から集まったワイン好きの人たちとの車内での交流も、いい思い出です。

私は飛行機だけでなくもともと鉄道も大好きで、1900年代初期に製造されたアンティークな車両にも興味がありました。現在走っているのは、当時の車両を完全復元したもので、車両はラウンジ型や展望型など4つのタイプに分かれています。ステーションには早めに到着し、入線前の列車をいろいろ撮影させてもらいました。

その取材レポートは、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で本日より公開しています。読んで興味をもったら、みなさんもぜひ訪ねてみてください。飲んだり食べたりが大好きな人にも、もちろん鉄道ファンにも、きっと満足してもらえると思います。

≫≫≫「カリフォルニア州ナパバレーで“ワイントレイン”に乗った

S.Akimoto at 08:39|Permalinkclip!アメリカの旅 

2012年05月05日

747-8初号機がFRAへ

 
ゴールデンウィークも残すところ今日と明日の2日間のみ。みなさん、どんな休日を過ごしていますか? さて、この連休中もエアライン関係のニュースがいくつか届きました。その一つが、ジャンボ機のニューバージョン──ボーイング747-8インターコンチネンタルの1号機納入です。


納入された先は、同型機のローンチカスタマーであるルフトハンザです。1号機は4月25日にシアトルで受領し、5月1日に現地を出発〔写真=ボーイング提供〕。翌5月2日にルフトハンザが本拠を置くフランクフルトに到着しました。「空港には多くのルフトハンザ関係者や取材陣が集まり、賑やかにセレモニーが行われた」と、地元の記者から報告が入っています。

747-8は747-400と比較して燃料効率が向上し、座席当たりの拝ガス量を16%削減、騒音も30%軽減しました。この「地球にやさしい次世代ジャンボ」が、いよいよ6月1日にフランクフルトからワシントンD.C.へのLH418便で世界デビューを果たします。

現在私は、日本人の間でとくに根強いファンの多い747ジャンボ機に関しての新著出版を計画しています。その関係で747-8についても、航空写真家のチャーリィ古庄氏をともなっての撮影申請を出しているのですが、まだ取材許可がおりていません。デビューフライトの取材はちょっと難しそうですが、できるだけ早い時期にドイツに飛び、みなさんにも報告できればと思っています。

S.Akimoto at 13:44|Permalinkclip!

2012年05月02日

連休、真っ只中

 
ゴールデンウィークの予定は? 毎年この時期になると、必ずそれをあちこちから聞かれます。常に各国各地を飛び回っている人間が、プライベートに休みにはどんな場所を旅するのか。興味があるのでしょうね。


でも、どこにも行きません。今年に限らず、この答えもいつだって同じ。時間があれば旅に出てもいいのですが、ゴールデンウィーク中は必ず仕事が山積み状態になります。だから基本的には書斎にこもり、連載コラムや雑誌などから頼まれている単発のレポート、現在取り組んでいる新しい本などの原稿書きに追われることに。まとめて連休中にやればいいやって心のどこかで思っているから、こうなるのでしょう。まあ、自業自得です。

今日と明日は都内で、航空の世界でもかなりの“重鎮”として知られる二人の評論家との個別のミーティングを予定に入れました。今後の活動に向けた意見交換会のようなものですが、両者とも私の大先輩なので、一方的に学ぶことも少なくありません。きっといい刺激になるでしょう。

それ以外は、連休の最終日までずっと執筆作業が続きます。5月の3週目からはまた海外取材が入っていますので、その前に予定の枚数をきちんと書き上げなければなりません。上の写真──デルタ航空機の背景に写っている高層ビル群は、世界一忙しいといわれる空港がある都市のダウンタウン。連休明けには、まずはそのアメリカ南部の街に出かけます。

S.Akimoto at 00:02|Permalinkclip!オフタイム 

2012年04月28日

雨のランウェイ

 
今週木曜日(4月26日)の19時30分、雨に濡れた成田空港のランウェイに、フランス・トゥールーズのエアバス工場を飛び立った真新しいA320が舞い降りました。7月3日に国内線での運航を開始するジェットスター・ジャパンの1号機です。その到着の模様を取材するため、航空写真家のチャーリィ古庄氏が同社のオフィシャルカメラマンとして出動。下の写真は、そのときに撮影した1枚です。


「日が落ちてからの撮影で、しかも天候は雨という難しい状況の中でのミッションでしたが──」

撮影後に古庄氏からそう報告を受けていました。しかし送られてきた写真を見ると、これはこれでなかなかいい感じ。雨に光る路面に主翼のナビゲーションライトが反射し、幻想的な作品に仕上がっています。

ジェットスター・ジャパンはいよいよ7月就航に向け、本格的な準備に入りました。今後3年間ではA320を24機体制に増やす計画です。ますます激しくなることが予想される国内の空で、同社はどんな戦略を描いているのか? カンタス航空グループとJALが手を結んだことで、利用者にどんな空の旅を提供できるのか? この連休明けにも私は同社を率いる鈴木みゆき社長に単独インタビューする予定で、現在お互いのスケジュール調整に入りました。

S.Akimoto at 10:53|Permalinkclip!

2012年04月25日

季刊・航空旅行

 
イカロス出版から月刊エアライン&月刊エアステージの別冊として年に2回刊行されてきた『航空旅行ハンドブック』が、新雑誌『航空旅行』として生まれ変わりました。サイズもA4変型でひと回り大きくなり、従来の“航空”に加えて“旅”に関する情報もますます充実。そのリニューアル第1号〔写真〕が、明日4月26日(木)に全国の書店で発売になります。


刊行時期も、これまでの年2回から年4回の季刊に。以前私のBlogでも何度か予告しましたが、その第1号ではエアラインの「ファーストクラス」を特集しています。覗いてみたくても、なかなか見ることのできない憧れの世界を、本特集ではさまざまな角度から解き明かしました。

航空ライターの中西克吉氏によるエミレーツ航空A380のファーストクラス搭乗体験レポートは、必見です! また本特集では、日本のエアラインらしい、きめ細やかでハイレベルなサービスを提供するANAのファーストクラスにも注目。国内外から高い評価を得ているANAのファーストクラスサービスがどのように作られているかを私が取材し、報告しました。ほかにビジネスクラスとの違いや、初めてファーストクラスに乗るときの心得などについても、過去の空の旅での見聞をもとに詳しく書いています。

せっかく海外に出るのなら、空港のゲートをくぐった瞬間から旅を始めないともったいない。長年私は、そんな持論を訴えつづけてきました。『季刊・航空旅行』は目的地までのフライトと現地での旅をセットで満喫するための最良のバイブルになるでしょう。7月に刊行を予定している次号の企画づくりも、編集部と相談しながらスタートしました。春・夏・秋・冬の季節の節目に、ぜひ本書で価値ある旅情報をゲットしてください。

S.Akimoto at 18:29|Permalinkclip!空の旅の資料館 

2012年04月24日

観光名所をひと巡り

 
ローマ市内を効率よくまわるなら、市が運営する観光バス「110 open」を利用するといい。イタリア政府観光局の知人に出発前にそう教えられ、テルミニ駅前の停留所から2階建ての赤いオープンデッキ・バスに乗り込みました。


10分間隔で運行され、9カ所の停留所に止まりながら観光名所をたどるこのバスは、乗りっぱなしでも1周に約2時間かかります。ですが、48時間有効のチケット(18ユーロ)を買うと、どの停留所でも乗り降りが自由。停留所で待っていれば、すぐに次のバスがやってきます。結局私は、バスに揺られて半日遊んできました。

テルミニ駅前を出発すると、やがて前方にコロッセオが見えてきます〔写真〕。まずはそこで下車して、撮影がてら内部を見学したあとは、次なる目的地ベネツィア広場へ。ベネツィア広場からは徒歩で周辺を散策し、予約しておいたローマ料理レストランでランチをとりました。「IL GIARDINO ROMANO」という名のその老舗レストランは、成田からローマへのアリタリア-イタリア航空AZ785便の機内で日本人クルーが「アーティチョークが最高においしいから」とすすめてくれたもの。先ほどfacebookのPhoto Essayに写真をアップしましたので、ご参照ください。

その後も、ナヴォーナ広場やサン・ピエトロ大聖堂、トレヴィの泉、スペイン広場などの観光名所をぐるっとひと巡り。有名な観光スポットに近づくにつれ、道路はクルマが数珠つなぎになってなかなか前に進みません。ですが、もともと私は大の乗り物好きです。2階のオープンデッキから街を見下ろすアングルが快適で、私には渋滞さえもが心地よく思えました。

S.Akimoto at 11:57|Permalinkclip!ヨーロッパの旅 

2012年04月23日

ガスパリーニ機長

 
アリタリア-イタリア航空の777機長、レンツォ・ガスパリーニさん〔写真右〕が、私のインタビューに応じてくれました。成田からローマへの向かうAZ785便の機内でのことです。パイロットの交代の時間になり、キャビンに顔を見せたガスパリーニさんは、口数こそ少ないもののとてもフレンドリーなイタリアン。アリタリアひと筋に26年間勤務を続け、社内でもみんなから信頼されているベテラン機長です。


「MD-8やDC-10を始め、エアバス機やボーイング767など、これまでいろんな機種のコクピットを経験してきた」と、ガスパリーニ機長は言います。「その中でもこのトリプルセブン(777)は、私にとって間違いなくナンバーワンの機材だね」

上空で高度を上げたり、左右に旋回しようとコクピットで操作した場合、パイロットの意思が機体に伝わるまでに多少のズレ(タイムラグ)が生じます。けれども、777にはそれがない。まるで自分の手足のようにリアルタイムに、過不足なく忠実なパフォーマンスを発揮してくれる──そうガスパリーニ機長は言うのです。

アリタリア-イタリア航空は現在、777を長距離国際線の中心機材として運航しています。ガスパリーニ機長もこれまで、その777を操って欧州域内はもちろん北米や南米、アジアなど世界の空を飛んできました。では、自分で操縦していて一番好きな路線は? 私のそのちょっと意地悪な質問に、彼は間髪を入れずに答えました。

「日本だよ。当然ね。だって食べ物はおいしいし、知り合う人がみんな親切でやさしい。彼らが暮らす国へまた飛んでいけるという日は、前の晩からワクワクする気持ちを抑えられないよ。ミスター・アキモト、日本のみなさんに私からよろしくって伝えておいてくれるかい?」

2012年04月22日

ローマへ

 
何年ぶりでしょうか。前にふらっと降り立ったのは、かれこれもう15年前──いや、20年近く前? いずれにしても、うまく思い出せないほど昔です。今日これから、久しぶりにイタリア・ローマへ向かうことになりました。成田線で運航するボーイング777-200に新しいシートを導入したアリタリア-イタリア航空を利用して。


ゴールデンウィーク前だからそれほど混んでいないだろうと思ったら、カウンターのスタッフが「予約はほぼ満席」と言っていました。いま成田空港第1ターミナルの搭乗ゲート前にいますが、なるほど、かなりの人、人、人──。そのほとんどが、観光やレジャーでの渡航のようです。“ネットワークキャリア”を目指す他のヨーロッパ系エアラインでは、乗客の6、7割がそれぞれのハブ空港で乗り継いでヨーロッパの別の都市に向かうのに対し、アリタリア-イタリア航空の日本からの乗客はほぼ8割がイタリア1カ国だけを目的地としています。ファッションやデザイン、アート、音楽、グルメなどを楽しむことを目的に。

そういう人たちにとって、飛行機に乗った瞬間からイタリアを満喫できるアリタリア-イタリア航空は大人気。目の前に、出発準備を進める機体の尾翼が見えます〔写真〕。国旗カラーである緑と赤をベースに、尾翼の形に合わせて同エアラインの頭文字「A」を重ねたロゴマークは、多くのファンに支持されてきました。ビビッドなグリーンの制服に身を包んだ陽気な客室乗務員たちに本格的なイタリアンでもてなされながら、私もこれからローマまで約12時間のフライトを満喫したいと思います。

2012年04月19日

ビールの祭典

 
ドイツ・ミュンヘン発祥の「オクトーバーフェスト」がこの秋、東京ドームにやってきます。オクトーバーフェストは、レーベンブロイやホフブロイハウス、アウグスティナーなどのビール会社がミュンヘン市内の公園に巨大テントを張って、自慢のビールとバイエルン料理を提供する世界最大のビールのお祭り。毎年9月から10月の開催時期に世界中から1,000万人近いビール好きが集まるこのイベントに、私も過去に一度だけ参加しました。


写真は、オクトーバーフェストの時期にドイツの民族衣装を着用するルフトハンザのクルーたちです。規模としては本場ミュンヘンに遠く及びませんが、日本でも2002年から横浜の赤レンガ倉庫で同様なイベントが開催されてきました。2011年は17日間の開催期間で約17万人が来場するほど認知度が高まっています。この秋の開催を発表した東京ドームでは「スーパーオクトーバーフェスト」と銘打ち、11月30日〜12月2日の3日間で実施。はたしてどれくらいのビールファンが集まるでしょうか。

秋まで待てない、という人には、東京スカイツリータウンからも耳寄りなお知らせが。5月22日の東京スカイツリーの開業に合わせ、同タウンに世界の約150種のビールを提供するレストラン「世界のビール博物館」がオープンします。最大300人以上を収容できる施設で、私の好きなベルギービールやチェコの樽生なども飲めるそうです。

昼間は初夏を感じさせる日も多くなり、ビールがおいしい季節になりました。スカイツリータウンの「世界のビール博物館」にも東京ドームの「スーパーオクトーバーフェスト」にも、オープンしたらさっそく、ビール大好きな旅ライターを誘って行ってみようと思います。

S.Akimoto at 11:37|Permalinkclip!オフタイム 

2012年04月16日

最強のCクラス

 
シンガポール航空のボーイング747に別れを告げるメモリアルフライト取材から帰国して、1週間が経ちました。747による東京/シンガポール間の大量輸送の主役は、現在はエアバスのオール2階建て機A380にバトンが受け継がれています。写真は、成田への帰国便で乗ったそのA380のビジネスクラスです。背もたれを前側に倒してベッドにした状態ですが、ご覧のようにとにかく広い。各社の同クラスと比べても、私は「最強のシート」と評価してきました。


60席に設置数を抑えたビジネスクラスに、アッパーデッキ全体の3分の2のスペースが割かれています。その贅沢なスペースに、2本の通路をはさんで横1列を“1-2-1”のたった4席でレイアウト。横幅が本当にゆったりしていて、大げさではなく二人並んで座れてしまうサイズです。

シンガポール航空は先週末、毎日3往復しているシンガポールからロンドンへの全便を6月1日よりA380での運航に変えると発表しました。なんとも、うらやましい! 同社が日本線にA380を投入しているのは現在、シンガポールから成田を経由してロサンゼルスに向かうSQ12便と、その逆のルートのSQ11便のみ。東京便もすべてA380になるといいのにな、と思います。

7、8時間のフライトを終えて目的地に到着すると、普通は「やれやれ、やっと着いた」とホッとします。が、これもそのときの状況によりけり。先週、A380でシンガポールから成田にランディングした際に、私は思わず呟きました。「ああ、もう着いちゃった。ここ(成田)で降りずに、このままロサンゼルスまで飛んでいけたらいいのにな」と。

S.Akimoto at 09:29|Permalinkclip!シート&設備 | 就航路線

2012年04月13日

少ない水で機体清掃

 
エールフランス航空から昨日、環境保護の取り組みについてユニークな発表がありました。機体の外装を清掃するのに、従来と比べて100分の1の水しか使用しない方法を開発した──というのもです。これまで中距離線の機材では実績のあるこの方法を、今後は長距離線で運航する大型機でも採用していくことも報告されました。


新しい清掃方法では、小さなシートにクリーニング材を染み込ませて使用します。これにより使う水の量を従来の100分の1程度に減らし、作業時間も3分の1に短縮。ボーイング777の場合、これまでは1万リットルの水が必要だったのが、新方式では100リットルに抑えられるそうです。777よりもさらに大きなエアバスA380なら、効果はより増すでしょう〔写真はエールフランス航空のA380=チャーリィ古庄氏撮影〕。

水を節約するだけではありません。機体の外装を常にきれいに保つことで、空気抵抗が少なくなり、CO2の排出量を減らすことが可能です。エールフランス航空はこの方式で、すでに年間800万リットルの節水と57トン以上のCO2排出量の削減に成功してきました。

エアライン各社の環境保護活動が加速しています。2011年後半にはルフトハンザがハンブルグ/フランクフルト間で半年間にわたりバイオ燃料によるデイリー運航を実施。その詳細は『誠Style』でのレポート「7億円を投資してバイオ燃料の旅客機を飛ばすルフトハンザの本当の狙い」でも報告しました。エールフランス航空とルフトハンザ──競うように環境問題に挑みつづけるこの両社が、いずれも環境規制の厳しいヨーロッパのエアラインであることにも、私は注目しています。

2012年04月10日

ミサイルとお受験

 
北朝鮮によるミサイル発射計画の影響で、ANAJALは落下が予想されるエリアを通る運航便の飛行ルートを12日から16日まで変更すると発表しました。影響はそれだけではありません。国内のいくつかの中学校では、この時期に予定していた沖縄への修学旅行をやむなく中止にするケースも。まったく、迷惑な話です。


空のダイヤが乱れるとか、子どもたちに影響を及ぼすとか──そういえば同じようなことが、たしか隣の国・韓国でもあったような。あれこれと考えて、韓国の受験シーズンの話を思い出しました。こちらは「迷惑」などではなく、むしろ子どもたちを気づかっての行動です。

韓国では毎年11月に、日本の大学受験のセンター試験にあたる修学能力試験が実施されます。この“お受験”の1日は韓国の人たちにとって「その後の人生を決定してしまう」という最も重要な日で、受験生たちは国をあげてサポートされてきました。

地下鉄やバスなどの交通機関は、受験生が時間に遅れず試験場に到着できるよう早朝から8時まで増便。企業や官公庁の出勤時間も、交通渋滞を防ぐために通常より1時間繰り下げられます。それでも寝坊などの理由で遅刻しそうな学生のために、地下鉄の駅などにはパトカーや白バイが待機し、パトカーがサイレンを鳴らしながら受験生を試験会場に送り届ける光景も珍しくありません。ヒアリング試験が実施される時間帯はバスも電車も試験場周辺では徐行しなければならず、警笛の使用もいっさい禁止。そして旅客機の離着陸も騒音防止のために規制され、大韓航空の関係者は「この日だけは空のダイヤを変更することもある」と話していました〔写真は、大韓航空が運航するエアバスA380〕。

身勝手な行動で他国のエアラインの飛行ルート変更や子どもたちが楽しみにしている修学旅行の中止を余儀なくさせる国と、子どもたちの将来のために空の便のダイヤ変更も辞さない国と。もともとは同じ一つの国なのに、なんだか、ずいぶん違うものだなあ。

2012年04月07日

メモリアルフライト

 
約40年にわたって世界の空を飛び続けてきたシンガポール航空のボーイング747が、ついにラストフライトの日を迎えました。昨日は最後の別れを告げるメモリアルフライトで、シンガポールから香港を往復。「SQ747/748」という便名を冠したこの特別便に、世界中から集まった多くの熱心なファンたちとともに搭乗したことで、とてもいい思い出ができたと思っています。


昨日のメモリアルフライトには、シンガポール航空のコマーシャル担当上級副社長のマック・スゥイー・ワー氏や同社の最初の747パイロットだったケネス・トフト機長ら多くの関係者も同乗。上級副社長のワー氏とは、3年前にフランス・トゥールーズで会って以来の再会です。3年前には、シンガポール航空がエアバスから新造のA330-300の1号機を受領する際に取材に行き、現地で彼に単独インタビュー。副社長もそのときのことを覚えていたようで、機内で私に「東京からようこそ」と声をかけてくれました。

写真は、香港からシンガポールへ折り返す747のアッパーデッキで私と副社長が歓談している様子を、同行していた日本人記者が撮影してくれたものです。その15分ほどのやりとりの中で、私はワー氏からこんなメッセージを託されました。

「世界の中でも、日本には“ジャンボ機”747に特別の思いを寄せているファンの方が大勢いると聞いています。シンガポール航空が運航してきた747も、たくさんの日本の方々に応援していただきました。私を含めたシンガポール航空の社員一同から、これまで支えてくれた日本のみなさんに、ぜひ感謝の気持ちとお礼の言葉をお伝えください」

2012年04月03日

なぜ旅に出る?

 
いきなりの疑問形で、なに、と思うかも知れません。じつはこれ、4月4日にUST&ニコ生でオンエアされる「ビジネステレビ誠」の特番タイトル。このあとに、こんな答えがつづきます──「そこに飛行機と鉄道があるからさ」。20時から1時間の生放送番組で、私もゲスト出演することになりました。詳細はこちらから。


ビジネステレビ誠は通常、毎月1回の放送ですが、明日は「旅」にフォーカスした特別番組。『誠Style』で「“秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話」を連載中の私と、人気の鉄道コラム「杉山淳一の+R Style」などを連載する杉山淳一さんがゲストで招かれ、飛行機と鉄道の旅について二人でしゃべりまくります。

担当ディレクターからはトーク内容についていくつか「宿題」が届いていますが、明日の生放送終了後に私はシンガポールに飛ばなければならず、番組出演の準備にまで手がまわりません。テレビでもラジオでも、私の場合は事前に準備をしてもその通りに話が進むことはまずないので、いいかなとも思います。だから明日も、聞かれたことに答え、当日の気分でしゃべりたいことを自由にしゃべろうかな──と。司会は大変でしょうけれどね。あ、司会は『Business Media 誠』編集長の才女、吉岡綾乃さんです。

ところで、シンガポール航空が1973年より約40年にわたって運航を続けてきたジャンボ機ボーイング747が、3月25日のメルボルンへの往復を最後に定期路線から退役しました。今週金曜日(4月6日)にはシンガポール/香港間で通常のSQ238便を「SQ747便」に名前を変え、メモリアルフライトを実施します。そのメモリアルフライトに私も乗るため、明日は番組が終わったらすぐに羽田に移動し、深夜便でシンガポールへ。なぜ旅に出かけるか? 私のその答えは、明日に限っては一つしかありません──「これまで空の旅で何度もお世話になった“あいつ”に、別れを言うためさ」。

2012年03月30日

どうした、ピーチ!!

 
搭乗便が空港に到着し、ボーディングブリッジが接続されると、機内に業務連絡のアナウンスが流れます──「客室乗務員はドアモードを変更してください」。すると乗務員は、自分が担当するキャビンのドアに向かって何やら操作を開始。あれはいったい、何をしているのでしょうか?


乗客を降ろすためにドアのロックを外している、と思っている人も多いようですが、そうではありません。旅客機のキャビンのドアには、緊急脱出用のスライドシュートが収納されています。緊急時に内側からドアを開けると、スライドシュートに自動的にガスが充填され、ドアから地上や海に向かって下りていくという仕組み。そんなものが空港で乗客が乗り降りする通常の状態で作動してしまったら大変なので、旅客機が空港に降りているときは客室乗務員によるドアモードの「ディスアームド・ポジション」への変更──つまり緊急脱出装置の作動を解除する作業が必要になるわけです。

28日(水)の午前8時半ごろでした。関西を拠点に3月1日から運航を開始したLCCのピーチが、長崎空港を出発前の機体の緊急脱出用スライドシュートを客室乗務員が誤って作動させるというトラブルが発生。乗務員は搭乗者を確認するため、一度閉めたドアを開ける際に、脱出装置の解除をうっかり忘れてしまったそうです。

出発準備などの作業を効率化して旅客機が空港にとどまっている時間を短縮し、1機の旅客機を1日に何往復もさせることで収益を上げる──それがLCCのやり方です。しかし1便1便の安全性維持にかける時間までは、絶対に縮小してはいけません。客室乗務員の仕事で一番大事なのは「保安要員」としての役割であり、既存のエアラインでは一人ひとりが「プロ」としての責任と自覚をもって仕事をまっとうしてきました。そのために日々厳しい訓練を重ね、実際のフライトでは常にさまざまなシーンを頭に思い浮かながら、いかなる状況下でも必要な行動を確実かつ迅速にとれるようシミュレーションしながら乗務に当たっています。

今回のピーチのトラブルは、そうした認識の「甘さ」が露呈した結果になったのでは? 単なる一乗務員のミスで片づけるべきではないでしょう。これは会社全体の問題です。だって、反対のケースを想定してみてください。出発時にドアモードの「アームド・ポジション」への変更をうっかり忘れてしまったら、緊急時にドアを開けてもスライドシュートが作動せず、乗客は機外への脱出ができなくなるのですから。どれだけ格安で運賃を提供できても、安全面で利用者に不安を与えるようなことがあってはLCCに未来はありません。ちょうど本日、誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で、LCCの安全性について考察したコラムをアップしました。

≫≫≫「“激安運賃”で注目のLCC。安全性は本当に大丈夫なのか?

2012年03月28日

イエローナイフ上空

 
鶴丸塗装のボーイング787が昨夕、成田に到着しました。これから就航準備に入り、4月22日にはJALのボストン直行便が飛び始めます。私の知人も「すでにチケットを予約した」と言っていました。アメリカへの旅の選択肢が、また一つ広がりますね。


アメリカへの旅といえば、同じ航空連合ワンワールドに加盟するアメリカン航空は、京浜急行とニューヨーク市観光局との共同で本日より「羽田からニューヨークへ行こう!」というキャンペーンをスタート。今年の6月3日から再開される同社の羽田/ニューヨーク線の需要促進を狙ってのキャンペーンです。

アメリカン航空の羽田/ニューヨーク線は、昨年2月20日に開設されました。ちょうどマンハッタンを訪れる用事があり、私もその就航初便(AA134便)に乗ってニューヨークへ。いまでも思い出すのが、羽田を離陸して8時間ほど経ったときのことです。モニターに映し出された飛行経路マップを見ると、AA134便は太平洋を越えてアンカレジを過ぎ、カナダ・バンクーバーの北部を東に向かって進んでいました。

「そろそろイエローナイフ上空か──」

現地では真夜中の時間帯です。私は窓のシェードを上げ、暗闇の中で北の空に目を凝らしました。幸い、天気は悪くありません。待つこと30分。やがてはるか前方に見えてきたのが、上の写真──オーロラでした。こんなシーンに出会うのも、空の旅を続ける楽しみの一つです。

S.Akimoto at 01:13|Permalinkclip!アメリカの旅 | 就航路線

2012年03月25日

奇妙な交流会

 
下の写真──左に写っているのは、マンボミュージシャンで国際サンタクロース協会の公認サンタとしても活躍する、ご存じパラダイス山元さん。そしてその隣、中央で私の新著を持ってくれているのが、こちらもご存じ落語家の柳家三之助さんです。週末の土曜日、この奇妙な組み合わせによる交流会が実現しました。


ミュージシャンと落語家と、航空ジャーナリストの私。一見、何のつながりもないように思えるかも知れません。じつは、山元さんは1年で1,000回も飛行機で旅をする“マイルの達人”です。一方の三之助さんも飛行機旅行が大好きで、中部国際空港で「セントレア寄席」などを続ける“空港の達人”。二人とは、私が監修して2月末に発売になったJTBムック『旅客機と空港のすべて』に航空ファン代表として登場していただいた縁で、交流が生まれました。

そしてここは、東京・荻窪にある山元さん経営の餃子専門店「蔓餃苑(まんぎょえん)」。山元さんは「芸能界で餃子を作らせたら一番うまいのはタモリかパラダイス山元」と言われるほどの“腕”の持ち主で、仕込みから調理、接客までをすべて一人でこなしてしまいます。もっとも、店とはいっても限定1,000人の完全会員制で、普段はオープンしていません。毎日送信されるメールでのみ、その日の開店時間を会員に告知。昨夜はその山元さんの、まるで芸術ともいえる作品(餃子)の数々を味わいました。写真で山元さんが手にしているのは、最後に締めの一品として焼いてくれたイチゴ入りのデザート餃子です。

おいしい餃子でお酒も進み、旅と飛行機の話が尽きません。気がついたら、アッという間に終電の時間でした。山元さんから「今度どこか会場を借りて、この3人で“空の旅”をテーマにしたトークイベントを開きましょう」と提案され、三之助さんも私も無条件で賛同。近く読者のみなさんにも、イベントの具体的な案内ができるかも知れません。

2012年03月22日

Boston in 1987

 
ボーイングは3月20日、GE製エンジンを搭載した787の型式証明をFAA(米連邦航空局)より取得したと発表しました。これに先だって、ロールスロイス製エンジン搭載の787は2011年8月にすでに型式証明を取得。こちらはローンチカスタマーのANAに納入され、国内外の空で活躍を始めています。しかし異なるエンジンを装備する場合は、別途に証明を取得しなければなりません。


若干の遅れが懸念されていたGE製エンジン搭載の787が、いよいよこれで完成しました。JALはその初号機を25日にボーイングから受領し、翌26日には米国を出発。27日に成田に到着します。

そして4月22日から、787による成田からボストンへの直行便が新規に開設されます。キャビンにはビジネス42席、エコノミー144席の計186席を設置。これまで長距離国際線を運航する場合は、大量の燃料が必要なのでどうしても大型機に頼ることになり、一度に多くの乗客が利用する路線でなければビジネスとして成立しませんでした。しかし燃費効率が同サイズに従来機に比べ20%向上した787なら、180人程度の乗客数で長距離を飛ばしても十分にペイできます。今後はかつてダイレクトにアクセスできなかったさまざまな都市に就航地が広がるでしょう。JALはたとえば、2012年度中に成田/サンディエゴ線などの開設も発表しています。

成田からダイレクトにボストンへ。いいなあ。写真はアメリカをしばらく放浪中、ふらっとボストンに立ち寄ったときのものです。画質が粗いのはフィルムで撮った写真をスキャナーで読み込んでいるから。思えば、もう25年も昔の旅です。私も若かったですし、街の様子もいまはすっかり変わっているでしょうね。近く再訪してみようかな──ボストン。JALの直行便で。

2012年03月19日

幸せな“街猫”たち

 
犬か猫かと聞かれたら、私は間違いなく「猫派」です。過去に犬を飼ったのは一匹だけですが、猫は東京・下町の私の実家に代々何匹も住みつき、いつも大切な家族の一員でした。そんな猫派の私にとって、イスタンブールはとても楽しい街です。なにせ、どこを歩いても街じゅうが猫だらけなのですから。


観光地の広場で、土産屋の軒先で、坂道を上った住宅地で──猫に出会わないことはまずありません。野良猫かな? それとも誰かの飼い猫? どっちだろうと思って焼き栗を売っていた屋台のおじさんに訊ねてみたら、そのどっちでもありませんでした。どこからかやってきて、近所の人たちみんなに可愛がられている「街猫」なのだそうです。

猫が近寄ってくると、イスタンブールの人たちは邪険に追い払ったりしません。ねだられると自分のパンを分けてやり、観光客が猫にカメラを向けると、嬉しそうにそれを眺めています。私が海沿いのカフェでお茶を飲んでいたら、猫が一匹店に入ってきて、ウエイターの足もとにまとわりつきました。仕事中はさすがにダメだろうと思って見ていたら、ウエイターは隣のテーブルで給仕しながらそっとクツを脱ぎ、足先で猫のお腹をこちょこちょ。テーブルの下には、ペットボトルの底の部分を切り取ってお皿にした、猫用の飲み水が置かれていました。

イスタンブールの猫たちは、本当に幸せそう。お腹をすかせてゴミ箱を漁る必要もないから、どの猫もみんな小ぎれいです。私もお茶に添えられてきたビスケットを小さくちぎって手のひらに乗せ、舌先で「チュッ、チュッ」と招き寄せようしましたが、猫は見向きもしません。ウエイターが笑って首を振り、私に言いました。

「ちがうちがう。イスタンブールではこうやるのさ」

彼は唇で「ピシ、ピシ、ピシ」と声を出します。すると猫はすぐ反応して寄ってきました。この街で猫に話しかけるには、トルコ語が必須のようです。その後は、猫を見かけるたびに「ピシ、ピシ、ピシ」と声をかけ、たくさんの街猫と友だちになりました。こんなことを覚え、また少しこの街の“通”になれた気がしています。

2012年03月16日

1万キロを隔てて

 
トルコ航空本社のイベント取材を無事に終えました。同社の社員たちの顔をペイントした新しい特別塗装機とその公開時の様子は、先ほどfacebookでアップしています。イベントといっても、今回はメディア向けではありません。あくまで「社員たちによる社員たちのためのもの」という印象で、地元メディア以外に招かれたのは、私のほかにロシア、イタリア、ギリシャ、カタール、インドなどから計20名程度でした。


イスタンブール国際空港の一角にある整備ハンガーに昼前に到着すると、特設会場はすでにトルコ航空の社員たちで超満員の状態。何千人もの社員たちが詰めかけ、自分たちの顔がペイントされた特別塗装機の公開を待ちかまえています。残念ながらイベントに参加できない、遠く離れた拠点で働く人たちとは、リアルタイムの中継で会場と結ばれました。

世界の約1万6,000人の社員たちの顔を描いた特別塗装機の概要が司会者から説明され、CEOなどの挨拶が終わると、正面に設置された大型スクリーンに各国の拠点の社員たちが次々と登場します。ニューヨーク、ロンドンから始まり、イタリアのミラノ、南アフリカのケープタウン、そして約1万キロ離れた東京とも中継がつながりました。浜松町にあるオフィスでカメラの前に日本支社のスタッフたちが整列。私と親しい広報担当の顔も見えます〔写真〕。

このイベントに列席した海外のメディアは、どの国も2、3人のグループで来ていましたが、日本からは私一人だけ。一人旅には慣れているものの、やはりどこか淋しい思いがあったのでしょう。気がつくと、私は巨大な特設スクリーンに映し出された日本のスタッフたちに向かって思い切り手を振っていました。

2012年03月15日

シートピッチの話

 
現地時間の昨夜8時にイスタンブールのアタチュルク国際空港に到着しました。成田からイスタンブールへは、飛んでいる間だけでもたっぷり12時間。本を読んだり映画を観たり、いろいろしないと時間が進みません。「12時間なんて寝てればすぐだよ」という人もいますが、私は機内ではあまり眠れないほうですし、眠れるかどうかはシートの快適さにも左右されるでしょう。そこで今日は、トルコ航空のシートの話を──。


エアライン各社が上級クラスの新しいシートを発表すると、必ず注目されるのが「シートピッチ」──座席の前後間隔のサイズです。上の写真は、昨日のフライトで利用したトルコ航空のビジネスクラス・シート。ご覧のとおり、シートピッチがとにかく長い! 公表されているサイズは約2メートルで、ビジネスクラスとしては決して突出しているわけではないのですが、2メートルじゃきかないだろうといつも思います。だって、フルフラットにして寝そべっても、私などは足もとに余裕がありすぎてむしろ不安定な印象さえ受けるのですから。

日本人は足が短いからだよ、といわれればそれまでですが、トルコ航空は身体の大きいヨーロッパの人たちをターゲットにしているのは間違いありません。イスタンブールはアジアとヨーロッパと──その両大陸にまたがる都市です。そこを拠点とするトルコ航空をアジアのエアラインとするかヨーロッパのエアラインとするか、以前はよく迷いました。しかし彼らが常に口にするのは「目指すはヨーロッパNo.1のエアライン」という言葉。その目標を達成するためにも、ゆったりしたシートピッチでの快適なスペースの提供が不可欠なのでしょう。

シートピッチが他社に比べてゆったりサイズであることは、上級エコノミーの「コンフォートクラス」でさらに際立っています。こちらは先ほど、facebookで写真を公開しましたので、参考にしてみてください。

2012年03月14日

トルコ航空051便

 
成田空港第1ターミナルの34番ゲート前でいま、トルコ航空051便へのボーディング開始を待っています。出発準備を進めるボーイング777-300ER〔写真〕をガラス越しに眺め、トルコ航空が自社保有の777-300ER初号機を受領したときのことを思い出しながら。あれは、2010年10月でした。


当時私は、航空写真家のチャーリィ古庄氏をともなってシアトルへ飛び、ボーイングのエバレット工場でトルコ航空への新造機引き渡し式典に列席。そのあと、受領したばかりの真新しい777-300ERを同社の拠点であるイスタンブールへ運搬するフェリーフライトに各国の記者らとともに乗せてもらいました。ビジネス、コンフォート、エコノミーの3クラスを合わせて337席が設置されたキャビンに、乗り込んだのはトルコ航空関係者を除けば私たち30人だけ。機内はまさにお祭りさわぎです。普段あまり接点のないウクライナやチェコ、ブラジル、コロンビアなどから来ていた記者たちとワイングラスを傾け、交流をもちながらの11時間のフライトは、とても楽しい経験でした。

あれから1年半が経過したいまも、777-300ERはトルコ航空の長距離路線の主役として活躍を続けています。そして今日もこれから、トルコ航空本社を取材するため、この777-300ERで再びイスタンブールへ。イスタンブールは昨年5月に「ピカソの足跡をたどる旅(2011年5月21日〜6月1日のBlog参照)」の出発点として訪ねて以来、ほぼ10カ月ぶりです。前回はスペイン・マラガへのフライトに乗り継ぐための1泊だけでしたので、今回は取材を終えたあと少し時間をとって、のんびり歩いてこようと思います。

成田からイスタンブールまで、約12時間20分の長旅です。シルクロードの上空をひらすら西へ西へ、おいしいトルコ料理とワインを楽しみながら。何なのでしょうね、仕事で飛ぶのに、まるで休暇でもとったようなこの解放感は(笑)。行ってきます!

2012年03月11日

LCCの疑問50

 
日本初となる本格的LCCのピーチが就航して、10日が経ちました。まずは関空から札幌と福岡への路線でデビューし、今後は国内の他の都市やアジアへと翼を広げていきます。同社は当初から「エアバスA320での4時間圏内のフライトを視野にネットワークを拡大していく」という方針を打ち出していました。そこでA320で4時間で移動できる距離を具体的に測ってみると──。


成田または羽田から離陸した場合、中国の北京や上海までがちょうど4時間のフライトの距離に当たります。では、関空を出発点にするとどうでしょうか? 東京よりも1時間西に位置する関西からだと、4時間の範囲は香港やフィリピンのマニラまで広がることに。実際、ピーチは今年の後半以降にソウル(仁川)や台北(桃園)のほか、香港にも就航を予定していることを発表しました。

以上のことは、新著『みんなが知りたいLCCの疑問50』(サイエンス・アイ新書)の中の1項目──「ピーチはなぜ関空を拠点に?」で書いています。刷り上がったばかりのその新著の見本が昨日、出版社から送られてきました〔写真〕。

今年に入ってからかなりの時間をこの本の執筆に費やしていたなあと、改めて思います。一時期は寝ても覚めても頭の中はLCCのことだらけ。まあ、そのくらい集中しないと1冊の本にはならないのですが。読者が真っ先に開く「はじめに」のページを書くために、2月の半ばにはソウルへも飛びました。仁川国際空港のカフェラウンジで日本の各都市から到着するLCCを眺めながら文章を書き進めたことも、もうずっと昔のような気がします。

ともあれ、ようやく完成した『みんなが知りたいLCCの疑問50』。今週後半から全国の書店に並びますので、目にとまったらぜひ手に取ってみてください。

2012年03月08日

金環食フライト

 
太陽と月は、地上からだとほぼ同じ大きさに見えます。実際は太陽のほうが月の400倍も大きいのだけれど、月よりも400倍遠くにあるから、見た目の大きさはほとんど変わりません。この「ほとんど変わらない」というのが微妙な表現で、月の軌道のふらつきによって、月の見かけの大きさはほんの少しだけ太陽より大きくなったり小さくなったり。


で、皆既日食のときにたまたま月が地球から少し離れていると、月は太陽を隠しきれなくなります。その「たまたま」が日本で起こるのが、今年の5月21日。世紀の天体ショーまで、いよいよあと2カ月とちょっとに迫りました。

日本で金環食が観測できるのは1987年以来、25年ぶりです。これは観ない手はありません。観測用のメガネなどもすでに飛ぶような売れ行きで、工場はフル稼働の状況が続いているとか。問題は、当日の天気だけですね。いっそのこと、雲の上まで飛んでいきたいなあ。そう思っていたら、JALが今日から「金環食を雲の上から」と題した観賞ツアーの販売を始めました〔写真はイメージ〕。

やるなあ、JAL──という印象です。詳細を見ると、チャーター便は5月21日の午前6時20分ごろに離陸し、金環食のピークとなる7時台の時間帯に高度約9,000メートルの太平洋上を旋回。観賞用メガネもおまけでつくそうです。料金は、窓側席に一人で参加する場合は7万〜7万6,000円。う〜ん、ちょっと高い。けど、迷うなあ。売り切れないうちに、予約を入れようかな。

2012年03月05日

キャビン歳時記

 
日曜日の朝、東京の下町に在住でKLMオランダ航空に客室乗務員として勤務するMさんからメールが入りました。彼女は関西/アムステルダム線を中心に乗務し、フライトが終わると東京に戻ってきます。「先ほどアムスから関空に到着しました」という一文で始まるそのメールがちょっとユニークだったので、紹介しましょう。


「3月のいまごろの時期は学生さんたちの卒業旅行がピークで、連日満席という状況が続きます。今日のフライトでもキャビンは若いエネルギーが満ち満ちて、ひっきりなしにビールの注文が入りました」とMさんは書いています。「ところがあと何週間かして4月に入ると状況は一転し、キャビンはリタイア組のチューリップ鑑賞ツアーのお客さまで埋め尽くされます。こちらは食事の時間が終わると、みなさんいっせいにお薬タイム。お酒やビールではなく、あちこちから『お水お願い!』という注文の手が上がります」

なるほど。そうやってキャビンでも季節のうつろいを感じながら、彼女たちはフライトを続けているのですね。

写真は、何年か前の春にオランダのアムステルダム郊外をクルマで走っていて遭遇した風景の1枚です。東京でも今週の半ばからぐっと春めいてくるとお天気キャスターが伝えていました。私にとっては、花粉と格闘しなければならない辛い季節ですが……。

2012年03月02日

エアライナークラブ

 
ニコ生の番組出演を終え、本日午後に関空から戻りました。下の写真は、昨日の本番前の様子です。関空スカイビューの展望デッキに設置した放送用のブースで、スタッフたちは準備に大忙し。通常のスタジオからの放送なら常設の機材が使えますが、いつもと違う場所が舞台になると、必要な機材をすべて持ち込まなければなりません。私が現場入りする何時間も前から、スタッフたちは必死にセッティングを進めていたようです。お疲れさま。


さて、昨日の放送ではメイン解説の私のほかに、原輝生さんと河村直樹さんという二人のゲストが出演しました。二人はいずれも「エアライナークラブ」に所属する大の民間航空機ファン。今日は、そのエアライナークラブについて紹介しましょう。

エアライナークラブは、全国の飛行機好きの人たちが集まって設立されました。1984年にスタートし、現在の会員数は約90名。エアラインの記念フライトに乗ったり、航空機の撮影旅行や整備工場の見学会を実施したりと、幅広い活動を続けています。昨日会った原さん、河村さんも、ピーチの就航フライトで関空と新千歳を往復してきました。「5月ごろに成田空援隊(去年のBlog「成田写真三昧の旅」でも紹介)と合同イベントを計画しているので、ぜひご参加ください」と原さん。私は会員としての活動は無理ですが、ゲストで遊びに行くと約束しました。飛行機と旅が好きな方は、会のメンバーに加わってみてはいかがですか?

昨夜は放送終了後、片づけが終わるのを待って、私たち出演者と番組ディレクターと現場の裏方スタッフ全員で関空エアロプラザにある居酒屋へ。ビールジョッキを手に、遅い時間までLCCと旅行の話で盛り上がりました。

S.Akimoto at 23:49|Permalinkclip!出会った人々 

2012年03月01日

黒い機体で

 
関空からピンク色のカラフルな機体が2機、相次いで飛び立ちました。朝7時過ぎに最初の1機目が札幌・新千歳へ、そして約20分後には2機目が九州の福岡に向けて。和製LCCの第1号、ピーチの初就航です。書斎で『ニコニコ生放送』のライブ映像を観ながら、その様子を冒頭の1シーンに書き入れ、執筆を進めてきた新著『みんなが知りたいLCCの疑問50』(サイエンス・アイ新書)が校了になりました。すべての文字データと画像データがこれから印刷所にまわり、予定どおり3月15日に刊行になります。


その後、10時過ぎまで別の仕事の書き物をしてからオフィスを出て、現在は羽田空港第2旅客ターミナルに来ています。いまから関空までのフライトで利用するのは、写真の黒い機体。久々のスターフライヤーです。

ピーチについて冒頭で「和製LCCの第1号」と書きましたが、過去に格安運賃で国内市場に参入したエアラインがなかったわけではありません。これから乗るスターフライヤーも、新規参入組の1社でした。1990年代に日本でも航空法の規制緩和が実施されたのを受け、1998年9月に東京/福岡線でスカイマークが、同年12月には東京/札幌線でエア・ドゥが運航をスタート。その後は東京/宮崎線でスカイネットアジア航空が、そして東京/北九州線でスターフライヤーが新たに就航しました。

新興4社は既存大手よりも大幅に安い運賃を打ち出しましたが、迎え撃つANAJALも黙っていません。両社とも競合する路線にのみ同レベルまで割引した運賃を設定。つまり、露骨に潰しにかかりました。立ち上がったばかりの競争相手を、大手が巨大資本を振りかざして土俵から引きずり落とそうというのですから、ひとたまりもありません。結果、エア・ドゥは2002年6月に、スカイネットアジア航空も2004年8月に経営が破綻します。この2社はANAの協力を得て経営再建に着手し、スターフライヤーもANAと提携することで生き残る道を選びました。大手と真っ向から対抗する新興勢力は結局、ただ1社、スカイマークだけになってしまったのです。

さて、そろそろ時間です。関空の展望デッキから送る今日17時からのニコ生「LCC特番」では、そんな方向にも話が発展するかも知れません。1時間30分という長丁場ですし、台本も何もないので、どんな展開になるのか? では、行ってきます!

S.Akimoto at 11:30|Permalinkclip!日本のエアライン 

2012年02月27日

ニコニコ生放送

 
いよいよ今週、ピーチ・アビエーションが関西国際空港から離陸します。初就航は3月1日(木)の朝7時に発つ札幌・新千歳行き。一般の乗客に混じって多くのメディア関係者が実際のフライトを搭乗取材する予定で、親しい記者仲間やカメラマンらからも「私も乗ります!」と報告が届きました。


私は3月15日に刊行になる『みんなが知りたいLCCの疑問50』(サイエンス・アイ新書)を前日いっぱいで校了し、就航当日のその時間はおそらくまったく違う仕事の原稿を書いていると思いますが、ピーチ初就航の様子はネットでのライブ動画配信サービスの『ニコニコ生放送』でリアルタイム中継されます。そして午前中いっぱいで執筆の仕事を切り上げ、午後のフライトで私も羽田から関空へ。当日の17時より、同じ『ニコ生』で現地から「2012年。LCCが日本の空の旅を大きく変える!?」という1時間30分の生番組を受け持つことになりました。

本格的な和製LCCの第1号となるピーチに続き、ANA系のエアアジア・ジャパンやJAL系のジェットスター・ジャパンが相次いで就航する2012年。LCCの登場でこれからの旅のスタイルはどう変化するのか? そもそもLCCとは何なのか? その“激安運賃”のヒミツは? 関空展望デッキの特設ブースより現地の映像を交えながらの1時間半──さまざまな角度からLCCを分析・展望し、その舞台裏などをわかりやすく解説していきたいと思います。

2012年02月24日

NYのメディアで

 
2011年11月にデビューしたボーイング787“ドリームライナー”のフィーバーぶりも、ここへきて一段落かな? そう思っていたら、最近またにわかに盛り上がりつつあるようです。ANAが羽田/フランクフルトなど長距離国際線での運航をスタートし、この旅客機の本当の意味での真価が発揮されはじめたからかも知れません。


著書『ボーイング787まるごと解説』(サイエンス・アイ新書)も今月に入って『毎日新聞』7日付け朝刊の生活文化欄で紹介されたほか、旅行業界紙大手の『週刊トラベルジャーナル』誌でも2月13日号で大きく取り上げられました。ラジオでは先週土曜日に子ども向け科学番組「大村正樹のサイエンスキッズ」にゲストで呼ばれ、787をテーマに大村さんとトーク。明日の25日にもその後編がオンエアされます。そして今日、787フィーバーは海を越え、アメリカ・ニューヨークでも著書が紹介されました。

取り上げられたのは、現地で発行されている日本語紙『週刊NY生活』。2004年に創刊以来、ニューヨーク駐在の日本人ビジネスマンや学生などに広く読まれているフリー紙です。現在はデジタル版の配信も始まり、世界中どこでも読めるようになりました。

ネットで同紙デジタル版にアクセスすると、映画『鉄の女』でアカデミー賞候補になっている女優メリル・ストリープさんが表紙の本日配信の最新号が〔写真〕。その第20面のBOOKSコーナーで、詳しく書いてくれています。現地でも多くのニューヨーカーたちが、787の就航を心待ちにしているのかも知れません。

2012年02月21日

ヒマラヤ越え

 
中国のチベット自治区で今年、標高4,436メートルの高地に空港を建設する計画があるそうです。4,436メートルというと、それまで世界で最高峰にあった同じチベットのチャムボバムダ空港(4,334メートル)よりも、さらに102メートル高い。そんな高い土地に空港をつくって大丈夫なの? ちょっと心配になります。きっと離着陸が大変だろうな、と。


旅客機の主翼は上面が前縁から後縁に向かってふっくらと丸くふくらんでいて、そこに早い速度で空気が流れることで生じる空気の圧力差(負圧)が機体を上に持ち上げる揚力になります。しかし高地にある空港はもともと気圧が低いため、主翼に大きな圧力差を生じさせるのがむずかしい。標高2,000メートルを越える高地だと気圧が20%程度低くなるから、旅客機の性能も20%低下してしまうのです。そのため、高地の空港での離着陸は危険度が増すといわれてきました。

ところで、チベットの中枢都市であるラサには、ラサ・クンガ空港があります。こちらも標高は4,004メートルと富士山より高い。ラサ・クンガ空港は、中国国際航空が四川省の成都とネパールのカトマンズを結ぶ路線の中継地になっていて、私はこのフライトにずっと注目してきました。成都からラサに到着した便が準備を終えて再び離陸すると、気圧が薄いなかをエンジン全開にして一気に高度を上げて急上昇。眼下に連なる8,000メートル級の山々を見下ろしながら、ヒマラヤ山脈上空を通過していきます。

この壮大な景色を眺められるのは、まさに同便に搭乗した人たちだけの特権です。私は去年から「成都からラサ経由でカトマンズに飛ぶフライトを取材したい」と中国国際航空に申請を出しているのですが、まだ返事がきていません。忘れられちゃったのかなあ。そろそろまたプッシュしてみようかな。

2012年02月18日

真冬のソウルより

 
さっき外に出て温度計を見たら、なんとマイナス6度! 寒いというか、空気が肌に突き刺さって「痛い」という表現のほうが合っている感じで、あわてて空港内のカフェラウンジに逃げ帰ってきました。ここでいま発着する旅客機をウィンドウ越しに眺めながら、3月15日に刊行する新著『みんなが知りたいLCCの疑問50』の「まえがき」を書き進めています。


韓国・ソウルの仁川国際空港に来ています。週末にうまいこと時間が空くことになって急きょ計画し、5日前にチケットを予約して。個人的な取材テーマで人に会わなければならない用事があり、ついでに最新のLCC動向を視察しておこうと思い立ちました。昨日の夕方の便で到着したのですが、こっちは東京に比べてもさらに寒い。冬だし、ソウルだし、当たり前なのですが。

ぼちぼち切り上げてソウル中心街に向かいますが、午後から3時間いただけで、今日も日本からいろんな航空会社の便がここ仁川にやって来ました。まずは関西からチェジュ航空〔写真〕が、続いて成田からイースター航空が、そして札幌からはジンエアーが。18時を過ぎると昨年12月に就航したばかりのティーウェイ航空も福岡から到着します。そのいずれもが、破格の運賃で空の旅を提供しているLCC。「週末旅行で関西から来ました」という若いグループと先ほど少し話をしてみました。LCCは旅のスタイルを──というより、人々のライフスタイルそのものを変えつつあるなという印象です。

さて、いまから韓国カルチャー誌の編集長と会うため、各国大使館などがある梨泰院(イテウォン)エリアの待ち合わせ場所へ地下鉄で移動します。「とっておきのおいしい店に案内する」と彼は言っていましたが、どこに連れていかれるのかな? こっちの人はお酒も半端じゃなく強いので、潰されないようにしないと(笑)。それにしても、うぅ、外は本当に寒そう。

2012年02月15日

LCC元年が始まる

 
ピーチの就航まであと2週間に迫り、マスコミ各社からはLCCに関する取材依頼が一気に増えてきました。7月にはJAL系のジェットスター・ジャパンが、翌8月にはANA系のエアアジア・ジャパンも相次いで離陸。まさに「LCC元年」といわれるように、2012年の日本の航空界はLCCの話題一色に染まりそうです。


格安で空の旅ができることで利用者たちの期待も集まっているようですが、では、旅行会社にはLCCはどう映っているのか? その点に疑問を感じていたら、日刊Web業界紙『トラベルビジョン』が独自に実施したアンケートの調査結果を報じていました。

上のグラフが、旅行会社のLCCとの関わり方についての回答です。小さくて見えづらいですが、回答を寄せた30社のうち「すでに販売をしており、今後も積極的に販売していく」が7社、また「販売はしていないが前向きに検討している」が5社あり、前向きな意見が全体の4割を占めました。LCCといえば、旅行会社を通さずネットでの直販システムを構築しているのが特徴です。しかし旅行者のニーズがある以上、各社とも無視できないのでしょう。ある旅行会社では昨年、福岡と関西、成田から韓国・釜山への路線に就航しているエアプサンを利用したパッケージ商品を販売したところ、すぐに売り切れたそうです。

さて、このところずっと執筆に集中していたLCC関連の本ですが、今週初めにようやく脱稿。『みんなが知りたいLCCの疑問50』というタイトルで、ソフトバンククリエイティブから予定どおり3月15日に発売されることが決まりました。出版社からはぼちぼち初校のゲラが届き始め、現在は著者校正の作業に進んでいます。校了まであと2週間。中高生や旅好きの女性たちにもわかりやすく、読み物としても楽しい1冊になるよう、最後まで全力でブラッシュアップを重ねていきたいと思います。

2012年02月12日

機上のティータイム

 
なんか、すごくお洒落だなァ。下の写真は、イギリスの伝統的な風習である“アフタヌーンティー”のワンシーン。いいえ、老舗ホテルのティールームとかではありません。雲の上でのサービスです。


英国のヴァージンアトランティック航空は、ビジネスクラスに相当する同社の「アッパークラス」の新しいプロダクト開発を1億ポンド(約121億円)を投じて進めてきました。その一環として2012年3月1日から導入すると発表したのが、雲の上でのアフタヌーンティーのサービスです。個別のミニケーキスタンドで乗客一人ずつに提供される機上のティータイムなんて、じつに優雅。クープ型グラスでのウェルカムシャンパンの乾杯や、新しいスタイルの機内食なども合わせて導入されるそうで、これはぜひ早い時期に体験してみたい!

それにしても、エアラインのプレミアムサービスはどんどん進化しているなァ。相変わらずLCC関連の原稿書きを続けているので、なおさら思います。

あ、LCCもとても重要なのですよ。私たち旅行者に選択肢を増やしてくれる、という意味で。企業努力で一生けんめいチケットの値段を下げてくれて、使い方によってはじつに重宝します。いま書いているのも、そういう本です。念のため。

2012年02月09日

何もかもがLCC

 
3月に刊行するLCC関連の書籍の最終追い込みで、今日も早朝から作業を続けていると、9時を過ぎて航空写真家のチャーリィ古庄氏からメールが。ジェットスター・ジャパンが7月に就航することが決まり、昨日撮影した発表会見の様子の画像を添付して送ってくれました。


さっそくキャプションをつけて編集部に入稿し、また執筆に戻ります。午後になると、こんどは3月1日に就航するピーチ〔写真〕から「ソウル、韓国、台北への国際線サマーダイヤのスケジュールが決定」というニュース資料が届きました。こちらも新著の関連ページに反映させて、また作業を再開。電波メディア2社から仕事の依頼・相談の連絡が舞い込んだのは、夕方近い時間でした。1社はテレビ関連で、3月1日のピーチ初就航時に関西国際空港から中継で伝える番組への解説者としての出演は可能か、という打診。もう1社は地方のラジオ局で、来週の朝の番組でLCCにフォーカスするので、インタビューしたいという依頼です。もちろん、両方とも承諾しました。

ですが──ううゥ、もう何もかもがLCCです。本を書いていて、さすがにちょっぴり気が滅入ってきました。機材を小型機に統一してエコノミークラスだけで運航しているとか、シートが狭いけど短距離路線なら我慢できる範囲だとか、機内食は有料でサービスもごく簡素なものだとか。旅の選択肢が増えるのは私も大歓迎で、応援していく気持ちに変わりはないですが。

1月27日のBlogでお伝えした旅行系雑誌のリニューアル創刊号の第1回打ち合せが、今週ありました。その打ち合せで、ファーストクラス大特集の企画も本決まりに。狭いシートで機内食も出ない空の旅についての仕事のあとは、ゴージャスな最上級クラスの旅の取材かァ。ついついそんな空想をふくらませてしまいます。

いや、いまはまず、目の前の仕事をきっちり満足いくものに仕上げないと。そう考えながら作業に集中し、ときどき休憩をはさんで苦めのコーヒーを口にし目を閉じると、頭の中でファーストクラスでの旅を始めてしまう自分を発見します。

S.Akimoto at 23:33|Permalinkclip!日本のエアライン 

2012年02月06日

成田シャトル

 
近く北海道に飛ばなければならない状況になりそうで、どのエアラインのどの路線を使おうか──仕事の合間にネットで検索していました。結果、運賃の面では飛び抜けてリーズナブルだったのが、スカイマーク〔写真〕の「成田シャトル」です。


同社が2011年10月から運航を始めた成田/新千歳線と成田/旭川線のチケットが、とにかく安い。「WEBバーゲン」として就航後3カ月間、各便20席限定で設定していた980円の激安販売は終わってしまいましたが、現在も普通運賃で新千歳線が1万4,800円、旭川線が1万5,800円。ANAJALの羽田線の普通運賃に比べて、スカイマークの成田シャトルの安さは際立っています。

東京の都心部や城南地区に在住の人には、アクセス面で成田はハンデがありますが、城東の下町地域からならアクセス時間も羽田とそう大差はありません。ANAやJALの羽田線に比べてスカイマークの成田シャトルは便数の設定は少ないものの、うまく時間が合えば利用価値は大でしょう。

ところで、読者の方から「スカイマークってLCCなんですか?」と質問されることがあります。LCCか、そうでないか。その線引きはむずかしく、私もいままでは「新興エアライン」などと表現してきました。でもこれからは、堂々と「LCC」と書くでしょう。新千歳線と旭川線、昨年12月に開設した那覇線に加え、2012年に入って今月から福岡線が、そして3月には神戸線もスタートします。その後も函館、出雲、高松などが就航地の候補に挙がっている成田シャトル。LCC、スカイマークが変える首都圏からの航空事情に、今後しばらくは注目です。

2012年02月03日

ライアンエアーのこと

 
書斎にこもって毎日16時間くらいPCに向かい、書き物に集中するという状況が、ずっと続いています。3時間ほどの睡眠と、食事と入浴タイム、そして1日に何回かの休憩時間を除いて。もう山は越えて、ゴールは見えていますが。


いろいろと仕事が重なっています。昨夜から今朝にかけては、アイルランドのLCC、ライアンエアーについて書いていました。ドイツのフランクフルトから英国ロンドンへのフライトで体験したことを思い出しながら。そして、こう呟きながら。「良くも悪くも、あのLCCは半端じゃなかったなあ」と。それがLCCだと言われればそうなのですが、コスト削減のためにはとにかく何でもやります。徹底して。だからこそ、旅客輸送実績で欧州ナンバーワンにまで成長できたのでしょう。

上の写真は、そのライアンエアーの機内です。運航機材はボーイング737-800。書いていたら、また乗りにいきたくなりました。いまの仕事が一段落したら、出かけようかな。

あ、断っておきますが、このBlogは休憩時間に書いています。仕事の合間にやっていたら、さっさと原稿を進めてくださいと催促が来そうですから。なので、あまり長く休憩時間はとれません。今日はこのへんで。

2012年01月30日

宇宙へワープ

 
いきなり宇宙の話で、すみません。素粒子や暗黒物質など宇宙の根幹に関わる謎の解明に取り組んできた理論物理学者の村山斉さんが先週、集英社から『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』という新刊を出しました〔写真〕。これは“村山宇宙論”の決定版といえるかも知れません。


太陽はどうして燃え続けていられるのか? 目に見えない暗黒物質の存在がどうやってわかった? 宇宙はなぜこんなにも人間に都合よくできているのか? 宇宙に関する謎をこれほどやさしく解き明かした解説本は、かつてなかったように思います。

この本の編集を担当した集英社インターナショナルの本川浩史さんは、じつは私にとっても頼れる仕事のパートナーです。今回の新刊は、彼が手がけてきた「知のトレッキング叢書」という新シリーズの第1弾。ようやく刊行の運びになった先週末、彼は私に連絡をくれました。「発売を記念して著者(村山斉氏)の講演会を開催するので、来ませんか?」と。詳細は下記のとおりです。

村山斉講演会〜宇宙はなぜこんなにうまくできているのか〜
日時:2012年2月4日(土)19:00開演(18:30開場)
会場:新宿・紀伊國屋ホール(新宿本店4階)
料金:1,500円(全席指定・税込)
前売:キノチケットカウンター(紀伊國屋書店新宿本店5階)
電話予約:紀伊國屋ホール(TEL=03-3354-0141)
※受付時間はいずれも10:00〜18:30


2月4日、うかがおうと思います。最近ずっと書斎にこもる日々が続き、精神的にかなり消耗しました。週末はおそらく一段落しているので、次の新たな仕事に向かう前に、壮大な宇宙に思いを馳せてリラックス&リフレッシュしようかな──と。終演後には村山さんのサイン会もあるそうですので、興味のある方はぜひ!

2012年01月27日

覗いてみたい世界

 
入っちゃダメ、と言われると、入ってみたくなる。開けないでね、と言われると、意地でも開けたくなる。その先に未知への扉があると、つい覗いてみたくなるのは誰でも同じでしょう。エアラインの世界でいうと、限られた一部の人たちしか利用できない「ファーストクラス」がそうかも知れません。


最近はマイレージでアップグレードする方法も一般化し、ビジネスクラスまでは体験したという人が増えました。けれど、ファーストクラスとなると話は別。ほとんどの人にとって、そこは想像するしかない空間です。

ここ数年のファーストクラスの“進化”は、とどまるところを知りません。まるでホテルの一室のような個室タイプが登場したり、シャワールームが設置されたり。写真は、ルフトハンザが運航するエアバスA380のファーストクラスのトイレで、奥にはゆったり着替えができるほどのスペースが広がり、赤いバラの花が生けられています。乗務員の対応もグレードアップしました。最上級クラスでサービスできるのは、選ばれた一握りのクルーだけ。彼女たちは専門の訓練を受け、社内で資格をとってファーストクラスでの乗務につきます。高額な料金を払って乗ってくれる人に何とか報いようと、出発地の空港に到着してから到着地の空港を出るまでトータルにもてなそうというエアラインも増えてきました。

ある旅関係の雑誌がこの春、誌面を全面的にリニューアルする計画で、創刊第1号の誌面づくりを手伝うことになりました。その目玉企画として考えているのが、ファーストクラスの大特集です。各社それぞれに技術の粋を集めた最新のシートや設備から、最上級クラスにふさわしい食事とワイン、さらにクルーたちの洗練されたサービスまで──ファーストクラスのすべてを網羅する特集で、クルーの訓練の様子や利用者層などについても言及できると面白い企画になるかも知れません。

いま進めている書籍の執筆が来週半ばに一段落するので、さっそく具体的な企画づくりと取材準備にかかりたいと思います。

2012年01月24日

雪の日の空港で

 
ドイツ・ベルリンで開催されたある国際会議に出席するため、成田からフランクフルト経由のフライトを利用したときのことです。フランクフルト空港に到着すると、あいにく天気は雪。スポットに駐機していたベルリン行きの接続便の主翼にも、白い雪が積もり始めています。


このぶんだと出発が遅れるか、欠航もあるかな? そんな心配が脳裏をよぎりました。すると、雪の中をライトを照らしながら機体に近づいてくる1台の車が! 現れたのは、あの特殊車両です。

旅客機の運航にとって、雪はとてもやっかいなものです。とくに主翼に降り積もった雪や付着した氷は、飛行に大きな影響を及ぼします。そのまま放置すれば、旅客機の離陸性能は大きく低下。本来、翼の上面に空気が流れることで発生する揚力が、付着した氷による翼面の形状変化で得られなくなるのです。アメリカのNASAが行った実験では「翼に0.8ミリの厚さの氷が付着すると、離陸時の揚力が8%失われる」というデータも報告されました。

そこで出番となるのが「デ・アイシングカー」と呼ばれる特集車両です〔写真〕。デ・アイシングカーは、その名のとおり「デ・アイス(徐氷)」する──つまり凍りついた機体の表面に除氷液をかけて雪や氷を溶かすための作業車で、車両の本体部分に約4,000リットルの除氷液を積載。これで約10機分の作業が可能です。

日本列島は先週末から、記録的な寒気にすっぽりと覆われました。いまのこの時期、とくに北国の空港では、きっと何台ものデ・アイシングカーが出番を待っていることでしょう。

S.Akimoto at 16:26|Permalinkclip!世界のエアポート 

2012年01月21日

2012年の流行予報

 
阪急コミュニケーションズより、女性誌『フィガロジャポン』3月号〔写真〕が届きました。最新号のメイン特集は「2012年の流行予報」。ページを開くと、リード文に「お待たせしました! 新しい1年を笑顔でいっぱいにしたいから、フィガロは総力をあげて今年の流行予報を発令します」とあります。


内容をチェックしてみると、モードや美容、インテリア、グルメにカルチャー、そしてデジタルから旅まで──計181のトピックスを網羅した全方位型のトレンド予測を54ページにわたって展開しています。これだけの情報を集めるのは、編集部の人たちもさぞかし大変だったでしょう。

モードや美容、インテリアなどには私はまったく興味ないものの、グルメページでは「へえ、今年はこんな店が流行るの?」とちょっと勉強に。そして次のページをめくると、映画紹介のコーナーで来月26日に発表されるアカデミー賞のゆくえを占っています。編集部の予測は、はたして当たるでしょうか?

またトラベルのページでは、じつは私が、2012年に注目すべき“空の旅”のトレンドについて3つの角度から書きました。興味ある方はどうぞご覧になってみてください。『フィガロジャポン』3月号は昨日より全国の書店で発売になっています。

2012年01月19日

嬉しいニュース

 
サイエンス・アイ新書の旅客機シリーズとして2007年9月に最初に出した『みんなが知りたい旅客機の疑問50』と、翌2008年12月に刊行した続編『もっと知りたい旅客機の疑問50』の2冊が、中国語に翻訳されて2010年と2011年に台湾を中心に発売になりました〔写真上〕。


中国語市場での私の本の売れ行きや反響は、どうなのかなあ。ときどき思い出しては気になっていたのですが、今週になってとても嬉しいニュースが! 同じ台湾の晨星出版社より新たに2冊──昨年11月に出した最新作『ボーイング787まるごと解説』とその姉妹編である『エアバスA380まるごと解説』を同時に翻訳出版したいというオファーが、日本での版元であるソフトバンククリエイティブを通じて私のもとに届いたのです。

海外旅行はアジアの人々にも身近になり、出版社の話では「航空ファンも急増している」とのこと。787は世界中のエアラインが発注していますし、A380を運航するアジア系エアラインも数社に拡大しました。次世代旅客機と言われるこの2つの機種の就航を、アジアの多くの人たちが心待ちにしているのかも知れません。

それぞれにどんな先端技術が搭載され、これまでの旅客機と何がどう違うのか? それによって、フライトがどう変わるのか? 新しい2冊の翻訳書を通じてそのことが海外の人たちにも伝わり、空の旅に夢をもってくれるといいなと思います。

2012年01月16日

“元気”のヒミツ

 
年が明けて早、2週間。フル稼働の状態が続いています。まずはこの2月に、JTBパブリッシングから同社初となる航空もののムックが刊行される予定で、先週はその監修作業が中心になりました。同時進行で連載コラムを書き進めたり、春に出すサイエンス・アイ新書の新しい1冊の執筆を始めたり。一昨日の土曜日にはゲストで呼ばれたラジオ番組(2本)の収録もありました。


なーんて書くと、忙しくてさぞグッタリだろうと思われるかも知れません。ところが、2012年のスタートはいたって“元気”。まだまだエネルギーが余っています。今日もこれから、夏ごろに出版予定の新著のための取材と、単発の仕事ですが中東系エアラインに関する記事執筆の打ち合せに出かけます。

“元気”のヒミツは、エネルギーをフルチャージしてきた昨年12月の香港取材です。旅のあとはふつう、身体に疲れをためて帰ってきますが、香港では反対にいつも元気をもらってくるから不思議。現地での様子についてはこのBlogやfacebookでも断片的に報告しました〔写真は香港公園・茶藝館の中国茶セミナー〕。そして本日より、それらをまとめた香港滞在レポート──「仕事に、遊びに。香港3泊4日でエネルギーをフルチャージ」が誠Styleの連載『“飛行機と空と旅”の話』で公開になっています。

香港、また行きたいなあ。近いうちに。来週23日に始まる「旧正月」の行事についての情報もレポートに盛り込んでいますので、興味のある方はアクセスしてみてください。

≫≫≫「仕事に、遊びに。香港3泊4日でエネルギーをフルチャージ

S.Akimoto at 10:15|Permalinkclip!アジア・太平洋の旅 

2012年01月13日

A380同窓会

 
銀座のイタリアン・レストランで今夜、とある集まりがあり、いまその帰り道でこれを書いています。開催した会の名前は「A380同窓会」。2007年10月25日にエアバスのオール2階建て機A380がシンガポール/シドニー線で世界初就航したとき、日本から私を含めて4人のジャーナリストが招かれました。その4人と、私たちの就航初便取材を舞台裏でおぜん立てしてくれたシンガポール航空関係者4人の、計8名による同窓会です。


世界デビューしたA380に日本人として搭乗したのは、航空写真家のチャーリィ古庄氏と小栗義幸氏、そして小学館の元『Lapita』副編集長・安藤正氏と私の計4人。私たちの取材活動をバックアップしてくれたのは、当時シンガポール航空の広報部長だった壬生塚明氏と現在も現役広報スタッフとして活躍中の吉元美佳さん、さらに社外スタッフとしてPR業務を請け負っていた小林直美さんと田中紘子さんの4人です。アフリカ取材から帰ったばかりの古庄氏は残念ながら参加できなかったものの、残る7人は元気に再会を果たしました。

あのときの搭乗取材をベースにして、私は2008年3月に『エアバスA380まるごと解説』(サイエンス・アイ新書)を刊行しました。古庄氏や小栗氏、安藤氏も「あの経験がその後の自分たちの活動に少なからず影響を及ぼした」と口々に話します。そこで安藤氏より「久しぶりに当時のメンバーで集まらないか」と提案があり、今夜の会が実現しました。

安藤氏が予約してくれたのは銀座の「LAZY」という本格イタリアンです。魚介類を中心にした料理を楽しみながら、小林さんと田中さんが「この会を1回で終わらせるのではなく、ずっと続けていきましょう」と提案。小林さんは現在、外資系製薬会社の広報マネージャーとして、田中さんもライカジャパンの広報スタッフとして活躍を続けています。「5回とか10回の節目には、A380が世界で最初に離陸したシンガポールで開催するのはどうですか?」とのプランも持ち上がり、全員が「絶対に実現しよう」と約束して4時間におよんだ第1回開催はお開きになりました。

2012年01月10日

富士山の思い出

 
いまから15年ほど前のことです。ある雑誌の仕事でJR東海の1年生車掌、Uさんを取材したとき、シカゴから旅行に来ていた年配の夫妻について彼はこんな話をしてくれました。Uさんはその日、東京から新大阪までの乗務を担当。そこにアメリカ人夫妻が乗ってきたそうです。


「東京駅を出発して間もなく、切符の検察で各車両を回っていた際に、アメリカ人のご夫妻から『富士山はどっち側に見えますか?』と尋ねられたんです。進行方向右手に、と答えてから、私は伝えました。『でも今日の静岡地方はあいにくの天気で、富士山は見えないと思います。残念ですが』と。ご夫妻はとてもがっかりした様子でした。富士山を間近で見るというのが、日本に来る楽しみの一つだったのですね」

ところが、三島を過ぎてしばらくすると、上空を覆っていた鉛色の雲が切れ始めました。Uさんはそれを見て、急いで夫妻が乗っている車両に走って「見えるかもしれません!」と教えたそうです。車両を駆け抜けていく車掌の慌てぶりに、他の乗客は何ごとかと驚いたに違いありません。

「新大阪駅に着いたら、私が降りるのをご夫妻はホームで待っていてくれました」とUさんは続けます。「あなたのおかげでいい思い出ができたと、ご夫妻は私の手を握って何度もお礼を言ってくれまして……。この仕事に就いてよかったと心から思えた瞬間でした」

いま、大阪に来ています。昨日の午後の便で、急に思い立って。途中、真っ白に雪を被った富士山を眼下に眺めながら、Uさんの話がふと脳裏によみがえりました。彼はいまも新幹線の運行に関わる仕事をしているのでしょうか? 元気に続けているといいな、と思います。15年も前の話なので、もう顔もうまく思い出せませんが。

Profile

Logo_MakotoStyle_Tittle.jpg


秋本俊二(Shunji Akimoto)
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『ボーイング787まるごと解説』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

Logo_MakotoStyle_Tittle.jpg
Contact
仕事依頼などの相談・問い合わせはお気軽にどうぞ。当Blogへのご意見・ご感想もお待ちしています。下のフォームをクリックして画面を呼び出し、ご記入のうえ、送信してください。後ほど連絡させていただきます。

Form
Books










About Link
Blog『雲の上の書斎から』はリンクフリーです。必要に応じて以下のお好きなバナーをご使用ください。リンクされた場合は上記 Contact Formよりご一報いただけますと嬉しいです。